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−−−<<とある研究会の新年会での会話>> −−−−−−
“先生は大学に戻ってるんだね。仕事は忙しい?”
「いやあ、民間に10年以上いましたからねえ。カルチャーショックは随分ありました。」
“それは、診療以外に研究とか学生の講義があるから?。会議が多い?。”
「あ〜、それもありますけどね、救急の方がひどいかな?。」
“ひどいって?”
「そ〜ですね、..あ、先日の例なんかわかりやすいかな?。」
“え〜?、どんなケース?”
「70代の女性なんですけど、突然左の頚部に激しい痛みを生じ、間もなく左の上肢の麻痺、ついで下肢の麻痺を起こして運ばれた患者なんですけどね...」
“頚部痛か...椎骨脳底動脈の解離とか、ひどい頚椎症とかまず浮かぶけどね。それで、麻痺起こしてるんだから脳梗塞(解離性動脈瘤からの塞栓?)”
「ただね、顔面の麻痺がない..Horner徴候はあるようなないような微妙な感じで...、それと、感覚障害はにみたい...」
“う〜ん、難しいね。テント上か下か、それすら分かりにくい症例か。で、検査は?”
「それが...日曜の夜10時頃の話でして、ウチではCTしか撮れない。」
“え〜っ何で?。MRI必要でしょう?。大学病院の救急でしょう?”
「それが...ウチでは夜間・休日はCTしか撮れないんです。それも神経内科医が頼み込んでやっとO.K.。他の内科が頭痛なんかで頭のCT頼んでも、まず撮ってくれない。一応、土日は技師2名体制ですが、そもそも、CT担当技師はMRIほとんど撮れない...。」
“(横から某日赤系医師が)それ、ウチではあり得ない。深夜でも土日でも必要なら技師叩き起こして絶対撮りますよ。それに、どの技師さんもCTもMRIも撮れるよ。”
「大学では研究目的もあって特殊操作が必要だから技師さんも専門化してるんですよ。」
“大学の救急体制ってやっと充実したんじゃなかったのかな?”
「確かにある程度はね。でも、民間病院の常識は通じません。上申書書いてもハネつけられます。組合強いからかなあ。あ、それで、もし脳梗塞なら発症3時間以内にtPA流して血栓溶解療法するつもりだったんですが....その患者さん、やっとCTとったところで3時間ギリギリだったんですよ。もう困って、あちこち相談しました。で、最後は、tPA諦めました。」
“キビシイねえ..”
「でも、結果オーライでした。実は、翌日MRI撮ったら第3〜5頚椎レベルあたりのepidural hematoma(硬膜外出血)だったんですよ。」
“そりゃあ珍しい。でも、よくtPAとどまったね。”
「MRIなしでホント困りました。結局は脳梗塞だと診断しきれないからあきらめたんですよ。まあ、それはそれで良かったんですけど、...大学はこういうとき入院させるのも大仕事なんですよ。」
“どういうこと?”
「看護師は時間外に入院させようとすると、ものすごく文句を言うんですよ。こんな時間に、私たちが責任持って仕事できないの分かるでしょ?、ほかにも重症がいて、目がとどきませんよ、とか、点滴の準備するのも時間が足らない、とか、とにかく頼み込んで入院させてもらってるって感じですよ。」
“(横から某日赤系医師が)それ、ウチではあり得ない。どんな状況でも入院が必要でベッドが空いていたら、絶対入院させますよ。看護師がメチャメチャ大変なことはよくわかってますよ。でも、患者がいる以上、仕方ないよね。
”「ボクも民間にいたときはほぼそうだったんですが、大学では看護師強いっすよ!。もうヘトヘトになりますから...」
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人手がないことの大変さ、どうしたらわかってもらえるんだろう?。救急の現場は確かに困ってます。そして無理して万が一、ってことがあったら、すぐ訴えられ、逮捕される。これじゃあ、医者が病院から逃げるのは当然!!。
”(横から某日赤系医師が)ハッキリ言えば、ボクらが医者になった頃って、病院で忙しく働いていても、例えば50歳になったら当直は免除される、とか、外来は増えても、入院患者の担当はうんと減る、そんな不文律があって、頑張ったらご褒美があったのね。ところが、今は医療費削減、人手も削減で、年とっても忙しさが増えるばっかり。いくつになっても当直から逃れられない、入院患者の担当も減らない、外来患者は増えていく、書類書きが急増した、会議がどんどん増える、もう、しんどくなるばかり。おまけに、ボクらは、経営会議とか、収支がどうのだとか、病院借金がどうだ、人事がどうだ、そんなことが大嫌いでひたすら臨床をやりたいから病院で働いてるんですよ。それが、今やどこの病院でも経営に関わる会議で今後の診療をどうするとか、嫌な話で長時間潰される。勤務医に未来なんてない、と感じることばっかりですよ。どんどん開業なんかに走るのは当たり前。ますます病院の医者はいなくなりますよ。カネさえもらったらガマンできるかって、こんなに忙しかったらいつミスが出るかわかりませんよ。訴えられるくらいなら辞めますよ。こっちが生命の危険感じるほど働いて、それで有罪なんて、そんな人生誰が望みます?。使命感はありますよ。あるから今までがんばってるけど....ボクだって限界寸前ですよ。”
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開業医ばかり増えても日本の医療は良くなりません。病院がうまく機能しなきゃあオチオチ開業もしてられません。でも、潰されるよりマシ、患者さんの訴えをじっくり聞いて心を通じ合わせることは医者としてほんとに嬉しいことです。そんな医療にもどってくれないかな?......みんな悩んでます。(注:初発症状右と左を間違えてました。すみません。)