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ブログ739htm.



患者さんの同人誌への投稿



京都に「ひこばえ」という脳卒中の患者さんとご家族の団体がある。

 この団体は、年に2回、『ひkばえ』という名の機関誌を作っておられる。

 ひょんなことから、かつてその団体の患者さんの主治医となり、患者さんの勧め

に応じて投稿したのがもう10年近く前になるのかな?

 そして、最近5、6年以上、毎回投稿することになってしまっている。

 今回、『医療崩壊とブログ』なんて題名で、投稿することにした。

 で、その一部をご紹介したい。



    ==============

  <前略>

 では、今回の本題ですが...、困ったことに、またしても医療崩壊について

書いた方がよさそうな状況です。それどころか、後期高齢者医療制度でおわかり

のように、私たち国民すべてにとって、社会保障はどうあるべきか? 

そんなことを真剣に議論しなければならない状況になってしまいました。

事態はどんどん悪化している、そう実感しておられる会員の皆様も多いかもしれ

ませんね。

 では、復習(?)です。

●産科崩壊はいかに生じたか?

 象徴的な事件がふたつ。

1)ひとつは看護師の内診問題。お産間近な妊婦さんの産道が開いているかどう

か、内診をするのは医師か助産婦さんに限られていました。しかし、現実には特

に個人病院など、24時間いつでも助産婦が勤務できるわけでなく(採算からも人

手からも)、熟練した看護師がチェックする産院が多かったのです。ところが、

ある病院で看護師が内診をした、とマスコミが騒ぎ、厚労省が禁止の通達を出した。

 すると、助産婦を確保できない病院の多くは、訴えられると困るので(急に探し

てもみつかりませんし)、お産の取り扱いをやめたのです。その後、厚労省が看

護師の内診もやむをえないと通達を出しましたが、曖昧な表現だったため、誰も

信じず、お産をやめる産院がどんどん増えました。

2)福島県大野病院事件。特殊な前置胎盤の患者さんの手術で大出血が起こり、

患者さんが死亡したため、家族が医師を訴えた事件。若い有能な医師が、考えら

れる限りの精いっぱいの治療をしたにもかかわらず逮捕され手錠をかけられたこ

とから、全国の医師が一斉に反発しました。常に生命と向き合う医療。その医療

行為をどんなに一生懸命やっても結果が悪ければ訴えられる。これは現場の医師

にとって到底納得できないことであり、この事件から産科医のみならず外科医、

脳外科医などが多数辞めていきました。そして、訴訟リスクを嫌って、外科系を

めざす医師自体が激減しました。

●医療崩壊の原因

 これは、言うまでもなく、医療費抑制、医師数削減の政策を20年以上も政府が

続けているからです。1980年代の閣議決定は今も生き続けています。閣議決定を

変更しない限り、本格的な改善はあり得ないのです。

 そして、この状況に拍車をかけたのは、小泉政権下で行われた社会保障費削減

でしょう。5年で1.6兆円。1年あたり2200億円という途方もない削減です。

 厚労省はこの削減を実現するために、医療も介護も福祉もできる限り削る。

この方針は、安倍政権でも福田政権でも続いています。医療崩壊が叫ばれ、これ

以上減らすな、という世間の強い声の中、厚労省が苦し紛れにあみ出した医療費

削減法。

 そのひとつが、今回の改訂であり、後期高齢者医療制度であります。副田総理は

これを「いい制度だ」とおっしゃったそうですが、とんでもないことですね。

国民総出で署名活動をすべき最低最悪の差別制度だと申しておきましょう。

 また、リハビリへの制限も、また厳しくなりました。つまり、患者のためでは

なく、単に予算に合わせるだけの施策なのです。

 そして、病院が疲弊し、医師を雇う余裕も無く、どんどん忙しさを増す病院か

ら、燃え尽きた医師が逃げてゆく、こんな悲しい事例が全国に広がったのです。

残念ながら先進国の中では最低の医師数になった我が国では、今後、ますます

状況が悪化するであろうと予測されます。根本的に政策が変わらない限り、

良くなる見込みはないでしょう。

 おまけに、研修医制度が変わって、研修医の労働力がほとんど期待できなく

なったことも現場には極めて大きな影響を与えました。

     −−−−−−−−−−−−−−−

 このような時代を反映してか、ブログの世界でも医師が医療制度や社会保障に

ついて発言するスタイルが非常に増えています。みなさんは、日本医師会は自民

党のお友達だから、医師はみんな保守的だろう,とお考えではありませんか?

 ですが、私も含め、ブログに意見を載せる医師は、ほとんどが現在の医療制度

には強い不満を持ち、政府や厚労省に対してもかなり批判的です。決して特定の

政党や政治団体に所属していない医師達ですが、みなさん、はっきりと自分の意

見を述べています。かつては、どんなにひどい労働環境であろうと、仕方ないと

あきらめている医師が多かったのですが、やはり時代が変わったのでしょうか。



 そして、遅きに失した感はありますが、ここにきてようやく政治にも動きが出

てきました。超党派で医療を見直そうという医療議連なる集団が生まれました。

自民党の尾辻元厚労大臣や民主党の鈴木寛さんなどが中心です。

尾辻さんは、自民党にしては?良識的な感じがしますし、鈴木寛さんはまだ40台

ですが、非常に熱心で優秀で医療についても非常に健全な見識をお持ちと思えます。

この医療議連には147名の国会議員が名を連ねており、中には???の議員さんも

いますが、今後の活動に注目しています。

 実は、4月12日、この医療議連の主催するシンポジウム(公聴会?)が東京の

日比谷公会堂で開催され、1000名以上の参加者で盛り上がったそうです。

 私は公聴会には出席できませんでしたが、内科学会総会のためにちょうど東京

へ行きました。そして、医療改革に情熱を燃やし、ブログを通じて交流のある

先生達の懇親会にお邪魔しました。

医療系ブログ界では有名な先生達が20名ほど集まっていまして、NHKなど報道

関係者も5、6名参加しておられました。大部分の先生は公聴会に参加し、

議員さんとも多少の交流を持ったようです。残念ながら、

私の参加した懇親会には議員さんは来ておられませんでしたが、NHKテレビの

ニュースウオッチ9の制作現場の方など報道関係者とお話をすることもできて,

大変有意義な時間を過ごしました。



 ここで、ひこばえのみなさんにお伝えしたいことがあります。

 こんなひどい世の中です。老人に「早く死ね」と言わんばかりの高齢者医療

制度も始まってしまいました。老人は結構金を持っているんだから、もっと取

りゃあいいんだ,と財務省幹部は言い放っています。

実際に、小泉政権から急激にみなさんが支払う公的負担がどんどん増えていま

す。医療もどんどんカネがかかるようになりました。



 ですが、ですがね、この危機的状況を何とか変えようという動きは確実に

広がっています。私が東京の懇親会で出会った若い医師達は、ブログを通じて

医療現場の悲惨な状況を刻々と発信しています。そして彼らは、積極的に法律家

や報道関係者と意見を交わし、国会議員にも堂々とメールを送り、医療を良くし

てくれと訴え続けています。

医療議連も、単に票欲しさではなく,本気で医療政策を変えようと動き始めてい

ます。きっとこの動きは急速に大きくなるものと信じています。

 4月14日に福田総理が、
小児科や産科などの医師不足や救急医療の問題を解消

するビジョンを、来月中にもまとめる
、と言い出したのは、上記の公聴会もきっ

と影響していると思います(ただし、今報道されている範囲では、これはまだ

まだ期待できませんが)。

 いっぽう、私は大変微力で自分のクリニックの運営で必死になっているところ

ですが,それでもブログを通じて、私の経験を生かし、国民が安心して医療を受

けられる環境を求め、これからも情報発信を続けてゆく覚悟をしたところです。

 私たちは患者さんの治療に全力を注がなければなりません。しかし、同時に、

医療現場で起こっているさまざまな矛盾は、現場を経験した者が伝えなければ

誰もわからないのです。私は自分の経験を介して現在の医療の問題をできるだけ

みなさんに御理解頂ける形でお伝えし、新しい世代の医師達が持てる力を精一杯

発揮できるよう努力したいと思っております。

 はじめはただパソコンに書いた日記に過ぎなかったブログ...。

しかし、インターネットのおかげでその日記は全国を駆け巡ります。

そして出会ったことのない人から、いつしか多数のご意見を頂戴し、私もまた、

全国の医師にいろいろなコメントを差し上げる。そして画面上だけのお付き合い

だった全国の先生と、先日の懇親会で出会うことで、同士を得たような豊かな

気持ちになれる...。

 2年間、一生懸命書いた私の記事も、この全国的な動きにわずかでも貢献でき

たとしたら、これはこれで、わたしの世界が広がると同時にいつか我が国の医療

改革につながっていくのだと実感しているところです。



 ちなみに、東京へ行って一晩泊めて頂いたのは、これまたブログを通じて知り

合った近い世代の商社系会社員のお宅でした(ブログでのお名前は、とまとさん、

です)。ほとんどブログだけのお付き合い。その、とまとさんと、東京で初めて

お会いし、そして、

厚かましくもご自宅について行って泊めて頂くとは...。

 私自身、こんなことが起こるとは予想もしなかったことでしたが...。

 でも、ブログでの意見交換と同じようにとまとさんのご自宅でも深夜まで寝そ

べりながら、あれこれ議論を交わし、何というか、新しい世界をひとつ発見した

ような気分になってしまいました。いやはや、人生、不思議なものです。



 もし、よろしかったら、みなさんも、医師のブログをのぞいてみて下さい。

   <後略>

   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



まあ、ホント日記に毛の生えたようなものですが、絶望的な高齢者環境の中で、

何とか患者さん達に生きる希望を持って頂きたいと願っているのです。



東京でお会いした、幹事の SkyTeam先生はじめ、Atsullow's cafe先生、なな先生、

あかがま先生、よっしぃ先生 など、(名前を出さなかった先生ごめんなさい)

多士済々の若い先生達、ありがとうございました。ゆっくりお話しできなかったけど、

お会いするだけで気持ちがinspireされました。私もまだまだがんばらにゃあいかんと、

気持ちを新たにしました。

Atsu先制はブログ中断されちゃったけど、お元気そうで安心しました。しばらくは

先生の信念に従ってご自分のお仕事に邁進されるでしょう。

そして、先生のことだから、きっとまた、ひとこと言わニャア気が済まん!

と思われる時が来るでしょう。それまで待ってますよ。

(また、東京で職場まで表敬訪問するかもしれませんが...)

NHKの番組作成の方ともお話ができてとても新鮮でした(呼んでくれてるかな?)。



そして、とまとさん、幾多の苦難を乗り越え中の大変な時期に厚かましくお邪魔して

すみませんでした。でも、きっとまた行きますよ。味しめちゃったからね♪〜



なかなかブログ、やめられまへんな。みんな,頑張れ!

若い力で医療をよくしよう! きっと夜明けは来るぞ!

またお会いしましょう!




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