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権丈先生のお話だぞ!
医師会主催の講演会に行ってきました。
講師は慶應義塾大学商学部教授 権丈善一(けんじょう よしかず)先生。
そう、昨年、「医療は選挙で変える」というなかなか興味深い著書をお出し
になった。
再分配政策の政治経済学ってのがご専門というか、予算の再分配をいかに行うか、
という視点で、かなり長きにわたって独自の理論を主張しておられます。
社会保障審議会年金部門や医療費の将来見通しに関する部会などのメンバーを
務められました。
そして、1月25日の閣議で設置が決定された“社会保障国民会議 ”
のメンバーでもあります。
医療制度を含む社会保障のあり方を考える上で、決して無視できない影響力
と心に響く理論をお持ちの学者ですから、どうしても聞きたいという思いが
ありました。
(なにせ、拙ブログで、権丈先生の対談を勝手に引用もしましたので....)
御用経済学者の大誤診
http://blog.m3.com/DrTakechan/20080203/1
権丈 v.s. 吉川
http://blog.m3.com/DrTakechan/20080202/__v.s.__
では、講演の要点を。
**********
●今後の社会保障のありかたについて、3つの選択肢がある
1)増税(社会保障目的税?、消費税増税を含む)にて社会保障費を確保する
これが権丈先生の主張
2)公共事業の無駄や埋蔵金の掘り起こしなどで賄う
主に野党(左派?)の主張
3)成長重視の視点から社会保障を絞る
コイズミ-竹中路線(最近の政府の方針)
●このうち、3)は医療崩壊引き起こし、福祉も教育も解体され、
ますます富裕層だけが享受できる仕組みになる。
自民党が目指しているが、これでは社会保障は縮小される。
2)は最近多くの国民が望んでいるが、増税なくして可能かどうか、
これはなかなか難しい。
特別会計がいっぱいあるのを一般財源にして、というのは現実的でない。
特別会計の大半は社会保険、地方交付税、国債整理基金などであまり削れない。
公共投資も実は1998年から減り続けている。
法人税は大幅減税されたが、それでも国際的に見ればまだ高いくらい。
細かい無駄を削って得られる金額は、実は社会保障をしっかりさせるには少な
すぎる。
ということで、2)の選択では、社会保障費、医療費を十分に得ることは困難。
●そこで1)の提案だ。
たとえば消費税を上げて社会保障に充当するとどうなるか?
消費税は貧乏な人に厳しい逆進性の税だというが、そこで得られたカネを
社会保障の充実という形で再分配すれば、逆進性ではなくなるということだ。
きちんと社会保障に回せば累進課税にできるのだ。
社会保障にカネを回すことにより、社会保障領域を成長分野に変えること
ができるのだ。
●今、政府には大きな借金がある。その赤字を埋めるためにあらゆる分野の
歳出をへらしてプ2011年までにライマリーバランスゼロにもっていくという
方針がある。
このために、社会保障費の自然増を2011年までに1.6兆円削減する。
だから毎年2200億円も削るというのが政府の方針である。
政府の方針として重要なのは閣議決定。
今の医療崩壊については、二つの閣議決定を撤回しない限り改善しない。
その二つとは
1997年:医師数は充足しているとして医学部定員を減らす方針を立てた。
2006年:社会保障費を5年間で1.6兆円削減することを決めた。
●社会保障分野で最も重要なのは医療体制の立て直しだと言い続けてきた。
年金ももちろん非常に重要だが、実は、まだ年金財政にはかなりの余裕があり、
慌てることはない。いっぽう、医療については全く対策が立てられておらず、
こちらの方がよほど緊急の課題であり、はるかに重要かつ深刻なのだ。
社会保障費だけは、削減せず、聖域化しなければならない。
何としても確保しなければならない。
●有権者全員にこの事態を理解してもらうのは難しい。
しかし、せめて、全国200万の医療従事者は、徹底的に各党のマニフェストを
読んでもらいたい。その上で、医療崩壊の阻止に取り組む政党に投票すると
いうことを徹底的にやってもらいたい。
200万の医療従事者とその家族、関係者を集めれば、すごい力になる。
●だいたい、日本の医者一人が診ている患者数は、米国の5倍、欧州諸国の
3〜4倍だ。医師数を増やさなければどうにもならない。
医療費もあのイギリスにさえ追い抜かれているのだ。
欧州諸国の平均まで増やさないとどうにもならない。
しかし、公的医療費を1%上げてスウェーデン並みにするのに5兆円、
1.5%上げてドイツ並みにするのに 7.5兆円
2%上げてフランス並みにするのに 10兆円
かかることは知っておいた方がいい。
●ただ、赤字だらけの現政府は、社会保障に回すカネがない。
先程述べた、2)の方針では、私の分析では医療の充実には全く足りない。
消費税、あるいは社会保険料のアップという形で費用を確保しなければならない。
確保した資金で、医療、介護、福祉、教育といった社会保障を充実させること
で、むしろこの分野のサービス需要や雇用をつくりだすことができる。
そうすれば、格差は減らすことができるし、内需拡大にもつながり、
国家的にも望ましい形ができるのだ。
●私は「医療は選挙で変える」という本を書いた。
政治家を、選挙を徹底的に利用してこの国の医療を変えようというものだ。
まさかこの中で、郵政選挙のときコイズミさんに投票した人はいないで
しょうな。
コイズミ路線で医療崩壊が起こるのは当たり前なのだから。
だいたい、どんな政策かも分からずに大金を特定の政党に献金するなど
もってのほか。医療をよくする政党かどうか、マニフェストを徹底的に調べて、
それからみんなで投票すべきです。
政治家は票を求めて行動するのですから、投票前日まで主体的に浮動票を
演じて、最後に投票先を決めるべきです。
皆さん医療従事者は、医療のことだけ調べればよい。
年金だの郵政だの考える必要はない。
医療政策、社会保障政策が正しい政党を選ぶべきです。
*******************
その他、いろいろ面白い話題を提供して下さいました。
格差社会の中で、世の中の不満は高学歴に向いている。
官僚も相当叩かれているから、皆さんはあんまり官僚を叩きすぎない方がいい。
いってみれば、
文系のトップとして官僚が叩かれている、
理系のトップとして医者が叩かれている、
というのが今の世の中。
労組ってのは、政党から独立して世界で最高の労働者、労働環境を
目指して叩くべきです。
政党が欲しかったら、自分たちだけで政党を作るべきなんだ。
医者ってのは、これまで勤務医と開業医に分けて統治されてきたんです。
統治者側からすれば、これがイチバン統治しやすい。今回は勤務医に甘い汁、次は開業医と片方を持ち上げればいいだけ。
朝日新聞の2月11日の社説「年金は税と保険料を合わせて」は、
私から見たら、初めて大新聞がまともなことを言ったという感じ。
日経などは、租税だけでやる、といまだに言っている。日経は、
“医療の高コスト構造”などととんでもないことを言っている。
医療のどこが高コスト構造なのか、冗談じゃないという感じ。
再分配政策ということで日米を比較すると、
公的医療費の支出は日米でそれほど大きい差はないが、私的医療費は
米国でかなり大きい。そして、日本では、所得の如何に関わらず、
医療費は大きな差はない。つまり平等な医療構造だと言える。
一方、米国では、富裕層ほど医療費が大きい。
これは私的医療費が多いということ。
自由診療(混合診療)部分が大きいとも言える。
これは、金持ちほど多彩な医療を受けられるという不平等の証拠だ。
ところが、全く同じデータを八代氏( 八代尚宏:国際基督教大学
教養学部社会科学科教授。内閣府経済財政諮問会議議員。)
が扱うと、日本では富裕層が納税額に見合う医療を受けられず、
不公平感が強い、だから、富裕層が自由に医療を選べる仕組みが必要だ
、という話になる。
だから混合診療解禁が必要だ、という決論になる。
経済学者がモノを言うには、自分の立場をはっきりさせてから言わないと
不公平になる。
日本じゃ教育が医療以上に混合診療化している。
カネがないといい教育が受けられなくなっている。
それがつづくと社会不安につながる。
**********
いかがでしたか?
権丈先生によれば、私がこれまでブログで訴えているのは三つの立場のうち、
2)の立場、すなわち“公共事業の無駄や埋蔵金の掘り起こしなどで賄う”
に近いもので、民主党などが主張している方向と近いということになります。
ということは、私の考え方では、早晩行き詰まるかもしれない、
ってことか...
う〜む、なかなか難しいな..。
ただ、庶民としては、増税の前に、どうしても無駄を削ってほしい、
ってのがありますよね。この辺りの判断は難しいな...。
でも、投票行動に関する先生のご意見は、まさに“我が意を得たり!”でした。
私は、基本理念として、政権交代がなければ政治は必ず腐敗する、
ということを考えていますから、どうしても野党に味方したいところは
ありますね。
権丈先生は、政策が今のままなら与党が医療をよくすることはあり得ない、
しかし、改心すれば、与党を応援してもいい、とおっしゃる。
経済学者ならではのお考えと感じましたが、さて、皆さんはどう思われた
でしょうか?
異論、反論、大歓迎!、 謝々。
<追>
講演後の懇親会の最後に、「M3comでブログを書いていますDrTakechanです。
先生の記事を勝手に引用させて頂いています。」
とご挨拶させて頂きました。
名刺もらったよ〜♪〜
読んでくれるかな? −−www
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コメント
コメント一覧
百聞は一見にしかずで、著作物を断片的に読み拾うよりもご本人からまとまった話をうかがうことで、権丈先生の主張がよく理解できました。
特に選挙ついては、次回の衆議院選挙では医療関係者220万人全員で実行したいですね。
追伸:淡いストライプのシャツに、格子柄の紺のネクタイ、グレーのジャケットをお召しになっていたのが、Doctor Takechanだったのでしょうか。
人違いだと失礼かと思い、ご挨拶できませんでした(汗
多分、そういう服装で正解だと思います。
ちなみにrinzaru様、若輩(?)とおっしゃるのでキョロキョロしてたのですが
若い人はほとんどおらず(汗)...発見は断念しました。
講演途中で2度もケータイが鳴って、その度中座したのが残念ですが...
でも、多少の基礎知識と当日の資料のおかげで、何とかついていきました。
ブログ拝見しました☆
私は、医師人材紹介業を行っております。
ぜひ、当社のHPを御覧頂きたく、コメントさせて頂きました。
今、転職を考えていらっしゃらなくとも、登録は無料ですし、
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医療機関とのマッチングは当社にて行いますので、本業に差し障ることはございません。
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株式会社HGパートナーズ
担当:原田・村上
〒160-0022
東京都新宿区新宿5-17-11 白鳳ビル7階
℡03-5939-7724 fax03-5939-7725
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