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開業医を受診するといくらかかる? 実は、今日の患者さんの中に、マッサージ1回5000円、整体1回7000円に時々通っているという人がいて、「それだけウチで払ってもらうのは勇気がいるなあ。それにしても高いなあ。医者よりよっぽど高いやんけ!」と思ってしまったのだ。まあ、高い、安いは個人の感覚。ともあれ、開業医(内科)にかかるといくら必要なのか、知らない人のために教えよう、ということなのだ。ただし、ウチがモデルなので、薬はすべて院外。つまり薬代は別である。また、点数で表示する。1点が10円。100点なら1000円。もし100点なら、1割負担の人は100円、3割負担は300円払う。払う額ではなく点数で表示する。=============================================================(1)おとなが風邪ひいて初診。−−−初診料:270点(ただし、時間外は355点、休日は520点、深夜は750点。6才未満ならさらに高くなる。)。電子化加算:3点(電子化加算は電子カルテやレセコンで業務をしている施設で、届出をしたところのみ)。処方料:通常7種類未満なので68点。その中に後発品を入れるなら70点(後発品を使わせるために政策として2点だけ高くしている)。よって、合計は270+3+70=343点。1割負担なら340円、3割なら1030円。====================================================ここに検査が入ると高くなる。(2)血液検査:末梢血液一般(赤血球,白血球、血小板)は検査23点+判断料135点。生化学1:肝機能、腎機能、脂質、電解質など。特に、GOT、GPT、尿酸、中性脂肪などポピュラーなもの約30種類はいくつ測定しても11点+判断料155点。コレステロールが入ると+17点、蛋白分画が入ると+23点などと、項目により増える。生化学2に分類される検査が入って来るとさらに高くなる。判断料135点+検査料。主な腫瘍マーカーもこの分類。2種の腫瘍マーカーを測定すると230点、3種なら290点、4種以上ならいくつ測定しても420点。そして、良く測定されるのは免疫学的検査のCRP(炎症の強さを示す)。検査17点+判断料144点。−−−となると、一番簡単な血液一般と生化学1で検査34点+判断料290点。実際にはCRPも入ることが多いので、500点くらいにはなることが多い。特殊検査が入ると1000点から1500点くらいになる。===================================(3)レントゲン:胸部単純X線を正面、側面の2枚撮影したとする。診断料+撮影料=225点、フィルム代33点、ウチのようにレントゲン画像をデジタル処理してフィルムを出すところは+60点。合計318点。−−−(3)ふつうの心電図:150点(判断料なし)−−−(4)ホルター心電図(24時間計測):1500点(判断料なし)−−−−(5)腹部エコー(超音波):530点−−−(6)頸動脈エコー:350点+パルスドプラ法加算200点−−−(7)心エコー:780点+パルスドプラ法加算200点(注:エコーもやり方によって,機種によって、多少点数がかわることがあります)===================================================(8)再診料など:おとなで、高血圧、高脂血症など特定疾患と呼ばれる病名があって,初診から1ヶ月以上たって、診察を受けて処方せんをもらう時;再診料71点、特定疾患管理料(特定疾患に対し指導をすれば月2回まで請求出来る。)225点、外来管理加算52点(老人57点)、それに処方料70点を入れると、合計418点。=======================================================(9)診察より、ウオーターベッド型マッサージ器と腰椎牽引器で腰痛の治療だけしてほしい、と来られた老人。再診料71点+処置料35点、わずか106点!。それも、その月に5回以上処置をされると5回目からは35点が18点に減らされる。よって、71点+18点は89点!。100円でおつりが来る!。−−−なお、診察室で診察を受けると再診料71点+外来管理加算57点で128点となる。このとき、外来管理加算は処置をしないという前提で算定出来るので,処置代は同時に取ることができない。せっかく来たから200万円のウオーターベッドと100万円の腰椎牽引器で、やさしくしっかり腰の治療をしてあげても、1銭も取れない!。=============================================1回5000円のマッサージ、1回7000円の整体と比べ,いかに単価が安いかおわかりだろうか?。しかも、病気の種類によるが,ウチの機械の方がはるかによかった、という患者さんも結構いるのに、である。無論,損得を判断するのは患者さん。しかし、保健診療とはいえ,っここまで単価を値切られては、医者も立つ瀬がない。−−−−−−−−−−−−おことわり:ここでお示ししたのはあくまでも1例であり,いろんな組み合わせで実際の費用は変わります。でも、理不尽なことにはかわりない。

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蒸し暑い1日だ。おまけに2回も通り雨(激しい雷雨)。今日も患者さんは少ないな、と半ばあきらめムード。予想通り、午前診、午後診併せて20人に届かず。それでも若干の検査があったので点数は1万点(ということは10万円)は越えたが。==================================新米開業医が1日10万円の収入で喜ぶ訳には行かない。だって、テナント代、人件費、その他の維持費をさっぴくと、ほとんど残らない。つまり、生活費はほとんど稼げていない。やはり家族を養ってゆくためにはせめて40人/日はほしい。あと1年くらいは資産を潰しながらの生活かな?。開業形態にもいろいろあるが、開業にカネをかけ過ぎたら老後の貯えはなくなる医者もいる。バイトで生き延びる医者もいる。まさに、人生いろいろ、開業医もいろいろ、ということか。=======================================今日も患者さんから今の世の中を学んだ気がする。(1)60台後半の主婦。夫も病気があり,二人で医療機関にかかりながらの生活。「先生,すみませんが今日はお薬をたくさん出してください。血液検査もしてくだい。」「え?。そりゃあ構いませんけど、一体どうしました?」「実は,今年は1割負担で行けてたんですが,年金の額がほんのちょっとかわっただけで8月から3割負担になるんです。」「えー、そうまんですか?。となると一挙に医療費が3倍!!ですか。ショックですねえ。まあ、ボクら医者も以前は1割、今は3割で随分高くなったなあと感じてますけどね。お二人とはいえ、年金生活で物価(の一部が)3倍!なんてひどいねえ。」−−−政府の財政再建とは、病人、弱者など取れるとこから分捕って,小さな政府は目指すだけで実現は先延ばし。拝金主義者がますます増える。==========================(2)40台の男性患者から電話がかかってきた。「先生、先日は検査有難うございました。結果が出てたら教えてほしいんですが。」「ああ、○○さん。結果は返ってきましたよ。でも、原則は電話では教えないことになってるんですよ。個人情報保護がうるさくなって、電話では本人確認ができないから教えるな,ってことになってるんですよ。お出でになれないんですか?、お忙しいんですか?」「実は、..ウチも貧乏だし、結果聞きに行ったらまた診察代金がかかるでしょう。そんで、お電話したんです。」「そうですか。まあ、○○さんだとわかるし、簡単にお話ししましょうか。肝機能も脂質も前回よりはいいですよ。でも当分治療はしなきゃいけませんね。薬の見直しも考えた方がいいかもしれません。」「もっと強い薬が必要なんですね。」「まあそうですね。今日はまだ薬が残ってますよね。全部なくなる前に来てくださいね。」「わかりました、そうします。」−−−−−ボクは、電話で説明すると、電話再診代がかかる、と言おうとしたんだが、言えなかった。受付さんはレセコンに電話再診の入力をしてくれていた。でも、次回来院された時に電話再診を未収金として加えるか,「調整」ボタンをクリックして、払わなくて良いことにしてしまうか、まだ悩んでいる。=====================================(3)20台の男性、事故で脳損傷があり,ひどい半側不随意運動で よたよた歩いて来る。今日も作業所で働いてきたらしい。汗まみれになって終了直前に入ってくるなり「コーヒー!!」と叫ぶ。ニコニコと子供のような笑顔。ウチにアイスコーヒーが置いてあるのを知っている。「喫茶店とちゃうで〜」と言ったものの笑顔に負けて1杯サービス。「今日は診察と違うやろ。薬もあるなあ。」「疲れた〜〜」「疲れはアイスコーヒーで治したらええわ。それにビタミン剤持ってるやろ。あれ飲んどきなさい。」−−−ボクとしては、彼がしょっちゅう来る度に再診料を頂戴するのは気が引けていた。なるべく話だけにして帰そう、そう思っていた。でも、帰ると思ったら突然、「血液検査あ〜」と言い出した。確かにしばらくやってない。障害者で独居で自己負担ゼロなのだが、それでも、申し訳ない気分で採血を済ませた。====================================ボクらは、患者さんの治療をしているだけではない。患者さんから医療を学び(時には患者さんを犠牲にして学び)、患者さんから社会を学ぶ、そういう職業なんだと思っている。

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最近,ブログを書いたり、読んだりしていて、ひとつ気になることができた。今の急速な医療崩壊は厚生労働省とコイズミの責任だ!!、って論調がM3comでは圧倒的に強い(現に事実なんだからどうしようもないが...)。で、医療関係者でない人がこのサイトに立ち寄って,いろんな記事を読んでいて、「なんだこりゃ!、反政府運動の巣窟か!?」とか「ウラで共産党が動いてるんじゃないか?」とか、見当はずれの感想をお持ちになるんじゃないか?。===========================================ちょっと気にし過ぎかな?。でも、いろんな人が見てるからなあ。書いてるヤツは誰だ?、って調査されてブラックリストに乗ったりして...。などと、ふっとかんがえてしまったんだよね。==============================================そこで、私の推測を書いておきたい。このブログで徹底的に政府批判、厚生労働省批判をしている人達のほとんど(95%くらい?)は、本来、無党派層だと思う。単純に正義感が強く、アホ正直(?)で,いい医療がしたい、自分がもっと充実した環境で医師として能力を伸ばしたい、もっと患者を助けたい、そう思っているに違いない。==========================================要は自民党でも民主党でもどこでも良いわけよ(個人的にはどうしても政権を執ってほしくない政党もあるが)。こんなメチャクチャな医療制度改革(改悪!)をしないで、困っている人を助けられる世の中にしてくれるなら。皆さん、そうですよね?。===========================================いよいよ医師も看護婦もなかなか集められなくて、一番低い看護基準しかクリアできなくて(ということは入院患者さんから頂く費用が極端に減少する)、経営が困難になる病院が恐るべき数にのぼります。来年3月(年度末)までに廃院を決断する施設が多いことでしょう。同時に、いくら働いても経営が悪化するばかりの病院では勤務医としての未来に希望を持てなくなり、退職を考える医者がさらに増えるでしょう。政府が起死回生の改革を断行しない限り私の予測は必ず当たります。悲しいことですが...。

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医者不足が少しは世間に知れるようになった(といっても、まだまだ相変わらず「お医者さんって優雅で金持ちで...」などとのたまう人達も多いが)。Doctors Blogも多少は役立っているのではないかと思う。ただ、病院が大変なことになって来ている一方で,都市部の開業医の中には力を持て余している医者もいる。ここ2〜3年の開業ブームに乗って開業したはいいが,なかなか患者が集まらず苦戦しているところも多い。かく言う私のところも、正直なところまだ目標の半分程度。友人の先輩開業医から、1〜2年はこんなもんや、まだましなほうや、などと慰められているのが実情である。======================================さらには開業医の老齢化も進んでおり,仕事はしておられるが,いつ引退されてもおかしくない先生達も数多い。===================================てえことは、開業している医者でヒマのある奴が、病院へ手伝いに行けばいい?。まあ、確かに仕事量だけ見れば、それも多少は可能だろう。しかし、本質は解決しない。============================================とにもかくにも医療費を異様に削減し続け、研修医制度をいじり(その影響が大きいと現場の医師は危惧し続けたにもかかわらず誰もその声を聞かず)、医師不足に拍車をかけ、病院で働く医師が病院の未来に希望を持てなくなり、現在の急激な不足を招いたことは、現場を知るものなら、当然至極、予想的中の事態なのだ。最大の責任は厚生労働省にある。次にコイズミ、その次に財務省あたりか。=====================================医師不足に何一つ有力な対策を出せず、医療格差拡大を放置しているのは厚生省であり、政府なのだが、つぎのようなニュースが出ている。SkyTeamさんやDr. Marketさんが詳しく書いてるよ。 「厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)、医師の技能に応じて診療報酬にランクをつける検討を始めるらしい。手術のうまい医師の収入をアップさせる競争原理の導入で、個々の能力を高めるのが狙い。次期診療報酬改定(08年度)での導入を目指す予定。」−−−−マスコミは、厚労省の発表の意図に沿って報道するので、「医師側には能力評価への拒否反応が強く、どのように、どこまで差をつけられるかなどが課題になるだろう。」と、医師が能力評価を拒否するような書き方がしてある。しかし、病院で働く前線の医師は能力評価など怖がっていない。恐いのは、厚労省の意図と、その無責任である。過去,20年以上、医師の努力、能力を評価してほしいと医師は訴え続けて来た。ところが厚労省はすべて無視した。日本医師会の上層部など、高齢の開業医は能力差をつけられては困るから反対したが,若手の伸び盛りの医師は望んでいたはずである。===================================================今になって,誰がどのような基準で能力を決めるかわからない状態で、そんな無責任な案でごく一部の医者の意欲を高めたところで、医者不足の改善と何の関係があろうか?。要は、官僚として医者なる集団を管理下に置きたいだけのこと。そのために、今はそれどころやないやろー!、っていうタイミングでまた制度をいじくりまわすのだ。制度が複雑になって,医者が仲間割れでもすれば彼等は喜ぶのではないか?。とにかく、もっと大事なことを先に改革しなさい。その改革の青写真をまず示しなさい。先の見えない改革を、コイズミ風に?「単なる思いつき」って呼ぶんじゃないかな?。=================================================さっきの患者数の話だけど,もう少し適正に病診連携ができて、大病院に溢れる患者を開業医が診られるようにして,大病院の方も外来が減っても安心して経営出来る制度にしたら、少しはましになるよ。−−−−でも、医療費削り過ぎたから患者の確保にやっきになって、大病院もなかなか外来患者数を減らせない。(大病院志向、ブランド志向の患者教育も本来政策として重要だったが、厚労省も病院も日本医師会も患者の立場に立って提言してくりゃ良かったんだが,カネがほしいのが見え見えで、これまでは失敗だね。)

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2006.07.26 00:32 |  診療  |  研究  |  仕事 / 職場  |  その他(一般)  |  Doctor Takechan  | 推薦数 : 3

若いお医者さんへ(3)

昔話が意外に好評?なのでもう一題。「基礎医学のススメ」。=====医学部を卒業した医者のタマゴさんたちの大部分は研修医として2年間、臨床医の基礎を学ぶ。でも、100人卒業したとすると,中には基礎医学(解剖とか病理とか生理とか)の教室に進むアマノジャク?も1〜2名くらいはいるはずだ。実は、この私も卒業してすぐ生理学教室に入り、5年間助手を務めた変わり者?である。6回生になり,ハテ、何を専攻しようかと考えていたとき、私の所属していたテニスクラブの部長が、「ウチへ来ないか?。助手のポストが空いているけど。」と、のたまわった。生理学?、臨床を目指す医者が基礎へ行くのは大体、学位(医学博士号)を取得するためである。でも、基礎を初めから目指す人は別として、研修医+1〜2年の臨床の勉強をして、アルバイト(パート医)くらいはできるようになってから基礎医学の教室に入るのが一般的ということだった。いろんな先輩に相談しても、やっぱりまず臨床をしてからの方がいい、という御意見だった。しばらくどうしようかと考えていたが、私の頭の中では、研究するなら若いうち、という気持ちが強くなった。もとより肩書きや昇進には疎い性格もあり、基礎で5年かかって学位を取ってから臨床に行っても何とかなるだろうと思ってしまった。(大学院を受験して入れば4年で学位が取れるが,助手は給料付き(といっても初任給14万なにがしだったが)で、正規の公務員。一方、大学院は試験を受けなければならぬ、受かっても学生だから給料どころか授業料を払わねばならず、親のスネはかじりたくない。という訳で、友人達が医局へ入るための入局試験に向けて勉強しているのを尻目に、私は生理学教室助手になることを決めたのだった。=========でも、入局試験の勉強をしなかったばかりに、卒業試験と国家試験はヤケに苦労した。入局試験を経験した友人達はみんな知識が増えていた。でも、テニス三昧の学生時代を送った私は、入学試験の成績はトップクラス(8位だったそうな:某教授夫人にナイショで教えてもらった)でも、出る時は後ろから数えた方が早かった。で、国家試験は絶対失敗できないと悲壮なまでの詰め込み勉強をした。直前1ヶ月は1日13時間以上受験勉強をした。======================================頭が破裂しそうな状態で、どれだけ出来たか分からぬうちに国家試験は終了。そして、奇跡的に?、医師免許を手に入れることができた(もっとも、国試に失敗しても生理学の学者にはなれたのだが)。============================================私の所属した生理学教室は神経生理学の教室で、ウサギの脳に電極を入れて神経細胞の反応を解析したり、モルモットの脳切片(brain slice)の電気現象を解析している先生などがいた。でも、当時の教授は、あまり難しい研究より臨床に役立つ容易な研究をやったら、って感じであまりレベルの高い研究を求められることはなかった。多分、学生気分の私のノンキな性格を見てそう思われたんだろう。かくして、5年間、研究者風?な生活が続いた。===========================================以下,私の関わった主な研究テーマ(失敗もいろいろあり)。(1)知り合いの先生に誘われて、名古屋大環境医学研究所で低圧タンクを用いての高山シミュレーション実験のお手伝い。(2)ビタミンE欠乏ラットの下腿筋の電気生理学的解析(見事失敗!)。(3)目の動きを電気眼球図で解析する仕事。これはある程度成功。学位論文もこのテーマで書いた。(4)重心動揺計に乗ったヒトの下腿筋の筋電図を解析。重心を移動した時にヒラメ筋に一瞬活動休止が生じる現象を解析。(5)ハツカネズミの行動研究(心理学の先生と一緒に。)。このとき指導していただいた心理学の先生は、今、同志社小学校の校長さん。(5)これは、(3)、(4)の延長だが,喫煙や飲酒が目の動きや 重心動揺に与える影響をしらべた。この研究で、タバコをよく吸うようになってしまったのは不覚!。おまけに、タバコを目一杯吸ったら、ニコチン中毒で足ががくがくするのを新聞が取り上げて、全国紙に「タバコ一服、からだゆらゆら」なんて紹介されるので参ってしまった。われわれ若いもんは取材から逃れようとしていたが,教授一人嬉々として記者に説明していた。=============================================== 基礎医学で楽しかったのは学生との交流。学生実習で、カエルの足の筋肉を取り出して電気刺激で収縮する様子を記録させたり、カエルの背中の皮を感覚神経と一緒に取り出して、皮膚をツンツンすると神経に活動電位がバラバラッと出るのを記録したり。そういえば、教室員総出で田んぼにカエル取りに行ったりしたっけ。貧乏な教室だったから。また、OB づらしてテニスコートに出掛けたり、学生のスキーツアーに同行したのも楽しかった。このころ一緒に遊んだ学生とは今でも出合うと当時の想い出話をしたりして、結構、今の人脈の一部となって生きている。つい最近も講演会の演者の偉い先生が,終わった後の懇親会で、「先生の講義を受けた頃はたのしかったですね。」なんて話してくれたりして。========================================結局、どうにか学位を取って、予定通り内科の教室に入れてもらった。私が神経生理を勉強したこともあって、神経内科の優秀な指導者がおられる教室にお邪魔した。5年遅れの新人ということで、後輩が私の指導者になってくれたが、さぞやりにくかったことだろう。この新米時代のレベルの低さは今もって思い出すと恥ずかしい。===================だが、あえて言いたい。基礎医学の経験も決して悪くはなかったぞ。

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ボクは大した医者でもないけど、自治体病院に19年ほど勤務していた。その間、大学の内科の併任助手、学内講師、講師という肩書きをもらっていた。で、私の勤務する病院には大学から3ヶ月交代で1名ずつ研修医がやってきた(病院全体に4名、そのうち1名が私のいる神経内科に配属された,ということ)。その頃の想い出話を少し。(この記事は肩は凝らないよ)=============================================================研修医は大学卒業から2年間。今と違って研修医は日雇い形式で月に14〜17万くらいの給与で朝から晩までよく働いていた。でも、1年目のあまり経験のない研修医と2年目の後半くらいの研修医とでは雲泥の差で、前者がやってくるとこっちも大変だった。大学で点滴もろくに習ってない医者が、老人の多い当院の点滴当番をすると、ひどいものだった。個人差がかなりあったが、点滴の針を先端だけわずかに挿入するのですぐ漏れてしまい、全部病棟の看護婦が後から回って入れ直していた,なんてこともあった。2年目の後半になると、ほとんどの連中はそこそこうまく入れていた。でも、ちょっと経験を積んだだけで天狗になるのやら要領だけうまい奴もいて、午後5時になるとサッと帰る医者もいた(当時は夜遅くまで病院にいるのがふつうだった。)。−−−−−−神経内科のカルテってのは、真剣に書くとかなり複雑で,意識レベル、精神状態から、脳神経系、四肢体幹の運動機能、感覚、深部腱反射、小脳機能、脊椎の状態、自律神経など詳しく書くと、3〜4ページ使うこともあり、そこに担当した入院患者の問題点、方針など書き込むと、5〜6ページにもなることがあった。だから、ある程度大学で習って来た優秀な研修医は入院患者を担当すると30分以上かけて神経所見、全身所見を観察し,1時間以上かけて指導者の私もビックリの詳細なカルテを作っていた。さらには業者に頼んで症例に関連する文献(医学論文のコピー)を山ほど集めたりもしていた。でも、あまり神経に興味がないけど神経内科に配属されてしまった研修医もいる訳で、入院患者の所見やら方針やら、1ページで済ましてしまう医師もいた。当然,大学であまり神経内科を習って来なかった研修医は何を書いていいかわからない感じだった。−−−−−−でも、私からみて出来の悪そうな医者の中にも、ある症例に興味を持ったら俄然頑張り始めるのもいた。また、神経は興味がなさそうでも、ある患者が心不全になったとたん、循環器の医者にいろいろ相談しながら勉強して必死に治療したり、とか、各人の特徴が面白かった。−−−−−−−−−あの頃は楽しかったと思う。ボクにとっても医療の原点だったし、当初(昭和59年から5年ほどの間)は40床を常勤3人と研修医1名で担当し、何年も入院している寝たきり状態の患者も結構いたが(今のように平均在院日数を気にしなくてもよかった)、新患もそこそこ入り、毎週2〜3人は脳血管撮影をして、血管の老化(動脈硬化)をまざまざと知ることとなった。そして、2ヶ月,3ヶ月さらに長期のリハビリをする脳血管障害の患者も多数観察することが出来た。リハビリの可能性と限界は、長期間入院することも可能な施設でなければ理解できなかったろう。(今のように平均在院日数14日とか26日とか言っていたら、リハビリの醍醐味など無に等しい。追い出すためのリハでしかない。)でも、重症患者は多く,特に私の上司などはいつもお泊りセットを持って来ていて、自分の患者が重症になるといつも病院に寝泊まりしていた。私は家が近かったので上司のマネはしないで済んだが、それでも夜間や休日もしょっちゅう病院に出向く習慣が身に付いた。そして、精神的に余裕があったから、深夜まで学会発表の準備をしたり(院長が自分で発表する、と言った時は手伝いが大変だった。学会直前3日間、毎晩午前2時まで発表スライドの図を作ったりもした)、月に一度は病棟の看護婦さんや研修医達と宴会をして、これまた午前1〜2時頃までカラオケ三昧で遊んで、翌日はまた張り切って仕事をしていた。(出費は時々きつかった。上司が金払いのいい人で、1回の宴会で5万程度は覚悟していた。病院全体の宴会ともなると、最高で20万頼む、と言われて、目が点になったこともあったっけ。でも、この頃は、カネがなくなってもいいと思っていた。女房には苦労をかけたけど、仕事に喜びを感じていたから。)−−−−−−−−−−この頃の印象はといえば、病棟のチームワークが良く、皆、仲が良かった。古い病院だけど、皆、生き甲斐を感じていた。看護婦も患者さんをほんとに大事にしていた。そう言えば,3ヶ月研修して、看護を学べたのが一番良かった、って言ってた研修医もいたっけ。常勤医かつ指導者のボクの前で。「オレの顔つぶすな〜!」って言ったけど、本心はそれでいい、と思ってた。だって看護婦連中、みんなよく頑張ってたもんね。=========================================でも、医療事情が次第にかわり、一次救急を受けさせられる頃から、事態は厳しくなって行った。その頃から、経営改善が叫ばれるようになり、人手がたらないのに救急で振り回されるようになり,平均在院日数を減らすために入退院の回転が激しくなった。研修医も無償で何度も当直の手伝いをしたり、勉強にはなったろうが疲労も激しくなっていった。医者はふえずにベッド数は増やされ,ボクらの負担も著しく増えて、医者も看護婦も宴会をする元気も徐々になくなって、腹を割って話す機会も少なくなった。落ち着いて考えるというより、必死の形相で与えられた業務をこなす、って感じになって、とにかく余裕が年々なくなってしまった。===========================================================それがさらに進行したのが今の医療だと思うよ。若い人には可哀想だが、約20年前の医療を経験した医者と今の医療しか知らない医者とでは、患者さんに対する対応が違うと思うよ。今は、ムンテラは時間をかけて詳しくしているだろうが、心の余裕がない対応が増えていないか?。患者さんや家族と心が通じ合う場面が極端に少なくなってないか?。無理はするなよ。やっぱり原点は人間と人間の付き合いなんだから。ボクは20年前の医療制度は今と比べて決して悪くないと思っている。介護保険なんてなかったけど、その分を医療が背負っていた。少なくともボクのいた病院では。そして、今よりいい医療が出来ていたんじゃないかと思っている(医療費は大して変わらないと思う)。開業したボクの心のよりどころです。

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少子化対が叫ばれて久しいが,事態は厳しくなるばかり。このままでは日本がホントに衰退してしまうのではないか。どちらかといえば老人が専門の私に少子化対策を語れる能力があるかわからないが、思いつくことを書いて見たい。===================================================================子供を作るための環境整備:<産婦人科、小児科の医師を増やす。>これはM3comでは言い尽くされていること。産みたい時に,育てたい時に、近くに医者がいなければ当然不安は大きい。集約化などと綻びにパッチを貼るだけの政策で改善するはずがない。−−−−−−−<経済的優遇策>子供を作れば税金面で優遇される措置は絶対必要。所得税を軽減する、住民税を軽減する、地域で小学生までの子供がいたら家賃を軽減してくれるアパートやマンションを建てる(自治体なら、公立の学校へ入ってくれる子供を持つ世帯を優遇してもいい。)。子供が産まれた時の祝金。教育費のための積立預金の金利を上げる。小学校以下の子供のいる世帯は医療費負担を3割から2割に減免する。−−−−−−−−−−<生活優遇策>託児所、保育所、幼稚園などの充実(もう1人作りたいが今育てている子供を預けられない)。特に、夕方から夜間、土曜日曜祝日に預けられる場所を増やす。大企業の託児所にきちんと補助を出す。子育てをしている母親がパートなど仕事を持った時に補助を出す。−−−−−−−−−−−<社会不安の解消>年金制度改革。年金一元化については、基礎年金部分は完全に一元化。支払いを忘れた人にも必ず通知が届く制度。社会保険庁解体。全国民から必ず年金を徴収する仕組み(低所得者も原則全員支払い。その上でセフティーネットをかける新しい仕組みを作る)。医療制度改革(もう一度、国民皆保健に回帰する)。介護保険制度の見直し(今のように無理に在宅を進めれば介護の費用と時間的負担で子育てどころでなくなる世帯が増えるだけ。おまけに介護疲れによる家族の病気が増える。そもそも、施設介護の方が各家庭で介護するより総経費は安くなる。さまざまなレベルの老人が安心して利用出来る施設を考える。今は老人のレベルやし好を無視して何でも施設に押し込み、嬉しくもないサービスまでゴリ押しで与えている。元気に明るく生きる希望を踏みにじる施設も多い。また、介護が必要な人はほとんどは医療が必要なのに、十分な医療を受けられない老人があまりに多すぎる。療養型病棟に入院している38万人のうち、大部分がこれにあたる。医療と介護の関係を見誤った厚生労働省の責任は極めて大きい)==========================================================ということで、日本が今後どうなるか将来の青写真を全く提示できない政治家を一掃しない限りは難しい、という悲しいニッポンが見えて来る。現在,ピンクのスーツで物議をかもしている学者大臣が頑張っているが,あれは大した政策ではない。ないよりマシという程度。おまけに政府与党がホンキで対応していない。次期総理ばかりが話題に上り,現実の世界の矛盾はマスコミすら食い付かない。かくして本当に大切な改革は先送りされ、国民の首を絞める改革?だけが先行される。与党も野党も現実を直視しなければ。

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2006.07.23 19:53 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  仕事 / 職場  |  その他(一般)  |  Doctor Takechan  | 推薦数 : 1

若いお医者さんへ

二つほど前の記事「燃え尽きる医師、看護師」に対し、若いお医者さんという「アンフェタミン」さんからコメントを頂いた。まだ3年目ということで、燃え尽きはしないけれどいろいろ考えることが多い、とのこと。============================================ここで、はたと気付いた。いや、心配になった,と言うべきか。これまで私はブログの中で今の医療の問題点を経験に即してあれこれと書いて来た。どう考えても今のままではいけない、政策としての医療制度は方向転換が起こらない限り良くはならない、そして、放置すれば医療現場の混乱が急速に進んでしまう、そんな最悪の事態だけは避けたい、そう思ってこれまで書いて来た。=============================================でも、若いドクターはほとんどが意欲に溢れ,将来への夢を抱いて仕事をしているはずだ。もっといい医療をしたい、もっと優秀な医者になりたい、そう思っているはずだ。そんな人達がこの医療制度批判の記事を読んでどう思うのだろうか?。ひょっとして私の想定外の影響を受けてしまうナイーウ゛なドクターがいるのでは?。別に、医療界に夢など持つな、といったつもりはない。でもすっかり元気がなくなったりしてないか?。それが心配になった。======================================幸い、「アンフェタミン」さんはまだまだ夢も希望も持っておられるようだ。仕事としては結構厳しい腫瘍内科学に興味をお持ちということだから,専門家の少ない分野の貴重な戦力になられることを心から期待したい。==========================================たかが一開業医の自分勝手なブログであり、それほど影響があるとは思えないが,それでも未来に向けて前進しようとする医師の気持ちを萎えさせたりしてはあまりに申し訳ない。私の考えとしては,私の世代の医者がこれまで経験して来た医療の中で,制度全体、世の中の動きがおかしいと感じたことを、一種の世代責任として報告したり論評することが必要だった、ということである。難しい時代ではあるが,若い人が医師として研鑽し発展しなければ、さらに未来は暗い。あなたたちは、とにかくいい医者になって下さい。自分の実力、守備範囲を理解し,患者とともに生きる視点を持ち,多少は社会にも目を向け、医局制度や行政などとある程度の議論はしてもすぐにプッツンしないで我慢もできる(だが自分の考え、自分の意見は大事に持っている)、そして患者さんとも勤務先のいろんな職種のスタッフとも腹を割って交流出来る、そういう医者が増えてくれたらいいのにな、と願っています。

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2006.07.22 23:13 |  診療  |  生活 / くらし  |  グルメ / お酒  |  その他(一般)  |  Doctor Takechan  | 推薦数 : 2

意外に恐い脂肪肝

神経内科医が脂肪肝の話をするのもどうかな?、って思うんだけど,私にも分かる有意義な話を聞いてきたので、ちょっと御紹介したい。=========================================================脂肪肝と言えば,高脂血症、糖尿病、肥満、酒飲みに多発する肝臓に脂肪がたまる状態。だから、基礎疾患を治療して、生活習慣を改め(食事療法、運動療法、酒を控える)、減量に励めばいい。私の認識はそこまでで、それ以上はあまり考えなかった。でも、今日の講演では、さらにコワいことがある、という事実を改めて教えてもらった。脂肪肝の中にはさらに進行して肝硬変に至る(ということは肝臓ガンも起こりうる)例も少なくない、とのこと。つまり、脂肪肝の状態に別の危険因子(過剰な鉄分、サイトカイン、酸化ストレス、インスリン抵抗性)が加わり続けると、非アルコール性脂肪性肝炎(non-alcohlic steatohepatitis : 略してNASH)となって、肝臓内に鉄分が沈着し、線維化という変化が進んでいずれは肝硬変になるとのこと。脂肪肝だから脂肪を減らしましょうね、と言ってるだけでは足りないようだ。治療はさっき言ったように、危険因子を治療して生活習慣を改善することがとにかく重要だ。そして、ビタミンE、ビタミンC、インスリン抵抗性改善薬などがある程度は効くようだ。鉄分の多すぎる人は瀉血(しゃけつ:血を抜いて捨てること)もいいんだとか。====================================================脂肪肝はエコー(超音波)やCTなどですぐわかることが多いが、さらにNASHに進行してるかどうかは判断が難しいようだ。血液検査でもある程度は判断出来る場合もあるが、最終診断は肝生検(特殊な針で肝臓を突いて、肝臓の組織を取って、顕微鏡で観察する)が必要だそうだ。========================================================私としては、動脈硬化の危険因子をいろいろ持っている患者さんが多いので、とにかくまずはそちらを中心に治療を組み立て、脂肪肝の程度が強そうな人は多少検査をしてみたいと思っている。いずれにせよ、皆さん、まず脂肪肝にならないよう健康食、節酒、運動に励みましょう。

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Medical Tribuneの記事より。静岡県立がんセンターで、過去に勤務した医師64名、看護師191名にアンケート形式で燃え尽き症候群の可能性について調査したところ、医師の60%、看護師の80%が燃え尽き症候群またはその危険が高い状態にあることがわかった。========================================================そもそも燃え尽き症候群はまじめに理想や目標に向かって努力し,その結果が期待と大きくずれてくると生じやすい。医師や看護師は燃え尽き症候群を起しやすい典型的な職業らしい。====================================================考えてみれば,ボクも燃え尽きそうなことが何度もあったように思う。これは周囲で見ている人はあまり分からないかもしれない。一見、まだまだ頑張っているように見えて、それでいて挫折感がつのっていく、とても危険な精神状態と言える。一生懸命助けようとしているのにどんどん患者さんが死んで行く(がんセンターならありがちな話)、一生懸命頑張っているのに上司が認めてくれない(医者以外でもよくある)、一生懸命頑張っているのに、仕事がちっともなくならない(病院はどこでもよくありそう)、一生懸命頑張っているのに何度もミスをする(あってはならないが今の病院の人員では防げるはずがない)、といった状況は全国の病院で多々起こりうることだ。==========================================病気を治療する側がこれだけ病んでいるのが現状であり,このレポートは大袈裟ではない。統計学的には標本数が少なすぎるが,全国規模で調査しても似た結果が出ることは間違いない。困った世の中だ。燃え尽きの原因はヒト、カネ、モノ、の不足、その原因は厚労省、その原因は小泉改革の暴走と財無省、いや財務省の謀略、か。いくら書いても改善しないと気が滅入る今日この頃。===============================================開業した私は、幸い燃え尽き症候群から少しは遠ざかったと感じる。ただし懐は火の車ではある。(燃えてたまるか!)

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