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厚労省の策略(無策?)を読む
さて、地方眼科医せんせい(http://blog.m3.com/Ophthalmology/20070808/_06_)などが、報じておられるように、厚労省は、06年度の概算医療費を発表した。
しかし、この記事、いつものように、厚労省の意図が入ったままメディアが垂れ流している。
まず、その記事から....
06年度の医療費、過去最高の32兆4千億円
2007年08月08日21時59分 Asahi.com
厚生労働省は8日、06年度の概算医療費は前年度よりも400億円増え、過去最高の32兆4000億円だったことを公表した。診療報酬改定のない年度は3〜4%程度増えるのが通例だが、06年度は過去最大の下げ幅となるマイナス3.16%の改定の影響で、0.1%増にとどまった。
概算医療費は公的医療保険と公費で賄われた医療費を集計したもので、労災保険や全額自己負担の医療費は含まれていない。1人あたりの医療費は、70歳未満が前年度より0.8%少ない15万8000円。70歳以上は1.4%少ない74万2000円だった。現役世代、高齢者分とも減ったが、医療費が高い高齢者の占める割合が増えたため、医療費全体としては微増となった。
1施設あたりの医療費では公的病院が1%、個人病院が2.2%、診療所が0.5%減る一方で、大学病院は2.5%増えた。歯科では病院が1施設あたり6.9%、診療所が3.2%の大幅減。初診、再診料の引き下げなどの診療報酬改定が影響した。薬局の1施設あたりの収入は前年度より1.2%増の1億45万円で、初めて1億円を超えた。
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この記事の書き方だと、医療費はまだまだ上がってるな、という印象である。しかし、実は、毎年、高齢者の増加や高度医療のため3〜4%の自然増が見込まれているのに、医療費削減によって増えなかった。つまり、病院が儲けたのではなく、医師・看護師不足で人件費を減らせず、一方で高価な材料費や検査機器の経費などで窮々としている医療機関が、必要な経費を稼ぐどころか、3〜4%も身入りを削られた、と解釈すべきなのだ。
そして、無理に削れば、何とか収入を確保しようと、かえって無駄な検査や調剤が増える恐れの方が問題なのだ。
マスゴミは、口では医療崩壊だ、医師不足だ、と現実が見えたような表現をしているが、厚労省のこそくな発表を、考えもせずに垂れ流している。つまり、字づらで理解しているだけで、本質は見えないのだ。
厚労省は、官僚の本質を見事に発揮し、過去の医療政策の大失敗を反省するどころか、正当化にやっきとなっており、なおかつさらに医療費を削減しようと目論んでいる。その魂胆が、記事に見えるのだ。
それだけではない。この未曾有の医療危機に遭遇しているにもかかわらず、またしても診療報酬をいじくりまわし、医療をますます混迷させようとしている。
(アンフェタミン先生や、北のCOSMOS先生も怒ってるぞ!
http://blog.m3.com/my-quest-since-2006/20070808/2
http://blog.m3.com/northcosmos/20070808/1)
産科・救急の診療報酬上げ検討 医師不足対策に重点
2007年08月08日 Asahi.com
医療の公定価格である診療報酬の08年度改定で、厚生労働相の諮問機関の中央社会保険医療協議会(中医協)が検討する主要項目が7日、明らかになった。医師不足に対応し、地域医療を充実させるため、産科、小児科、救急医療や、中小の病院への診療報酬を手厚くする。また勤務医の過剰労働の緩和をめざし、開業医の夜間診療や往診の報酬を引き上げ、負担を肩代わりしてもらうことなどを柱としている。
検討項目は8日にある中医協で厚労省が示し、改定に向けた本格的な議論が始まる。前回06年度は過去最大の3.16%の下げ幅となったが、厚労省は「今回は治療本体部分の引き下げは困難」としており、医師不足対策への重点配分で医療の質低下を防ぎたい考えだ。
検討案によると、「一定の地域や産科・小児科などで必要な医師が確保できず、医療の提供に支障がでている」とし、地域医療の確保・充実に「特に配慮を行う」と明記。こうした診療科への報酬を手厚くするとともに、医師不足の原因と指摘される勤務医の過剰な負担の軽減を目指す。
具体的には、病院での夜間診療を地域の開業医が交代で担うことや、医師を補佐する職員がカルテの管理などの事務作業を代行することを診療報酬で評価する案が有力視されている。
また、地域の中小病院の経営が悪化し、撤退が相次いでいる現状も重視。これらの病院が、発病直後の急性期の入院治療から在宅での療養に移行する際の橋渡し的な役割を担うことや、在宅患者の病状が悪化した時に短期間の入院を受け入れることなども診療報酬で考慮していく。中小病院を医療ネットワークの中核に位置づけ、地域医療の充実を図る。
開業医の初診・再診料を引き下げる一方で、時間外や訪問診療の報酬を、これまでより高くすることも検討。開業医に救急医療や在宅療養を積極的に担ってもらい、その分、勤務医の負担を軽減するのがねらいだ。
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言うまでもなく、およそ20年間に渡り、診療報酬をいじくりまわし、あっちを削りこっちを削り、必要な経費が取れないような診療単価削減をくりかえし、たどり着いたのが現在の悲惨な診療報酬ではないか。
厚労省は、この期に及んでも、まだ、どこかを増やすならどこかを削る、つまり、全体として削減を目指す姿勢には全く変わりがない。
また、勤務医が大変だからと、開業医の夜間診療を促進するというが、院外処方の進んだ現在、開業医が夜間診療して、その薬はどこが責任を持って出してくれるのかね?
そして、夜間診療で開業医が過労になったら、病院のようにどうにかして誰かが代診なんてできないだろう? その責任は誰が持つのかね?
考えてみれば、研修医の自殺や突然死で研修医の労働条件がひどいという世論が高まると、新研修医制度を打ち出し、研修医の重労働を、年上の勤務医の重労働に置き換えてしまったのも厚労省。そして、勤務医がいよいよ過労であえいでいるとなると、今度はさらに高齢の(?)開業医に重労働を押し付けようとする。
そもそも、開業医の中には、親の跡を継いで比較的ゆったり仕事をする者もいれば、とことん勤務医として激務に明け暮れ、そろそろ体と生活を考えて、開業医という選択をとっても悪くないだろう、という流れで始めた者もいる。いろんな状況がある中で、身分と生活を守れないような制度を押し付ける厚労省に、人名を語る資格があるのだろうか。
目先の診療報酬ではなく、現在すでに、マルメに次ぐマルメ、そして、切り下げにより、削減され過ぎた診療報酬をいかに上げるか、それだけを考えるべきである。
診療報酬は上げる。患者負担は減らす。儲け過ぎる医者がいるなら、税金できっちり取ればよろしい。ついでに、後期高齢者医療制度など、年齢で国民を差別するような医療制度もやめる。社会保障費は、経済財政諮問会議なんぞの関与を許さず、国民の最低限のセーフティネットとして増額をはかる。国民が安心して暮らせる社会を作るのに、他にいい方法があるとでもいうのかね?
もし、キャノンやオリックスが国民の納得できる医療を支える、というなら、その方針を出してみろ。経済優先主義、効率主義の彼等にそれができるかな?
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