| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | |||||
| 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
| 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
| 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
| 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
| 31 |
Jさん、まだ飲んでませんよ。
これからです。
飲み過ぎないようにします。
僭越さん、いいですね。
他の楽しみがあるって素敵ですね。
私も、何か、素敵なものを見つけたいと思います。
さて、3番目のお話をします。
これも、入院中の出来事。
まだ、ステロイドがガッツリ入っていた頃。
私は、個室にいたわけなんですけど、高熱も時々出ており、日中もウトウトしていることが多かった。
「パパー」
小さなかわいい声で、目が覚めかけた。
でも、パパと呼ばれる筋合いのものはいないので、隣のお部屋の声が聞こえているのか、夢を見たのかと、そのまま横を向いて眠っていた。
「パパ、大丈夫?」
また、今にも泣きそうな子供の声。
うっすらと目を開けると、目の前に、3歳くらいの女の子が立っていた。
私にも終に、天使のお迎えが来たんだ。
でも、なんで、天使が私をパパと呼ぶ?
すると、その後ろに、素敵なお母さんが。
「セイちゃん、パパ寝ているから、そっとしておこう」
あれ、私はいつの間にか結婚していて、子供までいたんだ。
記憶喪失?
今は、何年?
あれ?
私はだ~れ?
夢?
ベッドから起き上がり、二人を見る。
後ろ姿の素敵な女性は、入院用の一式をロッカーに丁寧に入れていた。
やはり、記憶がないんだ、私は。
なんて言えばいいんだろう。
わからないって言ったら、ショックだろうな。
わかるふりしても、本当は記憶がないわけだから、いずればれる。
子供だけには、記憶がないことは悟られないようにしなきゃいけないな。
そんなことをもの凄いスピードで考えていると、
「あれ?パパ?」
とセイちゃん。
その声に、振り向いたお母さん。
「えっ、あっ、・・・・」
「すいませんでした。間違えました」
と荷物をまとめ、セイちゃんの手をとり、私の部屋を後にした。
えー、そりゃないよ。
私の奥さんと子供じゃないの?
私は記憶がないだけじゃないの?
記憶がなくなっていることの方が、良かった気がした。
ほんとうに一瞬だけ自分の家族がいたんだから。
二人がいなくなった沈黙の部屋。
これほど寂しく感じたことはなかった。
後日、セイちゃんとお母さん、お詫びに来てくれた。
隣に緊急入院した男性の家族であった。
実は、名字が一緒だった。
それで、案内が間違えちゃったみたいだ。
嬉しいことに、おいしそうなケーキを持ってきてくれた。
「セイちゃんだっけ、ケーキ一緒に食べよう」
そう声をかけると、
お母さんに「いいの」って尋ねる。
「だめよ、セイちゃんの分はパパのとこにあるからね」
「じゃあ、冷蔵庫に入れておくから、いつでもおいで」
そう言うとニッコリして、「バイバイ」と手を振って隣の部屋に。
あー、子供っていいな!
結局、何度かセイちゃん遊びに来てくれたが、残念ながら一緒にケーキを食べることはできなかった。
だって、私は高血糖状態。
怖い、いや仕事熱心な看護師さんに、ケーキは没収された。
冷蔵庫ではなく、彼女のおなかの中に。
そして彼女の皮下脂肪へ・・・。