内科にやってくる患者さんは高齢者が多く、高血圧も多い。脳卒中を専門とする私は、循環器専門ではなくとも血圧と闘うことが非常に多い。でも、結構多い敵は、薬嫌い(薬恐怖症?)ではないかと思う。「先生,その薬は飲み始めたら一生の見続けないといけないんでしょう?」もう、何十回、何百回と聞かされたこのフレーズ、私の記憶では、血圧の薬を出そうとした時に聞くことが一番多かった。==============================================================血圧の薬は飲み続けたら一生飲まなアカン、そうインプットされている国民は非常に多いのだ。これは半分正しく、半分はそうではない。つまり、飲まなくて良くなる人もいる、ということ。残念ながら、飲み始めてみないと分からないことが多い。でも、一番大切なことは,血圧が高いのを放置して動脈硬化(動脈の老化)が進行してしまうことが最も危険だ、ということを認識してもらうことだろう。===============================================================では、血圧の薬にはどんな種類があるのか?。主な種類を解説すると、①利尿薬:水分と一緒に余分な塩分を尿として放出する。②β-blocker:交感神経の働きを抑えて血管を拡張する。③Ca拮抗薬:血管平滑筋に働いて血管を拡張する。④ACE阻害薬:レニン-アンギオテンシン系という血圧上昇物質生成過程を阻害するなどして血圧を下げる。⑤ARB阻害薬:アンギオテンシンⅡ受容体阻害薬。上のACEに似るが、さらに副作用を減らした。⑥末梢血管拡張薬:末梢血管を拡張させ,末梢血管抵抗を減らす。(広い意味ではビタミンEやニトロなども末梢血管抵抗をへらす薬剤。)==========================================どの薬から始めるか、なかなか難しいものがあります。最近は③Ca拮抗薬の長時間作用型の製剤(ノルバスク、アムロジンなど)と⑤ARB阻害薬(ブロプレス、ミカルディスなど)の組み合わせが多いようです。かつて、ある循環器専門医は心臓の負担を減らし抗不整脈効果もある②β-blockerと、心臓保護作用の強い④ACE阻害薬の組み合わせが最も理にかなっている、と解説してくれた。ただ、②β-blockerは特に高齢者では心不全を起す恐れがあるし、④ACE阻害薬はしばしば頑固な咳が副作用として出ることがあるため,③Ca拮抗薬と⑤ARB阻害薬が増加しているようです。ただ、⑤ARB阻害薬はまだ薬価が高いと感じています。アメリカなどでは安い①利尿薬が初期にはよく使われているようですが,水分が出過ぎて脱水になったり、塩分が出過ぎて低ナトリウム、低カリウムになったりすることがあり、やはり注意が必要です。ちなみに私は比較的副作用が少ない③Ca拮抗薬の長時間作用型か④ACE阻害薬あるいは⑤ARB阻害薬から始める例が多いです。================================================目標とする血圧は年齢を問わず120〜130です。The lower,the better!。これはここ数年強調されている標語:低けりゃ低いほどいい!って感じなんですが,自慢するわけじゃありませんが、私は15年ほど前からその方針でずーっとやってますから、別に特別変わったことはありません。血圧を下げて脳卒中のリスクが下がればいいのです。私にとって重要な標語は「私の患者は絶対倒れさせない!」です。だから、お願いだから、イヤだと言わずに薬を飲んで下さい。お願いしますってば!
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