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厚生労働省は来年度からがん対策、痛みに対する緩和治療に本格的に乗り出す、という。医療用麻薬の使用法のマニュアルやら講習会、さらには患者や家族を対象にしたシンポジウムなどが予定されている。また、在宅での緩和医療を推進するための「在宅緩和ケア支援センター」(仮称)の設置も進めるという。その他,がん診療連携拠点病院の機能強化、がん専門医などのスタッフの育成、さらには都道府県が地域の特性をふまえて推進するがん対策事業に財政的支援をする、などの方針が示されている。===================================個々のプランはそれなりに評価されてよいものではある。しかし、読んでいて不安を感じるのも事実である。================================麻薬の使用法のマニュアルや勉強会は、なにもわざわざ厚生労働省が企画しなくてもよいのでは?。マニュアルなどとうの昔から整備されている。勉強会も少なくとも大都市なら毎年開催されている。むしろ問題は、患者とじっくり向き合い、薬の効果を頻繁に観察しながら投与量を調節する、というあたり前のことをするには、多くの医者は忙しすぎる(つまり人手がない)ということではないか。痛みを緩和する必要のある患者はほとんどが重症で終末期へ向っている人達である。心のケアは、本人にも家族にも必要であり,経験を積んだ医師が時間をかけて対応しなければならない。ところが、現実には、外来、検査、手術、救急対応、日直当直、会議、研究(実験)、学会出張、頻繁な会議、あまたの書類書き、極めて多数のおよそ患者をじっくり診るヒマもなく走り回っている間に,ホンのわずかな時間で対応しているのが現状ではなかろうか。専門医を育成するのも非常に重要だが,がん専門医といっても、日本では大多数は、消化器の専門家、呼吸器の専門家、産婦人科の専門家、血液の専門家などが、がん治療を行っており,がん専門医を多少増やしたから状況が変わるというものでもない。医師にもう少し考える時間,勉強する時間を与え,個々の患者ともう少し長い時間接することの出来る環境を作らない限り、進歩はない。国内のごく限られた大病院でのみ目に見える効果が出る可能性がある,ということだと思う。======================================私自身は,勤務医時代、神経内科医でありながら、家族の強い要望で消化器がんや肺がんの終末期医療に取り組んだことがある。専門家ではないのでモルヒネを使うには忙しい中、マニュアルを読んで用量設定をしなければならない。患者の状態をなるべくまめに見に行こうとするのだが、多くの患者を抱え,思うに任せなかった。もっとも、仮に他の医者に頼もうとしても,彼等も同じくらい忙しく疲れていたので、知識は持っていても,患者と家族の要望に十分答えることは難しかっただろう。==========================================在宅もまた同様で,ハッキリ言って、在宅とは最もカネも時間も人手もかかる環境と考えた方がいい。要はまず十分な人的資源だ。それによって、考える時間、患者と向き合う時間が保証される。人手によってミスも少なくなる。(医療ミスを減らす確実な方法、エビデンス(確証)のある方法というのは、人手を増やして余裕を持たせること以外には存在しないはずである)−−−−−−−−−「在宅緩和ケア支援センター」(仮称)のように○○センターというのを建設して事業を推進する、というのは行政がものすごく大好きな?手法であるが,残念なことに,立派なハコモノが出来た、という以外、あまり実効性のないことが非常に多いのだ。今回計画されているセンターは、ほんとうに機能するのか,それとも莫大な建設費、人件費をそのまま医療に注ぎ込んだ方がよっぽどましなのか、その中身には大いに注目すべきである。

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