tarogo
More プロフィール

Search

Calendar

<< 2008/12 >>
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

新着コメント

新着トラックバック

< 前のページ
2008.11.22 09:50 |  診療  |  研究  |  医療制度 / 行政  |  海外留学  |  tarogo  | 推薦数 : 0

日本の医療政策分析

エジンバラにも雪が降りました。すっかり冬の装いです。深夜遅くに大学から帰ってくるときには、ミミ付きの帽子をかぶっています。このひと月の記憶はずっと机に座っていたものでした…、読んでは書き読んでは書き。新しい分野で議論を追うのが精一杯…まだ修行中です。

そういったなかで、立命館大学の松田亮三先生とさせて頂いた仕事が形になりましたので、報告です。

日本の医療政策に関する記述的分析報告で、今回は2編担当させて頂きました。 

後期高齢者医療制度に関する政策分析

Tomizuka, Taro and Ryozo Matsuda: "New Health Insurance for the Elderly". Health Policy Monitor, October 2008. 

終末期在宅医療に関する政策分析

Tomizuka, Taro and Ryozo Matsuda: "Promoting end-of-life care outside hospitals". Health Policy Monitor, October 2008.

両方ともダイナミックに進行形の政策ですから、今後もフォローアップしながらの報告となります。

内容について気づいたことを書きたいのですが…、ちょっと眠たくて頭がまわりません…。また、近いうちに。

「医師が国政を目指す。」リーディングリストへ Clicky Web Analytics Clicky

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.08.24 23:35 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  海外留学  |  tarogo  | 推薦数 : 1

勉強会資料:遅くなりました

遅くなりましたが、勉強会で提示させて頂いた資料をアップさせて頂きます。

リンク先でご覧頂ければと思います。講演内容を少々スライドに加えております。また、救急車の写真の出典がまだはっきりしていませんので、その点取り扱いにご注意くださいますようお願いします。

●8月20日 「英国医療政策改革と日本への示唆」スライド●

●当日、配布した資料です。

日本医事新報【時論】
・No. 4372(2008年2月9日号)
 プライマリ・ケア再考 ─英国家庭医制度から学ぶ(1)
 プライマリ・ケア診療の質追求
 (葛西龍樹、富塚太郎)

・No. 4388(2008年5月31日号)
 プライマリ・ケア再考 ─英国家庭医制度から学ぶ(2)
 家庭医の役割・倫理教育と規制 ─特に医師免許更新制度を巡って
 (富塚太郎、葛西龍樹)
 

また、お問い合わせの多かった、「ターゲット効果」の出典資料は以下のサイトでダウンロードできます。

Healthcare Commission, What CHI has found in ambulance trusts 2003

参考資料でご案内させていただいたサイトのリンクなどは以下です。

在英国日本大使館一等書記官(当時:現 厚生労働省大臣官房国際課)武内和久氏
「英国社会保障事情」週間社会保障
 

当日、追加の解説を頂いた武内氏が、厚生労働省で社会保障分野での政策形成に関わってきた幅広い経験をもとに、現在の英国におけるNHS改革、年金改革など社会保障全般の動きを解説されています。

英国国立母子保健共同研究所リサーチフェロー(当時:現 大阪府立母子保健総合医療センター)森 臨太郎氏
「英国の医療制度、表と裏」Nikkei Medical Online


日医総研 森宏一郎氏
WP No.140 イギリスの医療制度(NHS)改革ーサッチャー政権からブレア政権および現在ー ほか

朝日新聞 行方史郎氏:
変わる英国医療 寄せる市場化の波 連載全5回:平成20年7月14日〜7月18日
医療再生へ 選択のとき 英国どん底から改革 平成20年6月8日

Department of Health, United Kingdom

National Health Service(NHS)

King's fund(イギリスの医療政策シンクタンク)

ーーーーーー 

今後とも、みなさまと勉強させて頂けたらと思います。

よろしくお願い致します。 

「医師が国政を目指す。」リーディングリストへ Clicky Web Analytics Clicky

固定リンク | コメント (1) | トラックバック (0)

2008.08.21 19:46 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  海外留学  |  tarogo  | 推薦数 : 2

英国医療改革勉強会 終了

昨日、都市センターホテルにて、先日ご案内させていただきました「英国の医療制度改革と日本への示唆」と題しました勉強会をさせて頂きました。

ご参加頂いたみなさま、平日の夕でお疲れのところ有り難うございました。ご感想やご意見などお聞かせ頂けたらと思います。

八潮市市議会議員の矢澤江美子さんのブログ「イギリスの医療制度改革を学ぶ 」

HAMUさんのブログ「英国医療改革への視線が熱い」

生命保険立ち上げ日記「金融と医療の交差」

医業コンサル/行政書士 意地と根性の研修記録「ブレア改革とその後ー英国の医療制度改革と日本への示唆」

東京日和@元勤務医の日々「イギリスの医療制度改革を学ぶ」

 でもご紹介頂きました。

ーーーーー 

構成としましては、英国医療制度の歴史を概観したあとに、1997年からのブレア労働党政権の行った医療制度改革を「ターゲット」「規制」「患者中心」という3つのキーワードで解説させていただきました。

資料は数日中にここにアップさせていただきます。

私が驚きましたのは、会場の熱気です。200名ほどの方がいらっしゃったのですが、多くの方が日本の現状に問題意識をもち、学べるものを吸収し、今後の日本の医療政策に活かそう!という方ばかりでした。また、今後も同様のセミナーが日本医療政策機構で行われるようですので、 ぜひまたご参加いただき、今度は皆さんでディスカッションさせていただけたらと存じます。

改めて、有り難うございました。 

「医師が国政を目指す。」リーディングリストへ Clicky Web Analytics Clicky

固定リンク | コメント (6) | トラックバック (1)

この度の帰国時に、表題の勉強会をさせて頂けることになりました。

ほかの国の医療制度・医療政策をみて、単純にどちらがいいかと日本と比較したり 、また一部を取り上げてダメだと断罪したりすることに意味はありませんが、しかしほかの国の試みを学び、翻って日本の医療・医療政策についてよりよくできることを考えることに意味はあると考えました。平日のお忙しい中ですが、みなさまと勉強できますのを楽しみにしております。以下、ご案内です。

ーーーーー

ご案内サイト:日本医療政策機構

■ブレア改革とその後−英国の医療制度改革と日本への示唆」
 富塚 太郎 氏(ロンドン大学衛生熱帯医学大学院・経済政治学大学院)
 
■概要:日本で家庭医として地域医療・教育に携わったのち、英国ロンドン大学において医療政策・計画・財政学修士課程を修了予定の富塚太郎氏に、英国における医療制度改革、特に医療危機を経験した90年代のブレア改革の実際とその後、また最近の動向などについてお話頂きます。
 
■日付 2008年08月20日(水)
■開始予定 19時00分(受付開始 18時30分)
■終了予定 20時30分
■申込締切日 2008年08月20日(水)

■申し込みサイト:日本医療政策機構
■参加費用
法人会員:無料
個人賛助会員:1,000円
一般・登録会員:2,000円
■会場 都市センターホテル会議室5F「オリオン」※会場が変更になりました!
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-4-1
TEL:03(3265)8211
■地図URL: http://www.toshicenter.co.jp/access/j_9000.html

■プログラム
18:30  開場
19:00 「主要先進国の医療制度」小野崎 耕平(日本医療政策機構)
19:15 「英国医療制度改革と日本への示唆」富塚 太郎氏
20:15  質疑応答
20:30  終了

固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)

すっかり夏らしくなったロンドンですが、ずっと部屋に籠って黙々と医療の規制に関するテキストと論文を読んで作業しています。ただでさえ資料等でめちゃくちゃな部屋に、オーダーしていた英国家庭医関連の資料がどっさり届いて、更に混乱。汗がじっとり…、暑いなあ、で28℃。東京の家族に言ったら怒られそうな感じの暑さです…。

さて、英国の医師免許更新がようやく始まるようです。

2005年からの実施を延期してから、実際に働く医師たちも「何時になるのかなあ」なんてのんびり言っていたこの大事業。BMJのサイトにまず2009年の4月から試験的段階的に実施されることが報道されていました。

ーーーーー 

Published 24 July 2008, doi:10.1136/bmj.a988
Cite this as: BMJ 2008;337:a988

Government plans to revalidate doctors every five years

Owen Dyer

All doctors working in England are to face annual appraisal of their skills and performance and will have to reapply for a medical licence every five years, according to plans announced by the UK chief medical officer, Liam Donaldson.

For most doctors not in substantive training posts revalidation will involve two components—relicensing, subject to their adherence to generic standards, such as the General Medical Council’s Good Medical Practice guidelines, and specialist recertification, which will depend on meeting criteria to be set by the relevant medical royal colleges.

…(以下、文章つづく)

ーーーーー

 あっ、英国といいましたけど、イングランドのことのようですね。既にすべての医師が毎年の評価(appraisal)を受けているのですが、それに加えて医師免許の更新と専門医資格の更新を義務づけられるとのこと。5年おきとはいえ、結構大変でしょう。もちろん講習会等に参加して”ポイント”をためて終わり、や筆記試験で一発終了…というシンプルなしかし医師の実際の能力を反映しない評価システムではなく、日常診療の内容やその質評価を反映したものになるのでしょうから(その合意のためずっと免許更新導入が延期されていた)、内容がどういうロジック・方法でどう実施されるのか楽しみです。

英国医師会は基本的には賛成の姿勢を示しています(国民の医師への信頼回復の手段として)が、医師の中では「医師への侮辱も甚だしい」「医師いじめだ(意訳)」といった批判もでているのが事実。「免許更新にかかる手間や時間のため、患者に使える時間が減り、患者が結局被害をこうむる」と主張する医師もいました。これは私には結構新鮮で「ああ、この医師は就業時間”内”に患者へのコンタクト時間を減らして、(もしくは患者への不利益を自分が提供しながら、それを政府のせいにして?)、免許更新の準備をするんだ…」と、日本の医師なら空き時間か就業時間後にするだろうという発想が違うんだ…とちょっと感心しました。

 ビジネスや広告の世界でも「消費者が変わった。ビジネスも広告もかわらなきゃ」(『明日の広告』)と根本的な戦略の転換を求められていると聞きます。この英国の医師免許更新も、患者が消費者へと変わった流れの一環。日本も同じです。変われるか。

 

「医師が国政を目指す。」リーディングリストへ Clicky Web Analytics Clicky

固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)

ご近所のカフェでは英語を聞いたことがない。

隣の親子はトルコ人で、向かいの女性ふたりはイタリア語でまくしたててる。よこの怪しげなカップルは…あ、ロシア人?そして私の横で、私と同じく仕事に励んでいるあちらの男子は文字を右から左へ書いているところをみると…、中東出身。このマルチカルチュラルな人口構成に加えて、この街は通りを歩くと水パイプの甘ったるい香りが漂ってフシギな気分。思い思いに通りの席に座り、白い煙を吐いている…。

ケムリと言えば、この7月1日で1周年を迎えたイングランドでのsmoking ban。パブやレストランを含む公共施設(職場も!)での喫煙を禁じた法律が施行されてからの経過がThe Independentで報道されていました。

-----

Smoking ban has saved 40,000 lives

By Jeremy Laurance, Health Editor
Monday, 30 June 2008 The Independent

The nationwide smoking ban has triggered the biggest fall in smoking ever seen in England, a report says today.

More than two billion fewer cigarettes were smoked and 400,000 people quit the habit since the ban was introduced a year ago, which researchers say will prevent 40,000 deaths over the next 10 years.

Smoking was outlawed in all enclosed public spaces in England, including pubs and restaurants, on 1 July 2007 after a prolonged political battle that split the Government and inflamed critics of Britain as a nanny state.

But longer term opposition to the ban never materialised: more than three out of four people support the law, and compliance has been virtually 100 per cent.

----- 

 結果は喫煙・禁煙に関する専門家にとってもかなり予想外だった様子。200万本のタバコ消費減とともに、40万人の喫煙者がタバコを吸うのをやめたと報告されています。その結果、今後10年で4万人の死を回避することができるだろうと予測されています。そして喫煙率は22%まで低下しています。

タバコといえば、これまでの歴史やさまざまな利害関係がからみ一筋縄ではいかない政策トピック。「個人の自主的・自由な選択」や「業界の自主性」ということばで法的規制が強く行われることを牽制する一方で、タバコ売り上げに伴うタバコ税収、タバコ産業によるマスコミに対する広告収入・研究者に対する研究助成・政党に対する政治献金など のお金の流れがあり、なかなかにその産業に対するネガティブなキャンペーンは金銭的な利益にならないという背景があります。また、タバコ関連産業への雇用やタバコ関連産業への効果も無視できません。

これだけ医学的にテクニカルに疾患や障害・死亡への関連の強さが再現的に証明されても、政策で必ずしもその規制が行われないものの代表で、格好の政策分析のネタになっています。

 英国でももちろん先の政策が施行されるまでに長い長い道のりがありました。大きなところではEUでのタバコ規制法などの外部圧力とタバコ産業も絡んでいたBernie Ecclestoneによる労働党への2億円献金スキャンダル。もうこうなると政府与党も始末をつけ、タバコによる健康被害(とくに喫煙者周囲の人への受動喫煙被害:子供や妊婦)を重視し先の規制に相成ったようです。

タバコは、たとえ医療者でその害が解っていても「わかっちゃいるけどやめられない」しろものの代表。医療者のなかでもこの矛盾を抱えちゃっている人が多いところが、やめさせたくない人に狙われてしまうところでしょうね。

「医師が国政を目指す。」リーディングリストへ Clicky Web Analytics Clicky

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.08 22:41 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  海外留学  |  tarogo  | 推薦数 : 0

質の議論は、まだか

040508/EnglishforestwithRoger&Ryuki天気のよい休日に、友人達と郊外の森を散策してきました。少し歩くと青紫の可憐な花が一面に咲いていて感動的。この花、ブルーベルは英国の桜よろしく、4月後半から3週間だけ一気に咲く花。北海道の芝桜を思い出しました。おいしい空気とうつくしい風景、素敵な時間にすっかりエネルギーを充電!です。

 

いくつか日本の医療についての主張を読んでいて気になることがありました。 喫緊の問題である医師不足や偏在、過重労働や医療費の量に関して、救急医療体制の不備・整備や刑事責任追求の是非ときて…、なんだか医療を外側から触っている感じと言うか、かえって医学界と市民(や行政・政府)との隔たりを感じました。なぜかなあというと、ひとつそこには医療内容に踏み込んだ議論が乏しいからかなあ、と思い当たりました。どうでしょうか?先に挙げたそれぞれの問題にも必ず関わっていると思います。

「医療の質…」とくると、いくつかの指標が提示されて、「だから日本の医師の診療の質はよい」と多くの議論なく結論づけていることが多いようです。例えば平均寿命や乳幼児死亡率。残念ながらこれらの指標と医療の’質’との相関は、明らかな結論として提示されていないのかなあ、と思っています(もしくはあっても低い。McKeownやMcGinnis JM, Russo PG, Knickman, JR.  Health Affairs, April 2002だと先進国の平均寿命前死亡に対して医療の影響は10%以下のようですし、日本だけ違うとは結論できない…)。また時には、OECDの医療システム比較(時に、避けられる死亡の数に関するデータだったりもする)を例にとって世界一の医療システム!なので、医師の質もよい、という関係の少ないものを結びつける無理のある展開もあり、苦しい。日本の医師は様々な意味で最大限の努力で診療能力を高めその質を維持し、良い医療を提供している、それを示すよすがが非常に乏しいのです、寂しいことに。なんとかしてその質を測定・証明し示して、市民(行政・政府やマスコミほか)にも世界的にも信頼を得たいですよね。

質の議論はとても複雑で難しい。特にこれこそ技術的側面やコンセンサス形成などがあり医師の外側からするのがとても難しい。だからやはり医師自身が医師内部から行うことだと認識しています。医療を語るオピニオンリーダーから医療の質の議論がでてくれば…などど期待しています。できればEBMなんて話しだけに目を奪われずに。

「医師が国政を目指す。」リーディングリストへ Clicky Web Analytics Clicky

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.05 08:51 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  海外留学  |  tarogo  | 推薦数 : 1

改めて、To err is human.

近所のSt. Mary Churchの庭に私の好きなクロッカスが咲く時期になりました。 丈は低いが、春温かくなると真っ先にはっきりした色と形の花を咲かせ、北海道では雪解けを彩る花です。

折に触れて引用される文献ですが、現在受講している「ヘルスシステムと政策」の授業でも引用していたので『To err is human』の有害事象の部分に少し触れたいと思います。

日本語訳が出版されていますが、英文はウェブ上で公開されていますので無料で読むことができます。

リンク先:Institute of Medicine: To err is human( 画面下方のRead full testより全文が、Download freeからは要約が読めます)

日本語訳:人は誰でも間違える—より安全な医療システムを目指して

Institute of Medicine(IOM)の報告書『To err is human』が米国で1999年に刊行され、莫大な数の患者が医療に関わる健康被害を受けていることが、具体的な数字で報告されています。1997年時点でコロラドとユタ、ニューヨークの2つの調査では入院患者の2.9%・3.7%に有害事象が発生し、その有害事象のうち6.6%・13.6%が死亡に至り、しかもその半数以上は医療ミスによるものであり防ぐことができたとしています。この結果を全米に当てはめると少なくとも毎年4万4000人が医療ミスで死亡していると推計でき、その影響力の大きさに驚愕です。一方でこの結果は入院加療のみを扱ったものであり、外来、日帰り手術や在宅訪問診療、医療が提供されるナージングホームような施設が含まれておらず、事態は更に深刻であろうと予測されています。 医療による有害事象の対応やそれにまつわるコストの莫大さも強調されていますが、一方で医療による有害事象のお金に換えられないコストについても言及されています。過誤があれば患者の信頼は低下し、また患者・医療者双方の信頼も減退します。

授業ではこの辺りで「この中で、車を運転する人は?」と学生に問いかけ、交通事故による年間死者(43,458)より多いことで実感させ、また「AIDSによる死亡者数と比較すると?」と、現在ボツワナでのHIV/AIDS母子感染プログラムの複数の治療プロトコルでのコスト効率分析をしているグループを煽り、当時米国でのAIDSによる死者数(16,516)より圧倒的に多いことに驚かせ、「じゃあ悪性疾患のなかでも、乳癌との比較は?」とこの間、話題になっている23andMeなどでも提供されているBRCA遺伝子スクリーニングを題材に議論した記憶も新しい乳癌に関するデータで、それよりも多いかもしれない(42,297)のかとため息をつかせる。 そして、その有害事象は医療過誤と予防できる有害事象、予防できない有害事象に分けられると解説がすすむ。

日本では無過失補償やADRなど医療行為の結果起こった望まない結果・被害に対する行政的・法的対応について議論されていますが、一方でどの程度、医療に伴った事故や避けられない悪い結果・不十分なもしくは不適切な医療による悪い結果が起こっているのかというと、そういった情報は十分に収集・報告・公開されていないのが現状だと思います(自己報告のみでは、より正確な情報を収集する方法論として不十分でしょう)。医療者が現状に危機感をもって「医療は安全なものではない、危険なものだ」とだけ指摘して、単に不安を煽る言説はまた結局極端な反応・医療利用者の不安を増大させるだけであり、理想的な「医療者と医療利用者の相互理解」や「信頼」からはより遠くなる結果となることが予想されます。また同様に、この報告書の中心的考え方である「人は誰でも間違える」ことのみ取って、「医療は治療を目的としながらも、危険なものなのです」とだけ主張するのは、どれだけ説得力があるのか、疑問です。

では医療過誤と予防できる有害事象を減らす為にどのような事がされているのかを示す必要がある。できれば個別ではなく、セーフティマネージャを置かなきゃいけないからじゃなく。

「医師が国政を目指す。」リーディングリストへ 夢×挑戦ブログ参加中Clicky Web Analytics Clicky

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.02.08 16:57 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  海外留学  |  tarogo  | 推薦数 : 0

時論:プライマリケア再考(1)

福島医大地域・家庭医療部の葛西教授と、週刊日本医事新報に時論を書かせて頂きました。

【 時 論 】
・プライマリ・ケア再考 ─英国家庭医制度から学ぶ(1)
 プライマリ・ケア診療の質追求    (葛西龍樹ほか)

私の担当部分では、英国家庭医の元での研修と現在の学習の中で考えたことを核に、医療の質への努力について3つの側面を紹介しています。

以下、はじめの部分の引用です。

ーーーーー

■はじめに 

質が高くより公平で国民の期待に応える医療供給体制の構築は全世界的な要請であり、特に限りある財源や人的・物的資源の有効活用という点で効果的な医療システムを運営して行くことは国民の健康を維持・促進するために重要である(WHO 2000)。また効果的な医療供給という点においては、Starfieldら(2005)によると、死亡率の低下や予防的医療の利用の向上、収入格差にともなう健康格差の是正に対する処方箋として、良く訓練されたプライマリ・ケア専門医による診療が貢献することが示されており、その中でも英国のプライマリ・ケアは高く評価されている。
「地域に自分のかかりつけの医師をもつ」という考えは日本でも古くからあるものだが、日本では医療・福祉制度上、プライマリ・ケアと2次医療など他の専門領域との区別が曖昧である。プライマリ・ケアを専門にする医師に特別な教育が必要であるという認識も広まっておらず、日本家庭医療学会による標準化された家庭医療後期研修プログラムの認定制度が、漸く2006年に始まったばかりである。医師不足、医師偏在、地域医療崩壊などの問題も、医師の「量」の議論に集中し、「質」についての具体的な取り組みに欠けている。
英国ではかかりつけ医をGeneral Practitioner(GP、以下「家庭医」と呼ぶ)として養成し、医師・国・地域住民が手を取り合って、その資格や質を整備している。一方で、身近にあってなんでも相談できる医師という、広範な能力を要求される家庭医が果たして十分に教育可能で機能するかについての問いは、常に存在する(Seddon et al 2001)。それに答えるため、英国では家庭医が行う医療の地域への貢献やケアの質に対する追求や検討が国や地域行政機関・専門機関・研究者によって常に行われ、よりよいケアの質への試みとその提示が継続的に行われている(Wilson 2006)。
本論文では英国家庭医療(UK General Practice)の質に対する追求や検討を評価できる点と批判的に見るべき点について提示し、日本の医療への示唆を示したい。(引用終わり)
ーーーーー

是非手に取って頂き、ご意見・ご感想を聞かせて頂けたら嬉しいです。

「医師が国政を目指す。」リーディングリストへ 夢×挑戦ブログ参加中Clicky Web Analytics Clicky

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.28 19:43 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  海外留学  |  tarogo  | 推薦数 : 0

モテ道、医療版。

規制の話しに引き続き、パフォーマンス評価にまつわる授業が始まっている。

ミクロからマクロまで様々なレベルで、医療のパフォーマンスを測定・開示することを求められることが多くなっているのは、医療だけの話題ではなくどこでも見られるトレンド。場所によっては個々の医師の診療結果(NYの心臓外科医は今も開示を求められているのでしょうか?そして近隣のニュージャージーはやはり求められていない?)を公開することを求めている。ときにパフォーマンスを表す指標は適切な処方や検査などのプロセスであったり、入院日数や死亡率などの結果であったりし、それを測定する目的とその目的にかなった適切なインセンティブを内包してより高い診療の質やその差の軽減、その情報を元にした患者による医療選択の推進や、医療機関間の競争促進を行う。評価一つとってもそれくらいパワフルなものなのだ。

同時に、これもどこの業種でも同じことで、評価されるのはやっぱり億劫で、その指標はいつでも不正操作される。よってより厳格な情報の収集が求められる。会計やビジネスの世界でも、いかに会計が粉飾・改ざん可能でそれを行うことが如何なる罪なのかを叩き込まれると聞く。よく分かっているこちら側にとってはそんな薄氷なのだ。かたやナイチンゲールの時代から、情報の公開を求められながらも抵抗し続けている医療界で、情報の申請を意識的・無意識的に良く見せてしまうのは明白かもしれない。ひとり聖人として振る舞っていても、それはひとり損を被る結果を甘んじて受け入れる’尊い’振る舞い。そう、医師たちは、医療従事者はよくやっている、しかしこの指標がいけない、自分たちの成果を正確に反映していない、だからそれらしくなるように、この患者はそうそうにあの病院へ転送、この患者はリスクが高いので手術実施不可、など正直な努力が’評価とインセンティブ’に煽られて間違った方向へ行ってしまう。

昔、女子が男子を選ぶ基準が「三高(高身長、高学歴、高収入)」なんてまことしやかに囁かれていた時期が合った(また古くてすいません)。

既に低身長が約束されていた私はそれを聞いてイヤーな気分になりながらも、いかにそれをもみ消して「三高」っぽく感じてもらうか、なんてできる?と思ったりしたけど、一方で「三高」でしょうもないヤツをたくさん知っていた(もちろんいいヤツもたくさん)ので、そんな基準で選ぶ女の子がいれば(いるのか?)ちょっと毒づいたりしてみた。「わかっちゃいない」。

でもその子にモテる為に大切なことは違う。その子の基準に沿って話し行動すること、できれば特に少なくとも一つの基準で飛び抜けた、できれば予想外のパフォーマンスを達成すること、総合点も意識すること、だったりする。

この辺り英語ではgamingと表現して、一部の基準で全体を評価する難しさと不可避な不正の話しと合わせて、授業でも忘れてはならないポイントだった。

医療機関なら、同じモテるなら行政・保険者ではなくて、患者さんにモテたい。そんなパフォーマンス評価なら受け入れられる。

Powered by ScribeFire.

「医師が国政を目指す。」リーディングリストへ 夢×挑戦ブログ参加中Clicky Web Analytics Clicky

固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)