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「病院の窓から悲しいニッポンが見える」=====これは、今からおよそ10年前1998年に、私が或る同人誌に寄稿した文章です。当時公立病院に勤務していた私は、もちろん、病院に関係なく思ったままに書きました。しかし、たまたま投稿を知った同業者から、「あんなこと書いてええんか?」と、随分心配されたものです。また、さらに病院職員にも知れることとなり、陰口をたたく者もいましたっけ...。
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そんな文章ですが、読み返してみると、ほとんど今、訴えていることと変わらないことに気付きました。ただし、介護保険はまだ導入前でしたが,,,,。10年前の警鐘は現在につながっていることを感じていただけたらと思います。
...それでは、本編です(出だしの自己紹介など一部割愛しています)。
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・・・・・・今日は政治がらみのお話もさせていただきますが、政治団体とは一切無縁ですのでご安心を。
 実は、私達医療従事者にとって目下の最大の敵は、医療政策そのもの、あるいは行政システムにあると言えます。かつて親方日の丸といわれた公立病院でさえ、政府の極端な医療費抑制政策のために年々収益が悪化するので、経営改善のための会議が恒常的に開催され、どうしたら外来患者が増えるか、どうしたら空きベッドがなくなるか、といった相談に時間を奪われます。
 民間病院では、各医師の稼ぎ高を毎月棒グラフで掲示することろもあるそうです。また、ある地方の民間病院では、病床占拠率が90%を割り込むと「えらいこっちゃ」と事務職員が入院を希望している人がいないか近所を訪ねて廻るという噂もあります(多分、嘘ではないでしょう)。一方、全国の病院長が集まるような会議では、非常に収益の良い病院が、患者一人当たり何万何千円を稼いでいる、と自慢しているそうです。でも、何だかすごく変だ、とは思いませんか?
 新聞を見ると、医療費高騰、高齢者医療が特に突出、などとしょっちゅう書かれていますね。結局、厚生省は医療費を減らしたい(大蔵省は医療よりも銀行やゼネコンが大事で医療費をこれ以上出したくない)(注:今なら厚労省、そして財務省+金融庁ですかね)
ために、真綿で首を絞めるように検査や主義の保険点数を毎年(毎年ですよ!)少しずつ改定してきたのです。その改訂が患者さんにどのように影響するかということは全く考えていないでしょう。
 すると、全国の病院ではどうすれば収入減を補えるか、どんな検査の組み合わせがよいか、などと「傾向と対策」を練って収入を増やそうとするわけです。これが行き過ぎればいわゆる検査漬け、薬漬けの医療となってしまいます。さらに、厚生省は、国が支払う金を減らすために、実にさまざまなナントカ指導料という書類を書いては患者さんから金をとる、という方法を導入してきました。
 昨年の秋に医療費が上がってお困りの患者さんが多いでしょうが、面倒くさい書類を山ほど書かされる(それをしない病院はどんどんつぶれろ、というのが厚生省でしょう)われわれ医師もほんとうに困っているのです。
 もっと困るのは、採血を1回で済ませようと多くの項目を検査すると点数が削られる、といったことです。総じて良心的に医療をすればするほど病院がつぶれやすい、ということです。まあ、言い出せばきりがないので次に行きましょう。
 皆様は介護保険に賛成ですか? 介護保険の導入に伴い、病院医療が大きく変わる可能性があるのですが、今だにはっきりしないことが多すぎて、われわれ医者は非常に困っています。先日ある介護保険の説明会に出席したのですが、開業医の先生たちもホンネは「こんな中途半端な制度を導入してええんかいな?」と思っているようで、私はほっとしました。(注:ちょうどこれから介護保険が導入されるところでした)もっとホンネを言えば、年金制度の維持もできないような省庁が、金に困ってじっくり考えもせずに提出した法案を、多くの問題点が指摘されているにもかかわらず、あっさり通してしまったこと自体誰も納得できない、ということでしょうか。
 また、長期療養の必要な老人も最近は3カ月程度で転院を迫られる(注:今はもっと極端に短いですよね)ケースが増えました(そうしないと一般病院はもたない制度なのです)。そして、転院先がいわゆる定額制の老人病院だったとすると、薬も検査も込みで1か月いくらと決まっていますので、それらの病院では検査も薬もないのが一番儲かる仕組みです。一般病院で10種類の薬を飲んでいた患者さんが定額制の病院では2種類くらいしかもらえない、熱が出てもなかなか治療してもらえない、という悲劇は全くの現実です。こういう病院を政策的に積極的に作ったのは厚生省です。
 高齢者の医療費が増えたのは高齢者が悪いのでしょうか? 高齢社会になって多くの病気を併発する患者さんが多いのは当たり前ではないでしょうか。また、脳梗塞、心筋梗塞、癌など、下手をすれば命取りになる病気を予防するために、高額な最新機器で検査をするのは無駄でしょうか。無論、やりすぎはいけませんが、多少、医療の進歩に伴って経費が高くても、命を守れればいいではありませんか。むしろ、中途半端な検診や異常に高額なドックなどやめて、人生設計の中に医療をうまく組み込んで、若いうちから予防に徹する治療なりライフスタイルを確立すれば、長期的にみて医療費はそれほど増えないでしょう。(注:このころから、私は検診、ドックなどではなく、制度として医療保険でやるべきだと信じてました。今でもそうです。メタボ検診など愚の骨頂!)
 元気老人が増えて労働力、ボランティアとして活躍すればむしろプラスかもしれません。また、そんな世の中なら今よりはるかに税金の使い道も国民が納得できる状態になっているでしょうから、多少税金が増えたって皆さんO.K.と言うでしょう。
 ところで皆様は先日の参議院選挙の結果をどう思われたでしょうか。自民党の歴史的大敗、そしてそれに続く自民党総裁選の混乱や自民党支持率の低下(ついに1位の座を明け渡す)を連日マスコミが報道しています。この原因としては経済政策の失敗が最も大きいといわれています。
 しかし、病院に勤務する私としては、経済も含めて社会不安の要素が重要だと思います。自分が病気になっても、どんな医療や介護が受けられるか分からない、という不安は案外大きいのではないでしょうか。今現在困っている人も多いはずです。(注:現在はさらに不安が増してます。あらゆるセーフティネットを破壊し尽くしたのは自民党じゃないですか?)これに加えて、経済再建を叫んでみてもまたまた公共事業中心で、医療や福祉は後回し、減税にしても赤字国債は増えるばかり、年金も銀行も貯金も生保もデタラメときては、不安にならないほうがおかしいでしょう。
 ということは、医者の世界でいえば、とんでもないヤブ医者が誤診を重ねて患者の状態が悪くなった、ところがその医者は誤診を指摘されても誤診に基づく治療をさらに続行しようとした、ということで、まず普通の人なら別の医者にかかるはずです。
 むしろ心配なのは誤診だらけの医者と分かっていても、そろそろ反省していい治療をしてくれるだろう、とばかりに相変わらずその医者にかかり続けようとする(つまり自民党に投票する)人が意外に多いことです(注:日本人はほんとに政治感覚がおかしいと思います)。むしろ、過去の汚職事件など絡んだ選挙戦の時に国民がもっとはっきりNOを示せれば、こんなことにならなかっただろうと思います。結局、政権を担う党は、つねにもっと厳しく評価を受けなければ改革されない、という事実を国民が理解すればいいのです。
 さて、随分自民党を批判したかもしれません。もう一度自己弁護しておきますが、私は今のところ特定の政治団体と関係を持つようなことは一切しておりません。
 私は医師が(あるいは病院が)患者を守れる世の中であってほしいと熱望しています。とKろが近年良質な医療を提供したくても、思うに任せないことが噴出する如く多数出て参りました。この原因を私の回り切らない頭で考えると、やはり政府のやり方がおかしいとしか言いようがないのです。むろん、公立病院の場合、政府だけでなく、自治体あるいは地方官僚のあり方、考え方も重大ですから、政府だけを責めるつもりではありませんが、少なくとも今の厚生省の医療改革の方向は、患者に対してきわめて危険な状況を強いるものになる恐れがあります。そのことを少しでも多くの人に知っていただきたいと考えています。そして、自民党には戦後の日本を復興させた自負があるのなら、せめて戦後を支えた国民が、少しでも幸せで安心して老後を迎える社会システムを構築してほしいと考えています。今のままでは絶対に多数の犠牲者が出るでしょう。(注:悲しいことにホントに多数の犠牲者が出てしまいました。大野病院も奈良の転院拒否も実際はコレですよ!)
 私は阪神大震災以来、行政の不手際で多数の死者が出る事件が多く報道されているような気がします。今、進められている医療改革がまたしても「行政殺人」にならないよう小さな声ではありますが、少しでも広く届けたいと思います。(注:「行政殺人」はただいま進行中です!)
 ところで、日本医師会という団体があります。多くの人はこれが医師を代表する団体だと思っておられるかもしれません。しかし、私を含め、大多数の病院勤務医は日本医師会に加入していません。残念ながら、日本医師会は主として開業医のための営利団体だと陰口を叩かれ、自民党への最大の献金団体だとも噂されています。日本医師会が真に日本の全ての医師を代表する団体となるよう古い体質を改善し、もっと患者(あるいは国民)の声に近づくようなら、もう少し未来が見えるかもしれません。ですが、今のままでは多分無理でしょう。私たち医者ももう少し世の中の勉強をしなければならない時代だと思います。最後に、私が医者向けに作った、恐い標語をお教えしましょう。
 「医者もいつかは高齢者。あなたもきっと捨てられる!
 こんな世の中にならないよう皆で助け合って頑張りましょう!
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いかがでした?。10年前の作品でした。あのときの危惧が...まさしくそのまま続いて現在の医療崩壊につながってしまった.....私は、予見しながらそれを阻止できなかった、その重い責任を感じています。  私たちの世代がもっと頑張って、今の若い医者がもっと元気良く堂々と医療に邁進できていたら.....その気持ちがあるからこそ、ブログを続けられているのかもしれない......。

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