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腹部大動脈瘤破裂のその後
先日、拙ブログで、開業医も多少は救急医療に貢献している(つもり)ってこと
を言いたくて、腹部大動脈瘤破裂の1例をご紹介した。
今回は、その後の経過について、ご報告したい。むろん、今日書くことは、病院で
行われたことであり、残念ながら開業医の及ぶところではない。
まずは、前の記事『先日の開業医救急活動』のURLを。
http://blog.m3.com/
DrTakechan/20080329/1
興味のある人は、どうぞ読んで下さいね。
《 要旨 》
ある日の夕方5時頃、夜診の最中に近所の人が『うちの亭主やけど、
朝、トイレへ行って(排便)から、急に足がしびれる、下腹部と腰が痛い、歩けへん
言うて、トイレにも這って行ってますねん。診てもらわれへんやろか?』
と往診の依頼をされた。
午後6時半頃患者さんが途切れた。近くだったので走って行ってみると...
患者さんは居間に苦しそうに横たわっていましたが、顔色が悪く、血の気がない...。血圧は100前後だが微弱。 腹部は・・圧迫してもあまり痛そうではない..
筋性防御なさそう、Blumbergもなさそう...、。
足は動くのは動くがとにかくだるくて力が入らない。腰の辺りが痛い..
表情は..精気がない..質問にはほぼまともに答えているが..
あえぐような呼吸、目の焦点が定まっていないような...
ーーーーーーーーーーーーー
で、重度の貧血らしい、どこかで出血が・・・ま、まさか腹部大動脈瘤破裂?
とか、いろいろ考えつつも救急車で救急病院へ行ってもらったら、
ほんとに腹部大動脈瘤破裂だったという・・・。お〜こわ!
****************
さて、重症ということで、一命は取り留めたものの、すぐには面会できないだろう
なと思い、ちょっと日を置いて病院へ行ってみた。
まだICUの病棟に入院しておられた。いろいろコードやらチューブがついた状態
だが、わたしの顔を見て、しんどそうだが挨拶をしてくれた。ああ、よかった。
そして、主治医が忙しい中、説明をしてくれたのだが,ちょっとばかり驚いた。
以下,病状経過の要旨
●救急車で到着してからCTなど検査しているうちに出血性ショックになり、
心肺停止となった。腹部大動脈瘤破裂は診断できたので、心臓もみながら手術室へ。
約30分で、心拍は再開し、腹部大動脈瘤の部分は人工血管に置き換えた。
でも、腸管虚血がおこり、腸管がふくれあがり、腹を閉じられなかった。
仕方なく、開腹のままガーゼで保護して戻った
。さらに、下肢も虚血になり、ミオグロビンにより腎不全になった。
透析をして、腎不全の治療をし、腸管虚血の治療と感染症治療をやった。
奇跡的にここまで回復した。
最近、ようやく尿も出るようになったが、まだ腎不全が治ったとは言えない。
腸管も虚血状態が十分には改善せず、もうしばらく全身状態の回復を待って
、腸管の一部を切除する手術をしなければならない。
・・・・・・そうですか...あれがギリギリだったんだね。よく助かったもんだ。
て〜か、ウチの患者が途切れなかったら、きっと、奥さんず〜っと待ってたんだ
ろうな
(ウチの患者さんがまだ少ないから助かったのね・・・(涙)
あ、助かってよかった!っていう涙ですよ・・・(汗) )
でも、まだ先が長いね。また会いに行くから、何とか生き延びてほしいな。
でも、こういう患者さんがいるのに、平均在院日数ってどうなるのだろう?
私は思うんだけど、平均在院日数の基準をもっと緩めた方がいいんじゃないの?
それだけでもかなり現場は楽になるよ。
(当然、診療報酬も同時に上げなきゃダメだよ)
患者さんだって、ちょっとは落ち着いて治療受けられる。
その方が、患者と医師との信頼関係も良くなると思うよ。
京都の救急はまだ何とかやってるね。でも、第一日赤とか第二日赤とか、大きい
救急病院の先生が言うには、救急件数が年々増えている。
受け入れ不可の時間帯はどうしても出てくる。部屋がない時もある。
どうやっても、『いつでもオッケ〜』にはほど遠いって。
全国的にみて京都市内は医師数はトップクラス。その救急がかなりの悲鳴を上げて
いることを、全国の皆さん、真剣に考えなくちゃダメだよ。
京都の救急が壊れたときは、全国的に壊れてるって思った方がいいよ。
事態は進行しています。今の自民党や厚労省がわけもわからずおバカな対策を出して
くるけど、彼らには無理です。ますますひどくなるだけでさ。
復旧に恐ろしい年月がかかるよ。
これじゃ、救急車の中でご臨終、ってのが増えてきますね。
救急車が全部出動したから赤い消防車が出て行くのが東京で...。
そのうち、地方じゃ霊柩車が出動したりして....
(あ、言ってる自分がコワくなりました...)
こんな冗談が冗談でなくなるわが国は、ホントに不幸です...。
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コメント
コメント一覧
また、某医科大学の心外の教授に聞いた話ですが、診断がついたのに手術を拒否したあげく、「こんなものがやぶれるわけがない」といいながら家族の前で腹部を叩いて。それが原因で破裂して緊急手術になった開業医!!もいたそうです。
また、いろいろと御指摘ありがとうございました。
腹部大動脈瘤については、触診では気をつけているつもりでも、それだけでは見逃す例も多いのではないかと思います。
御指摘を肝に命じて診察したいですね。
ところで、勇気ある?開業医さんもいるんですね...。
あ、そういえば、もう一例、腹部大動脈瘤破裂(多分..)を経験したんだっけ。これも10年以上前の話ですが..、同僚の先生がエコーで、これは見たことない所見だ、腸管破裂か? と悩んでいました。 その症例は私がよく知っているおじいちゃんで、私は入院を知らされて遅れて病院に駆けつけたんですが。(腹部大動脈瘤をお持ちでした)
本人は腹が痛いとうめいていました。当時、私のいた病院は外科が無く、近くの大病院への転送を考えたのですが、家人が拒否され、結局翌日に亡くなられてしまいました。私が主治医だったか同僚だったか、覚えていませんが、外科へ送れずショックだったことを覚えています。あれは多分腹部大動脈瘤破裂だったと思っています。
まあ、動脈瘤はいわゆる地雷疾患の一つかもしれません。みなさん、お互いに気をつけましょう。
私もクリニックにエコーを置いてますが、自分の診断能力にまだ不安があることと、診察に数中できないことで、もっぱら技師さんが来てくれる日に予約を入れることにしています。
もうちょっと勉強したら自分でも、と思ってはいるんですがね。
(保険医協会などでよく実技レッスンやってますしね..有料ですが)
むやみに検査代を請求するわけにも行きませんが、自分でやることをこれから考えて行きたいと思っています。
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