医療制度改革関連法案の強行採決。何とイヤな響きだろう。深い闇の世界がまた一歩、われわれに近づいて来る、恐らくまじめに仕事をしている医療人なら誰もがそんな思いを持つことだろう。無論、衆議院厚生労働委員会を通過しただけで決まった訳ではない。しかし、多くの老人が行き場を失う、多くの医師が就労意欲をなくす、そして人命、とりわけ高齢者の人命や救急現場での人命がますます危険にさらされる懸念が強いこの法案が、いとも簡単に強行採決されてしまうこの国の異常さはどうだ? 何の力にもなれない新米開業医としては、とにかく無念で情けない。マスコミの報道姿勢もまだまだ現実から程遠い思い込みが支配しており、医療の現場軽視も甚だしい。「事件は現場で起きてるんだ!」ともう一度教えてあげたいと思う。----------------------------------------話題を変えて、先日からこのM3comの医師掲示板を賑わしている福島県の産婦人科医師の逮捕について。これもひどい話だ。1人しかいない産婦人科医が必死に重症患者の治療を行ったが予想以上に難しい事態が起こっており、結局かんじゃを死亡させた事件であるが、ひとりではどうすることもできないではないか。医療制度はこの20年ほど、どんどん改悪されて、どこの病院も十分な数の医師を揃えることなど大病院でも到底不可能になっている。ましてや、地域の中小病院では人的資源、設備資源とも経営に余裕なく整備が不十分である。自分で出来ることを精いっぱいやって、それで殺人容疑で逮捕され、(また別の病院では、医師は逮捕され、逮捕した警官が表彰されたとか?)もう医者なんてやってられない、というおびただしい数の書き込みが。--------------------------------これまで医者は黙っていた(というか、医師不足で走り回る生活で,意見を言う暇もないし、言ったところでマスコミは教授やら評論家やら学術経験者やら現場の苦労を知らない人達野意見しか伝えなかった)。ネットのおかげでやっと日の目をみるようになったのだ。法案賛成の日本医師会幹部など、まじめな医師の敵であり、殺人法案の共犯者だとはっきり言えばいいのだ。あれほど「医者余り」という死語を平気で使っていたマスコミでさえ、ようやく医者不足に多少は気付いてきた(まだ誤解が多いが)。言いたいことは言おうではないか。ただし、言ったことへの責任は自分で背負う覚悟が必要だ。医療現場でもそうだ。ボクは自分に正直に発言してきたつもりだ。その結果,25年の臨床経験でモメることはあっても訴訟はなかった。----------------------------------------医療制度を国民のために良い方向へ改革するためにはマスコミの力が必要だが,今日も某大新聞に「医者は身内を守る傾向が強いので訴訟が難しい」などと書いてあった。やっぱりわかってもらえない。身内を守るのなら、政治家、警察、その他の公務員、事故後のJR、大銀行、どこを向いても保身ばかりではないか。わざわざ医者は身内を守る、となぜ大新聞に書かれなければならないのか???-----------------------------------医者は常に人命と向き合う。まともに現行法律で対応すれば、一人の患者が死亡したり昏睡に陥る度に殺人か殺人未遂の嫌疑に問われる可能性がある。医師が医師らしく仕事をするためには、医師の責任範囲を明確にした法体系が必要なのだ。不安におびえながらも良い医療をせよ、100%間違いのない医療をせよ、医師1人でもどんな難しい手術でも成功させよ、そんなことができるのか??? -----------「でもそのためにお前達医者は高給をもらっているではないか。」違う! 医師は世間が思うほど優遇されていない。高給の医者も多少はいるが、直接人命を扱う仕事と考えれば厳しい現場で働くほとんどの医師は割りが会わないと感じている。天下りで何度も退職金を手にする人種と一緒にしないでほしいと思う。そして、医師も患者も困るであろう医療改悪法案がこれほど軽く強行採決される国とはいったい誰が国民の生命に対しどれだけの責任を負うのか、明確にしてほしい。どうせ現場の医師に責任はすべてなすりつけるんだろうけれど。野党にもお願いしたい。法案をただの道具にするな。真剣に国民の命と生活を考えて下さい。
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いろんな人のブログを見ていると、開業医の年収2800万円、勤務医の年収1300万円、と書かれているのを発見。新米開業医の私としては、イイなあ〜、と思うだけ。
そこで、シンプルに開業医の収入をシミュレートしてみた(内科の院外処方の場合。それもごく正直にむやみに儲けようと考えない場合)。まずは、親の跡を継いで初期投資が全くない場合。
患者さんは親の代からそのまま引き継いで、1日50人来るとする。初診で診察して投薬だけなら4000円足らず。血液検査、心電図、X線などが入ると、2000〜20000円くらい加わる。再診で診察+投薬だけなら1230円。1ヶ月以上経過して特定疾患(高血圧、高脂血症、脳梗塞、慢性胃炎etc.)なら、管理料2250円が2回/月いただける。私のように電子カルテ、レセコンを導入すれば新患のみ初回に30円!だけ加わる。そんなこんなで、ほどほどに検査していれば平均で1人5000円程度か。すると50人で25万円。1ヶ月に22日開業するとして550万円。年間6600万! すごい!-----------------------------
でも、必要経費を引かなくちゃね。自宅で家族だけが働いていたら楽だが、雇用なら看護婦と事務1人ずつとしても年間5〜600万ほどかかる。借金はあるか? 電気代、電話代、宣伝費、新聞雑誌、インターネットなどの代金は? そしてレントゲンフィルム、薬剤の購入代は? などと考えればどんどん減って行くがそれでもそこそこは残る。
では、多くの借金をかかえ、テナント代が必要な新米開業医の場合。----------------------------------------------------------------はじめは患者さんがちらほらしか来ない。1日やっと10人来てくれたとする。上の例に合わせれば、一人5000円ほどで、10人で5万円。1ヶ月22日と計算して110万。年間1320万。これなら勤務医と同じくらい??------------とんでもない。出費が莫大でしょうが! 1ヶ月にテナント40万、人件費50万、借金返済が30万、(もう120万!)それに加えて電気、電話、インターネット、宣伝、XPフィルム、薬品、電子カルテのサポート代、その他消耗品あわせて月40万としてみよう。すると、毎月収入110万に対し支出は160万。つまり、毎月自分の資産を50万崩してやっとプラマイ0。すると、生活するにはあと幾ら必要でしょうか? 恐らく、思いっきりつましく生活してもなんだかんだで(医学書や学会出席もたまにあるしね)50万くらい。合計で毎月100万円飛んで行くのね。(毎月100万円の赤字って!?)
まあ、患者さん一人あたりの医療費は診療科や専門分野でかなり変わるし、あくまで仮定のはなしですけどね。でも、気をつけないと行けないのは、患者50人/日で年収5000万の医者がいたとして、自分とこはまだ10人だから5分の1の1000万だなどと誤解しないこと。1日せめて20人以上は来ないと収益が出ない(赤字!)ということ。ゼロからスタートする開業医は、どのくらいで赤字がなくなるか、それまで自分の(あるいは奥様の)資産が持ち堪えるのか、よ〜く考えて下さい。
え? 私ですか? 私はまだ開業から半年。苦しいに決まってるじゃないですか。え?奥さんを大事にしてるかって? そりゃー大事ですよ。言わせないで。耐えて頑張ってるんだから。毎月確実に患者さんは増えてますよ。まだ数がたらないだけですよ。残念!
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