NHK教育テレビのETV特集、「なぜ医師は立ち去るのか?--地域医療“崩壊”の序曲」を見た。(10/7、午後10:00〜11:30)毎日新鮮!の“まるべ”さんも書いているように、地域医療の苦しい現状について、自治体病院の問題点を中心に報道された。ひとつは、某町の地域医療を支え、診療所を患者本意に発展させた医師が、3町合併で予算を大幅削減されるにあたり、町長があまりに現場に対する理解がないために、診療所を去ってしまった話。ただし、以前放送された内容にちょっと付け足した程度と見えた。つぎは、有名になってしまった舞鶴市民病院。若い医師の教育に情熱を燃やした副院長(内科医)が、舞鶴市の姿勢に我慢できなくなり辞職してから、半年で14名いた内科医が全部やめてしまった。そして夕張市民病院。こちらも市が赤字再建団体に落ちぶれて、予算もなくなり、どんどん縮小されている現状をつたえた。================================ひとつひとつは、初めて見る人にいろいろと医療と行政の考え方のギャップを比較的よく表現していて、それなりに有意義かと感じた。しかし、まるべさんも言っているように、掘り下げ方は足りない。第一、自治体病院がどんどん赤字に陥っている原因は、やはり政府自民党、厚生労働省の医療費削減政策にある。働いても働いても赤字が増えて、労働環境は逆に泥沼化している現状は全くと言っていいほど伝わらなかった。ひとりの医師が、「厚労省が自治体病院が赤字になるように政策誘導している。」と言い放ったことは、非常に重要であるにもかかわらず、番組の中では印象に残らないものにしてしまったのは減点対象。さらに、医師不足や、新しい研修医制度の影響も大きいことにはほとんど触れなかった。つまり、医療制度全般について、根源的な問題には触れなかったことが残念だと思うのだ。自治体病院の問題については、今回、行政がいかに医療現場、患者の立場を理解していないか、行政がいかに金銭的な問題だけで病院を評価していたか、そして行政は数字だけを追って病院を追いつめることは得意だが、医療の質、その地域に合った医療施設のあり方といったことには全く無力であることは、真剣に見た人には伝わったかもしれない。私自身、今は廃院にされてしまった自治体病院に長く勤務していたから、京都の行政も結局同じであった、ということを改めて実感した次第である。しかし、医療崩壊は、政府、厚労省が本気で改心しない限り、これからも進行してゆく。これは紛れもない事実である。医師や看護師はマゾヒストの集団ではない。患者の命という重い命題を背負うからこそ重圧に耐えていたが、これ以上ガマンを重ねることはできないだろう。先進国といいながら、医師数は世界で63位の低開発国なみでは、先進医療を支えることは困難であろう。国民が望むハイクラスの医療のためには過去よりはるかに多くの人材が必要であり、現場で働くだけでなく、若い才能を伸ばす教育、研究開発の国際競争力を維持する高度研究にもより一層の人材育成が必要なのだ。IT、ITとわかったような口をきく政治家も、ITを国民の命のために生かす医療という分野を軽く見ては困る。すでに犠牲者は全国に多数出てしまったが、今からでも遅くない。先送りせず、すぐ見直してほしい。これは、国民の声であるはずだ。
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