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2006.08.11 00:05 |  診療  |  研究  |  仕事 / 職場  |  その他(一般)  |  Doctor Takechan  | 推薦数 : 3

脳循環(代謝)改善薬の総括

「徒然なるままに」というブログを書いておられる「沖縄の海」さんが、「薬は本当に効くのか」という記事の中で,かつて大量に出回った脳循環改善剤、脳代謝賦活剤がほとんどなくなってしまったことを解説しておられます。私も脳血管障害が専門で,これらの薬にかかわってきたので、思い出しながら総括したいと思います。================================================================まず、総論的に一言。私は大部分の薬は使ってみたが,結果として,ごく一部を除いてほとんど使わなくなって行った。その理由は?...だって、効いてると思えなかったもんで、仕方ないですね。====================================(1)アバンとカラン。脳代謝改善のアバンと循環改善のカランといえば、武田薬品が総力を挙げて売り出した薬。開業医、非神経内科医を中心に、ものすごく売れた。でも、私は初期に少し使っただけでほとんど処方しなくなった。理由は効いていると思えなかったから。そもそも、代謝改善をしたかったら、まず血流を良くしなきゃ。特に,血液さらさら効果の強いアスピリン(パナルジンも)がまず大切!、というのが私のポリシー。武田のMRさんの某絹代さんがとても素敵だったから使ってあげたい気持ちは強かったのだが,でもダメだった。前医でもらってたからどうしても、ってえ患者さんには仕方なく出したこともありましたが。要するに、他院でアバン、カランと処方されていれば,あ、こりゃあしろうとさんの処方だな,と思った。========(2)ヘキストール。旧ヘキスト社が相当力を入れた薬だったが,同社のトレンタールを改変しただけ,しかもトレンタールの方がまだ使う意義があると思われた。予想通り使ってあまり意義は感じられなかった。==========(3)モキシール。α1-ブロッカーだから、脳血管に特化せず循環器領域で適応をさがせばまだ多少は使えたかも。でも、脳にはそれほど効果が感じられなかった。=========4)フルナール。めまいに多少は効いた例もある。でも、副作用(パーキンソン様症状など)もあり、積極的に使うほどではなかった。===========(5)ブレンティール。これもわざわざ使用する理由のない薬。カラン同様、副作用ないからまあ一度使ってみるか。でもやっぱりいらないなあ、という感じ。==========(6)サブロミン。まだ、使った方かな。でも、それほど効果を期待出来るものではなかった。===============(7)セレポート(アルナート)。これは、抗うつ薬として開発される途中で脳循環の方が売れると思って,そちらの適応をとった薬。いわば弱い抗うつ薬であり、そのつもりで使えば多少は使えた。要は、わずかでも特徴があれば使う理由が生じたということ。でも、他の抗うつ薬に切り替えればもっと効いた訳だから、大したことはなかった。===========(7)オイナール(アポデール)。これは、軽い抗パーキンソン薬と考えて使えば、症例によっては多少は効いた。でも、もっと効く抗パ薬がたくさんあるので、さほど使用例はなかった。===========(8)エレン(ノイン)。これも漠然とした効能で、どういう患者に使えば良いかわからなかった薬。多少,抗うつ薬的なところもあったが積極的に使うほどではなかった。===============(9)リセルギン。古くからあるヒデルギンの長期作用型とでもいうか。でも、やっぱり何かに効いたという例はほとんどなかった。===============================================================他にもいろいろあるが、私の勤務していた病院で使ったことのあるものをならべた。要は、どんな薬も、効くかどうかよくみりゃあある程度はわかる、ということ。これらの中には、市販後調査ということで治験をして大学の研究室の研究費を稼がしていただいたメーカーもあり、あまり悪口を言うのははばかられる。でも、効かなくて消えていった薬なのだから、メーカーも了解されることと思う。でも、これらの治験で随分宣伝した先生達がいるのも事実。得意げに各薬剤の使い方を講演していた有名な先生達はどんな思いで消え行く薬剤を見守ったのだろうか。==========================================ちなみに、まだ生き残っているセロクラール(主としてめまい、ふらつきに)、サアミオンは全体の中では使った方だ。特にセロクラールは、特定の症状に使用する、ということで使う理由がまだあると感じている。私はかつて、内科の中でも各科で消えた薬をどれくらい使っていたか調査したことがある。その結果,神経内科が一番少ないことを確認して、胸をなでおろしたのである。やっぱりプロは使ってねえよ、って心の中でつぶやいたのである。

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