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< 政権交代は近い? | メイン | 「医療崩壊と救急医療」シンポ >






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「訴訟ネタ」あるある小事典



 今日、神経内科の勉強会があり、頸動脈病変の外科治療

について、脳外科の先生のお話を聞いた。小さな勉強会で

あり、ご講演後、その場で食事をしながらディスカッション

というか、雑談タイムがあったのだが....。



 その席上で、複数の神経内科の先生から、訴訟につながり

そうなネタがいろいろ飛び出した。現在進行形の事例から、

予想される事例まで、主なものをご紹介しておきたい。

なにせ、世の中、何でも訴えてやるという性ワルな空気に

満ちあふれている。残念だが、防衛することにまで気を配ら

ねばならないらしい。医師として、医師らしく仕事を全うす

るためにも、よろしかったらご一読下さい。

    ************

(1)くすり

片頭痛(血管性頭痛)の患者さん。かなり頭痛歴は長いらし

い。トリプタン製剤に次第に依存していって、某先生を訪れ

た時にはトリプタン製剤を乱用して、薬剤性頭痛を引き起こ

していたという。それを時間をかけて治療してあげたら、ト

リプタン製剤をあまり使わなくても生活できるようになった。

それでメデタシメデタシのはずだったが....。

その患者さん、前医を訴えると言い出した。

某先生は、それで非常に慌てているらしい....。



(2)tPA製剤

tPA製剤といえば、脳梗塞のとき、血栓を溶解して劇的な

効果が得られることもある素晴らしい薬。だが、脳出血と

いう副作用を起こす恐れもあるし、全く効かない時もある。

良薬は両刃の刃でもある。いずれにせよ、発症3時間以内

しか使えない(保険上)。また、診療報酬改定に合わせ、

tPA製剤を使える施設の要件が厳しくなる。24時間CT,MRIが

使える、脳外科が24時間必要、その他、かなり使える施設は

限定されてしまう。

京都では、第一、第二日赤や、京都医療センター(旧国立

京都病院)はじめ、数えるほどしかないのでは、という話。

 となると....、脳梗塞でどっかの病院へ運ばれても

「ウチではtPA製剤は使えません!」と言われることも

あるだろう。すると、「tPA製剤を使わなかったから改善

しなかった」と訴えられるかも...。

 で、「ウチでは使えないから、使える病院へ」と転送す

ると、たいていの場合、3時間を過ぎて使えなくなる。

そもそも、tPA製剤を使うためにはインフォームドコンセ

ントが必要。すると、急患の検査・治療に直接つきっきり

の医者のほかに2名くらいの人間がいないとスムーズに事

は運ばない。目一杯急いでも救急車到着までに1時間以上、

到着から治療開始までに1時間以上はかかると考えた方が

いい。

だから最初の病院で時間を使うとますます厳しくなる。

 「最初からtPA製剤の使える病院に運んでくれたら助かっ

たはず!」と、最初の病院や救急隊が訴訟のターゲットに

される可能性は十分にある。



(3)リハビリ

 厚労省はリハビリの制限に今も熱心である。ホントに必要

な人がみんな受けられると思ったら大間違い。見かけは改善

したように報道されても、実質的に、満足なリハビリを受け

られる患者はかなり限定される。そういう診療報酬体系に厚

労省がしているのだ。

 患者の都合ではない。リハビリにかける医療費が増えない

ように操作しているだけだ。

 さて、そんなご時世なのに、テレビでは、非常に重症の患

者が特殊なリハビリで奇跡的に改善した様子をこれでもかと

放映する。

 脳卒中協会のFAX相談には、放送されるとすぐに反応があ

るという。「私のリハビリはあのテレビのリハビリと違う。

あれをやってほしいとリハビリの先生にお願いしてもやって

くれない。どうすればいいか?」

 答える先生は、もう、うんざりだそうだ。標準的なリハビ

リ以外のことをやってほしきゃあ、やってくれるところへ押

し掛けて頼んでみるしかないよね?

 ふつうの病院ではありえない話なんだけど....。

 これまた訴訟の予感?



(4)アリセプト

 これまたテレビの影響。

2、3週間前のNHKの放送は、それほどヒドかったのだ。

「認知症の診断をつける医者がなかなかいなかった。もし、

2年早く診断されアリセプトの内服を早く開始していたら、

これほど悪くならなかった!」。そして、いかに医者が認

知症に理解がないか、いかに医者がひどいか、という印象

を強く与える激しい言葉を患者家族の会の副会長さんか何

かが、延々としゃべったのだ。

 この番組を見た医師は、今日の会合にも何人かいて、

口々に「あれはホントにひどい番組だった」と、怒り心頭

だった。

 そもそも、アリセプトで劇的に認知症の症状が改善する

かのようなトンでもない情報を全国放送することが犯罪レ

ベルの不祥事なのだが....。

 おかげで、アリセプトに関する問い合わせがあちこちで

増えており、対応に困る場面も多いという。テレビを信じ

る人に真実を話したら、それこそ告訴されるかもしれない

.....。



    *************

もう少し、元気の出るネタを提供したいと、常々思ってい

るのだが...

ご期待に添えず、申し訳ございません。

私は「政府・厚労省が過去の医療政策の過ちを認め、先進

国にふさわしい医療体制を目指すために政策転換を行い、

思い切った財政措置をとることを決めました。」..

こんなニュースが一日も早く飛び込んでこないかと、

首を長くして待っているのだ。

  あ、キリンさんになっちゃった!

     なんちゃって...(汗)



 <追>

ブログをかき始めて1年と10ヶ月。

ついに、あつかふぇ先生には遅れをとりましたが、



120万アクセスを越えました。

厳密には、ただいまの時点で

アクセス数
1210006

コメント数  
4097

トラックバックは
216です。



読んで下さったすべての皆様に御礼申し上げます。

なお、この記事で、総記事数は
698編となりました。



医療が良くなるその日まで!

 がんばるぞ!




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あるある情報館
あるあるのリンク集形式のサイト情報です。の情報収集にお役立てください。 [続きを読む]
posted from あるある調査隊 2008.02.29 11:21

コメント

コメント一覧

NHKの認知症を扱った特集は非常に酷いものでした

原告の主張だけを放映している欠席裁判のようにすら思えました。しかも厚生労働大臣を引き出して感情だけで金を脅し取ろうとするあたりは、ヤレヤレです

C型肝炎訴訟で、やってはいけない妥協をしてしまったため、因果関係がなくても、予測可能性がなくても、結果が悪ければ補償されるような、幻想を播き散らかしているようにさえ見えます。

住み難い世の中になってきました
written by Med_Law / 2008.02.24 23:03
Med_Lawせんせい、ありがとうございます。
確かに住みにくいですね。
 最新の医療を講演で聴きながら、5分ルールのことを考えている自分が情けなく感じます。
それにしても、0.38%医療費アップはどうみても大ウソでしょう。
きっと経営困難になる医療機関は増えるでしょう。
この国は、いくつ病院潰したら気が済むのでしょうね。
written by Doctor Takechan / 2008.02.25 01:34
 Takechan 先生、思い出話をさせてください。

 昨年脳梗塞で祖母が倒れたとき、tPA製剤を使っていただきました。もちろんインフォームドコンセントを受けて、リスク、投与の方法などの説明を受けました。
 やっぱりちゃんと説明を受けると納得しましたよ。
 それに祖母の場合は心原性の脳梗塞で、病院に駆けつけたときは右脳がほぼダメになっている状態でした ( CT を見せていただきました。深夜だったのに CT が撮れるてすごい病院だともおどろきましたが ) 。
 かなり大きな血栓だったのでしょう。tPA製剤を使っても改善が見込めるとは素人でも思えませんでした。それよりもtPA製剤を使うことによる脳出血のリスクを考えると、血栓を溶解させることを優先させるなんてことを、とても親族としてもお願いする訳にはいきませんでした。
 それと脳の浮腫が始まっていて、浮腫を抑える薬も投与しているけれども、抑えきれない、という話も救急の処置室でうかがいました。
 私はそこで、もうその後の経過がどうなるか分かってしまいました。私の予想より祖母は頑張りましたが、昨年 2 月 2 日に脳幹が完全にやられてしまい、息を引き取りました。
 今でも医師の方や、看護師さんに最善をつくしていただいたことを感謝しています。

 現在、医療訴訟が刑事、民事を問わず増えすぎています。そのうちの大半は、医療ミスではなく医療の限界を医療ミスとして訴えているようにしか見えません。

 やはり国民全体に正しい医療知識、論理的に物事を考える思考パターンの獲得、非常時でも冷静でいられるような訓練が必要なんじゃないかな、と思っています。

 最重要なのはやっぱり教育システムでしょうか。
written by 絶滅危惧種IA類 / 2008.02.25 07:49
絶滅危惧種IA類さま、つらいこと思い出させたかな? すみません..
でも、詳しいお話有難うございました。
tPAはかつて私もちょっとだけ使いましたが、そんなに誰でも治るものでないことはよくわかっていたつもりです。薬の効果にも限界があります。
医者の能力には限界も個人差もあります。

それでも我慢できず訴えるというのは、よほど不満のはけ口のない世の中へ移行しているのかな、とも考えてしまいます。

教育はとても大事です。でも、テレビ,新聞,雑誌、それにネットから、情報が溢れています。ヒトはその情報によっても教育されてしまいます。
コワいことです。
written by Doctor Takechan / 2008.02.25 13:21
 それと脳幹の破壊の進行って、昔々に脳死の勉強をしたときは、一気に進むものと思い込んでいましたが、違うんですね。
 ケースにもよるんでしょうけど、祖母の場合、老人性の脳の萎縮もあったためか、結局脳浮腫が脳幹に影響し始めたのは、倒れてから 4 日くらいたってからでした。
 救急処置室から ICU に移動する時には GCS 10 まで意識レベルが上昇したりもしました。他の駆けつけた親族は、その時は声をかけると祖母が反応するので、回復の期待ももっていたようです。
でも脳浮腫が止められないことを聞いていたので、私はその後、どのような経過をたどるかを理解していたので、その時点でお別れの時が来たことを実感しました。
 結局その後は GCS 5 〜 3 の間を数日さまよい、最終的には 3 がずっと続きました。時折心拍数が 200/min になったりするので、心室細動の心配をしたりもしましたが。
 それから徐々に様々な反射が少し減り、また少し減り、最後に残るのが心臓と呼吸を司る神経系なんですね。
 例えば対光反射がなくなっても、まだ喀痰反射が残っていたりとか。こういった反射の消失も患者さんによってまちまちなんでしょうね。
 それと祖母の場合、倒れてから数日後に再度 CT を撮ったのですが、左脳はまだ損傷されていなかったので、祖母に届いているかどうか分かりませんでしたが、声掛けは亡くなるまでずっとしていました。
 普通に考えれば脳幹の機能が犯され始めた時点で、声がもう届いてないことは考えられましたが、こればかりは祖母でないと分からないことなので。
 もちろん祖母は呼吸は最後まで自発呼吸でした。一応最後の 3 日間は、酸素吸入をしていただきましたが。
 結局祖母は倒れてから 10 日くらい頑張りました。
 よく頑張ったなぁ、と今でも思います。祖母が頑張れたのも医師と看護師を中心とするスタッフのおかげだと今でも感謝しています。

 それと辛くはないんですよ。不思議と。葬儀の時も笑顔で祖母を送ることができました。
 多分、医療スタッフの頑張りと、脳の萎縮という普通ならネガティブな状態のおかげで、逆にゆっくりお別れする時間をいただけたからではないかと思います。
 それと祖母の体の一部、というか DNA レベルですが、祖母は私の中にもいますし。
written by 絶滅危惧種IA類 / 2008.02.25 15:54
絶滅危惧種IA類様、詳細に伝えて頂き、ありがとうございました。
大きな心原性塞栓でしたね。
そうですねえ...私の経験でも、発症の2,3日後から脳浮腫は強まりますからね。キビしいですね。塞栓の場合は特に、下手すると大出血しますしね。発症直後のtPA治療ができなかったり、やっても効果がなければ、あとは成り行きを眺めるしかないでしょう。
私も何例か、辛い症例を経験しています...。

あ、話は全然違いますが....
3/1(土)午後2時から、またクリニックのコンサートです。
女房のソプラノが主ですが、ボサノバのデュオ(歌とギター)が賛助出演してくれます。Travessiaというグループ名で、京都を中心にあちこちに出没していらっしゃるとのこと。結構楽しい感じで、ジャズっぽい香りもします。お時間があればまたどうぞ。
written by Doctor Takechan / 2008.02.25 18:27
薬は効果のある人、ない人、様々です。
テレビを見て「あの薬を飲めば全員が改善する」と思うことが間違いです。あくまでも、効果があった人だけしか報道してないですから。それと同時にリスクがあると言う事もきちんと報道すべきでしょう。

リハにしても必要な時期に打ち切られ、回復出来ないままの人も居ます。予防を推進するならせめてリハの日数は廃止すべきだと思います。

政権とることに一生懸命ですから、二枚舌でも平気で使いこなしますから。因みに、某テレビ局のアナウンサーが「まだ、マスメディアで世論を動かす事が出来る」といってましたが、立派な情報操作だと感じました。

120万アクセスおめでとうございますm(__)m
さて、私は誰でしょう?
written by 通りすがり / 2008.02.25 21:50
>さて、私は誰でしょう?

へ??? ちょっと気になる....
こんなことを言うのはyoshikaさんのような....むむ
 でも、文体が違うみたいだし...
メルアドで確認...おっと、今、このパソコンではできないままだし
  あとでしらべよ〜っと

で、薬はむつかしいです。正直、使ってみないと分からん部分もあるのよね。

でも、自分が副作用に苦しんだからと、本まで書いて「その薬はキケンだ!」「ヘ〜キで使う医者はもっと危険だ!」とマスコミで騒ぎまくった人もヒトもおるのよね。

情報は清く正しく使いましょう。
written by Doctor Takechan / 2008.02.26 00:32
薬で副作用の無い物は無いと思います。ただ、此処に寄って出るか出ないか、効果の有無だと思います。副作用がきつければ、その時点できちんと報告するべきでしょう?副作用には悩まされます。維持する為にはそれも必要な場合もあります。

最近のテレビでも、「あれは失敗だった」とか言ってますが、ようは本人の満足度なのではないでしょうか?受付でも会計でも待っている間の身勝手なやりとり。気持ちにゆとりが持てないものか?と思ってしまいます。教育にゆとりは要りませんけど。
written by とおりすがり / 2008.02.26 07:34
Doctor Takechan 先生
 最近の日本の医療関係は、暗いNwewsが多いですね!
アリセプトは、アメリカでもあまり効果がないと、使用しない医師が多いです。テレビを含めたマスコミは、相変わらず間違った情報を、一般の人に流していますね。
 120万アクセスおめどうございます。ますますの先生のご活躍を応援しています。医療の良くなるその日まで頑張ってください。ではまた。
written by DAICHAN / 2008.02.26 18:54
とおりすがりさま...
 そうですね、薬の効果と副作用は紙一重のところにありますし
  副作用を受けながらも維持しなきゃならない場合もある。
患者側の満足と言うか、納得というか...、まず正確な情報を医療側が出さねばならないことは確かですが...

マスゴミさんのせいで情報がおかしくなっては困ります。

DAICHANせんせいありがとうございます。
 日本は、暗い話題どころか、暗い業界、いや真っ暗闇の国家になりそうです。
 どうせ予算案も強行採決で終わり。59兆円のムダムダ道路特定財源も中身の議論ないままに続けられそうな気配です。

 いったい誰が日本の社会保障を、そして国民の健康と命を守ってくれるのか...? 少なくとも、今の政府,今の政策では全くダメですよね。
written by Doctor Takechan / 2008.02.28 11:43

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