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国立病院医師不足の理由



 医師不足、医療費不足、そして医療崩壊がどんどん進行する中、本来なら

最も人材が集まってもおかしくないはずの国立病院でさえ、医師定員の4%

ほどが欠員、つまり不足しているという。国立病院の医師が不足している理

由を解説したい。

  まずは、この問題を取り上げた記事から。


   =================

国立病院の医師「200人欠員」

 2008/03/21 19:31     キャリアブレイン



 医師・看護師不足を原因にした診療科や病院の縮小・閉鎖が全国で相次ぐ

など地域医療の崩壊が懸念される中、国立病院も深刻な医師不足に直面して

いる。独立行政法人国立病院機構による2007年度の医師配置定数は

5,170人だが、実際の医師数は200人の欠員状態という。なかには、今年3

月末で院長と副院長を除く内科医6人が退職する国立病院もあり、医師確保

が喫緊の課題となっている。



 国立病院は全国に146あり、癌(がん)・脳卒中・心疾患などの高度医

療を実施するとともに、重症心身障碍(がい)や筋ジストロフィー・神経

難病、結核、災害医療、へき地医療など民間では困難な分野を担い、地域

医療に重要な役割を果たしている。



 しかし、本年度(07年度)の医師の配置定数5,170人に対し、3月21日

時点の配置数は約200人の欠員という医師不足の状態になっている。過酷

な労働実態などから現場を去る勤務医が各地で相次ぐ中、医師の確保は困

難な状況に陥り、国立病院で医師が不足する状況は年を追って強まる傾向

になっている。



 具体的な事例をみると、滋賀病院の内科では今年3月末で医師6人が退職

し、残るのは院長と副院長だけになる。この影響で同病院では4月から内科

の入院を中止するとともに、二次救急とエイズ拠点病院を返上する事態に

追い込まれている。現場からは「病院から患者への説明がきちんとなされ

ておらず、転院先が決まっていない患者もいる」「『患者の目線に立った

医療』とは正反対ではないか」などの声が上がっている。地域住民も不安

を抱え、1か月で3,000人分の病院の存続・充実を求める署名が集まった。

 このような状況は他の地域でも見られ、全国各地の多くの国立病院で医

師不足が深刻さを強めているという。



 国立病院の医師確保について、国立病院機構の職員でつくる全日本国立

医療労働組合(全医労)は「各病院の院長任せにするのではなく、機構と

してのネットワークを生かして、医師定数を満たしている都市部の基幹病

院から、不足している地方の病院に医師を一定期間、派遣するなどの対策

を打つべき」と、機構本部に要求。併せて「国立病院は国民医療の充実に

役立てることが必要。国が国民の医療に責任を持ち、いつでも・どこでも

・だれでも安心して医療を受けられる体制をつくることが欠かせない」と

指摘している。



 国立病院をめぐっては、政府は国立病院機構を09年度から非公務員化

することを計画。07年末には国立病院の新たな縮小再編につながる独立

行政法人「整理合理化計画」を閣議決定している。

     ================

では、思いつくまま国立病院崩壊の理由を列挙してみよう

1)給与が安い。

 比較論だが、国立公立の医師の給与は一般に安い。官民格差というが、

医師の世界では、まるで逆なのだ。民間病院の医師の方がたくさんもら

っている(ことが多い)。

 まして、大学病院では、教育職であるため、大学外の国立病院の医師

(医療職)よりさらに安い。有名教授でさえ税込み年収1000万をやっと

越えるか、という程度。教授に頭を下げている大手製薬メーカーの管理職

の方が実は給与が上、ということが多くなった。

 ただし、大学病院の医師はいわゆるバイト(パートタイム派遣:外来や

検査や日直当直などいろいろ)がある(大学からバイト医を派遣してもら

わねば立ち行かなくなる中小病院は非常に多い)。

 いっぽう大学外の国立病院(公立病院も)は、医療職であり、医療職の

バイトは禁止されているため、結局、外の病院の方が収入が少ないという

ことも多い。

 なお、独立行政法人化することで、低い給与に拍車がかかったことは間

違いない。公務員で亡くなることの身分的不安を感じている医師も多い。

このM3comの有名ブロガーの中にも、独立行政法人化の悲哀を噛み締め

ながら過重労働に励んでいる医師は少なくないはずだ。

2)設備の老朽化

 厚労省は、必要充分なカネをかけない。一般に、官公庁は医療に対する

理解が乏しく、診療報酬削減のため赤字になっているのに、まるで医師の

働きが悪いから赤字になる、と言わんばかりに圧力をかけてくる。

だから、新しい機器が欲しければ、人を減らせ、と言ってくる。それが病

院の収入減につながることは意に介さず、議会が承認するための予算の数

字合わせだけする。厚労省も地方役人も一緒。

3)高い訴訟のリスク

 患者は、国立という名前に期待する。その分、治療が期待通りでないと

納得しない。訴訟のリスクは、実は国公立の方が高いのだ。どんなに人手

不足で満足な検査設備が与えられていなくても、だ。

4)拠点病院の押しつけ

 国立だからSARDSや新型インフルエンザなどの脅威が現実のものとなっ

たら、受け入れなければならない。どんなに人手不足でもそのようなパン

デミックや大規模災害の拠点病院というアリガタイ肩書きを無理矢理押し

付けられる。どんなに設備が貧弱でも、だ。

で、厚労省は押し付けたら『あとはよろしく。予算はあげないよ!』だか

らね。

5)救急の押しつけ

 国立ともあろうものが!、そんな有形無形のプレッシャーが襲いかかる。

国立なんだから、無理でも引き受けろ! そんな論調が平気でまかり通る

のが現在の日本だ。

6)厚労省のオモチャ、政治家のオモチャ

 国立や公立ならではの実情・・・。国立病院の事務方のトップは厚労省

から入ってくることが多い。つまり、厚労省の言いなり。内部の意見など

通らない。

 同様に、政治家も、ひいきの支援者を優先的に診るよう圧力をかけてく

る。もちろん、与党の政治家が圧倒的に多い。

 私がかつて自治体病院で経験した例は、次のようなモノ。

むかし、年単位で寝たきり患者を入院させることも可能であった時代(平

均在院日数など全く気にせず、脳卒中急性期の治療もリハビリも慢性期の

管理も何でもアリだった)。

何年か入院していた患者をそろそろ追い出そうとしたら、患者の妻が「私

にはエラい先生がついているから退院させられへん。」とうそぶいた。そ

れどころか、他の患者の家族に「私からエラい先生に頼んだら、退院せん

でもええ。」とあちこちで耳打ちしていたのだ。このクソ厚かましい態度

に私も看護部も許せない思いがこみ上げ、強行に退院を迫ったのだ。する

と、しばらくして、私は事務長から呼び出された。『ある政治家(当時、

府議会議長までやるくらいの与党実力者)から、府の上層部に退院を何と

か思いとどまってくれ、と依頼があった。その上層部から私(事務長)に、

もう少しおだやかにやれないか、と頼まれた。』ということであった。

 当時の事務長は、当然彼の将来もかかってくるから、何とか無難に納め

たいと必死であった。・・・・まあ、あまり詳しいことは今更言っても、

という思いもあるので結果だけお伝えする。結果的に、それから何度か協

議を重ね、約1年ほどかかってようやくそかるべき民間病院への転院にこ

ぎつけた、ということ。

 そして、先ほども書いたが、新型インフルエンザなどの受け入れ体制に

ついては、厚労省が責められる。全く無策だからだ。そんなとき、まず身

内の国立病院を犠牲に祭り上げる。どんなに現場が「無理だ!」と嘆いて

も、厚労省は押し付けたら責任を果たした、って顔をする。救急も同じ。

厚労省は、押し付けて自らの免罪符とする。

 ま、今と昔は違う面もある。でも、締め付け、介入、悪用、何でもアリ。

国立は利用しやすいのだ。

7)医局崩壊人事

 新研修医制度のおかげで、大学医局はかなり厳しい人手不足。だから、

天下の国立病院と言えど、送る人材がなかなか見つからない。逆に、国立

にあいそをつかしても、自分の思うようなトラバーユができない。内部の

仕事で煮詰まり、いつどこへ派遣されるかわからない境遇、いつ訴訟され

るか分からない不安、そして薄給・・・。

 ど〜せ給料少ないなら、一か八かで開業しようか、あるいは満足できる

仕事はできないかもしれないが、とにかく安全なところへ行こうか、それ

とも医療崩壊がおさまるか見届ける間、基礎研究でもしようか...若い

医者は悩み、もがき、そして逃散する...。

     ===========

 かくして、ネームバリュー、肩書き、ステイタス、将来性(運が良けれ

ば定年後、どこかいいところへ天下り?できるかも...)など、一番い

いはずの国立でさえ、人が次第にいなくなる...そんな現実ではないかな?



国立に勤務したことのないDrTakechanだが、分析は結構あたってると

思うけど..

   どうですか?

 




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筋ジストロフィーのリンク集形式のサイト情報です。の情報収集にお役立てください。 [続きを読む]
posted from 筋ジストロフィー情報館 2008.03.29 23:43

コメント

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医師の平均在勤年数は短いですが、閣下公務員だろ世間相場の退職金より多い。
発想が公務員的になってくる。

1000万円では都市部ではアパートが買えないから官舎となる。基本的に衣食住の3要素にに課題がのころ。
医師の給与は職能給だから、、、現実に8かq4缶を通れば1000万円を超える。都会の実態。

人間はお金じゃない、働きがいという側面はあるが、現実に子供に教育費がかかれば背に腹は代えられない。

1番上の理由、つまり、賃金が安すぎる。まぁ、普通のリーマンは会社の言うとおりにしか給料がもらえないのだから、、、それよりは恵まれている。だって転職して給与の高い仕事があるのだから、、、だけど、現実は開業で苦しむ構造がある。開業資金と設備投資で赤字になっている。さらに書類仕事で頭は空白。とても、まともな医療に専念できない。悪循環ですね。
written by とまと / 2008.03.23 06:40
国立病院も自治体(公社も含めて)病院もかなり御指摘の通りかと。ちなみに全社連病院も一定通じるところがあるように思います。ただし自治体立の場合は住民の働きかけで厚労省の横暴に対する防波堤の役割を部分的に果たし得る場合もあります。高知医療センターでも<県民の支え>を期待したいですね。高知新聞の記事は勉強になりました。感謝しております。
 余談ですが先生の母校でCCU整備が行われると以前耳にした事があります。確か医師定員20名?詳細は分からないのですが、京都の方々の救命に繋がる充分な体制・運営がなされる事を祈っています。
written by kamapapa / 2008.03.23 07:52
Doctor Takechan 先生
 私の弟も国立京都医療センター(旧 京都国立病院)の循環器内科をやめました。理由は、やはり安い給料でした。結婚して子供ができ、子供の塾の費用も払えない。国家公務員なので、バイトもできない。これからもどんどん、医師が減少して、研修医も減ります。ではまた。
written by DAICHAN / 2008.03.23 11:11
100円ショップで靴下を買ってきました。自宅在庫が、、、

はけないと困るので2足だけにしましたが、、、w

履いてみたらなかなか、、、、3回くらいは履けそうなので、10足くらい、、、買って来よう・・・w

体がだるいのが問題ですが、、、気力と根性です、、、、あ、、、主治医の言う気力と根性の意味がだんだんとわかってきた。

あかがま先生、頑張ってほしい、、、

負けるもんかぁ。。。
written by とまと / 2008.03.24 07:36
とまとさま。
国立病院の医師で公務員的になるのは勤務の長い医者か、天下り的管理職くらいでしょう。若い医者は、ふつうは、国公立か私立かとか仕事の時、あまり考えないもんです。ただ、事務や看護部があまりに官僚的だと、短期間に教育されてしまうことはしばしば起こります。

kamapapaさま、有り難うございます。母校京都府立の循環器系は、循環器内科は再生医療で有名な松原教授、心臓血管外科は神の手といってもいい夜久教授が引っ張ってますから、CCUは何としても発展させなければならないのです。

DAICHANせんせい、弟さんのお気持ちお察しします。うわさで聞く限り、やはり国立は安い!。あ、そうだ、社会保険病院も相当安いようです。大学並みとか....。

とまとさま、そうですよ。
 頑張り過ぎてもしんどいですが、未来を信じて一歩ずつです。
 私のところにきているうつ傾向のあるC型肝炎の患者さん(肝炎は専門医に治療してもらった)は、治療後、半年以上も発熱と全身の脱力感にさいなまれながら、何とかのりきりました。
written by Doctor Takechan / 2008.03.26 22:31
私の夫は、産婦人科医です。いつ倒れるか不安な毎日です。昨日は当直で1時間しか寝てないといい、かえって来て30分後には、学会へと行きました。もうずっとこんな調子です。血圧が高く薬だけは飲んでますが、内科を受診する暇もありません。臨床、学生指導、講義、一般人向けの講演、研究、学会、どうして医師に同時にこれだけのものが求められるのでしょうか?どうして医師が優遇されてるといわれなければならないのでしょうか?私は、専業主婦で、子供が2りいます。かろうじて私が働かなくても食べていける状態ではあります。でもこの働きで、この給料は割が合わないと思います。命を削って働いているのですから。家族も大変です。ほかの人にわかってほしくて思わず、コメントしました。すいません。
written by なな / 2011.07.10 21:38
なな さま、ありがとうございます
お返事遅くなりました。

夫が産婦人科,,,専業主婦ってことは、あの、なな先生ではないですね。
(なな先生は産婦人科医...)

ご主人は産婦人科だととにかく拘束時間が長いですよね。私の同級生も、数年前、このトシで月6回も当直しておまけに呼び出し多数、とか言ってました。
産婦人科は不足していますし、入院制限でもしてもらわない限りは時間は作れないでしょうね。あとは、院長がどこまで配慮してくれるか、でしょうか。ただし、病院により、院長にほとんど権限が無い場合がありますが...。

ともあれ、血圧管理は絶対必要ですし、お身体に気をつけて下さい。(これしか言えません、ごめんなさい)
written by Doctor Takechan / 2011.08.28 02:19

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