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3児の命の代償は「懲役7年6カ月」なのか?

 私は法律の専門家ではない。あくまでも、ひとりの国民としての感覚だけで話すのだが...、飲酒運転で3名の幼子が“殺された”のだ。
 この際、はっきり言っておく。福島県大野病院のK医師は殺人でも過失でもない。彼は、酒を飲んでオペしたわけではない。脇見をしたわけでもない。現場から逃走したわけでもない。ただ、目の前で起こる予想を遥かに超える異常事態に全身全霊で立ち向かい、その場その場で思い付く限りの正しい判断で難局から患者を救おうと努力したのだ。
結果は、辛いものにはなったが、それは彼の責任ではない。
 しかしだ、この福岡の事件はどうだ? これがただの脇見運転だろうか?
 言うまでもなく、飲酒は脳に影響を与える。昔、私は飲酒後の眼球運動や体の揺れ(重心動揺)の研究にかかわったことがある。間違いなく、酒は脳に影響する。すくなくとも、なにがしかの判断力、咄嗟の処理能力の低下を招く。(reaction timeの延長とか、saccadic eye movementの速度低下などもある。となると、何かを見つけた時、その対象をしっかり見つめ、何かを判断し、ブレーキを踏む、という一連の行為が遅くなることは当然だということだ。)こんなことは、何十年も前からわかっていることだ。制限速度50kmの道路を80kmとか100kmとか無謀な速度で走るという高次判断力低下もある。その間、接触事故を起こさなかったというのは、単に、咄嗟の判断をするほど緊迫した状況がなかったから、運良く走行できたに過ぎない。もしその間に緊急ブレーキもしくは緊急回避を要する事例が起こったとすれば、事故った可能性は極めて高いはずである。
 私には、あまりにも刑が軽すぎると映る。

 なぜ、地裁の裁判官がこのような判決を出したのか? 私には理解ができない。
 言ってはならぬことかもしれないが、あえて感想を述べよう。
 私の感覚からすると、
1)
この判決を出した裁判官は、飲酒運転の経験者なのではないか?・・・・・
2)
この裁判官は、およそ科学的に事象を判断する能力に欠けるのではないか?
そんな疑いを持ってしまうほど異常だと感じるのである。
 このような判断が裁判所で行われるということ自体、医師として非常にコワい。みなさん、ユメユメ逮捕されぬよう気をつけようではないか?
 (え?、そんなこと言ったら、産科医も外科医も救急担当医も絶滅してしまう?
   ・・・・・・そ、そんなこと言ったって、現実は現実だからさぁ...)
          #############

「過失」の判断、やりきれなさ残す 福岡3児死亡判決

     2008年01月08日12時30分  Asahi,com
 幼い3人の命を奪った飲酒事故は「危険運転」ではなく「過失」と判断された。福岡市で06年8月に起きた3児死亡事故で、8日の福岡地裁判決は危険運転致死傷罪の成立を否定して業務上過失致死傷罪を適用。そのうえで量刑は道路交通法違反罪との併合で上限となる懲役7年6カ月とした。遺族はやりきれなさを抱えつつ、減刑しなかった判決に一定の理解を示した。主張が認められた形の今林大(ふとし)被告(23)はうつむいたままほとんど身動きしなかった。

3人の遺影の横で会見に応じる大上さん夫妻=8日午前11時38分、福岡市中央区の弁護士会館で
 遺族の大上哲央(あきお)さん(34)、かおりさん(31)夫妻は午前9時40分ごろ、福岡地裁に姿を見せた。哲央さんは3人の子どもたちの遺影を手に、かおりさんは事故後の昨年9月に生まれた次女愛子ちゃんを胸に抱いていた。
 2人は傍聴席の前から4列目の中央付近に座った。危険運転致死傷罪が適用されれば最高刑は懲役25年だが、昨年12月の地裁による訴因変更命令で、その可能性は薄らいでいた。
 「懲役7年6カ月」。主文が言い渡されると、哲央さんは大きく息をついた。かおりさんは厳しい表情のまま、ひざの上に乗せた左手でハンカチを握りしめた。判決理由の中で裁判長が「3児はいずれも宝物」と述べると、こらえきれずに涙を流した。
 閉廷後、夫妻は代理人の弁護士とともに記者会見した。哲央さんは判決について、「当初から裁判所の判断に委ねると言ってきたので、それはそれとして受け止めたい」とひと言ずつしぼり出すように語った。
 かおりさんは涙を浮かべながら、「危険運転致死傷罪の適用には高いハードルがあることを実感した」。一方、業務上過失致死傷罪適用での最高刑が下されたことには「裁判官の思いが伝わってきた」と評価した。3人の子どもの遺影を持ってきた理由について尋ねられると、「3人の大きな命を奪い取ったという事実を、被告にわかってほしいと思ったから」と話した。
 今林被告への憤りは消えない。哲央さんは「彼の顔をきちんと見て、私たちや子どもたちの未来を壊したんだと改めて感じた」。かおりさんは「被告の表情がないことに違和感を覚えた。3人の命を奪ったことをどう感じているのか。彼が事故後に自己保身に動いている中で子どもたちが亡くなったことを考えると、たまらなくなった」と話した。
 今後の見通しについて、代理人の弁護士は「大上さん夫妻から控訴の要請などに動くことはないが、厳罰に処してほしいと思っているので、検察が判断すると思う」と述べた。
 表面的には落ち着きを取り戻しつつある様子も見せていた夫妻だが、幸せな家庭を破壊された心の傷はいまも癒えない。
 事故直後は2人とも「なぜ子どもたちを助けることができなかったのか」と自分たちを責めた。昨年9月に法廷で証言した哲央さんは「私たちの宝である貴い命を奪った被告を厳重に処罰してほしい」と厳しい遺族感情を吐露。同じ日、「懲役25年の刑が下ると確信している」というかおりさんの供述調書も読み上げられた。
 ただ、飲酒運転の厳罰化だけを望んできたわけではない。事故の後で逃げずに救助活動をした人には寛大な処置も必要だと考えている。根底にあるのは「今林被告が救助に当たってくれていたら、子どもたちは助かったかもしれない」との思いだ。

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コメント一覧

Doctor Takechan先生
 アメリカでは、終身刑は間違いありません。飲酒運転、ひき逃げ、隠蔽のために水を飲む。murajun先生が、書かれているように、ガードレイルの強度が弱かったのは、自治体の責任ですが、それでも刑は軽すぎる気がします。私の個人的な意見ですが、もし彼が、残り助けていれば3人の子供たちは生きていたかもという先生に同感です。
written by DAICHAN / 2008.01.10 17:08
DAICHAN先生ありがとうございます。法律はなかなか難しいものですが、国民の常識に近づけることを考えるべきだと思います。
(ただ、医療訴訟については、マスゴミに踊らされた国民も多いでしょうから、国民の常識がどこにあるか、真剣に考えてみる必要があります。)
それにしても、幼子が3名も死亡する事故...、飲酒常習の運転手に責任の重さがわかるのか、はなはだ疑問であります。
written by Doctor Takechan / 2008.01.10 17:31
今回も、危険運転致死傷罪という法律の欠陥を感じたことはありません。
もう、飲酒運転致死傷罪という法律を作って、飲酒が証明されれば、現在の危険運転致死傷罪と同じくらいの量刑が適当できるくらいでいいと思います。さらに、危険運転致死傷罪の最高刑は死刑であってもいいとすら思うのですが、いかがでしょうか?

人と何人も殺しておいて、それが、飲酒した上での車の運転というだけで異様に量刑が低いように感じます。

written by bluemonkshood / 2008.01.12 14:47
bluemonkshoodさま、ありがとうございます。飲酒を許容し過ぎる社会、飲酒の危険を過小評価している社会、そんな形容がしばしばマスコミに登場しますが、しょせんはその場限り。
立法府の動きは極めて鈍い。日本のお偉方は、よほど酒の席を“有効利用”なさっているのかも。飲酒は判断力を低下させ、長期の飲酒は性格さえ変ぼうさせる...。
自分本位、身勝手、アンモラル、....、たとえば、どっかの新聞社のえらいさんとか...、酒は人を狂わせることもある...。せめて、他人に迷惑かけない飲み方を。そして、せめて救急病院を飲酒などという身勝手で利用しないように..。
それを切に願います。
written by Doctor Takechan / 2008.01.12 23:00

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