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がんが進行すると元気がなくなり、体がだるくなる。食欲もなくなる。でも、美味しいモノを食べて、しばし元気になることもある。先月、そんなことを実感する機会があったので、書いてみたい。
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患者さんは70代女性。大腸ガンの発見が手遅れで、すでに多数の肝転移があり、先日はリンパ節?転移で尿管が圧迫され、腹痛で大騒ぎとなった。結局、いやがっていた入院という事態になってしまい、現在まで入院が続いている。
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彼女(患者さん)は私の両親の知人、ということで、約1年前にたまたま尿管結石の衝撃波治療が何度も失敗に終わった際、我が家に両親を訪ねてきていたのだ。そして、衝撃波治療がやっと成功したのを機に、私のクリニックの患者となったのだった。それまで便秘や腹部ボウマンが強く、自宅に近い総合病院でいろいろと検査を受けて来た(注腸造影も!)。
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私のところへ来られてからしばらくは比較的調子は良かったのだが,数ヶ月後、また便が出にくいということで、某病院に大腸ファイバーをお願いした。.....そして、悪夢のような進行がんがみつかった。ファイバーが通過しないところまで進行していた....そんな..注腸で大丈夫だったじゃないか....私にとっても相当なショックであった。
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彼女は独身。一人暮らし。身内と付き合うのは好きではない。それに、非常に気丈な人で,進行がんでも絶対とことん一人で暮らす,と宣言をしていた。−−だが、排便を確保するための手術は成功したものの,完治ではなく,すでに肝臓には転移があり、見通しは厳しいものだった。彼女は、「人工肛門でなくて済んだだけでもありがたい。でも、術後の化学療法は拒否しました。」と笑顔で話していた。
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彼女のがんばりとは裏腹に、がんは進行した。彼女は「病院の主治医から肝転移は順調に(?)育っていると言われました。」とにこやかに話していた。そして、リンパ節転移?から尿管圧迫、腎盂炎を起こし,強い腹痛と発熱のため,入院となったのだ。
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最初に見舞いに行った時は、消耗した表情で、すっかり生きる気力をなくしていた。だが、尿管にステントを入れるなどの治療が奏効してからは、「痛みさえなければ動けます。」と少し明るさを取り戻していた。ただし、モルヒネやデュロテップなどの麻薬は離せない状態であった。
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先日、日曜日、両親の元へ彼女がやって来た。「あれ?、入院してたんですよね?」「はい、外出はどんどんしてもいい、って言われましたから。」彼女は意外に元気があった。「もう、退院して一人で暮らすのは無理と悟りました。主治医の先生の言う通りにしますわ。」そりゃあそうだろう。痛がっていた時は苦痛に顔をゆがめていたからなあ。−−−−そして、両親と、ごちそうを食べに行く話がまとまり、私もお付き合いすることになった。
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彼女は若い頃から肉食が好きだった、ということで、両親と私が選んだのは、「しゃぶしゃぶ」だった。ホントに食べられるかな?、と心配したが、約束の日、彼女はすごく嬉しそうに現れた。「ものすごく楽しみにしてたんですよ!」「いやあ、元気で良かった。この店のお肉は結構おいしいですよ。」「私、お肉も好きだけど、ちょっぴりお酒も飲みたいんです。」....(あの〜、入院中..ですよね?、と言いたいところだったが、笑ってごまかした)...==========================さて、いよいよ食事!。彼女と私の家族と私の両親、計6人。大皿で運ばれた材料を次々鍋に入れ、満腹になるまで堪能した。彼女は,と言うと....ニコニコして、大量ではないものの結構な食欲を見せ、さらに、ひれ酒を注文して、2杯ものんでしまった。(ありゃ〜、もう知らないよ〜、入院中なのに,,,と言いかけたが、彼女の満足そうな笑顔を見ると、とても言えなかった...)
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「今日は良かった!。病院の食事ばっかりだと、どうも元気がでなくって...。それに、いつもひとりでしょ?。今日は先生達とみんなで贅沢ができて、ほんとに楽しいひとときでした!」−−−久しぶりのアルコールでちょっとふらついたりしながらも上機嫌の彼女。やっぱり、こんな時間は必要なんですよね。病院へ戻ってゆく彼女の後ろ姿は、まだまだ生き続けるぞ!って言う感じで、来た時よりずっと生命力が強くなっている印象でした。−−−−彼女は、今も頑張って、元気に生きています。

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