それほど注目していなかったんだけれど、何となく新聞のテレビ欄見てて目に止まったのが、読売テレビのドラマ“恍惚の人”。有吉佐和子原作で、昔、話題になったのをリメイクしたもので、期待とか特にはしてなかったんだけど,,,,。でも、三国連太郎の演じる恍惚の人、何だかウチのオヤジがもう少し歩けてた頃の姿とどこか似てるところがあって、そして、勤務医時代の患者さんを何人か思い出したりして、....ああ、何だか気持ちが重くなっちまった。三国連太郎はやっぱり味があるね。お嫁さん役の竹下景子の演技もまずまずよかった。ちょっと気に入らないところもあったけど、でも、現実にありそうなシーンが結構あった。............わけのわからない患者さん、途方に暮れる家族、施設に入れようかどうしようか、何とかもう少し入院をのばしてって言うのに退院させられる、一般病棟に痴呆の患者は入院させられませんって断られる、......う〜ん、現実にあったいろんなシーンが浮かんできたぞ。=====================================================認知症の患者さんを大病院に連れていったら、入院を断られたことありませんか?。難しいんだよね、これが。果して一般病棟に入院して管理できるか?ってことがね。ボクは看護婦に無理を言って結構入院させたんだよね。それで婦長から随分叱られた。24時間目を離せない患者を入れて、夜勤の看護婦がどんなに大変かわかりますか?ってね。40〜45人の患者が入院している一般病棟。ほとんどいつも重症患者がいる。看護婦たった2人で夜中も定期的に各病室を廻っている。もし、徘徊して行方不明になる患者がいたり、転倒して骨折してる患者がいたら、...全員を24時間見張るなんて100%不可能。ボクもイヤというほど分かっている。でも、とりあえず入院させないと家族が倒れてしまう、そんなジレンマは年中経験した。実際に、病院の前の大通りの向かい側を歩いてました、とか通報があって、看護婦が血相を変えて院外まで走って探しに出たり、勝手にトイレへ行って倒れて大腿骨頚部骨折を起こしているのを発見して、家族に連絡して家族の到着を待つときの何とも言えない無力感、etc.。ホントつらかったなあ。訴えられる不安もあったしね。どんなに頑張って看護、治療していても、ほんの数分目を離した隙に事故は起るんだ。これ、基本的には全部受け入れた病院の責任ではあるんだ。幸い、一度も訴えられたことはないけどね。......だから、この病院では無理です。精神科か老人専門の病棟のある病院へ行って下さい、って断られた、という話は患者さんの家族からよく聞かされました。たとえ短期でもボクが受け入れたら患者さんの家族はホントに喜んでいたんだ。看護婦は泣いてたけど...。===========================================================その病院から精神科主体で内科もある病院に転勤したら、そこはすごかった。超高齢者、認知症、精神科患者、およそ一般の内科病棟では絶対断りそうな患者さんがどんどん運ばれてきたもんね。まあ、それで一段と自信が付いたこともあるんだけど。まあ、大抵のことには驚かなくなった。鍵のかかる病棟も全く違和感なくなったしね。とにかくこういう患者さんが高齢化社会で増えていく。全部医療が必要な人たちだよ。療養型病棟なんかで医療のほとんど必要ない人、なんて、そういう一般病棟でまともに患者さんに向き合ったことのない医者(特に大学の先生とか)の意見を取り入れて厚労省が医療費削減に利用しているだけなんだよ。事実を知らない者の意見だと思う。だから高齢者、寝たきり患者などが差別され、見捨てられようとしてるんだよ。第一線の救急で疲弊している医師も、こういう面は知らない。だって、見ていないもの。たとえ認知症でも、治療しなくていい、ってことはないんじゃないの、とボクは思っている。========================================================あと、番組の中で医学的に気に入らなかったところ。夜間徘徊や夜間頻尿で家族が夜中に起こされて仕方なく医者に「安定剤」をもらったところだ。夜間の異常行動に「安定剤」は禁忌です。全国放送なんだから、影響を考えて、正しい知識を入れてほしかった。正しくは鎮静剤(メジャートランキライザー)だ。次に使うなら抗ヒスタミン剤かな。ボクは最近、古い薬だけど、ドグマチールってのが気に入っている。胃薬でもあり、夜間の興奮を抑えるし、眠前1錠からはじめれば過鎮静(効き過ぎ)にはなりにくい。ただ、長期使うとパーキンソン症状(錐体外路徴候)が出てくるので、少量の抗パーキンソン薬を併用(ボクは朝に使うことが多い)することを考慮しなければならない。=======================================================考えさせられることが(あるいは思い出させてくれることが)多い番組だった。あなたにも役立つかも。
固定リンク
|
コメント (0)
|
トラックバック (0)