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ブログ769htm.



厚労省データから開業医収入を読む



厚労省が報道機関に出してくるデータは実にあやしい。

つねに、目的があって、その目的に見合うデータを引っ張り出し、あたかもそれが全体像

であるかのような印象を与える。

 その典型例の一つが
開業医の収入ではないだろうか。



医療機関の経営状態は、実は厚労省は詳しく調べている。実情もよく分かっている。

だが、それを正直に出したのでは、医療費削減を達成しにくい。

そこに、厚労省の“意図”をもったデータのみが出てくるからくりがある。



 同じことは、今やマスコミ上げて騒いでいる道路建設における需要予測なるデータにも

言えることだろう。この場合には、実際には1日1万台がせいぜいと思われる道路でも、

国土交通省の手にかかれば、2万台でも3万台でも、需要予測は自由に底上げが可能だ。

政治が(つまり地元の有力議員が)必要だから絶対作る!、と言えば、作れるようにデー

タをねつ造する、それが日常茶飯事になっていることは、最近のテレビ報道を見ても明ら

かだ(実際にデータねつ造をしたお方が、さまざまな暴露発言をなさっておられる)。



では、開業医の収入についてはどうか?

昨年、厚労省はご丁寧にも、法人化した医院の院長給与なるものを引き出し、開業医の年

収は2500万くらいあり、自治体病院、国公立医師1200〜1400万、私立病院医師1600

万に比べて、著しく多い、というイメージを定着させるのに成功した。

法人化した医院というのは、はっきり言ってある程度以上の患者数があり、十分経営的に

成功している医院が多い。つまり、上モノだけを集めてまるで開業医全部がそうであるか

のような情報操作をしているということだ。



もっとも、開業医の年齢、経験からすれば、一般職医師よりは院長職に近くても良さそう

なものだ。厚労省データからすれば、民間医療法人院長が3100万円、国公立病院などは

1700〜2100万円だそうだが...。これも、雇われ院長で安い給与で働いている医師

もおり、どこから引っ張ってきたデータか、怪しいものだ。



ま、あやしい厚労省データから開業医収入を推測してどうなのか?、とも思えるが、そこ

は我慢して、データを調べてみよう。



まず私が着目したのは、1日の外来患者数だ。これで、ある程度の推測ができるのではな

いか?



そして、対象は、あくまでも、開業医の中で一番多い、法人化していない個人の無床診療

所のデータである。

  <1日あたり外来患者数:550施設>

患者数
 〜19 20〜39 40〜59 60〜79 80〜99 100〜149 150〜

施設数 145 166 105   71   28   30   5

施設% 26%  30%  19%   13%   5%   6%  1% 



これを見てわかること...

個人開業医(無床)の半数以上
56%は1日当たりの患者数が39名以下。

おそらく平均すると1日30人たらずくらいか・・・



この層の開業医は、ふつうの診療をすると、せいぜい月200〜300万円程度の報酬。

もし、人件費が月50万、借金返済が50万、薬剤など消耗品50万とすれば、収入は月50

万にしかならない。



むろん、自宅かテナントか、従業員が家族か雇用か、パートか常勤か、そして借金の額、

検査機器のリース代が必要かどうか、院内処方か院外処方か、とか、いろいろ条件によっ

て千差万別。でも、1日当たり20人ちょっとなら、どうみても月100万を越える医院は

少ないだろう。30人越えたら月100万越えるかな?



というわけで、開業医のうち、患者数の少ない群(全体の56%)だけをとってみれば、

おそらくこの群の実質平均年収はせいぜい1000万ちょっと。



では,続く中流層?1日当たり患者数40〜79人(全体の32%だから個人開業医の1/3く

らいだね)。

このレベルになると収入はグンと増えてくるが,人件費などは増えてきます。常勤従事者

が6人以上という診療所が半数を越えるからね。

で、かなり実質年収もばらついてくるだろうが、2000万から4000万くらいあるのだろ

うか。(ご意見があればどうぞ・・・)



そして、患者数80人以上を高額所得候補者、ということにすると、全体の11%くらいか

な。このレベルでは、年収5000万も夢ではないが...

でも、開業医10人にひとり、ってとこだね。

最近、開業医にも貧困層が増えている...

う〜む、私も頑張んなきゃな。

どうです? 厚労省のデータよりはよほど真実に痴漢じゃ・・・あ。あ。近いんじゃなか

ろうか?



(なお、今回のエントリーは、shushu先生(医療審査の独り言)の最新エントリー

本当にこんなに給与でてるの?

を拝見して思い立ったものです。shushu先生,最近すんごく張り切ってらっしゃる!)




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コメント一覧

御説、拝見しましたが、見事な解析ですね。

私はマイナーのツブクリ開業ですが、一日平均30人以下で詳細は先生の解説とほぼ同じです。
ただ、院外処方ですので収入はさらに低いですが、人件費以外の支出も少なくなっています。

200万程度の月報酬、月の人件費50万までは同じですが、自宅敷地の開業ですので、以下の経費はかなり少なくなっています。これに「租税特別措置法の社会保険診療報酬の所得計算の特例」を使うと年収は700~800万程度となり、勤務医時代とほぼ同じになります。まあ、一日30人なんて、勤務医時代に比べるとはるかに楽なのですが、土曜日の開院や学会に出席しにくくなったのは痛いですね。
written by トリビューン / 2008.05.09 10:30
トリビューン先生、ありがとうございます。
具体例を挙げて頂き恐縮です。

正直なところ、私もまだまだ貧困層? というか、地を這いながら上昇の兆しを心待ちにしている状況です。

厚労省の集めたデータの元さえ正しければ、ある程度現実に近い解析はできるはずです。少なくとも、いきなり平均値を出してイメージを作り上げる、というような暴挙はできないはずです。

なお、このデータから推測すれば、これ以上開業医の医療費を削減すると、およそ開業医の半数は生活が厳しくなる可能性があり、地域医療崩壊がさらに進行するのではと憂慮致します。
written by Doctor Takechan / 2008.05.09 13:44
開業医も勤務医も低医療費政策の下で苦しんでいることはほとんどとりあげず、ごく一部の高額所得者の日常生活をある種の意図をもって報道する方たち・・・。勿論出演する先生方のお考えも理解しかねますが・・・。

 先生の記事は私の知る開業された先生の大方の声と一致します。



written by kamapapa / 2008.05.09 19:57
Kr省の数字より確かでしょうね。

大体、儲けている医師はいるけど、偏ってます。

この前、歯医者の年収いくら?というテレビ番組。
年収600万とか8000万とか、、、だけどね、いろいろな前提があるからね、、、ビル歯医者とか、住宅は社宅扱いとか、、、技工士は何人?衛生士は?

初期投資とかにもよるし、一概に年収だけでは比べられないですよね。年収1億円ならどうでもよいのでしょうが、、、、
written by とまと / 2008.05.09 21:34
とまとさま、まさにおっしゃるとおり!
 患者数や診療報酬はもちろん大切ですが、テナント料、人件費、借金返済など、月々の経費は実に様々です。

 相当患者さんが多くて羽振りが良さそうに見えても、多額の人件費と借金返済に窮々として、いつも青白い顔をして疲れきっている先生もいます。

安易に開業医が儲けすぎているなどと言ってほしくないものです。
同時に、開業医の苦労と勤務医の苦労と、どっちが上、みたいな議論はやめてほしいですね。開業して初めて分かる苦悩というものも確かにあるからです。
written by Doctor Takechan / 2008.05.09 23:21

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