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日本で英国:イギリスの医療が話題にされる時は、未だ「医療荒廃」「待ち時間が長い」「ゲートキーパー」「受診制限」の4点で引用されることが多く、ほとんどの場合、1990年代の古い情報をもとにしていらっしゃるようです。近藤克則先生の本「医療費抑制の時代」を超えて―イギリスの医療・福祉改革」 や、最近では森臨太郎先生の本「イギリスの医療は問いかける 「良きバランス」へ向けた戦略」などで、この10数年の英国医療制度の変化や現状についてくわしくそして分かりやすく報告されていますが、今回私は医療政策側面を軸に英国の医療改革について、日経メディカルに寄稿させて頂きました。夏に行なった講演内容の改訂版です。
----------(以下、引用です)
日経メディカル 1月号 p48-51
英国の医療制度の根幹をなす国民医療サービス(NHS: National Health Service)は、2008年で満60周年を迎えた。NHSは「診療時点での患者の自己負担をなくし、英国に居住する誰もが、お金の心配をせずに診療がうけられる」という受診時の公平性を謳って1948年に設立された。
(中略)
08年にはNHS60周年を記念して、様々な記念行事が行われ、改めてその意義や効果が確認された。中でも、6月に公表された、今後の医療制度改革の方向性を包括的に示した報告書である『High Quality Care for All』(通称ダルジ・レポート)が、注目を集めた。ダルジ・レポートは、現役の外科医でもあるダルジ保健政務次官率いるチームが、1年間かけて完成させた報告書で、現場の医師や看護師は当然のこと、ほかの医療従事者、患者や住民との意見交換を経て完成させた、今後の英国医療政策の基本方針である。これは過去10年間の労働党政権による継続的な医療制度改革の成果の上になりたっている。 …(以降、たっぷりとつづく)
----------(引用おわり)
手に取って、読んで頂ければと思います。
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タバコにまつわる医療政策は、医療政策研究の格好の題材だ。
多分、医療政策を学び始めた時に、真っ先にディスカッションの題材にされると思う。そこで、いろんな国の人がディスカッションに参加してる場合、日本人の参加者は必ずと言っていいほど肩身の狭い思いを経験していると聞く。「日本のタバコメーカーの筆頭株主は財務省だものね。その利益相反からくる政策決定への影響は免れないだろう。」と指摘されると、「歴史的な背景が…」なんて、あとから何を言ってもしらじらしくなってしまう。そういう時は、今後は神奈川県の話しをしてもよいかもしれない。
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神奈川県の松沢成文(まつざわ・しげふみ)知事が2月県議会で成立を目指している全国初の禁煙条例。知事は当初、全面禁煙の方針だったが、反発を受け一部 分煙の容認や猶予の対象拡大など"妥協"を重ねている。だが飲食などの業界や県議会の反対は依然根強く、成立には暗雲が垂れ込めている。…(以下、記事続く)
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後につづく、政策決定や計画・実施上の過程は要注目だ。
こういった、禁煙政策の効果について、アメリカの実例が最近報告されていた。職場や商業施設・公共施設での禁煙に関する法律施行後の3年間、継続して心筋梗塞による入院が減少しているというものだ。
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MMWR weekly, January 2, 2009 / 57(51);1373-1377
Exposure to secondhand smoke (SHS) has immediate adverse cardiovascular effects, and prolonged exposure can cause coronary heart disease (1). Nine studies have reported that laws making indoor workplaces and public places smoke-free were associated with rapid, sizeable reductions in hospitalizations for acute myocardial infarction (AMI) (2--7). However, most studies examined hospitalizations for 1 year or less after laws were implemented; thus, whether the observed effect was sustained over time was unknown. The Pueblo Heart Study examined the impact of a municipal smoke-free ordinance in the city of Pueblo, Colorado, that took effect on July 1, 2003 (3). The rate of AMI hospitalizations for city residents decreased 27%, from 257 per 100,000 person-years during the 18 months before the ordinance's implementation to 187 during the 18 months after it (the Phase I post-implementation period).* This report extends that analysis for an additional 18 months through June 30, 2006 (the Phase II post-implementation period). The rate of AMI hospitalizations among city residents continued to decrease to 152 per 100,000 person-years, a decline of 19% and 41% from the Phase I post-implementation and pre-implementation period, respectively. No significant changes were observed in two comparison areas. These findings suggest that smoke-free policies can result in reductions in AMI hospitalizations that are sustained over a 3-year period and that these policies are important in preventing morbidity and mortality associated with heart disease. This effect likely is mediated through reduced SHS exposure among nonsmokers and reduced smoking, with the former making the larger contribution (4,6,7).…(以下、記事つづく)
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心血管疾患についてはアメリカと日本では罹患率など全く異なるので、解釈には注意が必要だが、一方でこういう政策実施とその政策によって期待される効果の測定・評価の実施・公開には本当に感心する。
神奈川県の条例も内容がどうなるとしても(上の記事で言う”落としどころ”:)、その後の市民への利益・不利益に関する効果を評価し、真の「全国初の成果」を示してくれるのではないかと期待している。
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:ご近所の公園
医療政策の話しをしていると、「イギリスの医療は待ち時間が長くて直ぐに医師にみてもらうことができない。日本の方が、平均寿命も長いし新生児死亡率も低い。かつフリーアクセスでWHOの評価では世界一じゃないか。イギリスの制度を日本に導入する必要はない。」という反発をよく頂く。
こういう反発を聞く時にいつも、うちのクリスマス前の会話を思い出す。
何気なく家族が「おとなりのお父さん、クリスマスのディナーを毎年料理するんだって!ターキーの準備をもうしているらしいのよ!」なんて言った時に、なんだかうちのお父さんとしては居心地わるくなって、「なんだうちも私が料理しろってことか」と勘ぐってみたり、「いつも皿洗いとゴミ捨てしてるじゃないか、お隣はしていない」、と強がってみたりしたくなった私。うちの家族としては、「そういうひともいるんだ」くらいの日常的な報告だったかもしれないのに、なんだか的外れな指標を引き合いに出して、自己防衛を図ろうとする。
ちょっと冷静に考えてみたら、お隣のおとうさんは料理人だったり、小さい頃から(なんらかの理由で)家庭でお母さんと料理をしていたりする、かもしれないなんて、お父さんの背景が違うかもしれない。もしくは、おとなりはお母さんが年末商戦のデパートの仕事で忙しく、泣く泣くお父さんが準備しているという家庭環境なのかもしれない。こういう背景や環境・歴史などが全く分からないじゃないか。もしかしたら、そのターキーはあまり美味しくなくて、料理好きのお父さんに家族はつきあっているだけかもしれない。
先の反発の最後の部分、「 イギリスの制度を日本に導入する必要はない。」には全く同感である。制度の盲目的「輸入」は馬鹿げている。
しかし一方で、だれも今の日本の医療制度や医療政策がうまくいっているとは思っていない、とも思う。じゃあ、どうするかという時に、日本と似たような国で、精力的に行われている医療政策とその評価を利用し、日本の医療の問題点を解決する方法を探る実証として採用することは、筋が通っていると思う。他国の成功例を分析し参考にし、失敗を冷静に眺めて同じ轍を踏まない。私達が考え抜くべきことは、他の国の医療政策の試みとその結果を踏まえながら、日本の現実にある医療問題についての解決法を賢明に探ることなのだ。
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うちのお父さんとして、「じゃあお隣で、そのターキー食べさせてもらおう!」という対応がよかったのか悪かったのかの結論は、まだでていませんが…。
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氷点下ながらも青空の続くエジンバラでのお正月は、キリリッと身が引き締まり、年の初めには最高です。早速、Holyrood parkを家族で一周。高台から見下ろす世界遺産の街はしっとりと落ち着いていました。
家に帰ってくると、友人一家が新年の挨拶に来てくれて、早速お茶する。私がNHKのDVDを観ていたのをネタに医療の話しをする。一般の医学や医療制度・政策の知識のすくない利用者からみた英国医療と日本の医療。 特に「カネ」と責任にまつわる話し。そのなかで、ちょっと関係ないのだが、日本で給食費を払わない親の話しになる。結構たくさんいるのですね、そういう親。本当にいるの?と信じ難い。西原理恵子の『この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ) 』に書いてあったよ、と。
でも、理解できる。大きなシステムの一部として、みんなに提供されることになっているものに対する金銭的負担は、こっそりお金を払わずに頂いちゃってもまあそんなに誰の腹も痛まないのであれば、そうしたくなるもの。家庭の財政状況が理由で、払わない可能性もあるけれど、そんなこととは関係なく、フリーランチが目の前に転がっていたら、だれでも食べてしまって知らん顔もできるでしょ(最悪ですけどね、そういうの)。
あっ、救急医療もそうだよね、と友人に。 救急医療は金銭的には報われない医療だ。人件費や診療費用などがかかる割にはその診療によって得られる診療報酬や補助はそう多くない(要確認)。そうすると儲けが少ない分、普通の医療機関はすすんでやりたくなるような診療科ではないから、公立の税金をより多く使った医療機関が提供することになる。地域の救急診療を安定して提供するために。もしくは町や市、県が資源を投入して救急診療体制を整備する。その市民は安心だ。そうするとね、隣の町の住民も安心だ。 なぜ?隣町や隣の市の充実した救急を利用すれば良いから。そうすると負のインセンティブが働く。
その隣の町や市、県の行政は救急医療に資源を投入する気がおきない、かもしれない。
放置してだまっておけば、市民が医療のフリーアクセスをフルに生かし、隣の町に行ってくれる。その浮いた分の予算を教育や福祉や景気回復対策に投入できる(ならいいけど)。結局、日本のようにある意味、民間解放されている医療提供者環境では、儲けにならずかつ地域で必要とされる医療は公的医療機関がまかなわざるを得ず、そこにフリーランチを頂きにくる関係者が発生するのは避けられないことなのだ。じゃあ、どおするの、と友人。
さあ、どうするのだろう。理論的には、市町村をこえ、都道府県をこえた、全てをまとめた国が地方自治体と協力して資源を投入し行なうことは、効果が期待できる。しかし、現在のように地域のこころある民間医療機関が頑張っているので”機能している”ように見える、また一部の地方自治体で頑張って”機能している”ように見える救急医療の状況だと、国もさっき話したようなまやかしの負のインセンティブに動かされ、そっとしておく可能性がある、かな。一方で、急に国が頑張ったりすると、「地域で頑張っているのに(介入してきて)邪魔しないでくれ!」なんて声が現場からあがってきたりして、難しい。
ああ、ここまでくると思い切った政治的判断かな、と思う。完全な合意の形成にいたる道は長くて遠い。
追加:そういえば、このときの話しで、救急車が隣の町や県に搬送する、いわゆる”越境”がおきている話しを聞いた。本当に?私が働いていた北海道・室蘭では、救急車は近隣の伊達や登別、洞爺町などには越境搬送できなかったはず。記憶違いか、なにかかわったのか、はたまた見て見ぬ振りか。
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