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医師の辞職が問題になる報道は、必ずといっていいほど給料の話題になる。医師が給料が低いことを理由に辞職している、というものだ。
「医者をなめないでほしい」
そういった声が医師から聞こえる。正直私も同じ気持ちだ。そういう報道をされる方の内にある、monetary valueを優先した価値観が透けて見える。すこし寂しい。
しかし一方で、医師の中にもさまざまな方法で金銭的などの自己の利益を優先し追求している人がいる可能性は否定できない。 いつだってそうなんだ、そういった少数の人たちの特徴で大きな集団が判断されてしまう。しかしそれが”少数”なのだと、誰がいえよう。統計で求めた数字では説得力に欠ける。
英国でも少数の医師の質の低い診療や犯罪が注目され、医師と患者・社会との不信感が拡大してしまった。このことと、英国家庭医の教育について、日本医事新報に時論を書かせて頂きました。
以下、引用です。
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【時論】プライマリ・ケア再考 ─英国家庭医制度から学ぶ(2)
家庭医の役割・倫理教育と規制 ─特に医師免許更新制度を巡って
はじめに
英国家庭医の自律的な診療の質追求への努力と実績、pay-for-performanceの功罪を紹介した前回(葛西ほか 2008)に引き続き、今回は異なる側面における英国家庭医の質追求への試みと政府による規制について言及したい。日本を含めたさまざまな国で、医師は、よく訓練された知識・技術を個々の患者に最大限提供する専門職として期待されていると同時に、公共の利益、特に医師法第一条にて述べられているような「公衆衛生に寄与する」ことが期待されている(医師法)。しかし、この二つは時に相反する。例えば十分な診療の行える最大数の患者を受け入れた救急外来が、現在進行中の患者への診療の質を保つ為にさらなる救急患者の搬入を断った場合、ほかに救急を受け入れる医療機関へのアクセスが確保されていなければ、その地域での救急救命率が下がる可能性がある、という具合である。
また、医師側の診療姿勢も二つの相反する側面がある。Brewer(2000)が指摘しているように、医師は職務において公共の利益にかなうよう行動するといった公共精神が養われ備わっている一方で、やはり医師個人の効用を最大化する理性的経済的個人としての志向や嗜好があることは否定できない(Lightほか 1988)。英国では1990年代より、家庭医を含めた医師という専門職が内包するこういった相反する価値や倫理観を前提としながらも、大いなる職業的自律を得ながら診療していることに対する市民・患者・行政による不信が問題となっていた(Irvine 1997)。特に1997年に明らかになったBristol Royal Infirmaryでの小児心臓外科手術の高死亡率に対する追及や1998年に明らかになったHarold Shipman医師による連続殺人などのごく一部の医師による犯罪をきっかけに、英国社会の中で医師の資質に対する不透明性・不信が決定的なものになってしまっていた(Welshe 2003)。それに対し、英国家庭医療学会を含む専門医学会や英国医師会、患者団体や行政が協力し、信頼・自律回復と同時に継続的な医療の質向上に向かっている過程は、医療というものが構造的に持つ問題とその解決策を知る為に参考になる。
本論文では、はじめに英国家庭医療制度と医師-患者関係の構造から医師の役割を読み解き、専門職として医師に期待される役割とその内容に言及する。さらに、専門職集団の責任行動の一つとして英国家庭医の倫理教育に焦点を当て解説し、一方で構造的に必要とされる規制について、特に英国における医師免許更新について述べた後、日本の医療への示唆を示したい。
(以下、文章つづく)
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この中で、医師の中にあるKnights(騎士)としての行動規範・価値観とKnaves(ならず者)としての行動規範・価値観に触れています。ならず者は必ず存在する、それをどう扱うか…、を医師自ら問うことは大きな苦痛を伴うかもしれません。自らの沈黙を守っているならず者に光を当て認める、その自覚が大きな集団でのならず者の存在に対する対処・対策への必要な一歩かも知れません。
二項対立では決してない。敵は自らの中にある。
日本医事新報の本文も読んで頂けると嬉しいです。
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