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医療制度がネコの目のようにコロコロ変わる...。一般の人には何の興味もなく、当事者にならない限り、医療現場の苦しみは理解しがたいものであろう。
だがしかし、医療制度は確実に昔とは雲泥の差、と言うべき激変があったのだ。たとえば、入院期間。思えば,私が昭和59年に某自治体病院に神経内科医として赴任したときは現場はどうだったのか?。(まだ、療養病棟などなかった...)
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神経内科病棟は39床。常勤医師3名と研修医1名で担当。私が前医から引き継いだ入院患者は8名。そのうち7名は寝たきり。すでに数年間入院生活を送っている患者もいた。最長は10年!?...(これは、自治体病院の今で言う一般病棟の話です..。)。要するに、この7名は、自宅で面倒を見られる状況になく、入院を続けていた、というわけ。(1名だけは、退院させることができた!) 当然?、7名のうち6名までは、入院を続け、病院で看取った。家族はおおいに感謝されていた。7名のうち1名は、患者本人のせいではなく、患者の奥さんがあまりに悪質なため、転院となった。他の患者の家族に向かって「病院に残っていたら私がエライ人に頼んであげる」などと平気でささやく悪質なおばばに、現場の看護師は怒り狂っていた。患者は寝たきりで、全介助。こりゃ、放置できないと、転院をおばばに迫ったところ、確かにエライ人から待った、がかかった。おばばは自民党の某議員に「退院せよと言われています。何とかしてよ。」とでも言ったのだろう。その議員から府のエライさんに「何とかしてよ」と声がかかり、府のエライさんから、わが病院のエライさんに「何とかしてよ」と依頼があったのだ。議員のエライところ(?)は、自分は絶対に表に出ないことらしい。自分の将来を心配する自治体官僚に配慮し、すぐには追い出さないことにし,そのかわり、いつまでも当院にいてもらう患者ではないので適切な病院を探したら移ってほしい,と粘り強く説得をした。官僚も、この患者(というよりおばばさまを)病院に置いておいてはまずいことは理解できる、よって、無難な線で、「今すぐ追い出すことはしないが、放置はできないので、いずれ,適当な転院先を見つけて移って頂くことでご了解頂きたい」というような話を議員側に伝えたそうな。結局、1年かかってやっと出ていってもらったのだが.....。今なら2週間ですぐ出て行って!、というのがフツー。この差はとてつもなく大きい....。
===========患者への口利きで票を集める....それで議員になったのなら、....なぜ、今になって、手のひらを返したように、医療を蝕み続けるのか?。要するに、道具に過ぎないということなんだな?==========
昔がよかった、という訳ではないが、今よりずっと医療従事者に余裕があった。寝たきり患者を診ながら、一方では、急性期の患者も結構入って来て、脳アンギオなども毎週2〜3例あった。急性期から、リハビリ、慢性期治療、はては寝たきりまで−−−−要するに、何でも受け入れるキャパがあったのさ。心の余裕があればこそ、患者との交流も密になるのだと思う。しかし、現状は全く違う医療になってしまった。この激変は、ネコの目行政が、2年ごとに制度いじりを繰り返してもたらしたもの。その間、いったいどれだけの医療従事者と患者が振り回されたことか....。(そしてその中間の段階では、患者をすぐ追い出すのは医者が悪い!、とばかりに、患者の非難が医療側に集まっていた時代も長かった...)。
だが、これらの患者さん、社会的入院ばかりではなく、医療の必要な患者さんが多かった。病院でなければ、すぐ死んでいただろう。厚労省の言う“医療の必要性のない社会的入院の患者”というのは、実際にはかなりの医療処置が必要な患者であることを認識してほしいものだ。
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さて、長くなったが、本来、ここで話したかったのは、リハビリの話。
ある、私立病院のリハビリ担当者(言語療法士)の話。
「メチャメチャですよ。数年前には、リハビリ室の基準とか急に厳しくなって、病院ではリハビリ室を拡げ、言語療法室も複数つくった。病院内は工事ばかりでした。そうすれば、点数が高いので何とかモトを取れると思ったんです。ところが2年ほどで、その基準はまたどうでもよくなった。広い部屋はいらない。それより数をかせぐしかない。だから、また部屋の一部を別の用途に変えたり、言語療法室もひとつ別の用途に変更したり...。それでまた工事ですよ!。点数はコロコロ変える、施設の基準もコロコロ変える、おまけに180日で打ち切りとか.....。現場の混乱なんて厚労省にはど〜でもいいんです。病院も、理学療法士も、患者も、ドタバタですよ。工事工事で院内はいつまでたっても落ち着かないしね。」
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要するに、施設基準なんてものは、10年,20年を見越して、一度決めたら安易に変えるべきものではないはず。だって建築、工事がかかわるんだから。
でも、厚労省は、医療費の増減に従って、あの手この手で制度をいじる。つまり、未来の展望は、金銭的な展望のみ。医療のグランドデザインが、国民ではなく財務省主導で描かれていることが大問題なのだが,厚労省がせめて国民に歩み寄る姿勢を見せれば、もう少しましな医療ができるのではないか。医療崩壊がこれ以上進んでは、ホントに国民の命が危ない、それをいつまで訴え続けなければならないのだろう。
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Asahi.comから二つばかり、気になる記事を見つけたので、読者も御検討頂きたい。
まずは、75歳以上に「かかりつけ医」を、という話題。それにしても、随分お世話様、と言いたくなるこの制度。国民は、いよいよ厚労省の指示どおりの医療しか受けられなくなるのか?。そして、開業医は厚労省の路線に無理矢理乗せられるのか?。日本医師会はこのような動きに追随するのか?。それとも、密かに開業医に有利な医療状況を作らせようとたくらんでいるのか?。
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75歳以上に「かかりつけ医」 厚労省、新制度を検討
2007年03月03日11時31分
厚生労働省は2日、75歳以上の高齢者向けに、公的な「かかりつけ医」制度を08年をめどに創設する方向で検討に入った。特定の開業医が患者の心身の状態を普段から把握し、外来診療から在宅ケア、みとりまで対応する。患者が信頼できる医者をもつことで、入院から在宅治療への高齢者医療の転換を促し、医療費を抑制する狙いもある。患者への協力を求めると共に、かかりつけ医に支払う診療報酬を手厚くして普及をはかる考えだ。
06年の医療改革で、75歳以上の後期高齢者を対象とした新しい保険制度を08年に創設することが決まっている。厚労省は今秋までに独自の診療報酬体系の骨格をつくる予定で、すでに方針を固めている外来の「定額制」とともに、かかりつけ医の導入をその柱とする。
かかりつけ医の条件は(1)高齢者が抱える複数の疾患を総合的に診断・治療し、必要なときには心のケアも行える(2)介護保険のケアマネジャーらとも連携をとり、患者の生活に合わせた在宅療養のアドバイスができる(3)積極的な訪問診療を行う(4)痛みを緩和するケアなど末期医療に対応できる、など。
厚労省は、こうした条件を満たす医師を公的に認定。患者の合意を得たうえで「かかりつけ医」として扱い、診療報酬体系上、それ以外の医師に比べて優遇する。
かかりつけ医の認定については、麻酔科医のように厚労省が認定する資格とする、学会や日本医師会が認めた資格を法律上でも効力を持つものとする、などの選択肢があり今後検討を進める。
かかりつけ医を持つかどうかは高齢者本人の意思に任せるが、できる限り利用を勧める。かかりつけ医がいる場合でも、病院など他の医療機関も直接受診できるようにする方針だ。
また、24時間往診や短期入院、終末期の緩和ケアなど、かかりつけ医だけでは対応しきれない場合の支援態勢も整え、在宅を基本とした長期療養の体制整備も進める。
日本医師会は今年1月に発表した指針で、「住民の住み慣れた地域での在宅療養」を支えるため「かかりつけ医機能の充実」を提言。だが、開業医でも専門分野ごとに細分化が進んでおり、患者の心身を総合的に診断できる医師は少ないのが実情だ。
このため、かかりつけ医に必要な緩和ケアなどの技能を身につけられるよう、開業医に対する研修制度も充実させる。
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最後の、開業医に対する研修制度、というくだりに、いかにもという、行政のニオイを感じるのは私だけだろうか。かかりつけ医になるための認定制度といい、研修制度といい、役人天国をまだ増産しようというのか?。これを締め付けと言わずしてどうする?。ま、医者の中にも、「この制度に乗ったら儲かるんか?」という程度の興味しかない人種も結構いるのは事実だが....。でも、これで高齢者が喜ぶ医療ができるのか?、と考えた時、私は悲観的にならざるを得ない。
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さて、次は、さらに本格的な?締め付けを予想させる記事だ。
医師の行政処分に「戒告」新設 新年度から厚労省
2007年03月05日19時05分
厚生労働省は新年度から、医師や歯科医師に対する行政処分を厳しく見直し、従来の「免許取り消し」と期限を区切った「医業停止」に加え、過失の小さい医療ミスなどに適用する「戒告」を新たに設ける。行政処分はこれまで、一定の刑事責任を問われていることなどが前提だった。今後は処分対象者を広げる一方で、処分を受けた医師がミスを繰り返さないように再教育を義務づける。
医師の行政処分は、厚労相の諮問機関「医道審議会」で決まるが、長年、罰金以上の刑事罰が確定した場合などが対象となっていた。同審議会は02年12月、民事訴訟で明白な過失が認められた場合も処分対象に追加。しかし、軽度の医療ミスを繰り返す「リピーター医師」などが処分されるケースは少なかった。
厚労省は、医師法と歯科医師法を改正。刑事事件に至らない医療ミスは、これまで医師の経歴に残らない行政指導で対応してきたが、今後は医業停止にはならないものの、戒告の対象とする見込みだ。医業停止期間はこれまでの最長5年から3年に短縮し、それを超えるケースはすべて免許取り消しとするなど、全体として厳しく対応する。
また、処分には調査が必要なため、行政の権限も強化。医師に対する事情聴取やカルテの閲覧、医療機関への立ち入り調査などを強制的にできるようにするほか、調査を拒む医師には50万円以下の罰金を科す。全国8カ所の厚生局・支局に、医師免許を持つ調査専門の職員も配置する予定だ。
一方で、厚労省は処分を受けた医師に再教育の研修を義務づける。医師のあるべき姿や医療制度などについて学ぶ「倫理研修」、ミスを犯した医療行為について医療機関で再学習する「技術研修」などを想定。なぜミスしたかを本人に考えさせて研修計画を提出させることも検討している。
厚労省は4月からホームページ上で医師の名前、性別、医籍が登録された年月日を公表するのに合わせて、行政処分の内容も掲載する。研修期間が終われば処分歴は削除される。
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声を大にして言いたい。ミスが極めて起こりやすい医療環境を整備したのは厚労省である。厚労省の政策ミスのオトシマエを、またまた現場の医師に押し付けようという魂胆らしい。この国の医療ミスの原因として、圧倒的に重大な問題は、人員不足である。これは、科学的エビデンスに基づき証明された事実である(何度もM3comの中に出てくる)。それを、「処分」し「研修」させてますます人員不足に拍車をかけて、医療崩壊をより迅速に達成しようというのが厚労省の方針だ、ということだ。もとより厚労省は自らの責任を全く認めることのない組織である(HIV、C型肝炎、B型肝炎、薬害エイズ、アスベスト、社保庁の狼藉など、その論拠となる事例には事欠かない)。その無責任の象徴ともいうべき省庁が、医療現場に責任を平気で負わせることだ、と考えて間違いない。ひどい国だと、これでもあなたは実感しないか?
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