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2008.11.22 09:50 |  診療  |  研究  |  医療制度 / 行政  |  海外留学  |  tarogo  | 推薦数 : 0

日本の医療政策分析

エジンバラにも雪が降りました。すっかり冬の装いです。深夜遅くに大学から帰ってくるときには、ミミ付きの帽子をかぶっています。このひと月の記憶はずっと机に座っていたものでした…、読んでは書き読んでは書き。新しい分野で議論を追うのが精一杯…まだ修行中です。

そういったなかで、立命館大学の松田亮三先生とさせて頂いた仕事が形になりましたので、報告です。

日本の医療政策に関する記述的分析報告で、今回は2編担当させて頂きました。 

後期高齢者医療制度に関する政策分析

Tomizuka, Taro and Ryozo Matsuda: "New Health Insurance for the Elderly". Health Policy Monitor, October 2008. 

終末期在宅医療に関する政策分析

Tomizuka, Taro and Ryozo Matsuda: "Promoting end-of-life care outside hospitals". Health Policy Monitor, October 2008.

両方ともダイナミックに進行形の政策ですから、今後もフォローアップしながらの報告となります。

内容について気づいたことを書きたいのですが…、ちょっと眠たくて頭がまわりません…。また、近いうちに。

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以前から疑問に思っていて、私のアタマの悪さからか、全く筋道が見えないことについての覚え書き。たまにこういう主張がされていると感じて。

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医療費の公的負担を増加して、医師の給与・待遇・労働環境の改善を!

これらがどう関係するのかが全く見えてこない。

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なんらかの理由で、病院や診療所、医療法人などの収入・利益が増えた結果、果たして結果として医師の給与・待遇・労働環境は改善していくのだろうか。

医療機関の収入・利益増は公的負担の増加以外でも起こりうる。

病院や診療所、医療法人の経営戦略(より利益になる医療内容の提供や自費診療の提供拡大:富裕層対象、などやコストダウン:事務のアウトソーシングほか)や多様な診療形態のグループ運営(病院、診療所、福祉施設ほかのグループ運営、ほか)などで、現在でも十分な利益を享受しているところは多くあると考えられる。その利益もしくは収入が増加すると、医師の給与・待遇・労働環境が改善するのだろうか。私が勤務していた経験からいうと、さまざまな理由があり難しく感じる。例えば収入が増えたとしても、将来の収入の不確実性を理由(来年はどうなるか分からない:リスク回避型)に利益の保持を訴え、その利益の還元を保留できる、もしくはその利益を投資(機器購入や他の医療機関運営・買収ほか)に回すことができる。未来はいつも不確実だから、その理由はいつも正しい。さあ、どういうきっかけで医師の給与・待遇・労働環境が改善していくのだろうか。

一方で公的負担が増加したとして、それが診療報酬の増額改定だったとして、どうなるのだろう。政治マターで決まっていく診療報酬の変化額が増える方向にいったとして、その報酬方法が出来高払いだとしたら、上がった単価分をまた働くために、引き続き同じだけの診療を繰り返すことになるはず(仮に診療量が減るのであれば、それは医師が診療の量をコントロールしていることになり(SID)、ちょっときわどい内容のような…)。そうすると多少の収入増はあるかもしれないが、果たしてそれがいまここにある医師の給与・待遇・労働環境の改善に貢献すると期待できるのだろうか。

私が働いていたときは雇用契約内容というものを見たことがなかった。年俸制と名うった収入がどれくらいでどうなっていくのかもよく分からず、まあ生活するには十分であったし、年度替わりに一喜一憂する程度で、医療法人がその年度始めに決めていたものを受け入れるだけだった。その曖昧さは諸刃の剣で、一方で医師が集団で退職するとなると、特に雇用契約内容に規程がある訳でなし、それを拒むすべがなく受け入れるしかない。古くからあった医局と病院との”信頼関係”の証が、”水臭い”明示的な雇用契約を排除していたのかもしれない。いずれにしても結局、医師の給与・待遇・労働環境の改善というのは、国との関係ではなく、個々の医療機関のポリシーによるのは、全く明らかだと思うのだ。

医師を分類して「経営者」医師と「雇われ」医師の2つに分けて考える必要があるかもしれない。

医療費を増やしていくことは、必要な医療を提供していくのに必ず必要だが、さてどう増やしていくのか、と医師の給与・待遇・労働環境の改善がとても遠い関係に今も感じている。

追加:社会保険の在り方、公的医療機関と私的医療機関の混在下での国家の医療提供の責任と私的医療機関のcream skimming…とまでいかなくても境界の曖昧さ、contracting再考、も今後の課題です。

 

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すっかり早朝の体感気温は氷点下ですが、天候が許せば家から3分のところにあるHolyrood parkでジョギング。ロンドンマラソンのballotがはずれたのでくさっていましたが、まあ古傷の足底筋膜炎が疼くので…と自分を納得させて公園を一周。気持ちいい。

英国では病院を評価しその星取り表(リーグテーブル)を発表することや、 施設の清潔さや院内感染の情報を公開するなどの、医療機関の「質」に関する情報公開が(試行錯誤で)試みられていましたが、今度は患者参加型”グルメガイドスタイル:ザガットスタイル”医療機関利用ガイドを提供することが計画されていると報道されていました。

(以下、引用です) 

'Zagat-style' guide will rate hospitals

By Jeremy Laurance, health editor
Monday, 27 October 2008: The Independent

Ministers are planning the first "Zagat-style" user's guide to the NHS, which will rate hospitals and GP practices on the basis of comments from patients.

Star ratings could be given to the most popular NHS establishments in the same way as guides to eating out rank restaurants on the number of positive responses they receive.

More than 6,000 comments from patients on individual NHS trusts have been recorded on the NHS Choices website. The scheme is due to go live next year with a TV campaign and dedicated website that patients will be encouraged to use to rate the service they received.

Lord Darzi, Health minister and a practising surgeon, said the move was a part of the drive to improve quality in the NHS, set out in his "next stage" review, published last summer.

In the US, the international restaurant rating company Zagat, has teamed up with WellPoint, an American health insurance company, to allow consumers to rate their doctors.

Lord Darzi said: "We will have a Zagat-style guide here. We plan to do that as part of the NHS, providing a guide to hospitals and GP practices. In my hospital [St Mary's in London] there could be a Zagat rating for the colorectal service, in which I work."

(原文更につづく…)

 ザガットは日本語版もあるレストランガイドですが、利用した人の口コミ(アンケート・レーティング等)で評価をする、今はよく見られるガイド形式のハシリ。アメリカではこのザガットガイド自体が医師個人個人の口コミ・評価を提供するサービスも始まっているようですが、さて、英国はいかに。

対象となっているのは病院と家庭医診療所(GP)で、医師個人ではないようですが、 印象的なのははっきりとHealth Minister(現役の外科医でもあります)が患者の病院・診療所での主観的な医療経験を重要な医療の「質」の指標だと言って、それを明確にし、個々について公表しようとしている点。

こういうのはどの内容に対してだれがだれをどうやって情報提供して、その結果を公表するのかしないかなど、つめるところ沢山だが、公表すると決意し、国をあげて患者の医療経験指標をあげにいくのだから、恐れ入る。医療費削減・増大などの金銭的評価や健康指標の改善、人員不足の解消等を越えて、医療の国民への貢献を追求する価値観は、さて結構チャレンジングだがどう受け入れられ活用されるか。日本だと「そんなことにお金を使わずに、○○につかってくれ」という横やり必死ですか…。 

参考に、既にいくつかの病院はNHS Choiceというサイトで、患者さんのコメントを受付公開しています。こんな感じで。

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