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戦場のベリークルシミマス
私が生まれる前の話だから....真実かどうか知らないが..
かつて軍医をした経験のある老歯医者(医者ではないは言った。)
...あ、ウチのおやじではない...念のため)
「戦地では医者が全く足らなかった。ある日、アッペ(虫垂炎)の患者が運ばれた。
外科医はいなかった。私は手術をせよと上官に命じられた。
仕方なく、初めての虫垂切除術を行った。
経験のある看護婦がいて、横からあ〜だこ〜だと指示してくれた。
どうにか切除できた。多分死ななかったと思う。」
今ではあり得ないこと...
でも、私は思う...歴史は繰り返す...
日本では、救急は日常業務のついで(オマケ)だった。
入院患者の管理の合間に救急が来れば、とりあえずの治療を行う。
専門外の医者が診る...それがあたりまえだった..
いつしか時は流れ、夜間休日の救急は飛躍的に増えた。
しかし、医師は減り続け...
医師は睡眠時間も疲れを取る余裕も研鑽する時間も奪われた。
いつしか、救急現場は戦場になった...
ところが、患者は、専門外の医師が診断できなければ、それを誤診という。
本来、とりあえずの治療をついでにするだけのはずだったのに...
でも、すべての専門医を救急担当として配置できる病院などどこにもない
(大学病院は全科そろってはいるが、新米さんも多いのよね..)
ましてや夜間・休日に必要な検査が全部できる体制の病院もほとんどない
むかし、夜間・休日に診察すれば「ありがとう」が返ってきた。
苦労が報われた・・・
今はそれが...
夜間・休日に診察しても、見落としは一切認めない、完璧に治療せよ!
そして夜間・休日も平日と同じレベルの診療をせよ!
それが、マスゴミの「あたりまえ」になった...
bonehead先生のエントリー、
「ありがとう」の反対語 は考えさせられる
http://blog.m3.com/BH/20080115/1
もはや、戦場なのだ...
しかも疲弊した兵士はどんどん抜けてゆく
穴を埋めるべき兵士派遣を求めても...負傷兵(心の傷?)は戻れない
おそらく、夜間・休日に働く別働隊を組織する予算がなければ...無理だろうな
病院の診療報酬をどれだけ上げるか...
別働隊を雇う予算が病院に生まれるだけの診療報酬が必要だよ
1日8時間労働の会社しか、官僚にはわからないだろうな。
24時間営業のコンビニなんだよ。今の救急病院は。
夜間・休日に働く医師の人件費を確保できる診療報酬が必要なのに
今の診療報酬は、日中働く医師の分しかないんだよ。
ふだんの救急でさえそうなのだから...大規模災害では恐ろしいことに..
戦場の医療を思い返してほしい...
(注)Atsullow's cafe先生のエントリーをご覧下さい
「誤診?それとも・・・」
http://blog.m3.com/Fight/20080118/2
戦場で患者のbelly(腹)がクルシイと
医者もvery(非常に)クルシミマス
(なお、日常診療で患者さんの腹をbellyと言ってはなりません...)
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NHKよ、お前もか!???
本日夕刻、テレビでNHKニュースを見ていると、認知症に関して、ひとつの調査結果が報告された。厚労省などではなく、NHKが独自に調査したものらしいが、その内容は、疑問を感じるものであった。またしても医者叩き?、と写るその文言...。神経内科医として少なからず認知症の患者さんと向き合ってきた私には、とても悲しいものだった。やはり、私たちは、全く理解されていない...そう感じた次第である。
***************
NHKニュース 1月19日
認知症3人に1人診断されず
認知症は、脳に障害が起こることで記憶力が低下したり、周りのことが正しく認識できなくなったりする病気で、早期に発見し、適切な治療を受ければ病気の進行を抑えることができるようになっています。
NHKは、認知症の医療の実態を調べるため、「認知症の人と家族の会」などの協力を得て、およそ230人の患者を対象にアンケートを行いました。もの忘れなどの症状が現れてから初めて訪れた医療機関で認知症と診断されたかどうか訪ねたところ、
全体の34%にあたる77人が「診断されなかった」と答え、
3人に1人が認知症を見過ごされていることがわかりました。
このうち、22%は医師に「年相応で病気ではない」と言われ、
うつ病など別の病気と診断された人が17%、
「異状なし」と診断された人も9%いました。
また、認知症と診断されるまでに、
3か所の医療機関を訪れた人が26%、
4か所以上回った人も15%いました。
認知症の患者は全国におよそ170万人いると推計されていますが、専門家が少なく、一般の医師も認知症を十分理解していないため、診断や治療が遅れ、病状の悪化を招いていると指摘されています。「認知症の人と患者の会」の高見国生代表理事は、
「医師は異状を訴える患者や家族の声をきちんと受け止めてほしい。認知症が専門でなければ、速やかに専門医を紹介することが診断や治療の遅れを防ぐために必要だ」と話しています。
**************
さて、読んでみて、どのように感じられるか? これは、かなり感じ方に温度差がありそうだが....?
ただ、私はこのニュース、あまりにも一方的に医師の対応が悪いという印象を、視聴者に与え過ぎていると感じる。NHKよ、お前もか!?
さて、認知症のことだが...
定義としては、次のような説明が一般的だろう。
*脳全般に後天的に何らかの軽度・広範な障害(外傷、脳血行障害、脳細胞の萎縮などの様々な要因)が加わり、そのために正常に発達していた知的機能(自発性、判断力、意欲など)が全般的かつ持続的に低下し、社会活動や家庭生活に支障を生じた状態
また、認知症は一つの病気ではなく様々な疾患で生じる症候である。
< 原因となる病気 >
(1) アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症の原因疾患)
(2) 脳血管障害(脳血管性認知症の原因疾患)
(3) 前頭側頭葉変性症(前頭側頭型認知症の原因疾患)
(4) びまん性レビー小体病(レビー小体型認知症の原因疾患)
(5) その他
*認知症をきたすその他の疾患
* 慢性硬膜下血腫 —手術で治療可能
* 正常圧水頭症 —手術で治療可能
* 脳腫瘍
* 脳炎
* 神経変性疾患
* 薬物中毒
* 欠乏症、代謝異常等
**********
それでは、この調査報告で気になる点を述べてみたい。
このニュースで欠落しているのは何か?
それは、正確な情報である。
>全体の34%にあたる77人が「診断されなかった」と答え、
3人に1人が認知症を見過ごされていることがわかりました。
このうち、22%は医師に「年相応で病気ではない」と言われ、
うつ病など別の病気と診断された人が17%、
「異状なし」と診断された人も9%いました。
ここでは、3人に1人が認知症を見過ごされている、とさらりと述べているが、では、誰が診断したのか?
認知症の専門家が診断しているのか、そうでないのか?
開業医か勤務医か?
MRIもSPECTも備えて認知症に詳しい神経内科医や精神科医が揃っている施設なのか、X線と心電図くらいしかないふつうの街のお医者さんか?
そんな基本情報すら分からない...。
もし、非専門医が診断して誤診率34%なら、別に驚くことでもない。
ましてや、軽いうつ状態の老人では、改訂長谷川式とかMMSEといった外来の簡単なテストで非常に悪いスコアを示すこともあり、診断は慎重であるべきだ。
また、自宅で夜になると異常行動が顕著になるが、日中はかなりまともなこともある。外来だけでなかなか診断しにくいことがある。
そもそも、認知症を心配して外来に来る、というのは、家族が困って、あるいは心配して連れてくることが多く、本人は、すごく戸惑ったり不安になったりで、正しい判断がしにくい精神状態にある場合もある。
したがって、NHKが示したデータは別に驚くほどのことではない、と感じるのである。
>また、認知症と診断されるまでに、
3か所の医療機関を訪れた人が26%、
4か所以上回った人も15%いました。
ここでも、まるで医療機関が診断しないから患者側がいくつも回らねばならない、という印象で述べられているが、果たしてそうか?
まず、認知症患者とかかわってきた私の意見を述べさせていただきたい。
外来に明らかに認知症と考えられる患者が家族に連れられ、おどおどした態度、困惑した表情で診察室にいるとしよう。
私は、認知症です、と患者本人、または家族に話すべきか、相当に慎重になるであろう。なぜなら、初期の認知症患者の精神状態が不安定なのは、実は家族の対応に問題がある場合がきわめて多いのである。
あまりゆっくりできない日常の診察の中で、私は、診断を進めるよりも、まず、患者と家族の関係(家庭の状況)、家族の理解力、患者と家族の性格、自宅での介護力、そういったものを推測していかなくてはならない。その判断なく、迂闊に「認知症」のレッテルを貼ってしまうと、最悪の場合、患者は家族から激しく疎外されるケースがありうる。
まして、専門家でも、改善の可能性があるかどうかを推測するのは難しい。「認知症」と言ったとたんに、不治の病と家族が思って、家族が果てしなく落ち込んでしまうこともある。たとえ診断がついても、安易に告知するのは考えものなのだ。
なお、認知症の診断を早期に求めるのであれば、大学病院、神経内科と検査設備の充実した大病院へ行くことが最も確実である。一般的な個人開業医が外来で診断できるのは、“可能性が高い”ということだけだ。高価な検査をいくつも経なければ、確定には至らない。ただし、そのような病院は、診断はしてくれても、将来の面倒をずっと見てくれるわけではない。入院すら難しいであろう。(残念ながら、患者から研究のためのデータだけとって、あとは何もしてくれない、という病院あるいは医師もいたようだ)
現実問題として、夜間の行動にちょっと問題があるだけで、一般の内科病棟では看護がパニックを起こし、「あの患者がいると他の重症患者の管理ができません。いますぐ退院させて下さい!」と主治医に懇願、または強硬に抗議をするであろう。(現に、私は看護師にもう少しガマンしてくれ、頼む!、と謝り続けながら入院治療をしたことが何度もある)
精神科なら、病院によっては入院させてくれるだろう。しかし、内科的な疾患の管理はまず期待できない。
そして、もうひとつ。こちらが様子を見ようと言っても、納得せずにあちこちの病院を回る患者や家族がいるということだ。それは、私が信頼に値しない医師であったのかもしれないし、とにかく早く診断をつけてほしい何らかの事情があったのかもしれない。しかし、いずれにしても、医師の頭の中で考えているストーリーと患者なり家族の希望は必ずしも一致しない。
>認知症の患者は全国におよそ170万人いると推計されていますが、専門家が少なく、一般の医師も認知症を十分理解していないため、診断や治療が遅れ、病状の悪化を招いていると指摘されています。「認知症の人と患者の会」の高見国生代表理事は、
「医師は異状を訴える患者や家族の声をきちんと受け止めてほしい。認知症が専門でなければ、速やかに専門医を紹介することが診断や治療の遅れを防ぐために必要だ」と話しています。
ここにも若干の誤解があるような気がしてならない。大学病院であろうと個人開業医であろうと、治療薬はアリセプトくらいしかない。しかも、服用したら効果がはっきり分かる、というほどには効かない例も多い。逆に、アリセプトのために興奮症状が強まって手が付けられなくなる、という例もしばしば経験する。診断が多少遅れたってさほど治療には影響しない、という現実は直視するべきだ。(むしろ、厚労省が新薬をなかなか承認しないことの方が、ケタ違いに大きな問題である!)
最後に、認知症患者とご家族のために、治療にあたって重要な点と今後、考えていくべき点を述べる。
1)複眼私的治療
アリセプト投与だけで済ませてはならない。ひとりの高齢者として治療を組み立てるべきである。
●アリセプトは投与すべき患者とそうでない患者がいる
●動脈硬化・血栓性疾患の危険因子は当然きちんと調べるべきであり、予防的治療は行うべきである。厚労省の方針は、高齢者にはそのようなことはムダだからやめとけ!、と言っているようである。
●患者がニコニコして安心そうな顔をするように、向精神薬をきめ細かく調整すべきである。認知症を扱う内科医なら、当然、精神科医並みとはいかなくても、そこそこの向精神薬の知識が不可欠である。
●家族への教育を繰り返すこと。最も難しいのは、高齢者ふたり暮らしかもしれない。配偶者が認知症患者への対応をうまくできなければ、家庭生活は維持できない。また、家族の理解不足が患者の症状を悪化させる。これは、わかっていてもなかなかできない、非常に難しく手間のかかることである。
●医師にとって重要なのは、検査ではなく、家庭生活を維持できるかどうか、その見極めとそのための指導や治療である。
●認知症が少し進むと、今の制度の中では、精神科が対応することが多い。しかし、向精神薬を投与すること以外に目を配れる精神科医はきわめて少ない。つまり、施設は精神科主体。でも精神科の主治医は、精神症状しか見られない。そういう状態でしか医療を受けられないのが今の患者さんたちではないか。
●実は、薬よりも生活環境の方が、患者にとっては重要だと思われる。認知症のためのリハビリ、生活訓練を行う施設が非常に重要なのだが、そのような施設が非常に少ない。
「認知症の人と患者の会」というのは、わが京都で生まれた社団法人で、全国組織らしいが、正直、厚労省によってズタズタにされた医療制度に翻弄されている医師に注文を付けるより、直接、厚労省、政府に、医療・介護制度を老人に優しいものに変えるよう、積極的に訴えるべきではないか。今のがんじがらめの医療政策の中では、医師があなたたちにしてあげられることは、非常に少なくなってしまっているのだ。
あ、そうだ!
心配なことが一つ...
このニュースの内容、1月20日のNHKで特集として放送されるようなのだ。はたして、どんな切り口で放送してくれるか.....、
とても心配だ.....。
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