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2007.11.20 18:42 |  研究  |  医療制度 / 行政  |  海外留学  |  tarogo  | 推薦数 : 1

不信スパイラル

PhDの学生の研究計画発表を聞いていて、すこしぼーっとしていた。

バハカリフォルニアの医療政策研究が内容だったが、エンドポイントと分析の部分がものすごく曖昧で”マイ理論”で押している。 早速フロアからやんわりと質問。最終的にこの研究で得られることは何と考えるか?や、分析の枠組みはどう考えているか?など、とてもやんわりと問いただす。慎重に学習者の知識程度と理解を引き出そうとする教官の態度に共感。でも学生は一貫して”I'm sure”の姿勢で埒があかない。

 

と同時に、日本での一連の偽装について考えていた。

古くは私が住んでいた北海道に激震が走った雪印に始まり、不二家、白い恋人などなどあげたら沢山ある食品関連(「みんなやってる」で開き直った食肉会社はご近所でした…)、A事件を発端とする建築関連、政治関連団体の領収書もれ?などの政治関連、退職後の就職斡旋と利益誘導にまつわる行政関連などなどなど。なんだか自分たちがすっかりナイーブであるように感じ、周囲を信頼していたのに裏切られた感じがする。ひとつのことだけでなく、社会全体への不信感が更に不信を呼ぶ。

今まで信頼していたものを少し再考しよう…などと考えると、はた、自分の足下が一番危ういことに気づく。 医療…は構造的に信頼の上に成り立っている。”プロフェッショナル”という定義やプロ自身の自覚が曖昧な言葉の元で、そのプロの自律を大いなる国民の信頼の元で頂いている。悪診療や不正診療をきっかけとして、また無責任な診療閉鎖などをきっかけとして不信が高まった結果、ほかの産業同様、規制によってより管理・制限を加えようとするのは当然の流れかもしれない。そうなればより管理が複雑となり、経費も時間もかかり、プロのモチベーション含め、その分野が混乱(場合によっては荒廃)して行くのは、現在の建築業界を見れば参考になる。

 

さまざまなものに守られている業界の常道ではあるが、現在医療関係者が行っている「規制や権力を批判して、同情や理解を求める戦略」により、自分たちの正しさやより手厚い支援を求めるのは正しい戦略なのか?と疑問が残る。競争にさらされた業界なら「私たちの提供するものはこんなにいいのですよ!」と良いところと誠実さ、信頼と透明性をアピール(もちろんそれに対応する透明性や説明責任の強化も必要)するところだ。 このうち一方ではなく両方の戦略で信頼を回復し、再生できるかが、日本の良い医療をより進めて行ける鍵だと考えている。

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日曜日です。

冬に入ってロンドンは夕方4時にはもう暗くなります。学校や友達との外出からの帰宅は必ず真っ暗な中のナイトラン。結構好きです。

休みということで、くつろぎながら朝日新聞(Asahi.com)を見ていて、すこし気になりました。

地域をどう活性化するかを、中央政府が募集し、”優秀”な提案は、中央が予算を差し上げて事業化してあげますよ、と。 政治の素人さらけ出しで申し訳ありませんが、素直に地方のことは地方に住む人々が一番知っているだろうと考えています。もちろん問題を評価し政策を実行していく人材や体制が必要となりますが、地方政府がその選択や事業化、責任を担っていくのが最適で当然であろうと。財布のひもをぎゅっと握った、ものスゴい中央の強さを感じます。こういった環境で、たとえば地方議員はどれだけ主体性を発揮して地元を良くしていこうとしていけるのか、興味があります。 中央省庁、国政の下請けになってしまっては、本当に地元からあがってきた問題をフロントラインで解決するには不十分ですよね。

さあ、以下引用です。 ーーーーー

地域活性化案、民間から募集 大田経済財政相

2007年11月10日23時53分

 大田経済財政相は10日、地元関係者との意見交換のため訪れた青森市で記者会見し、地域活性化策や地方財政の立て直し、少子化対策などについて全国各地 のシンクタンクから政策提案を募ることを明らかにした。優秀な提案は、関係省庁で予算をつけて事業化することも検討する。

 提案は今月中に募集を始め、12月20日にセミナーを開いて優秀な案を三つ選ぶ。優秀案には内閣府が具体化のための研究費用を助成し、来年6月に詳細な内容を発表してもらう。その後、関係省庁で予算化を検討する。

 

ちょっとテスト。

 

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2007.11.07 08:15 |  開業 / 病院経営  |  医療制度 / 行政  |  海外留学  |  tarogo  | 推薦数 : 0

フリーアクセス考2

「週末は…」、なんて書いた前回の予定もつかの間、すっかり風邪にやられています。 久しぶりの全身倦怠感、節々の痛みとのどの痛み、嗄声・咳、発熱。 起きては寝て起きては寝てですが、深く眠れず、うなされていると家人は言います。いつもクラスメートと話してる夢だからかなあ。

ふたたび、日本でのフリーアクセス擁護について考えてみる。医師側としての。

医師としては、自分の外来にかかってくる患者さんを原則ことわることはない(救急車や受診”依頼”、入院”依頼”などは断ることがあるようですが…)。 自分の診療できる範囲(能力や経験、施設的制約など)で診療し、必要であれば更なる検査や治療のため入院もしくは他施設へ紹介を行う。 どの医師にもてもらうかは、患者さんが自由に選んでくれればいいんだよ。自分は医師としてできるかぎりのことをするし、必要であればケアのコーディネーションを行う。 それがフリーアクセスということで、患者さん自身の選択で、一番良いようにしてもらえればいいです、という考え。 そうすることで、良い質の医療機関が選ばれもするし、質の悪い医療機関には患者は集まらなくなる。また患者もひとつの診療に疑問のあるときは、自由にほかの医師に受診し意見も聞けるし、不必要な医師患者関係の固定もない。人には診療上の関係だけでなく、相性ということもあるし。という風に。

しかしすこしうがった見方をすると、事前に質や相性のわからない医師にかかって、合わなかったら逃げてもいいよ、ほかを探してもいいよ、というのが本音なのかとも感じる。実際、私(患者)に”より”合う医師の存在、はいつまでも不明であるし、その次が、より合う保障もない。医師たちは、「いずれ相性のよい医師に出会えるよ!じゃあ、私はこれにてご免!」と責任を放棄できる。

フリーアクセスというよりはフリーエスケイプ:逃げる権利?(変な英語ですか…)なのかもしれない。お互いに。 質の選択に関しても疑問が残る。実際患者さんは病院選択に関して、全体の3割の人がなにか情報を参考にしてかかる病院を決め、またその8割弱は家族知人友人からの情報であるというデータ(厚労省「受療行動調査」)から考えて、情報を参考にする人の少なさと情報源の医療の質との相関の低(そう)さを見ると、それがどれだけ診療の質と受診行動とに関係しているのか不明だ。実際は家の近くだったとか通勤・通学途中で便利だったなどから決められている可能性が高い。再び、医師の質や相性に関しては情報自体が限られている(フリーではない!)わけですし。

診療所・病院の収入、という点でも医師の視点からはフリーアクセスを擁護したくなる。 現行制度では基本的には診療回数に応じて報酬が支払われるので、全体合計の外来回数が多い方が医師の収入にとってはよい。裏返すと、例えば今話題?後期高齢者に対する「総合医」への登録などにすると、ひとつのクリニックに受診できる患者の数自体がある程度固定されてしまうので、増やせるのは各患者の診療回数のみとなりそれはたかがしれており、収入が減るのは必至であると。(実際はその年齢の患者さんは定期的に同じクリニックにかかってることが多いので、多診療所受診は多くないかもしれない。よって数の制限による医師収入の低下はそれほどではない可能性高。それよりも定額支払い制の方が大きな影響がある。)

こうみると、フリーエスケイプが日本の現状では一番の利点ではないか。 ちょっと冗長、風邪で思考が迂遠しているとご容赦ください。

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2007.11.03 03:48 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  海外留学  |  tarogo  | 推薦数 : 0

フリーアクセス考1

週末の過ごし方がすっかり変わってきています。

ようやく大学院の授業とセミナー、リーディングと”仕込み”(授業中の発言用)、発表準備の感覚・時間配分が分かってきたからですねー。出身もバックグラウンドも違うクラスメート(アメリカ人:生物学、ドイツ人:政治学、ブラジル人:ヘルスロー、韓国人:法学・薬学、私・日本人:医学)とのスタディーグループも順調。男女比も3:2でバランスよし。 おおよそ月〜木曜日の授業(予習・復習)の後、木曜は振り返りと追加の復習・資料整理に加え来週必要になる資料収集と整理、金曜は振り返りを踏まえて1週間の計画を立て、午前中に今週学んだことから、日本の医療環境への気づきや適用仮説を「まめ論文」化し、TPOV(teachable point of view)として”ヒトに語れるように”する(参照:シゴタノ!O先生ご紹介有り難うございます!)。金曜お昼にちょっと家族に一説ぶってみる。結構するどいツッコミが入る。金曜午後から土曜夜までは時間のかかりそうなリーディングをしこしこ読んで、来週の準備。日曜朝は執筆、夕方から月曜の準備…、少なくともこの年末まではこのペースを保って、ロンドンの秋冬のイベントは夢で見ることにしました…。

さて、日本でのフリーアクセス擁護について考えてみる。 日本の医療の優れた特徴のひとつ、と言われています。日本の社会保険被保険者は保険者の種類に関わらず、どの保険診療医療機関でも受診することができる、またその回数も制限されない、というものです。

患者としては自分が気になっている身体の症状・状態について、自分でそのときの選択にしたがって病院・診療所(診療科)を選べるのは、なによりも期待に添うし満足度も高い。例えば会って相談したい時に医者にすぐに会えて、こっちの診療所で満足できないときは、評判の病院にもいくことができ…なんてできると満足度が高いのは納得できる。特に自分の状態・病態をほぼ把握していて、どの医療を受ければいいかよく分かっている時に、それを提供してくれるスーパースペシャリストに直接すぐにかかることができれば、それは素晴らしい!

でも、いつもそんな訳ではない。例えば患者さんは自分のこの胸のシクシクが何からきているかよく分からないことが多いし、どこでそれをよく診てくれるかもあまり自信がない。ああ、角の循環器の先生、30年来みてもらってるし相談しよう!と行くと、レントゲンと心電図をとって問題ないという。でもまだちょっと心配で、駅前の内科・消化器科へもいくと、早速胃カメラをしてくれて、”表層性胃炎”のみだという。でも夜になるとシクシクが強くなってきて心配していると、お風呂上がりに家族が背中を見てぶつぶつがでてきているという。帯状疱疹だ、ってことで、翌日郊外の皮膚科に行く。ああ安心。でも初めっからこの病態が分かっている医師にかかれれば、もしくは皮膚科にいくことができればしなくても済んだウロウロ・オロオロを経験してしまった。その”ウロウロコスト・オロオロコスト”もみんな(保険料を払っているひと:みなさん、会社、税金を支出する地方自治体または国)から集めた医療費でまかなっている(医療機関の収入になっている)とすると、なんだか大いなる無駄な感じがする。実際OECDデータでも日本はずば抜けて外来受診回数が多いですし(日本14.4回/年、OECD加盟国平均 5.6回/年)。

しかもその”ウロウロ・オロオロ”した経験・知識は蓄積されず、みんなでまた同じことを繰り返す、もしくはうわさや評判などになる。一方で医師・医療機関側もなにができるかなんて詳しく教えてくれない。”内科・循環器科・小児科・放射線科”な感じでかかれた看板や、”○○医科大学卒業、内科専門医”のような経歴で判断せざるを得ない。決め手に欠ける…。

でも、なんとかなってるのかもしれない。都会ではちょっと歩いたら、ほかの診療所、総合病院があるし、こっちがダメならこっちで。 一方で地方に住んでいると、町にひとつの診療所であなたの病状はよくわからんと言われたら、ほかの診療所へも簡単には行けないし、家で寝ておくしかない。フリーアクセスの恩恵なんかない。

とすると、患者さんからみたら、フリーアクセスの恩恵は「自分の病状・希望がよく分かっている時」の「スーパースペシャリストへのアクセスのよさ」と言えますかね。ほかの恩恵はかかる時間やコストと利点とのバランスがちょっと好みに寄るかと感じますが…。

こういう話しは「医師側からみたフリーアクセスの利点」というのもありますので、後日はそれについても書いてみます。

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