Doctor Takechan
More プロフィール

Search

Calendar

<< 2012/05 >>
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

新着コメント

新着トラックバック

< 看板倒れ?「五つの慢心プラン」 | メイン | 厚労省発表の不思議 >






ブログ864htm

厚労はERをもてあそぶな!



またキャリアブレインから力のこもった記事が出た。「救急医療の今後のあり方に関する検討会」が内容不明のまま進めようとする“モデル事業”についてである。まずはこの検討会のメンバーと記事をどうぞ。(長いよ...)



「救急医療の今後のあり方に関する検討会」 (救命救急医療について)

<メンバー>

石井  正三   日本医師会常任理事

泉   陽子   茨城県保健福祉部長

坂本  哲也   帝京大学医学部救命救急センター教授

島崎  修次   (財)日本救急医療財団理事長 / 杏林大学救急医学教授

豊田  一則   国立循環器病センター 内科脳血管部門 医長

野々木  宏   国立循環器病センター 心臓血管内科 部長

藤村  正哲   大阪府立母子保健総合医療センター 総長

前川  剛志   山口大学医学部長

松下   隆   帝京大学医学部整形外科主任教授

山本  保博   日本医科大学救急医学主任教授

<オブザーバー>

荒木  裕人   総務省消防庁救急企画室

<省内関係部局>

保険局医療課

雇用均等・児童家庭局母子保健課



ER
型救急は「ペペロンチーノ」()




   2008/07/24   キャリアブレイン

 「ER型救急医療機関」の定義があいまいであるにもかかわらず、ER型救急をモデル事業として実施するとの内容を盛り込んだ中間取りまとめ(案)が、7月17日の「救急医療の今後のあり方に関する検討会」(座長=島崎修次・日本救急医療財団理事長)で、大筋で合意された。これについて、厚生労働省医政局の三浦公嗣指導課長は、キャリアブレインに対し、「スパゲティにはいろいろあり、何をもってスパゲティと言うかがある。今回は『ペペロンチーノを作りましょう』ということだ」と、定義や機能が不明瞭(めいりょう)なまま、形だけを進めようとしているモデル事業を例えてみせた。一方、昭和大学病院の有賀徹副院長は、「医療のプロである医師は、モデル事業がどういう『素材』でできているか分かる。中身がないままではうまくいかない」と、形だけを先行させようする予算取りの政策だと批判している。(熊田梨恵)

     −−−−−−−−−−−−−−−−

 同検討会は、年々増加する救急搬送件数や、救急受け入れ不能などの問題を受け、救急医療体制の確保などを目的に、昨年度に設置された。当初は救命救急センターの整備や評価などについて議論していたが、4回目から二次救急についての議論を開始。疲弊する救急医療や、ER型救急の現状についてのヒアリングなどを実施してきた。





突然に「ER型救急のモデル事業実施」



 しかし、今回の中間取りまとめ(案)に、ER型救急を「モデル事業として一部地域において試行」との提案が突然盛り込まれた。前回の中間取りまとめ骨子(案)でもER型救急について触れられてはいたが、今回は具体的に実施を示唆する内容に書き換わっている。中間取りまとめに具体的に記載されると、来年度予算に盛り込まれ、実現に向かう可能性が極めて高くなる。



 また、厚労省が7月11日付で発表した人事異動で、同検討会を担当する医政局指導課長が交代している。前の佐藤敏信課長は、診療報酬改定を担う中央社会保険医療協議会のかじを取る保険局医療課長に異動。現職の指導課長には、前の文部科学省高等教育局の三浦公嗣医学教育課長が就任した。三浦氏は、1983年に旧厚生省に入省し、2000年の介護保険制度創設に深くかかわった医系技官だ。前職では、医師養成数の増に否定的な見解を示していたとの指摘もある。





不可解な前課長の姿



 17日の会議は、省内ではなく、金融庁がある合同庁舎7号館で開催された。開催前、既にこの検討会の任務からは離れているはずの佐藤医療課長が会議室に訪れ、山本保博委員(東京臨海病院長)にあいさつし、名刺交換する光景が見られた。山本委員は、厚労省や消防庁などの検討会の委員をよく務めており、佐藤課長とは知った仲だ。この日、医政局と健康局以外では、厚労省に関係する検討会などは同館では開かれておらず、佐藤課長はこの会議室までわざわざ足を運んだとの見方もできる。



 会議冒頭、三浦課長が新任のあいさつ。「(検討会が)第6回ということで、マラソンで言うと選手がスタジアムに入ってくるところまで進んできたが、前任の佐藤からわたしにそういう段階で引き継がれた。円滑に引き継ぎが行われるよう努力したい」と述べた。



 会議は、事務局が作成した中間取りまとめ(案)を、医政局指導課の田邉晴山救急医療専門官が読み上げる形で進行した。田邉専門官は、日本医科大からいわゆる「人事交流」で同省に来ている医系技官で、このポストは2年程度で入れ替わることが多い。





●ER型に「定義はない」



 今回の中間取りまとめ(案)の、「ER型救急医療機関について」の項目では、ER型救急の現状について、定義と利点・課題、今後の整備についてなどが記載されている。定義については、「ER型救急医療機関と称される施設の状況を概括」との形で、▽軽症から重症まで、疾患、年齢、搬送手段を問わず、救急室(ER)で受診するすべての救急患者を受け入れる▽救急患者すべてにER型救急医が救急初期診療を行い、入院治療や手術が必要な患者を母体病院の該当診療科に振り分ける▽ER型救急医は入院診療や手術などを行わないという体制を確保している?を挙げた。ただ、すべての施設がこの体制を確保しているのではなく、「定義は必ずしも明確になっていない」としている。



 ER型救急医療機関は、日本救急医学会によると、北米型の救急医療体制となる。▽重症度、傷病の種類、年齢を問わず、ERですべての患者を診る▽救急医がすべて診る▽救急医がERを管理・運営する▽研修医が救急診療をする際は、ER常駐の「救急専従医」が指導する▽救急医はERでのみ診療し、入院診療を担当しない−などの特徴がある。また、「A&E」(Accident and Emergency)と呼ばれる英国などの救急体制もある。厚労省の調べでは、国内でER型救急医療機関と呼ばれる施設は、100か所程度あるが、それぞれが地域の実情などに合わせて独自のシステムで展開しているため、決まった定義はない。



 会議は2時間の予定だが、事務局からの資料説明などに時間が割かれ、既に1時間10分が経過している。

 田邉専門官が、「ER型救急医療機関について」の項目を読み上げ、委員に意見を聞いた。





「体制と救急医、どちらを求める」



 まず、坂本哲也委員(帝京大医学部救命救急センター教授)が口火を切った。

「言葉の定義が不明瞭なところがある。ER型救急医療機関とは、医療機関としてすべての重症度や年齢の患者を受け入れ、断ることなく救急外来で診るということなのか。それとも、どんな年齢や症状の患者でも診られる『ER型救急医』がいて、彼らが働くのがER型救急医療機関なのか。例えば、多くの場合は、医師不足の中、既存の内科や総合診療の医師、救急医や外科医などを動員し、皆で協力して病院の体制としてER型に近いものを実現していこうというのが実態に近いと思う。ER型救急医を求めているのか、医療機関(の体制)としてのER型救急医療機関を求めているのかが不明確」

 また、ER型救急の利点を、「救急車の受け入れ拒否が発生しにくい」と記載していることについて、「これ(ER型救急)をするだけで、ばら色の解決に見えてしまう。あくまで(医師の)専門分野を理由とした受け入れ不能は発生しにくくなるということ」と述べ、修正を求めた。



 これに、会議開催前に佐藤課長とあいさつしていた山本委員が続いた。

「定義だが、この中に『ER型救急医が救急初期診療を行い、入院治療や手術が必要な患者を母体病院の該当診療科に振り分ける』とあるのだが、この定義でよいのか。救急医が入院治療をすることもあるのでは。付属している病院が『母体病院』という意味だと思うが、新規(の病院)に振り分けたり、上り搬送したりする患者もいてもいい。少し整理を変えた方がいいのでは」

 挙げられた項目は「ER型の定義ではない」との内容が、中間取りまとめ(案)には示されているが、定義と取り違えての発言だ。



 島崎座長がこれに応じ、「まさに定義がはっきり決まっていないので、『こういうことでやっているのもある』という一つの例だ。救命センターとERという形もあれば、救命センターとERだが、それぞれが全く機能を別にしているERもある。分類の仕方が多く、軽症患者を含めて診ている所は、全部ERと言っている」と指摘した。





なぜ「総合診療科」



 しかし、ここで山本委員が議論の方向を変える発言をした。

「ER型救急医療機関というのは、『総合診療科』とどういう関係になるのか。あるいは、プライマリーケアの皆さんと(の関係)はどういうふうになるのか。その辺も、どこかで突いておく方がいいと思う」と述べた。ER型救急では、救急患者に対する総合診療を行うとの観点から、現在同省内で議論の決着が付いていない「総合診療科」の話にかぶせた発言だ。



 「総合診療科」や「総合医」をめぐっては、地域で患者を生活面などからトータルで支え、主訴や臓器などを問わず長期的にかかわる、いわゆる「かかりつけ医」のイメージだが、定義や呼称、育成方法などにさまざまな議論がある。昨年度から同省の医道審議会医道分科会診療科名標榜部会が議論を進めているが、関係各団体の利害も絡んで議論が棚上げされている。総合診療科の創設に強く反対する日本医師会の委員もいることを考えれば、この検討会に総合診療科の話を持ち込むことで、議論が錯綜(さくそう)することは目に見えている。



 ここで田邉専門官が返答。「ER型救急医療機関については定義できないということで、『ER型救急医療機関といわれる施設を概括してみる』という形で『大体こんなものなのかな』という形で書かせていただいた。ER型救急医療機関の定義が必ずしも明確になっていない状況だ」と解説した。





定義の話はどこへ



 ここで座長が突然、モデル事業の実施に言及。「モデル事業でやり始めると、皆さんのコンセンサスが一定の方向に向かうかもしれない」と、肯定的な姿勢を示したのだ。

 さらに山本委員の「総合診療科」発言にも触れ、「総合診療とかプライマリーケアの話があったが、行政(厚労省)としてはこの委員会とは別に、そういう総合医療的なこととか、プライマリーケア的なことの検討会はあるのか。そういう検討会があれば、そこで救急医療をどう位置付けているか聞きたい」と述べた。坂本委員の、ER型救急の定義の話は置き去りにされ、総合診療科の話にすり替わってしまった。



 田邉専門官は「ちょっと現状では明確にならないので次回答えたい」と応じた。「総合医」などを議論する診療科名標榜部会の担当は、医政局総務課になるため、田邉専門官の管轄外だ。



 ここに、石井正三委員(日本医師会常任理事)が割って入り、「日医としては、いわゆる『総合医』には反対だから、あまり踏み込まないでほしい」と述べた。日医は、厚労省から総合医などの提案が出た2006年度の当初から反対しており、日本プライマリ・ケア学会などと共同で、日医による「認定かかりつけ医制度」を提案している。





会議は迷走



 島崎座長は石井委員に対し、「いや、踏み込んでいい。つまり、はっきりさせたほうがいい。この検討会でそういう形で、プライマリーケアを扱うならば、ここでイニシアチブを取り、そのままやっていいかどうかということを含めて、今行政に聞いた」と答えた。救急医療のあり方検討会として、救急患者に対する初期診療を行う観点から、総合診療科の議論を進めようとの提案だ。だが、中間取りまとめ(案)に関する議論をこの会議中にまとめなければならない座長の発言としては、明らかに議論の方向性からずれている。



 石井委員が再度、島崎座長に呼び掛ける。「もう一度言うが、日医としてもその辺を整理し、提出したいと思っている。いわゆるゲートキーパーとしての『総合医』や『かかりつけ医』の存在は、今のフリーアクセスを悪くする要因になるから、いきなりそこは考えない方がいい。別の解決があるのでは。ここでいきなりそれ(総合医)に入ると、大変になる」。



 山本委員の「総合診療科」発言から始まって、石井委員に座長までが加わり、議論は迷走。中間取りまとめ(案)に記載されているER型救急の項目についての議論でなければならないはずが、なぜか座長自身が総合診療科とER型救急を絡めた話から離れようとしない。



 揚げ句の果てに、島崎座長が「差し当たって、行政施策なども含めて、ここでそういうER的なものをひっくるめた救急医療というものを、ここで全部討議してしまっていいわけですね」と事務局に尋ねる始末だ。中間取りまとめ(案)から懸け離れてしまったこの議論に、ほかの委員は加わることができないように見えた。

(下に続く)



ER型救急は「ペペロンチーノ」()



 定義や機能を不明確にしたまま、モデル事業を実施するとの中間取りまとめ(案)が大筋で了承された、7月17日の「救急医療の今後のあり方に関する検討会」(座長=島崎修次・日本救急医療財団理事長)。検討会では、救急医療に総合診療科の話が絡み、迷走を極めた。ER型救急の定義や役割など、肝心な中身の議論を欠いたまま、モデル事業を実施の方向に落とし込もうとしているようにも見える座長と委員、そして事務局の厚労省。果たして、国民の声を反映した議論をしていると言えるのだろうか。(熊田梨恵)

     −−−−−−−−−−−−−−−−−−



混乱の揚げ句に「モデル事業賛成」



 さらに石井委員が畳み掛ける。「もう一つ追加する。日医が『グランドデザイン2007』を出した時は『日本型ER』という言い方をしていて、『米国の定義には合わないが、どちらかというとそっち傾向』という言い方で書いている。その定義もあいまいで、まだそういう(あいまいな)状況じゃないのか。『ER型医師が要るのか』とか、そういう議論から始まると、各地域で(そもそも)いろんな救急の形がある。それをどう次のバージョンに持っていくかという時に、最後に書いているこの『モデル事業』という書き込み方は全く賛成。その中で明確化していくということでどうか。もちろんモデル事業としてやる場合に、(費用は)どこかの医療機関の持ち出しではなく、国策としてやっていただけると期待している」

 ER型の定義を明確にせず、モデル事業を実施しながら明確化するのがよいと明言した。



 さらに、前川剛志委員(山口大学医学部長)が、「石井委員に賛成」と声を上げた。「英国で総合診療医に診てもらったが、朝に行って、最終的に診てもらったのは夕方。どういう(総合医の)指針がいいかは難しい。日本の今までやってきた救急体制は、非常にいい形ができている。夜も診る。専門領域を持ちながら、ある年齢になったら勤務医から開業医に変わる。その人たちが総合診療医のようなことをやっていた。当初(国内で)ずっとやってきた制度的なものは諸外国から見て非常に形がいい。米国の医療が良いと言うが非常に高い生命保険に入っている。テレビで見るようなシステムがあるわけではない。もっとしっかり考えていく必要がある」と指摘した。



 中身に関する議論を欠いたまま、島崎座長は、「『日本型ER』と石井委員も言ったが、モデル事業もこの形一つではなく、それなりの自由度を持ち、いくつかのタイプを考えていただくとありがたい」とモデル事業を実施する方向でまとめ始め、「これに関してはこれでいいか」と、ER型救急についての議論を閉めようとした。



 そこで豊田一則委員(国立循環器病センター内科脳血管部門医長)から、ER型救急の課題について、「ERからその後の入院を受け持つ医師への引き継ぎに時間がかかる」と記載されていることについて、「脳卒中や急性冠症候群など、本来は急いで診療しなければいけない疾患が、引き継ぎに時間がかかった場合に、患者が不利益を被ることを挙げてほしい。脳卒中に関しては『脳卒中病院前救護(PSLS)』の講習が全国で始まっている。ER型救急の医療機関を進めていくと同時に、病院前救護も進展させて、循環器の救急対応ができる施設が(ER型救急と)併存できる形もあり得ると書いてほしい」と要望が上がった。



 ER型救急についての議論は10分程度しかなされず、会議は粛々と次の項目に進んだ。



「すごくよくまとまっている」



 検討会の最後、山本委員が中間取りまとめ(案)について、「全体としてすごくよくまとまっている。非常に頑張ったと思う」と事務局を激励した。



 島崎座長も、「なんとなく国民医療の中でのERというのが(漠然としていて)、三次の救命センターはそれなりに位置付けがはっきりしているが、二次と一次にかかわるERの今後の問題は、モデル事業の形(での解決)がいいのではないか。いろいろな形で解決していかないと、救急医療全般に関する国民の不満は解消しないと思う。その意味ではよくまとまっている。次のステップに行ける報告書になっている」と述べ、中間取りまとめ(案)の内容を、現在の救急医療の現場に役立つ報告書であるとの見方を示した。

 こうして会議は終了した。



 突然出てきたER型救急のモデル事業実施に対する、具体的な意見は、坂本委員からの定義の明確化に対する要望と、豊田委員からの脳卒中病院前救護に関する要望のみだった。それ以降の議論は、山本委員が「総合診療科」の話を持ち込んだために論点がずれて混乱し、座長の仕切りもあらぬ方向に進ませてしまった。



 肝心なER型救急の定義などの議論はないまま、「モデル事業を実施する」との意見に押し切られた形で会議は終わった。



 事務局は、次回の30日に中間取りまとめの最終案を検討会に提出し、そこで合意が得られれば中間報告としてまとめられる形になる。



素材の分からぬ「ペペロンチーノ」



 会議終了後、定義が不明確なままモデル事業を実施するという形で議論がまとまったことについて、三浦課長はキャリアブレインに対し、「スパゲティには色々あり、何を持ってスパゲティと言うかがある。 今回は『ペペロンチーノを作りましょう』ということだ」と、ER型救急の定義をあいまいにしたまま、形だけを進めようとしているモデル事業の実施を例えて見せた。



「現場は相手にしない」



 昭和大学病院の有賀徹副院長に、この検討会について聞いた。

 三浦課長のペペロンチーノ発言については、「こちらは医療のプロだ。スパゲ何とかについては、医師は(モデル事業の)『素材』が何でできているのかは分かる。モデル事業が始まっても相手にしないだろうから、うまくいかないだろう。予算取りのための方便だ。目くらましで『モデル事業』として始めたとしても、現場の医師は相手にしない」と一蹴。定義がはっきりしないまま箱物だけで始めても、意味をなさないと指摘した。



 有賀氏は今回の検討会でER型救急のモデル事業実施が、突然出てきたことについて、「もともとはこの検討会の議題になる予定ではなかったと聞いている。委員の中でダッチロールが起きて、こういうことになったのだろう」と述べ、事務局や委員内でもすり合わせがうまくいかないまま、予算取りのためにモデル事業が出てきたとの見方を示した。



●ERは「教育の場」



 ER型救急について有賀氏は、「これは救急医療体制の崩壊について、どうこうできるという話とは次元が全く違う。ER型救急は、医療費が潤沢にある場合に、研修医が救急医としてプライマリーケアを訓練する場合には良い。学会などと連携すれば面白いプログラムもできるだろう」と述べ、ER型救急は教育の場であるとの見方を示した。



 今回のモデル事業実施が、受け入れ不能などで混乱する救急医療の現状について、国民の不満を解消する手立てになるとの見方を示した島崎座長とは全く違う意見だ。



 その上で、「やるならば、ER型救急の定義と機能を明確にしなければならない。都会と田舎でも機能は違ってくるだろうし、ERには北米型やヨーロッパ型などいろいろある」と述べた。



           ■   ■   ■



 今回の検討会で、厚労省は突然にER型救急のモデル事業実施を提案してきた。有賀氏が話すように、予算取りのための仕掛けであり、前佐藤課長の宿題を、三浦課長が引き継いだ形で後始末をさせられているとの見方もできる。



 しかし、次回に中間取りまとめの最終案が了承されれば、国民の税金からなる予算が付けられ、一部でER型救急のモデル事業が実施される可能性は極めて高い。しかし、機能と役割が不明確なまま、疲弊する今の救急医療現場で実施されたとしても、混乱を引き起こすだけではないだろうか。迷惑を被るのは現場の医療者であり、被害者は患者ではないのか。



 事務局が描く「すごろく」通りに進行し、上滑りの議論が行われる検討会の在り方はどうなのだろうか。検討会の担当者が次々と異動してしまう同省のシステムを問題視する指摘も多い。検討会でER型救急に関するヒアリング実施した際、現場の医師から「普及は困難」との見方が示されていた。これにもかかわらず、モデル事業実施を盛り込んでくる厚労省の体制は、国民と医療者の声が、全く反映されていないということではないのだろうか。

     ***************

 さて、長い記事だがいかがでしたか?

それにしても、不思議な議事進行ですね。

 官庁主導の会議、懇談会、検討会のたぐいは、このように専門家を適度に入れながら、実は筋書きが初めからあった、ってのが普通のようです。

 ですから、正論が出て来ても結論から離れていると議論にすらならないってことでしょうか...。

 まあ、どの委員さんとは言いませんが...

 「こういう案で強引に突っ走ったら、オレんとこには補助金が来るな..」みたいなノリで、ほんとに全国の救急医療との整合性なんてまるで考えてないんじゃないですかね。

 無理に人材難の中でER型救急なんてワケわかんないもの作るより、救急医療に対する診療報酬を上げるだけでも今よりよほどマシになるのでは、と思うのは私だけじゃないでしょ?

 まぁ、あえて厚労省の味方?をするなら、こんな理不尽な方法でしか、医療の予算が取れない状況に追い込まれている、とも感じられないこともないんですが....。

 有賀さんの方が、よほど核心を突いていると思いますよ。

 こういう大切な時期に担当官がコロコロ人事異動で変わってしまう公務員体質の欠点も見えますね。これじゃ、責任者なんていないも同然。

 すべての責任は参加した委員に押し付けられます。

 「おめ〜ら医者が勝手に決めたんだべ。オラ知らね。」とほくそえんでいる官僚が目に浮かびます。

 責任取れないなら、初めからやるな!っちゅうの。



あんたらが、「ペペロンチーノ」で遊んでいる間も...

こっちは「パパローンキツィ〜ノ」だぜい...w



固定リンク | コメント (4) | トラックバック (0)

トラックバック

この記事のトラックバック URL

http://blog.m3.com/DrTakechan/20080726/_ER_/trackback

コメント

コメント一覧

 約一時間前に懐かしいナポリタンを偶然食べていた私。今なぜペペロンチーノという発想となるのか・・・・?

 ネオコンの方々は日本の医療の息の根を止めたい。ビジネスは非情である。ドイツやフランスや最近のイギリスのようになってほしくない。お膳立ては1980年代から始まっている。しかし最後の段階に近づくにつれ国民の厳しい批判に耐えられなくなった。いま総選挙はヤバイ。しかし任期は4年だ。その前に何か一本アンテナたてつつポーズをとり<梯子>は準備してと・・そんなところでしょうか・・・。まあ、昔からあまり変わらんな・・・。

 美味しいパスタは世間相応の<素材と設備>とコックさんの健康な舌と体から作られる。そして未来のシェフの面倒も見ながらお客さんの笑顔を生きがいに出来る余力が自身と他のスタッフにも保障されている。未知の細菌による食中毒があってもあくまで真実の解明が第一であり、処罰やこきおろしが優先ではシェフを目指す前にお店を去らざるを得ない。ましてや激安価格で完璧な衛生状態や品質を保てるか?鉄人の一人のドクトル虎の巻シェフ(先生、御無礼何卒お許しください)もシンエコーというパスタの公定価格の低さにご機嫌よろしく無い御様子。どこからか<DPCならいかがです?><他のお店はやっています>のお触書。経営努力したら<やはり節約できたでしょ?もっと安くしようね>の気配も・・?しかしお客さんのお勘定は増える。味は落ちる。配膳は遅い。ほかの店はメニューを絞るか店じまい。混むワ混むワ。さてテーブルに出されるペペロンチーノなどの運命はいかに?最近は<超>激安の仕入れ先が新たにお店に出入りをもくろんでいるらしい・・・。歴史の長い激安仕入れ先も原料と人件費の国際競争下には先が危ういか?品質が同じなら良いが<味見は適当で先ず納入>??????
written by kamapapa / 2008.07.26 07:53
kamapapaせんせい、ありがとうございます。
 貴重な資源(でもないか?)の医師をわんさか呼び集めて、星の数ほど審議会みたいのがあります。
 交通費やら宿泊費に出務費?、さらに当日の山ほどの上の資料..。
 ムダ・ゼロから言えば、いまや、審議会の90%はネット上でやればいいんじゃないの?
 そして、山ほどの報告書が各省の関連会社(天下り先)のお仕事として印刷されるのも、ムダ。電子保存でいいじゃな〜い?

 そのカネを医療機関に回してちょうだい。 
 それを10年早く始めてくれてりゃちっとは救急崩壊もマシだった?
written by Doctor Takechan / 2008.07.26 08:25
御無沙汰しています。

ER専門の医師にとって 慢性疾患の患者を何度も診療するという発想がないことは今になって始まった話ではありませんし、この検討会のメンバーの顔ぶれからみても明らかです。

どうも話のベクトルが一時総合医の話題へとシフトしたようですが、ERとやらが医療政策や病院の病棟を後方支援と称して個別の病院の病棟配置の統制の主導権の獲得に乗り出したいという志向が拭い去れないようです。
あの~病気とはERで診れない癌もあれば高血圧もあるのですよ。じゃあ産科や小児科も包括するんかい?

色々謂われますが、各臓器専門の医師から拝察すれば ERが診療が生ぬるく 診療や手術も中途半端この上ないというのが皆の印象です。初期治療が予後の成否にかかわる事に異存はなく、頑張ってらっしゃるのは否定はしませんが、単体の医療機関がすべてERと化すのはまさしく他の診療科の医療資源を枯渇させるので危険です。
救急患者が即座に治療を受けるという体制は必要であることは重々承知していますが、まあ人材難で他の診療科からERにせっかく育てたスタッフが吸収されても困るんですよ。

どんな疾患でも診れると豪語する医師は何も診れないと思います。
written by Bugsy / 2008.07.26 21:39
Bugsyせんせい、ありがとうございます。
 私が開業前に勤務していた病院にもいました。
 「わしゃ、何でも診れるんじゃ!」
 という老医師。
 権力とカネに執着するだけのアホ医者でしたが、権力のおかげで、10倍以上能力が高い(けどおとなしい)後輩医師をコキ使っていました。

しょせんはER専門医も、そのDrでないと診れないものもあれば、各専門医に任せた方がいいものもあります。個人の能力には限界があります。
要は、ヒト、カネ、モノのすべてが足らないからその一部だけでも補充すれば多少は改善するのです。

そのアイデアが、この会議には欠落しています。
というか、筋書きを作る厚労省にその能力が全くないのですからね。
written by Doctor Takechan / 2008.07.26 22:07

コメントを書く

ニックネーム*
メールアドレス*
URL
内容*
※「利用規約」をお読みのうえ、適切な投稿をお願いします。