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在宅の胃瘻(いろう)交換はタダ働き?
私が在宅医療を担当し、往診している患者さんはたかだか4人ほどだが、うち2人は胃瘻(いろう:PEG)のある患者さん。
2人とも、そろそろ交換時期となり、それぞれご家族と相談した。
「胃瘻交換の時期ですが、どうされますか? 私がやってよければやらせてもらいます。もし、病院での交換をご希望でしたら、近くの病院へお願いしますが...。」
その結果、ひとりは私が、そして、もうひとりは病院で、となった。
一般に、病院で交換する場合、今は日帰りで交換することが多いだろうと思う。
わざわざ入院するほどのことではない。
ただ、病院で交換する方が安全で安心だと思う人が多いかもしれない。
なにせ、いくら安全と言っても、感染症のリスクがないわけではないからだ。
私の経験によれば、最も重要なのは、嘔吐と誤嚥を予防することだ。
さて、まずは胃瘻交換に使うチューブの説明から。
胃瘻のチューブには、腹から胃内に入れたチューブが抜けないようにストッパーがついている。精製水などを入れてバルンを膨らませるタイプと先端に傘のようなストッパーがついているタイプがある。
バルンタイプは毎月交換とか、交換頻度が多く好きではない。ただし、バルンをへこませたらすっと抜けるし、入れたあとで膨らませるので、抜いて入れる手技はかなり容易である。ところが、このタイプはバルン部とその先の長さがあり、入れたあと、胃の後壁に当たる感じがイヤなのだ。
いずれにせよ、このタイプは、一時的なものと私は考えている。
もうひとつの傘タイプ(私はこちらを使う。ポンスキーNBRチューブとか、それに似たTopの製品とか)。抜くのも入れるのも力がいる。
抜く時は、傘のように広がった部分も狭い瘻孔から力任せにポン!、と抜く必要があり、入れる時は、傘の部分を太い針金のような専用の棒を使って傘を縦長に変形させて、狭い瘻孔をぐいっと通過させる。多少の出血はある。いささか乱暴にも見えるが、このタイプの方が圧倒的に抜けにくいし、傘の部分の厚さは1cm足らず。後壁への圧迫も少ないだろう。しかも、半年交換しなくてよいから、結局は患者のためだと思っている。
さて、在宅で胃瘻交換を行った例について方法を説明しよう。
朝から絶食。昼から点滴(ルート確保)。抗生剤投与。
それから交換(ポンスキーNBR)。チューブをくるくるまわして抵抗がなければ、傘の部分が胃の壁に引っかかっている、などということはあり得ない。念のため、ちゃんと入っているか、生食をチューブから注入し、それを抜いて、確認。
夜まで点滴を続ける。夕食は半量。
翌朝からは通常通りの注入食。
今回は、これで発熱なく、順調に経過した。
ところが、さて、電子カルテにこの手技を打ち込もうとすると、どんなに私が熟練していようと、どんなに真剣に注意を払って施行しようと、ほとんど収入にはならないことがわかる。要するにタダ働きなのだ。
ポンスキーNBRチューブ(交換用セット)は保険事業協同組合で購入すると2万3千円ちかく。安いTopの製品も2万円近くする。これに対し、保険で認められる材料費は2万円ジャスト。つまり、チューブで得られる収入はない。(逆にポンスキーだと3000円近く赤字だよ...)
では、交換の手技料はどうか? 200点(2000円)という手技料があるにはあるが、その説明がひどい! 「画像診断で確認した場合に請求できる」と注釈がある。画像診断でチューブがちゃんと入れ替えられたかどうかを調べるには胃カメラかCTくらいやらないとダメということ...。 となると、在宅ではこの点数はほとんどもらえない。だって、在宅で胃カメラやCTができるかい?...。
ポータブルの超音波装置でも持ってりゃできるということか?
(中古はともかく、ふつうは数百万円するぞ!)
というわけで、胃瘻交換に必要な物品
ガーゼ、消毒液、それを塗る綿棒、手袋、表面麻酔薬(キシロカインゼリー)、注射器、生食(ま、これは水道水でもいいけど)....
ぜ〜んぶ持ち出し、って〜か、ほとんど寄付だね。
中医協のどしろうとの大バカヤローが作った点数ってのは、この程度なんだね。
在宅在宅といいながら、ちゃんとした手技にまともな点数をつけない。
胃瘻交換せずに、ふつうに往診したのと全く点数は変わらない。
病院へ行って換えてもらいなさい、って言った方がいいのかね?
家族にとっちゃあ,かなりの負担だよね。
誰も本気で在宅なんか考えちゃいないんだよ。
医療費を減らしたいだけ。方便なんだ。
医療行為に対して、きちんとした対価を設定する。
これがなし崩し的にどんどん崩されている。
24時間対応なんてできないくせに在宅療養支援診療所の届出を出したら、往診料は跳ね上がる(だから、私は届出をしないんだけどね)。そんな誘導のための点数はバカみたいに高いのにね。
医療者のモチベーション、献身的な心、それをどんどん破壊しているのが厚労省であり、中医協のどしろうと連中だね。
医療崩壊が止まるわけがない。
<追:病院で胃瘻交換を受ける際の注意点>
胃カメラすると老人は誤嚥することがある。その対策が重要だ。交換より、胃瘻作成の時の方がさらに要注意だけど。なにせ、カメラを入れてる最中に真上を向かせなきゃいけないタイミングがあるからね。特に、CRPが上昇してたり,発熱している場合は、絶対延期すべきだね。
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コメント
コメント一覧
ということは、交換手技料が200点ということですので、病院で交換した場合も、胃瘻交換は赤字なのですか?
病院でも交換だけなら赤字だと思いますよ。そもそも、在宅なら私一人でやりますが、病院だと、さらに複数の人件費が必要なはずですけどね。
結局、術前採血、抗生剤点滴、交換後胃内視鏡、さらに腹部CTとか、別に計上しなければ、採算は合わないでしょう?
(どなたか点数詳しい方、間違ってたらご指摘下さいね...)
私はかなり慣れて来たし、交換の失敗はしてないつもりですが、それでもかつて、病院で若い医者が失敗したのを見たことがあります。
リスクのある手技をタダでやれ、というのが厚労省なんですよね。
自分は胃瘻交換は病院、もしくは診療所の画像検査が出来る施設でやるべきだと思っています。それでも自分の場合は、交換後にチューブにガストログラフィン入れて 腹単一枚とって胃もしくは十二指腸粘膜が写っていたら終了という程度なんですが、これで点数200点とっていいのでしょうか?
その方法なら、取れると思うんですけど..。
症状詳記をレセプトにつけないとダメかもしれませんね。
おっしゃる通り、リスクを考えれば、病院で、というのがいいのかもしれません。ただ、寝たきりの患者さんをわざわざ病院まで、というのはご家族には結構な負担です。家族の希望があれば、わたしは自宅で交換したいですね。
(私がコワい経験をしてないからそう思ってるのかも知れませんけど..)
先生のその姿勢はご立派と思うのですが
私の知人がPEG絡みの怖い経験をしてますから
在宅で交換なんて恐ろしくて出来ませんです
寝たきりの患者さんでも意識があれば、外出して病院に来るのを喜んでる場合もありますよ^^
自分は意識の無い患者にはPEGはしないですし
昔からイケイケで作ってきました。今もイケイケで交換しています。最近も1回目の交換時に大腸ろうになった症例あり。幸いにも最近は腹膜炎などはありません。
逆に経鼻胃管は怖くてようさわりません。
怖いもの知らずなんでしょうね。
作るリスクを負ってないのでまだ今は楽な方だと思っています。もう少し在宅での交換は進んでやってみるつもりです。
今のところは、身の危険を感じるまでは、希望があれば在宅で交換を
続けるつもりです。
これ以上、手技がもっと赤字になったら...
つらいかも、です。
患者さんは、できれば、病院でないところに外出させてあげたいですね。
元爺さま、ありがとうございます。
内視鏡は扱えない私ですが、勤務医時代、自分の担当した患者様30〜40名くらいは胃瘻をつくってもらいました。その時の経験が生きているとは思います。交換前後の管理には、私なりに気を遣っているつもりでおります。
追伸>Takechan先生の思い出の味に挑戦(?)。冷えたトマトに溶かした三温唐を少々つけて・・・アレ!?いける・・!当時のトマトの品種と砂糖の種類は不明ですが、本当にデザートになるんですね。娘に報告すると<え~~結構食べる人いるよ?>との弁。面目丸潰れ・・・・。
教訓。先入観はいけません。御祖母様に失礼しました・・。
ただいま勉強中ですのでー、、、細かなところまではわかりませーん。切り替え早すぎ???私も今年交換して頂きましたけど、病院でも絶対に!!見合わないと思います。
往診で胃廔交換をされる先生は、バルンタイプが多いように思います。やはりコスト的な理由でしょうか。バルンタイプであれば黒字になりますか?
胃瘻チューブ交換のために入院していた方のご家族から声を掛けられました。
既に会話も出来ない状態とのお話
「同じ病気のあなたに、将来を知らせてしまってごめんなさいね」
元気で動いていた私を、付き添いの家族と間違われてしまったのです。ショックでした、自分の未来の姿??
胃瘻チューブを理由に、施設からも拒否をされている記事を見て
「そこまでして”生きなければならなのか”その時がきたら、絶対拒否する」
だって、食べられないなんて辛いじゃないですか。
医療費の削減に協力よりも、そこまでして”生かされたくない”という気持が大です。(今は普通に食事をとれますが)
増すぞえ君は、多少の介護経験があっても、細かい手技はまさかできないでしょうからね。悪いけど、どしろうとには違いありません。
ま、すぐ“どしろうと”などと悪態をつくから医者が思い上がってると思われるのかもしれませんがね...。
でも、餅は餅屋です。事実は事実です、堂々と言いましょう。
で、甘いとまと、なかなかいいでしょう? 子供にも好かれると思いますよ。
私は今でも、砂糖の方が美味しいと感じます。
to-risugariちゃ〜〜ん、ありがとう♪〜
お勉強ご苦労様です。勉強すればするほど、いかに診療報酬がタダ働きを強要する歪んだものか、ご理解して頂けると思います。
なにせ、腰痛に対し、総額300万以上の機械で..マイクロであっためて牽引して、ウオーターベッドでマッサージして、30分も治療して、1割負担同月3回目なら、窓口で110円のお支払いです。
整骨院でマッサージ1回5000円と比べて、いかに医療がお安いか..
医療保険で買えるコルセットにしても、1割負担なら、初回の加算を加えても300円ちょっとで手に入れられますからね。
5000〜10000円の市販のコルセットをなぜ人は買うのでしょうね?
まあ、いずれにしても、医療費のうちかなりの部分は医者以外が取って行きます。わかってんのかね?(わかってくれてますよね?)
さて、手元に資料がないのでおおまかな話ですが、
胃瘻チューブも最近いろいろありますが、一般にバルンタイプの方がお安いですね。1万円くらいのもあります(ポンスキーNBRの約半分)。
でも、厚労省が認める材料費も安いので、差額としてもらえるのはわずかでしょう。それに、バルンタイプは原則1ヶ月で交換(まあ、2、3ヶ月使えるとは思いますが)で忙しい。
バルンタイプは出し入れするときバルンがしぼんでいるから、出し入れの抵抗が少なく、出血も少ないです。多少は押し込む感じがありますが。
自信のない先生には、手技はこちらの方が安全です。患者の胃の壁には分厚い分だけ良くないと思っています。
患者家族の負担は、交換頻度が増えるので安くはないです。
結局、胃瘻チューブ交換で大して利益は得られません。
(どなたか、もし詳しくご存知でしたら間違いを訂正してくださいね)
さて、胃瘻の件ですが、ご老人の場合、私の経験では大部分の患者さんはあまり大きな改善は得られません。ですが、ほんの数人、劇的に改善したケースがあります。食事が入らなくてやせてすっかりボケてしまった患者さんが、胃瘻を作ってしっかり栄養が入るようになってから、徐々に元気を取り戻し、少しずつ口からも食事が入るようになり、2ヶ月足らずですっかりボケが治って、全量口から食べられるようになり、ついには胃瘻を抜いて自宅へ帰られた、というものです。
難病などではより難しいかもしれませんが、栄養がしっかり入ることで体に力が入るようになる、しっかり会話ができるようになる、といった改善が見られることもあります。 これは患者さんによってさまざまなので、判断は難しいですが、決して初めから全否定するものでもないように感じております。(あくまで個人的感想ですが...)
在宅療養支援診療所に勤務するものです。
腕はすでに「往診焼け」してこんがりしています。
胃瘻交換ですが、最大のリスクは腹膜炎です。
瘻孔から斜めに入れてしまい、胃壁と腹壁の間に胃瘻チューブが入ることがあります。
そのまま栄養を注入してしまうと、腹膜炎となり生命に危険が及びます。
チューブがきちんと胃泡内にあることを確認せずに腹膜炎を生じると、第三次試案でいう「重大な過失」に相当しますので「悪質な医療行為」を行ったことになり、もれなく敗訴となります。
画像による確認は先生もご指摘のように在宅では困難です。
替わって頻用されているのが「スカイブルー法」ですが、最近では「抹茶法」があります。
交換前に200~300mlの抹茶(粉末を水で溶いたもの)を注入、胃瘻を抜去して新しいものを入れ、チューブから抹茶が出てくれば胃泡内にチューブがあることの証明になります。
もちろん、料金はいただけませんが・・・
御指摘の件、まさに注意が必要ですね。
一応、私の理解する範囲でひとこと。。。
まず、腹壁と胃壁は胃瘻を作る際、ポンスキーのセットなら2カ所糸で結んで癒着させています(胃瘻作成の1W後に抜糸)。
したがって、交換の際、よほど乱暴に押し込むか押し込む方向を誤らない限りは胃壁と腹壁の間に入れることはありません。
(何らかの原因で、癒着が不十分だとコワいかもです...経験ありませんが...)
もし、バンパー(傘)の部分が完全に胃内に入らず一部腹壁か胃壁に引っかかると、腹壁膿瘍を作る恐れがあります(研修医が作ったのを見たことがあります)。
これも、引っかかったらチューブを回転させた時の抵抗で容易に分かるはずなんですけどね。
あ、それと抹茶法..ですか..いちおう覚えておきます..。
(なるべくなら、万が一腹膜炎ってことがあっても感染がひどくならない液体を考えたいですが...。胃に優しくて色がついてて無菌っつ〜てもなぁ... )
ポチッ。
私も在宅で毎月、バルーン式胃ろうカテーテルの交換をしていました。
いつも泣きたくなる思いでした。
浣腸もまったく同様ですね。
処置の点数もとれずにいつもトイレはウンコまみれ。
ナースがかわいそうです。
常連の患者の「しばらくお通じがないんですけど」という言葉を聞くたびに恐怖におののいています。
私は現在「医師連盟」脱退を企てています。
先生は「医師連盟」をどのようにお考えでしょうか。
在宅はどこまでやるか、確かに難しいですね。
何かあった時に、すぐ受け入れてくれる病院が少ない(厚労省のバカのせいで)、ってのが、問題です。幸い、今までは上手く言ってますが..。
それと、「全国医師連盟」ですが..
私の理想とする組織...、とは言い切れない部分もありますが
勤務医を中心に、開業医も巻き込んで、日医にカツを入れるために、ある程度の賛同者を集めることが大切ですね。
医療がトンデモない方向に進もうとしている今、たとえ圧力団体と言われてもいい、正論をかかげて国民医療を守る戦いをすべきだと思います。
医師の勤務状況改善などに力を入れすぎると、ちょっと違うかな?、とも感じるところもありますが...
今は、脱退は考えていません。
なにせ、医療をやりながらの集団ですから...、歯がゆく感じる先生方も多いのではないかと思います。
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