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< 生き残るのは苦しみか幸せか?! | メイン | 残念、おのざき耕平さん。 >

先週末からのロンドンは車爆弾の話題で騒然としました。発見された場所周囲の商店や劇場の建ち並ぶ一帯がテープで囲われ閉鎖され、その処理と捜査が一部始終報道されていました。近年で15件のテロ未遂への介入が行われており、のんびりした日常の中でも常にどこかに緊張感があります。私は特にバスと地下鉄での緊張感が強いですが、それは最近『アンダーグラウンド』を読んだせいもありますか…。(写真は通りがかった時に撮った現場で、多数の報道陣がいます)

ご無沙汰しております。さて、 最近かなり驚いた記事で関係者で話題にもなっていますが、The Wall Street Journalの記事に対する読者(医師)からの返信で、米国の家庭医のトレーニングの不在とその質について疑問がでています。(引用は発端の記事です)

In the mid-1990s I worked weekend shifts as a "moonlighting" doctor in a suburban Chicago hospital. When I would show up on Friday evenings, the other doctors would always say: "Peter, remember, no roundtrips on weekends." Translated, that meant no patients admitted over the weekend should go home before Monday afternoon at the earliest.…

この記事はメディケアを利用して医療を受けている患者が、多数の”専門科”医師にかかり(典型的な患者は過去1年で7人の医師にかかり、それは5つの”専門科”に渡り、4つの医療機関にまたがっているそうです。慢性疾患患者はもっと多い)、その間の連携も上手く行かず、その患者の治療の中心となる医師の不在のなかで、患者が困惑し質も下がりコストも上昇しているという内容ですが、それはfee-for-service(出来高払い)と医師の過剰専門分化の組み合わせの結果、各々の医師が患者の「一部」にしか関わらない(それは”専門”しか診ないという面でもあるし、収入という面ではよりたくさんの患者を診る方が儲かる)からだ、と。その患者の治療の中心となる医師(家庭医を想定)と、少数の専門医が協同して働くことで(同時にそのなかで支払いが保証されることで)患者全体として質の高い治療が提供できるだろう、と。

この記事に反応して、June 26, 2007, Wall Street Journal  で、「そうはいうけど、米国には多くの問題をもつ患者を診るために、よくトレーニングされた家庭医がいないじゃないか(Nicholas Rummo, M.D. )」や「家庭医は専門医へのふるい分けだけして、疾患を診る能力もない、給料も安く、あまり敬意も払われず、役立たないじゃないか(S.M. Bunn Jr., M.D.)」というコメントが紙上を賑わしました。 

…、あれっあれっ?、これって米国で家庭医療が必要とされ、認知されるに至った(はず)1960年代の議論じゃなかったっけ?あれだけ家庭医療のトレーニング・教育の分野で功績を挙げ、多くのトレーニングされた家庭医を輩出しても、代表的な新聞でこう取り上げられるくらいの認知度だったのか…、と考えさせられた。私が研修に行った2002年のオレゴンでは(まだCareOregonが機能してた時代ですが…いまの事はしりません)家庭医療が地域ヘルスケアの中心を担っていましたから、これは米国内の医療提供体制の地域格差(都会の専門医過剰や個別地域のプライマリケア整備不備)によるのでは?と推測していますが(そう信じたい…)…、どうでしょうか。

上記の状況はもちろん現在の日本とがっぷりかぶっており、今後のこの記事に対する経過は参考になるだろう。 American Academy of Family Physiciansもこの記事に即座に反応しているし、じっくり経過を追って、「メディアへの対応の仕方」、「医師間で団結する時の学会の働き方」やなにが問題の本質なのかを学習したいと思っています。

ーーーー

追伸:米国で家庭医療が認知されなかったとしたら、それは家庭医療に経済的な”魅力:うまみ”がないからではないか、と訝る。特に地域社会・国をリードする元気な30〜50代の人たちには”魅力がない”。これは社会的な価値によると思いますが。これが私が米国ではなく、英国での修行にこだわった理由でもあります。見えない価値が人を動かします。

 

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