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さらにかわいそうな話
Mさんは、認知症が進み、ケアハウスで暮らす70台の男性患者さん。
Mさんは、もう、ほとんど話すこともできません。10年ほど前は、よたよた歩いて、いつも笑顔で冗談のような話をするのが好きでした。
そのMさんは、次第に歩けなくなり、認知症も進んできました。とても元気な奥様もさすがに在宅での介護に限界を感じられ、数年前にご主人(患者さん)を施設へ入所させました。奥様は、毎日のようにご主人の元へ通い、食べさせたり、手引き歩行をさせたり、トイレへ連れて行ったり,おむつを替えたり、とても一生懸命お世話をなさっていました。
ところが、その元気な奥様は2年ほど前、私のところへご主人を連れてきて、処方をもらって帰られたあと、突然倒れ、その3日後に亡くなられました。くも膜下出血でした。
ひとり残されたMさんを介護することになったのは、奥様の親族でした。
奥様ほど一生懸命介護、ってのは、さすがに無理ですが、それでも毎月タクシーで患者さんを私のところに連れてきて、精一杯の愛情を注いでおられました。
でも、ことしは厳しい夏の暑さが影響したのでしょうか、Mさんは食欲がおち、やせてきて、元気もなくなりました。Mさんは、少し前までは、私がクリニックで声をかけると、とにかくすごく嬉しそうな笑顔を作ってくれていました。ほとんど発語はないものの、お顔はスゴく嬉しそうなのが印象的だったんです。しかし、その笑顔すらなく、硬い表情で立たせることも大変な様子になってしまいました。
食べなければやせて体力は無くなり、徐々に弱って行くでしょう。鼻からチューブを入れるか、胃ろうを作るか、判断の難しいところです。
奥様の親族はいろいろ相談された上で、PEG(胃ろう)を作ってもらおうという結論をだされました。そして、私からある病院へお願いして、胃ろう作成の準備をしました。
ところが、ここで大問題が生じました。
ケアハウス側が、ちょっとまってほしいと言い出したのです。
ケアハウスでは、誰でも胃ろうの管理をできるわけではありません。看護師が注入をしなければなりませんが、その体制に不備があり、胃ろうを作った患者さんが入所する部屋の数には制限があります。ですから、Mさんが胃ろうを作るために一旦退所して、病院に入院して胃ろうを作ったとしても、戻る部屋をすぐには用意できないというわけです。
慌てたMさんの親族は、いろんなところに受け入れてくれる施設がないか、探しまわりました。しかし、いつ部屋が空くか分からない、という返事ばかり...
親族は、自宅にMさんを引き取るのはとても無理だと嘆き...
結局、当面は胃ろうをあきらめ、できるだけ口から食べてもらうように努力する、という話になってしまいました...。
親族は、何とかもってくれたら...と泣きそうになっていました...。
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脳の機能が落ちて、あるいは体力が低下して、嚥下能力が落ちると、無理に食べさせることはできません。肺炎のキケンがあるからです。でも、栄養は入れなければなりません。となると、長期的には胃ろうが望ましいと思うわけです。やはり、24時間鼻からチューブってのは、できれば避けたいところです。
ですが、今の医療介護制度では、それすら難しくなりつつあるのです。Mさんは、もしかしたら涼しくなって、食欲が戻る可能性もないではありません。ですが、このまま次第にやせ衰えて行くかもしれないのです。
それがわかっていても、必要な処置(胃ろう)が行えないなんて...
ある訪問看護のベテランさんは、こう言います。
ケアハウスではなかなか看護師を確保できないので、胃ろうは敬遠されています。チューブ栄養は看護師がやらなければならないからです。
すると、療養病棟を探して入れてもらうしかないのですが、政府の療養病棟削減計画の影響もあって、以前より入るのに時間がかかります。
いっぽうで、胃ろうを作成する側の病院(多くは総合病院)では、あまり患者さんを長く置いておくわけにはまいりません。平均在院日数を減らすという大命題が存在するからです。となると、引き受ける病院も、そのあとのいわゆる後送施設を確保しない限り、安易に胃ろうを作るわけにもいかなくなります。
患者さんにとってはこの1週間、2週間が勝負かもしれないのに、部屋の都合は何ヶ月先になるか分からない...
これで患者さんが死ぬことだってありうるのに...です。
いよいよ、国民は、制度によって殺されるかもしれない国に生きることになったのですね。さあ、あなたはどうやって生き延びますか?
認知症は餓死して死んだらいいんですか!?
そういえば、銚子市立病院もついに廃院になりましたね。
地元民の不安がどれほど大きいか...