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大野病院事件:社説の比較



 判決の翌日の大手マスコミの社説を読み比べました。いずれも大きな差はなく、判決はほぼ妥当という論調でした。しかし、よく読んでみると、まだまだマスコミに反省がないことがよくわかります。だいいち、K医師が逮捕されたとき、犯罪者扱いした反省がカケラもありません。マスコミがみずから医療崩壊を促進したという事実には完全に目をつむっています。それどころか、「まだ医療川が患者側の不信を払拭し信頼されるためには努力が必要」という方向の記載が目立ちます。滅多にない悪質な事例をさも日常茶飯事のごとく書き立てる、まるで医師性悪説です。医師は事実を隠すものとでも言うような書き方もあります。最前線で必死に人命救助をする医師たちへの侮辱とも思えます。さらに、患者の不信を払拭するために「事故調」が必要、という解説もあります。医療安全対策の世界基準は、まだまだマスコミには浸透していない事を痛感します。正義感ぶった社説は、益々医療を混乱に陥れるのではないか、そんな恐ろしささえ感じます。大野病院事件の無罪判決は、始まりに過ぎない、これからが大切なのだと改めて知らされました。



社説:帝王切開判決 公正中立な医療審査の確立を

   
毎日新聞 2008年8月21日 0時21分

 4年前、福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性が死亡した事故で、福島地裁が業務上過失致死罪と医師法違反に問われた執刀医を無罪とした。医師の裁量を幅広くとらえ、「過失はなかった」とする判断である。

 「癒着胎盤」という極めてまれな疾患に見舞われたケースだが、判決は手術中の大量出血のおそれを予見したり、手術方法の変更によって「結果回避の可能性があった」と認定した。
刑事責任は認められないが、最善の医療ではなかった、とも読み取れる内容だ

 事故は産婦人科の医師不足が深刻化する中で起きたため、医師が萎縮(いしゅく)すると懸念する声が医療界に広がり、福島県警の捜査で産婦人科離れが加速した、と指摘された。日本産科婦人科学会などは「通常の医療行為で刑事責任を問われたのでは医療は成り立たない」と執刀医の逮捕、起訴を批判した。

 しかし、こうした考え方が市民にすんなり受け入れられるだろうか。
医師の資質を疑いたくなるような医療事故が繰り返されており、医療従事者の隠ぺい体質や仲間意識の強さ、学閥を背景にしたかばい合いの常態化などを考慮すれば、慎重な調査、検証は欠かせない。県警が異例の強制捜査に踏み切ったのも、社会に渦巻く医療への不信を意識したればこそだろう。

こともあろうに、あの恥知らずの毎日は、いまだに医師を犯罪者扱いしているのだ! みずからの無知を恥じる事なく、事実誤認記事への反省のかけらもなく、医師への侮辱をくり返すのだ。

 もちろん、警察権力は医療にいたずらに介入すべきではない。刑事責任を追及する対象は、明らかな犯罪行為や常識からかけ離れた医療行為などに限定すべきだ。経験や技量の不足に起因するものは、民事上の損害賠償で償ったり、行政罰に処するのが先決だろう。結果として患者を死に至らしめたとしても、懸命に救命を図った医師に手錠をはめることが社会正義にかなうとも考えにくい。

 多発する医療過誤訴訟に対応するためにも、公正中立な立場で、医療行為の適否を判断するシステムが求められる。日本産科婦人科学会も提言しているように、第三者による専門機関の設置が必要だ。厚生労働省も医療安全調査委員会の新設を目指しているが、先進諸国には法医学者が役割を担っている例もある。医師が主導することが望ましい。医療現場に司直を踏み込ませたくないのなら、なおさら設置を急ぐべきだ。

 カルテやレセプト(診療報酬明細書)の開示の徹底など開かれた医療の実現が前提条件となることは言うまでもない。判決は、医師に警察署への届け出を義務づけている「異状死」に、患者が診療を受けている疾病で死亡した場合は該当しない、との判断を示したが、事故死については第三者の判断を仰ぐべきだ。医師は事故を隠さず、患者側には納得のいく説明を尽くす。それが医療の信頼回復にもつながるはずだ。

順番が違うのだよ、毎日よ。医師が不当逮捕される事がないという仕組みを作らずに、すべてを明らかにする事はできない。なにせ、勝手な思い込みで犯罪だと書き立てるマスコミがあるんだからね。そして、マスコミにつられて十分な捜査もせずに手錠をかける警察もいるからね。



産科医無罪 医療安全調査委の実現を急げ

    
821日付・読売社説)

 医療事故の原因究明や責任追及は、どのような形で行われるべきか。それにひとつの答えを出した判決とも言えよう。

 福島県立大野病院で帝王切開を受けた女性が死亡し、執刀した産婦人科医が逮捕・起訴された事件で、福島地裁は被告の医師を無罪とした。

 女性は、子宮に癒着した胎盤をはがす処置で大量出血し、亡くなった。検察と警察は、胎盤をはがさずに子宮ごと摘出するのが「医学的準則」だった、として業務上過失致死罪などに問うた。

 しかし判決は、「医学的準則」とは同じ場面に直面した医師のほとんどが選択するものでなければならず、今回のケースはその証明がない、とした。医学的見解が分かれる中で刑事責任を追及した捜査当局への批判が読み取れる。

 事件が医療界に与えた衝撃は極めて大きかった。医師が逮捕された後に、全国で多数の病院が出産の取り扱いを中止した。医学生は産科のみならず、外科など命にかかわる手術を行う分野を避けるようになった。

 そもそも、医師を逮捕までする必要があったのだろうか。疑問を禁じ得ない。

 まだ1審であり、医師の無罪が確定したわけではない。だが、医療事故に関して、警察がいきなり捜査に入る現状は危うい。

 刑事責任を問うべきほどの事案かどうかは、まず中立的な専門機関で判断した方がいい。厚生労働省が検討中の「医療安全調査委員会」の創設を急ぐべきだ。

 厚労省の構想では、医療安全調査委は中央と地方ブロックごとに設ける。メンバーは医師だけでなく、法律家や他分野の有識者も加え、中立性を図る。

有識者って誰だ? まさかおたくの論説委員じゃあるまいな??? その前に新聞の、マスコミの中立性とは何だ? 真実より遺族感情に配慮して誠意ある医師を叩く事が中立であってはならない。

 予期せぬ形で患者が死亡した場合などに、医療機関から調査委への届け出を義務づけ、遺族からの調査依頼も受け付ける。調査委は個人情報に配慮しつつ報告書を公表し、再発防止策を提言する。

 故意や重大な過失、カルテの改竄(かいざん)といった悪質な事例のみ、警察に「通知」する。警察は調査委の判断を尊重し、通知の有無を踏まえて対応する。

 調査委構想は法案化目前まで煮詰まってきた。ところが医療界の中に、警察に通知する仕組みがある限り反対するとの声が強く、足踏みしている。

 悪質な事例を通知するのは当然だろう。犯罪の可能性があるのに通知しないのならば、調査委ができたとしても、警察が直接捜査に乗り出す状況は変わるまい。

事故調を作る前に法的整備が必要な事くらい、バカでも分かる話だが...





【主張】産科医無罪判決 医療を萎縮させぬ捜査を

    2008.8.21 02:48 MSN産経ニュース

 産婦人科医が逮捕された大野病院事件で、福島地裁は「医師の判断と処置に過失はない」と無罪判決を言い渡した。医療のリスクに理解を示した判決である。

 事件は医療のさまざまな問題を投げかけた。捜査当局や厚生労働省、医療関係者は問題解決の努力を怠ってはならない。

マスコミの努力はどこへ行った???

 手術中に死亡した妊婦は、胎盤が子宮口をふさぐ前置胎盤のうえに胎盤がはがれない癒着胎盤だった。珍しい症例で治療も難しかった。医師は帝王切開で子供を取り出した後、癒着した胎盤をはがしたが、大量出血を起こした。福島県警は医療過誤を認める県の調査報告を手掛かりに業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反容疑で医師を逮捕した。

 しかし、判決は検察側の立証を認めず、剥離(はくり)を続けた医師の行為を「標準的」と判断した。

 大野病院事件はカルテの改竄(かいざん)や技量もないのに高度な医療を施した医療過誤事件とは違った。それでも警察の捜査は医師の裁量にまで踏み込んで過失責任の罪を問うた。当然、医療界は「最善を尽くして逮捕されるならもう手術はできない」と反発し、産科医離れに拍車をかけた。

 医療を萎縮(いしゅく)させないために、捜査当局は幅広く専門家の意見を聞くなどもっと慎重に対応すべきだった。逮捕せずに書類送検で在宅起訴して刑事立件する捜査手法もあったはずだ。ただ、今後、医療過誤に対する捜査も萎縮するような事態は避けたい。

 手術には医師の予測を超える事態も起こり、大なり小なり危険は付きものである。だからといって救命の手は緩めてはならない。(
当たり前の事を言うな。だれが救命の手を緩めるというのか? ついでに言うと、高齢者医療に金をかけるな、終末期医療に金をかけるな、というのは、手を緩めろということではないのか? それこそ現実に起こっている事だと言うのに....)医療は患者のためにある(当たり前のことを言うな!)。治療の前に患者側にインフォームドコンセント(説明と同意)を十分行い、難しい局面を経験と知識で乗り切って患者の命を救おうと努めるのが医師の使命だろう(医師不足で地方では一人医長で人命を救ってきた歴史,現実に目を向けよ。説明と同意にかける時間と余裕がない現場はどうせよというのか? 人手が足りない現場ではどうせよというのか? 理想論で正義ぶるのは何の解決にもならない事を自覚せよ。)。

 判決は「警察への届け出義務はなかった」とも判断した。医師法は病死と断定できず、異状があると認められたときは警察に届け出るよう医師に義務付けている。だが、異状死に明確な定義がない。これも
法律整備が求められる。

 今回の判決は創設が検討されている「医療安全調査委員会」制度にも大きな影響を与えるだろうが、この制度は
事故原因を究明し、真に再発防止を目指す組織でなければ意味がない(そのための人的資源、法的整備、予算がどれほど莫大なものになるか、知って書いているんだろうね?)。





産科医無罪医療再生のきっかけに

    8/20 Asahi.com

 医療界がかたずをのんで見守っていた裁判で、無罪判決が下った。

 4年前、福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性が死亡し、執刀した医師が業務上過失致死などの罪に問われた。福島地裁の結論は、手術はほとんどの医師が行っている標準的なもので、過失はない、というものだ。

 赤ちゃんは手術で無事生まれた。しかし、普通は産後に自然にはがれる胎盤が子宮に癒着していた。このため、医師は手術用ハサミ(
おいおい!)を使って胎盤を切り離したところ、大量の出血が始まった。その後、医師は子宮そのものを摘出したが、母親は失血死した。

 検察側は「癒着した胎盤を無理にはがさずに、子宮を取り出すべきだった」と医師の過失を主張した。しかし、判決は、胎盤をはがすことは普通の医療であって中止すべき義務はなかった、として退けた(
患者が子宮を温存してほしいと願っていた事は知ってるよね?)。

 判決は医療界の常識に沿ったものであり、納得できる。検察にとっても、これ以上争う意味はあるまい。控訴をすべきではない。今回の件では、捜査するにしても、医師を逮捕、起訴したことに無理があったのではないか。

 慣れない手術でまるで練習台のように患者を使う。カルテを改ざんする。そうした悪質な行為については、これまで通り刑事責任が問われるべきだが、そうでないケースについては捜査当局は介入を控えるべきだろう。

 今回の立件は、医師の間から「ある確率で起きる不可避な事態にまで刑事責任が問われるなら、医療は成り立たない」と反発を招き、全国的な産科医不足に拍車をかける結果にもなった。産科の診療をやめた病院も多い。

 無罪判決に、全国の医師らはほっとしたに違いない。だが、捜査当局が立件しようとした背景に、
医師に対する患者や家族の不信感があることを忘れてもらっては困る。この判決を機に、医療の再生を図れるかどうかは、医療機関や医師たちの肩にかかっている(いやいや、マスコミに対する不信感も相当なもの。そして、マスコミの反省の度合いにもかかっている事を忘れてもらっちゃあ困る)。

 まず、診療中に予期せぬ結果が生じたときに、原因を突き止め、患者や家族に誠実に説明することが大切だ。そのうえで、再発防止策を取らなければならない(
医師不足、重労働の中で、これでも精一杯やっているのだが...)。

 医療にはさまざまな危険が伴う。だからこそ、何が起きたかを明らかにするのは、プロとしての医師の責任であることを肝に銘じてほしい(
せめて全例病理解剖するくらいの制度になればもっと明らかにできるのだが...。病理医も全く足らないのに....)。

 当事者の調査や説明だけでは患者や家族が納得しないこともある。政府が準備を進めている第三者機関「医療安全調査委員会」をぜひ実現したい。

 調査の結果が警察の捜査に使われることへの反発が医療界にあるようだが、きわめて悪質な行為以外は捜査に使わないことを明確にしたうえで、発足を急ぐべきだ(
明確にならないから困っているのだ。)。それが患者側の不信感を取り除き、医師が安心して仕事をできる環境づくりにつながる。



社説2 産科事故判決が教えるもの

    NIKKEI NET(8/21)

 産婦人科医師が減るきっかけになったともいわれる福島県立大野病院での患者死亡事件で、福島地裁は担当の医師を無罪とした。医師に過失はなかったとの判断だが、患者への説明など医師側の対応に問題がないとは言えない(だが、本件では患者側が告訴したのではない。マスコミがいい加減な記事を書き、それに警察が飛びついたのだよ。)。再発防止につながる真相究明こそが求められている(本件では真相はほぼ究明されており、医学的にやむをえなかったということ。)。



 2004年に同病院で帝王切開手術を受けた女性が大量出血で死亡した。子宮に癒着した胎盤を切り離す際に手術方法や判断にミスがあったとして、医師は逮捕、起訴された。



 最大の争点だった術法の適否を巡り判決は「医療行為の結果を正確に予測することは困難」とし、治療法選択で医師に広い裁量を認め、判断ミスを否定した。産科学会などの「現場では何が起こるかわからないことが多い。結果だけで刑事責任を追及されると、医療現場に混乱をもたらす」との主張をいれた格好だ。



 医療事故は後を絶たない(
後を絶たないのは事実誤認のマスコミ報道ではないか!)。そこで問題になるのは、患者や家族に十分な説明をし、同意を得たかという点だ。この事件でも家族は病院側の説明に強い不満を抱いている。大出血など緊急の場合には他の医師などの応援を求めるべきだが、これについても不十分だったと言わざるを得ない。日本医師会の調査でも、「医療者の対応によって訴訟が減るか」との問いに患者の86%がイエスと答えている。説明と同意、緊急時の対応などを、病院側はシステムとして確立しておかなければならない(何度も言うが、本件では患者側が告訴したのではない。マスコミが憶測で書いた記事に警察が乗ったという図式なのだ)。



 大野病院事件をきっかけに国は、事故が起きた際にいきなり警察ではなく専門家による第三者委員会で調査する制度の創設議論を急いだ。医療安全調査委員会(仮称、医療事故調)設置の大綱案を厚生労働省が6月に公表したが、事故調がどのような場合に警察に通告するかの基準を巡り意見が対立している。事故原因の究明、再発防止、さらには萎縮医療を避けるためにも事故調は必要であり、議論を進める必要がある。



 裁判の結果がどうであれ、地域の産科医の減少で住民が安心して出産できない不幸な事態は続いている。国は各都道府県が周産期の医療計画を作成するよう求めているが、地域にまかせるだけではなく、産科医の確保、医療機関の連携など具体策を早急に実現しなければならない(
国に対してはもっともっと書いてくれよ! 国のせいで医療がおかしくなってきたのだから...。それと、安易に連携などと書いてくれるな。必死に連携しようとしているのに厚労省がおかしな制度改革をやるから現場が混乱するばかりなのだ。)。



    ===============

マスコミ各社を代表する論説委員のおことばではあるが、残念ながら、現実無視の理想論?も多い。それができりゃあ苦労しないよ!的なご意見ばかりである。判決が妥当だと書いて頂いたのは進歩だが、今の医療の状況は、そんな甘いものではない。本当に真剣に人的資源と予算を増やし、現在休職やパートだけの医師をもっと現場に引き寄せられる策を講じなければ、理想どころか,もっともっと事態は悪くなるのだ。悪徳医師への批判ならどんどん書いてくれたらいい。しかし、精一杯働いている医師にムチ打つような無理難題を並べて正義の味方のフリをすることだけは、今すぐやめて頂きたい。





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