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権丈 v.s. 吉川



 ふたつ前の拙ブログ記事−朝日の大誤算−にx-rayさんからコメントを頂いた。

社会保障国民会議のメンバーの中で、権丈さんは、数少ない医療の理解者である、

ということでした。それは私も承知しているが、では、どのような議論が想定される

のか?

そこで、x-rayさんおススメの記事を引用してみたい。

これは、どこかの新聞での対談であるが、なんと!、コイズミ改革を支えた

いわば医療者の敵(?)、吉川 洋教授と権丈善一教授の対談である。

ちなみに、吉川氏は社会保障国民会議の座長である。

(権丈氏の所属する慶応大学商学部のホームページ→権丈氏のホームページと

たどると、権丈氏のさまざまな活動が見られるよ!)

さっそく、その内容を見てみたい。全部は多いので、

医療関係は全部、その他は一部を引用することとする。

  全部読みたい人は

http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/File0212.PDF

 
参考までに社会保障国民会議のメンバーは次の通り



吉川洋(東京大学大学院教授)=座長

大森弥(東京大学名誉教授)

奥田碩(トヨタ自動車相談役)

小田与之彦(日本青年会議所会頭)

唐沢祥人(日本医師会長)

神田敏子(全国消費者団体連絡会事務局長)

権丈善一(慶応大学商学部教授)

塩川正十郎(元財務大臣)

清家篤(慶応大学商学部教授)

高木剛(連合会長)

竹中ナミ(社会福祉法人プロップ・ステーション理事長)

中田清(全国老人福祉施設協議会副会長)

樋口恵子(NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長)

南砂(読売新聞編集委員)

山田啓二(京都府知事)

 

     <登場人物>

権丈善一(けんじょう・よしかず)62年生まれ。専門は経済政策・社会保障論。

「年金改革と積極的社会保障政策 再分配政策の政治経済学Ⅱ」で労働関係図書

優秀賞を受賞。「政策は正しさではなく力が作る」との視点から、実現可能で

望ましいと考える社会像を示す。

吉川洋(よしかわ・ひろし)51年生まれ。東大大学院経済学研究科教授。

専門はマクロ経済学。著書「転換期の日本経済」で読売・吉野作造賞を受賞。

「小泉構造改革」の理論的支柱として経済・社会保証政策の決定過程にかかわる。

     ****************

さあ、対談とまいりましょう!

はじめは、人口減少社会になり、経済停滞、所得水準低下が懸念されるが、

その対策はどうあるべきか?、というテーマ。

吉川 人口が減ると働き手の数も減っていくのだから、ゼロ成長かマイナス成長

になるのでは、というイメージを持つ人も多いだろう。しかし、経済学者の多くは

「持続可能な成長は十分できる」とみている。

 私も国内総生産(GDP)は年平均で実質2%、ひとりあたりのGDPだと2.5%くらい

の成長は可能と考えている。いま20歳代の人の生涯所得は、私の世代の2倍になる

ということだ。先進国の経済成長は、働く人の数より、技術の進歩と資本の蓄積に

負っている面の方がはるかに大きいからだ。

権丈 公的な私も年2%ほどの経済成長は可能と見る。ただし、財政面でも

「賢い支出の仕方」を考える必要がある。市場のダイナミズムを活用しつつ、

その中で人々が尊厳を持って生き、資質を十分に開花させる機会が広く平等に

保障され、子どもを育てやすい社会をどうやって作るか。



−そのための具体策は



権丈 負担医療、介護、保育、教育という生活の基礎的な四つのニーズは、

所得休む場所に関係なく平等に利用できるよう公的に供給する「ある程度大きな政府」

が望ましい。社会保障を充実させると共に、質の高い保育サービスを安く提供できる

ように公的資金を入れたり、公教育を充実させて教育水準に格差が生じないように

したり。それはそのまま少子化対策になるし、共働き世帯が増えて購買力も高まる。



吉川 権丈さんは「公民が税や保険料を負担しても、年金や介護サービスなどの

形で戻ってくる部分が多い」と主張される。それは正しいが、公的に供給すると

市場を通じて供給する場合より、選択の自由が狭まる可能性も考慮する必要がある

のではないか。国民が「選択の自由それ自体に価値がある」と考えていることも

無視できない。

 人々がどこまでの水準を望んでいるかという現状認識で、権丈さんと私には違いが

あるのだろう。



−経済成長の前提は?



権丈 負担医療吉川さんは「これまでなかった新しい財やサービスの登場が

新たな需要を呼び起こし、経済成長につながる」という成長モデルを提案されている。

私は医療、介護、保育、教育こそ「需要を刺激する新しいサービス」であり、

それを公的な支出で賄うことが経済成長につながると考える。



吉川 今後医療や介護が成長分野という指摘はその通りだと思う。

米国でも90年代以降、これらの分野が非常に伸びている。

ただし、その供給に政府がどれくらい関与していくか、ということは

別に議論されるべきだ。政府が進めているように、規制改革を通じて

そうした成長市場を開花させようと言うのも一つの方法だ。

それを公的な支出で賄うのならばその分、税や保険料など国民の負担も大きくなる。

     -----中略-----

財源としてイメージしているのは何だろうか?



権丈 税や社会保障費だ。政府が国民から税や保険料を集め、

介護や育児のサービスを公的に提供する社会をつくれば、

労働力や資本をそうした分野に優先的に回せる。



吉川 今後医介護保険でも、要介護度の軽い人の一部が、

必要以上のサービスをひんぱんに利用するなどの問題が起きている。

公的な金でサービスを供給すると、こうした制度の乱用が問題になる可能性もある。

     -----後略-----

     **************

 
さあ、医療問題に入るぞ!



−医療制度改革の議論も進んでいます。どう見直すべきでしょうか。

吉川 今後、高齢化が進み医療技術が進歩すれば、国民が使う自己負担を含めた

医療費の総額はGDPや国民所得よりも大きく伸びるだろう。それを無理に抑えるのは、

育ち盛りの子どもがラーメンを2杯食べたいのに1杯だけにするようなもので

合理的ではない。

適切な医療の水準は、医師を中心とする専門家に決めてもらえばいい。

ただし、医療費のうち税や保険料で賄っている公的負担の部分は、

財政事情を考えればある程度伸びを抑制するしかない。

権丈 公的な負担を抑制すれば、所得によって医療に格差が生じるし、

病弱な人は民間の医療保険からは排除されてしまう。

「誰もが最適な医療を受けられる」というのが皆保険の理念だ。


吉川 
「医療が大切」というのはその通りだが、教育だって防災だって大切だ。

大切なものを足し合わせると、今の財政では金が足りない。


権丈 
人々が尊厳を持って生きるには、医療は他の分野より優先度が高い。

吉川 
「負担が増えても公的医療を充実させてほしい」という国民の合意がある

なら、「社会保険料や消費税を上げよう」という声が上がってもいいはずだが、

現実には「消費税を上げる」と言ったとたん、みな渋い顔をする。


権丈 
吉川さんは経済財政諮問会議の民間議員を務められ、政策の立案に

深く関与されている。医療が大切だと考えるのであれば、政府や国民に対して

保険料や税を引き上げるよう説得を試みられる立場にあるし、

実際にそうされればよいと思うのだが。


吉川 
それは選挙で問われることだと思う。

それに、医療にも「指を切った」「風邪をひいた」という軽い治療から

、命にかかわるものまである。

私も、日本の皆保険は優れた制度で守らなければならない、と考えている。

 しかし、軽度の治療費まで保険料や税を引き上げてでも公的に負担する必要が

あるとは考えない。大切なのは高額療養費制度のように、命にかかわる大きなリスク

をみんなで支え合う仕組みではないか。

所得の低い世帯は別として、1回の治療につき500円ないし1000円までは

全額自己負担とする「免責制」も必要となれば検討されてよい。


権丈 
日本は主要先進国の中で、医療費がGDPに占める割合が一番低い。

同時に、外来の受診率や人口あたりのベッド数が極端に高い。

低い医療費、少ないマンパワーで多くの患者を抱えている状況だ

。特に病院の勤務医や看護師は非常に厳しい労働条件のもとにあり、

本来2人でやれば問題がないようなことを1人でやるから医療ミスを犯してしまう。

日本の医療をよくしようとすれば、医療費の総額を引き上げざるを得ない。

吉川 「きちんとした医療が提供されることが大事」というのはその通りだし、

そのために医療費の総額がある程度伸びることが必要、という認識は権丈さんと

変わらない。しかし、繰り返しになるが「医療費の公的負担部分は財政問題でも

あるので、無制限に増えることは許されない」というのが私の立場だ。

権丈 医療費は決して無制限に増えるわけではない。

それに「公的な負担を抑え、自己負担を増やす」という形で医療費を上げて行くと

免責制の導入だけでは賄いきれず、命にかかわる医療でも格差が生じるだろう。

保険料の引き上げ、たばこ税の目的税化などで財源の確保は可能だ。



    =================

 さて、この対談、いかがだったろうか?



ある意味、
コイズミ改革のえげつなさの勉強にもなったかも...?

私が思うに・・・

 やっぱり、吉川氏の発想というのは、フツ〜に働いている人々の感覚からかなり

ずれている、というか、こりゃ、
財界が考えそうなことだ、って感じがしますね。

国民は、吉川プランの壮大な
実験台にされている?

権丈氏の発想の方が、はるかに自然だと感じますね。

 なお、権丈氏は、反政府、反自民、というわけではないと思います。

別のところでは、民主党のっ政策を財源なきばらまき、と批判しています。

自民党的ではない増税論者?とでも言いますか...、

何らかの財源は税として取らざるを得ない、というスタンスですね。

 庶民の感覚からすれば、税金上げる前に政治、官僚のムダをまずなくせ!、

というところですが、そればかり言っていては先に進まない。

だから、たとえ理不尽でも、税負担がどこかで増えることに合意しなさい、

そのかわり、生活に必要なサービスはうんと増やして暮らしやすくして、

それで新たな需要を喚起して成長につなげよう、という感じですかね。

どちらを取るか、といえば、間違いなく権丈案でしょうか。

もっとも、今の政府のままで消費税上げたら、間違いなく庶民には回ってきませんね。そう思いませんか?








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posted from アルバイト医師の日記 2008.02.02 23:42

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2/14に京都で権丈善一教授が講演をされますね。
参加してみようかなと思っています。
written by rinzaru / 2008.02.02 15:36
rinzaruさま、ありがとうございます。
2/14は、京都府医師連盟主催の医療政策懇談会ですね。
 これは京都府医師会員限定ではないかと思います。
 いちおう私も参加の予定です。
午後5時半からホテルグランヴィアにて。

申し込みは京都府医師会保険医療課までFAX075-314-5042にて
医療機関名、参加者氏名、連絡先電話番号、懇親会参加の有無を書いて下さい。
written by Doctor Takechan / 2008.02.02 21:03
ありがとうございます。

若輩ですが、私も京都府医師会員です。
会場でお姿拝見できれば、ご挨拶させていただきます。
written by rinzaru / 2008.02.03 03:18
先生、お疲れ様です〜  京都は、雪降ってませんか〜きびしさますのは、寒さだけでなく、先生方の環境もなりそうですね。はぁ〜><  
今日は、ネットサーフィンまでいきませんが、先生がこのM3の記事を年老いた方にというのを私なりに考えて、学校医とか老人クラブ、あるいは行動力のある方はいないかと探していました。
なかなか一般市民から政治家などの官僚には届くものも限れていて、でも、少しでも現状を知ってもらえたらと思いながら…。   ある学校医の方が、命のバトンタッチと題して書かれていて、やっぱり小さいときから、命の大切さを教えることも必要だと思いました。     
何も先生方にお役に立てれそうものは、見つからなかったのですが、時間の合間にまた探してみたいと思います。      
先生、2月14日頑張ってきてくださいね〜また、よければ、ここでご報告聞かせて下さ〜い。     あ、あと、rinzaru先生も頑張ってきて下さい〜〜
written by E / 2008.02.03 18:11
rinzaru様、よろしかったら(運が良かったら?)講演会でお会いしましょう。

Eさん、お久しぶりです。とまと様が行方不明(もしかしたら入院?..)で、そっちの方も非常に心配しています。

で、この4月の診療報酬改定は、今の中医協の議論で進めば、とんでもない医療破壊を招きそうな気がします。0.38%アップしたとか、そんなゴマカシは、今回、もはや通用しないでしょう。開業医は当然怒り狂っていますが若い勤務医にも絶望感が広がり、救急現場から医師が消えて行きます。私の予言は当たります。政府と厚労省がバカだから当然です。
written by Doctor Takechan / 2008.02.04 01:10

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