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2008.08.24 23:35 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  海外留学  |  tarogo  | 推薦数 : 1

勉強会資料:遅くなりました

遅くなりましたが、勉強会で提示させて頂いた資料をアップさせて頂きます。

リンク先でご覧頂ければと思います。講演内容を少々スライドに加えております。また、救急車の写真の出典がまだはっきりしていませんので、その点取り扱いにご注意くださいますようお願いします。

●8月20日 「英国医療政策改革と日本への示唆」スライド●

●当日、配布した資料です。

日本医事新報【時論】
・No. 4372(2008年2月9日号)
 プライマリ・ケア再考 ─英国家庭医制度から学ぶ(1)
 プライマリ・ケア診療の質追求
 (葛西龍樹、富塚太郎)

・No. 4388(2008年5月31日号)
 プライマリ・ケア再考 ─英国家庭医制度から学ぶ(2)
 家庭医の役割・倫理教育と規制 ─特に医師免許更新制度を巡って
 (富塚太郎、葛西龍樹)
 

また、お問い合わせの多かった、「ターゲット効果」の出典資料は以下のサイトでダウンロードできます。

Healthcare Commission, What CHI has found in ambulance trusts 2003

参考資料でご案内させていただいたサイトのリンクなどは以下です。

在英国日本大使館一等書記官(当時:現 厚生労働省大臣官房国際課)武内和久氏
「英国社会保障事情」週間社会保障
 

当日、追加の解説を頂いた武内氏が、厚生労働省で社会保障分野での政策形成に関わってきた幅広い経験をもとに、現在の英国におけるNHS改革、年金改革など社会保障全般の動きを解説されています。

英国国立母子保健共同研究所リサーチフェロー(当時:現 大阪府立母子保健総合医療センター)森 臨太郎氏
「英国の医療制度、表と裏」Nikkei Medical Online


日医総研 森宏一郎氏
WP No.140 イギリスの医療制度(NHS)改革ーサッチャー政権からブレア政権および現在ー ほか

朝日新聞 行方史郎氏:
変わる英国医療 寄せる市場化の波 連載全5回:平成20年7月14日〜7月18日
医療再生へ 選択のとき 英国どん底から改革 平成20年6月8日

Department of Health, United Kingdom

National Health Service(NHS)

King's fund(イギリスの医療政策シンクタンク)

ーーーーーー 

今後とも、みなさまと勉強させて頂けたらと思います。

よろしくお願い致します。 

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2008.08.21 19:46 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  海外留学  |  tarogo  | 推薦数 : 2

英国医療改革勉強会 終了

昨日、都市センターホテルにて、先日ご案内させていただきました「英国の医療制度改革と日本への示唆」と題しました勉強会をさせて頂きました。

ご参加頂いたみなさま、平日の夕でお疲れのところ有り難うございました。ご感想やご意見などお聞かせ頂けたらと思います。

八潮市市議会議員の矢澤江美子さんのブログ「イギリスの医療制度改革を学ぶ 」

HAMUさんのブログ「英国医療改革への視線が熱い」

生命保険立ち上げ日記「金融と医療の交差」

医業コンサル/行政書士 意地と根性の研修記録「ブレア改革とその後ー英国の医療制度改革と日本への示唆」

東京日和@元勤務医の日々「イギリスの医療制度改革を学ぶ」

 でもご紹介頂きました。

ーーーーー 

構成としましては、英国医療制度の歴史を概観したあとに、1997年からのブレア労働党政権の行った医療制度改革を「ターゲット」「規制」「患者中心」という3つのキーワードで解説させていただきました。

資料は数日中にここにアップさせていただきます。

私が驚きましたのは、会場の熱気です。200名ほどの方がいらっしゃったのですが、多くの方が日本の現状に問題意識をもち、学べるものを吸収し、今後の日本の医療政策に活かそう!という方ばかりでした。また、今後も同様のセミナーが日本医療政策機構で行われるようですので、 ぜひまたご参加いただき、今度は皆さんでディスカッションさせていただけたらと存じます。

改めて、有り難うございました。 

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2008.08.13 16:57 |  研究  |  医療制度 / 行政  |  海外留学  |  tarogo  | 推薦数 : 1

信頼の低下は、監視?で回復できるか

炎天下の中、ハイドパークを自転車で横切っていたら、突如あらわれたドームに驚く。サーペンタイン・ギャラリー・パビリオンの今年の建築家はフランク・ゲーリー。中に入り、ゆっくりと楽しむ(そんな暇ないのに…)。写真でしかみたことのなかった建築家の作品を偶然経験できたのは幸運。しかし、ああいった枠をはみ出した感覚の建築は、場所を選ぶでしょうね。構造上の問題(規制)もあるでしょうし。そうすると、建築家は修行として旅をしなければならないのかな…と想像しました。その土地土地での建築を経験し感じるために。医療政策もそうです(と断定)。紙面やデータからはなかなか他の国の医療の実際(政策実施の結果)を感じることはできませんし。

その後、シンクタンクの図書館と英国図書館、大学の図書館をハシゴして資料収集。これらを読んでまとめる作業は至福ですが苦行、時間との戦い。と、図書館の机に向かっていると悲鳴が!!

「私のラップトップがない!盗まれた!!」

と、学生のひとりが泣いている。早速みんなで手分けして探すが、犯人はもう逃亡後の様子。学校は入り口での身分証明チェックがあり、図書館もIDキーがないと入れませんので、その学生も安心し切ってちょっと机を離れた隙に、盗難にあったようです。本当にひどい。修士論文執筆のこの時期に、この仕打ちはパソコンの金銭的価値以上に彼女が今までかけていた様々なコストに対するダメージは計り知れない…。しかし一方で、内輪(この学校の学生)の犯罪か?と図書館のなかや周囲にいる学生は疑われてしまいました。当然私も。これはセキュリティの程度を考えると当然といえば当然。こりゃ今後またセキュリティも厳しくなるでしょう。ロンドンの街中みたいに、CCTV(監視カメラ)がたくさんついちゃったりするのでしょうか。

盗まれてしまった学生の油断も指摘されるべきですが、ここにいた学生で話していたのは、ある程度の相互監視の必要性。みんな自分の論文執筆ですこし自分のことのみにテンパっているんだよね、と。

保健省の人のプレゼンによると、英国医療政策では、大々的にpeer reviewを導入するとDarzi reportで報告されたとのこと(すみません、未確認です)。いままで、各々のcollegeで行っていたexternal appraiserによる評価はpatchyで不十分・信頼できない、と保健省の人の言。ああ、この信頼の低下を基礎とした監視活動の増加はどこまでいくのでしょうか。見えない不信の力動の力強さを感じます。これは日本では起きないように先手を打つべきことですね。

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この度の帰国時に、表題の勉強会をさせて頂けることになりました。

ほかの国の医療制度・医療政策をみて、単純にどちらがいいかと日本と比較したり 、また一部を取り上げてダメだと断罪したりすることに意味はありませんが、しかしほかの国の試みを学び、翻って日本の医療・医療政策についてよりよくできることを考えることに意味はあると考えました。平日のお忙しい中ですが、みなさまと勉強できますのを楽しみにしております。以下、ご案内です。

ーーーーー

ご案内サイト:日本医療政策機構

■ブレア改革とその後−英国の医療制度改革と日本への示唆」
 富塚 太郎 氏(ロンドン大学衛生熱帯医学大学院・経済政治学大学院)
 
■概要:日本で家庭医として地域医療・教育に携わったのち、英国ロンドン大学において医療政策・計画・財政学修士課程を修了予定の富塚太郎氏に、英国における医療制度改革、特に医療危機を経験した90年代のブレア改革の実際とその後、また最近の動向などについてお話頂きます。
 
■日付 2008年08月20日(水)
■開始予定 19時00分(受付開始 18時30分)
■終了予定 20時30分
■申込締切日 2008年08月20日(水)

■申し込みサイト:日本医療政策機構
■参加費用
法人会員:無料
個人賛助会員:1,000円
一般・登録会員:2,000円
■会場 都市センターホテル会議室5F「オリオン」※会場が変更になりました!
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-4-1
TEL:03(3265)8211
■地図URL: http://www.toshicenter.co.jp/access/j_9000.html

■プログラム
18:30  開場
19:00 「主要先進国の医療制度」小野崎 耕平(日本医療政策機構)
19:15 「英国医療制度改革と日本への示唆」富塚 太郎氏
20:15  質疑応答
20:30  終了

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すっかり夏らしくなったロンドンですが、ずっと部屋に籠って黙々と医療の規制に関するテキストと論文を読んで作業しています。ただでさえ資料等でめちゃくちゃな部屋に、オーダーしていた英国家庭医関連の資料がどっさり届いて、更に混乱。汗がじっとり…、暑いなあ、で28℃。東京の家族に言ったら怒られそうな感じの暑さです…。

さて、英国の医師免許更新がようやく始まるようです。

2005年からの実施を延期してから、実際に働く医師たちも「何時になるのかなあ」なんてのんびり言っていたこの大事業。BMJのサイトにまず2009年の4月から試験的段階的に実施されることが報道されていました。

ーーーーー 

Published 24 July 2008, doi:10.1136/bmj.a988
Cite this as: BMJ 2008;337:a988

Government plans to revalidate doctors every five years

Owen Dyer

All doctors working in England are to face annual appraisal of their skills and performance and will have to reapply for a medical licence every five years, according to plans announced by the UK chief medical officer, Liam Donaldson.

For most doctors not in substantive training posts revalidation will involve two components—relicensing, subject to their adherence to generic standards, such as the General Medical Council’s Good Medical Practice guidelines, and specialist recertification, which will depend on meeting criteria to be set by the relevant medical royal colleges.

…(以下、文章つづく)

ーーーーー

 あっ、英国といいましたけど、イングランドのことのようですね。既にすべての医師が毎年の評価(appraisal)を受けているのですが、それに加えて医師免許の更新と専門医資格の更新を義務づけられるとのこと。5年おきとはいえ、結構大変でしょう。もちろん講習会等に参加して”ポイント”をためて終わり、や筆記試験で一発終了…というシンプルなしかし医師の実際の能力を反映しない評価システムではなく、日常診療の内容やその質評価を反映したものになるのでしょうから(その合意のためずっと免許更新導入が延期されていた)、内容がどういうロジック・方法でどう実施されるのか楽しみです。

英国医師会は基本的には賛成の姿勢を示しています(国民の医師への信頼回復の手段として)が、医師の中では「医師への侮辱も甚だしい」「医師いじめだ(意訳)」といった批判もでているのが事実。「免許更新にかかる手間や時間のため、患者に使える時間が減り、患者が結局被害をこうむる」と主張する医師もいました。これは私には結構新鮮で「ああ、この医師は就業時間”内”に患者へのコンタクト時間を減らして、(もしくは患者への不利益を自分が提供しながら、それを政府のせいにして?)、免許更新の準備をするんだ…」と、日本の医師なら空き時間か就業時間後にするだろうという発想が違うんだ…とちょっと感心しました。

 ビジネスや広告の世界でも「消費者が変わった。ビジネスも広告もかわらなきゃ」(『明日の広告』)と根本的な戦略の転換を求められていると聞きます。この英国の医師免許更新も、患者が消費者へと変わった流れの一環。日本も同じです。変われるか。

 

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2008.07.26 12:52 |  研究  |  医療制度 / 行政  |  海外留学  |  tarogo  | 推薦数 : 0

わかった気になる危機

昨日は、いろいろとお世話になっている先輩の方に時間を取って頂き、英国医療に関するヒアリングをさせて頂いた。っといいながら、先輩お勧めのパブに行き、エール(例えばこのESBIPA)を楽しみながら、「日本の医師・医療の素晴らしさ」をふたりの日本人医師が声高らかに、ペニシリンを発見したアレキサンダー・フレミングがよく通ったというパブで語り合う…という感じ。で、充実。ほんとうに有り難うございました。ウチのすぐ近所にもフレミングの家だった場所というBlue plarqueがあり、家族で「左手の法則っ」なんて指の形をつくっていましたが、ああっあれはフレミング違いだったのですね…。無念。(ちなみにそのジョン・フレミングもロンドンにゆかりのある人です)

その先輩はNHSで働いていらっしゃるのですが、お話を聞かせて頂いて痛感したことがあります。「いかに自分がみたいものを見ているか」。

当たり前と言えば当たり前で、私のバックグラウンドが家庭医で、かつ英国での医療経験は友人の優秀な家庭医のもの。出産は前首相のブレアもつかったChelsea & Westminster Hospital(もちろんウチはNHSで)。子供の入院も小児救急の施設のあるSt Mary Hospitalがご近所にあり、迅速かつ清潔・安心。納得いかないことがあれば、医師であることを明かし、ネゴできる…、とくればかなりポジティブに偏っているはず。その上に、”政策のフットボール”と揶揄されながらも、多くの資源を投入し作り込んだ英国の医療政策を見て学びながら、「結構いいかも…」とすこし視野狭窄になりかけていたところに、実際の病院内のお話を聞き、すこし目が覚めました。できるだけ実際の効果・実務に即し、批評家になりなくなくて、自分の直接の経験を重視していましたが、政策の学びでは、それが全然足りていない。

同じようなことが、日経ビジネスオンラインに書いてありました。「大回りして、けもの道を往く」

医療政策の専門家/研究者としては、全くの駆け出し、1年生。表面的な政策やデータを追うのは上手くなってきたが、まだまだです。これを口実に、できるだけさまざまな場所に出向いて経験を積みたいと思います。って、またパブに行きたいだけかも。

追伸:同時に、アマルティア・センの恩師、アミヤ・ダスグプタの「現実にあまりに直に向き合うと、なにが大事であるかを見失ってしまい、現実と接点をもつどころか大間違いを冒す危険がある。現実の社会問題を正しく見るためにこそ、その準備として理論が必要なのだ」 という指摘を忘れたくないです。

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ご近所のカフェでは英語を聞いたことがない。

隣の親子はトルコ人で、向かいの女性ふたりはイタリア語でまくしたててる。よこの怪しげなカップルは…あ、ロシア人?そして私の横で、私と同じく仕事に励んでいるあちらの男子は文字を右から左へ書いているところをみると…、中東出身。このマルチカルチュラルな人口構成に加えて、この街は通りを歩くと水パイプの甘ったるい香りが漂ってフシギな気分。思い思いに通りの席に座り、白い煙を吐いている…。

ケムリと言えば、この7月1日で1周年を迎えたイングランドでのsmoking ban。パブやレストランを含む公共施設(職場も!)での喫煙を禁じた法律が施行されてからの経過がThe Independentで報道されていました。

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Smoking ban has saved 40,000 lives

By Jeremy Laurance, Health Editor
Monday, 30 June 2008 The Independent

The nationwide smoking ban has triggered the biggest fall in smoking ever seen in England, a report says today.

More than two billion fewer cigarettes were smoked and 400,000 people quit the habit since the ban was introduced a year ago, which researchers say will prevent 40,000 deaths over the next 10 years.

Smoking was outlawed in all enclosed public spaces in England, including pubs and restaurants, on 1 July 2007 after a prolonged political battle that split the Government and inflamed critics of Britain as a nanny state.

But longer term opposition to the ban never materialised: more than three out of four people support the law, and compliance has been virtually 100 per cent.

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 結果は喫煙・禁煙に関する専門家にとってもかなり予想外だった様子。200万本のタバコ消費減とともに、40万人の喫煙者がタバコを吸うのをやめたと報告されています。その結果、今後10年で4万人の死を回避することができるだろうと予測されています。そして喫煙率は22%まで低下しています。

タバコといえば、これまでの歴史やさまざまな利害関係がからみ一筋縄ではいかない政策トピック。「個人の自主的・自由な選択」や「業界の自主性」ということばで法的規制が強く行われることを牽制する一方で、タバコ売り上げに伴うタバコ税収、タバコ産業によるマスコミに対する広告収入・研究者に対する研究助成・政党に対する政治献金など のお金の流れがあり、なかなかにその産業に対するネガティブなキャンペーンは金銭的な利益にならないという背景があります。また、タバコ関連産業への雇用やタバコ関連産業への効果も無視できません。

これだけ医学的にテクニカルに疾患や障害・死亡への関連の強さが再現的に証明されても、政策で必ずしもその規制が行われないものの代表で、格好の政策分析のネタになっています。

 英国でももちろん先の政策が施行されるまでに長い長い道のりがありました。大きなところではEUでのタバコ規制法などの外部圧力とタバコ産業も絡んでいたBernie Ecclestoneによる労働党への2億円献金スキャンダル。もうこうなると政府与党も始末をつけ、タバコによる健康被害(とくに喫煙者周囲の人への受動喫煙被害:子供や妊婦)を重視し先の規制に相成ったようです。

タバコは、たとえ医療者でその害が解っていても「わかっちゃいるけどやめられない」しろものの代表。医療者のなかでもこの矛盾を抱えちゃっている人が多いところが、やめさせたくない人に狙われてしまうところでしょうね。

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2008.06.03 04:02 |  開業 / 病院経営  |  医療制度 / 行政  |  海外留学  |  tarogo  | 推薦数 : 1

ならず者は沈黙を守る

医師の辞職が問題になる報道は、必ずといっていいほど給料の話題になる。医師が給料が低いことを理由に辞職している、というものだ。

「医者をなめないでほしい」

そういった声が医師から聞こえる。正直私も同じ気持ちだ。そういう報道をされる方の内にある、monetary valueを優先した価値観が透けて見える。すこし寂しい。

しかし一方で、医師の中にもさまざまな方法で金銭的などの自己の利益を優先し追求している人がいる可能性は否定できない。 いつだってそうなんだ、そういった少数の人たちの特徴で大きな集団が判断されてしまう。しかしそれが”少数”なのだと、誰がいえよう。統計で求めた数字では説得力に欠ける。

 英国でも少数の医師の質の低い診療や犯罪が注目され、医師と患者・社会との不信感が拡大してしまった。このことと、英国家庭医の教育について、日本医事新報に時論を書かせて頂きました。

以下、引用です。 

 ーーーーー

週刊日本医事新報No. 4388(2008年5月31日号)

【時論】プライマリ・ケア再考 ─英国家庭医制度から学ぶ(2)
 家庭医の役割・倫理教育と規制 ─特に医師免許更新制度を巡って  

富塚太郎、葛西龍樹 

はじめに

英国家庭医の自律的な診療の質追求への努力と実績、pay-for-performanceの功罪を紹介した前回(葛西ほか 2008)に引き続き、今回は異なる側面における英国家庭医の質追求への試みと政府による規制について言及したい。日本を含めたさまざまな国で、医師は、よく訓練された知識・技術を個々の患者に最大限提供する専門職として期待されていると同時に、公共の利益、特に医師法第一条にて述べられているような「公衆衛生に寄与する」ことが期待されている(医師法)。しかし、この二つは時に相反する。例えば十分な診療の行える最大数の患者を受け入れた救急外来が、現在進行中の患者への診療の質を保つ為にさらなる救急患者の搬入を断った場合、ほかに救急を受け入れる医療機関へのアクセスが確保されていなければ、その地域での救急救命率が下がる可能性がある、という具合である。
また、医師側の診療姿勢も二つの相反する側面がある。Brewer(2000)が指摘しているように、医師は職務において公共の利益にかなうよう行動するといった公共精神が養われ備わっている一方で、やはり医師個人の効用を最大化する理性的経済的個人としての志向や嗜好があることは否定できない(Lightほか 1988)。英国では1990年代より、家庭医を含めた医師という専門職が内包するこういった相反する価値や倫理観を前提としながらも、大いなる職業的自律を得ながら診療していることに対する市民・患者・行政による不信が問題となっていた(Irvine 1997)。特に1997年に明らかになったBristol Royal Infirmaryでの小児心臓外科手術の高死亡率に対する追及や1998年に明らかになったHarold Shipman医師による連続殺人などのごく一部の医師による犯罪をきっかけに、英国社会の中で医師の資質に対する不透明性・不信が決定的なものになってしまっていた(Welshe 2003)。それに対し、英国家庭医療学会を含む専門医学会や英国医師会、患者団体や行政が協力し、信頼・自律回復と同時に継続的な医療の質向上に向かっている過程は、医療というものが構造的に持つ問題とその解決策を知る為に参考になる。
本論文では、はじめに英国家庭医療制度と医師-患者関係の構造から医師の役割を読み解き、専門職として医師に期待される役割とその内容に言及する。さらに、専門職集団の責任行動の一つとして英国家庭医の倫理教育に焦点を当て解説し、一方で構造的に必要とされる規制について、特に英国における医師免許更新について述べた後、日本の医療への示唆を示したい。
 (以下、文章つづく)

ーーーーー

 この中で、医師の中にあるKnights(騎士)としての行動規範・価値観とKnaves(ならず者)としての行動規範・価値観に触れています。ならず者は必ず存在する、それをどう扱うか…、を医師自ら問うことは大きな苦痛を伴うかもしれません。自らの沈黙を守っているならず者に光を当て認める、その自覚が大きな集団でのならず者の存在に対する対処・対策への必要な一歩かも知れません。

二項対立では決してない。敵は自らの中にある。

日本医事新報の本文も読んで頂けると嬉しいです。 

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最終試験の準備期間にも関わらず、友人が英国家庭医学会の国際会員のワークショップに誘ってくれたので参加してきました。

主に英国家庭医学会と協力して各国のプライマリケア専門医養成を行っているヨーロッパ、南アジアや中東・アフリカのシニアレベルの家庭医が集まり、 専門医認定に関わる評価の方法や内容、統計的検定にまつわるレクチャーとグループワークがみっちり。各国で姿勢や進行状況にばらつきがありますが、特にEUに参加する国では専門医養成過程と認定を確立することが必須であり(医師免許はEU域内で有効となるため)、必死に質の高い医師を養成するプログラムと専門医認定を確立しようとする学会の様子が印象的でした。こういった場に行くといつも感じますが、ほんとうに参加している医師は皆integrityに溢れた人たちばかり。どうしてか?という疑問を正直に夕食で横に座ったスリランカの家庭医学会長にぶつけると、「そうじゃない人は医学部に入れないでしょ」とさらっと。どんな入試してるのか…、興味あるところです。

英国の医療制度は医療費が公費の一般財源から拠出される税方式であることもあって、政治が医療制度を大きく決めていることから、制度の硬直化、官僚化や医療従事者の士気低下などがいわれますが、いやいやそんなっということがありました。先のワークショップで知り合ったイングランド南部の家庭医は、私が医療政策を学んでいることを話すと、「ちょっと、どう思うかなあ」と自分のしている試みを話してくれました。家庭医はおおよそ3人や6人など複数人数で共同してひとつのクリニックを運営し診療を行っているのですが、その彼のクリニックでは地域の病院と共同して、そのクリニックが管理する病棟を確保、入院患者の診療も始めたというもの。

「ほら、よくいるじゃない、数皮節にわたる帯状疱疹とか併存症のない肺炎とか紹介の微妙な例。だけど家庭医が病棟で管理できるし、必要だったら病院で専門医にコンサルトできるし。待ち時間もないし、いいでしょ。」

グループ診療のメリットも最大限にいかして、病棟管理を分担している。患者さんにもすこぶる評判だとか。「でも、多くの患者さんは選択肢を示すと入院したがらないんだよねー、家がいいんだよ。」という。南部ののんびりしたところなのかなー、と想像しながら、夏に見学に行く約束をしたのを今から楽しみにしている。 かわいい息子ちゃんの好きなスシ、もっていこ。

一方で日本でも新しい試みがある。以前一緒に働いていた北海道家庭医療学センターの同僚たちが新たな船出から、新規事業を始めている。家庭医3人の派遣を希望する地方自治体を 公募するというものだ。彼らが本気で行う新事業。それを求め共同する地方自治体とがっちりタッグを組んで、必ずやその地域の人に役立つものを提供するに違いないと確信している。

参考記事:家庭医派遣しますーあるセンターの試み(日経メディカル)

参考記事:地域医療に新発想(どさんこワイド180:動画ニュースあり)

参考サイト:北海道家庭医療学センター 

自分が北海道で働いていた時、さまざまな事が上手く行かず、自分の成長も地域への貢献も見えない時、先輩が言ってくれた言葉:「tarogoくん、今はよく自分の成長が見えないかもしれない。でも私には見える。きみが地域の人々の役に立っている姿が。現在の日本の家庭医療の状況もそうだ。でもね、諦めちゃいけない。下からレボルーション、やればできる。そうだろ。」

イギリスでも日本でも着実に起こっている、フロントラインからの地道なレボルーションが実を結ぶと信じている。

 

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クラスの友人夫婦が休暇を利用して日本に行き、本当に本当に思い出深い旅をしてきたと聞き、本当に嬉しい。

特に大阪で素敵な年上の女性に巡り会い、なんと日本語を話せない彼らの為に京都案内をかってでてくれ楽しい時を過ごした、と。京都でも尼の方がさりげなく案内してくれたと同時に、お抹茶もごちそうしてくれたとか。伊勢参りも鳥羽も満喫し(いいね)、大阪では見知らぬおっちゃんが駅で切符を買ってくれ「金はええで!」(想像)と豪快に立ち去ったり…。本当に嬉しく日本が誇らしかった。なぜか友人は関西のみの観光。オトナの観光にはそれもありかな…、いいんちゃうか…。

ーーーーー

先日授業をしてくれたAnna Dixonが記事を書いていました。

病院の閉鎖や統合が進むなどの英国医療への市民の不安に応えて、今月初めに英国保健省が出したレポート:Our NHS Our Future: NHS Next Stage Review - Leading Local Changeに関するコメントです。(以下、引用)

ーーーーー
Public eye
The NHS, but not as you know it
Anna Dixon, The Guardian,
Wednesday May 14 2008

Reforms to an institution as beloved as the NHS will inevitably generate public controversy. Despite record investment in the health service during the last 11 years, the government's reform programme has not been without its critics. Of all the reforms, those that result in changes to local hospitals appear to attract the most resistance, and require the most skilful managing. Many will remember how, in 2001, the doctor and independent candidate for Wyre Forest in north Worcestershire, Richard Taylor, unseated a government minister because of the strength of local feeling about the proposed downgrading of Kidderminster hospital. He is now serving his second term as an MP.(以下、本文続く…)

ーーーーー

元のレポートでは政府が国民に対して「医療をどうやってより良いものに改革していくか」という基本的姿勢をしめしていること、そして患者の利益を中心に据え、改革は医学的臨床的な知見を元に行われれると謳っており、市民・医師・政府の共同で医療をよくしていくという決意が示され、(実現すれば)素晴らしいと感じましたが、記事ではAnna Dixonが各項目の議論の可能性を示し、過去の反省と起こりうる問題で釘を刺している。

彼女は代表的な独立系医療政策シンクタンクであるKing's FundのDirectorであり、こういった医療政策に関する利害集団から独立した専門機関から発言し、みなによりよく考える議論を促すことは本当に意味があるなあと感じる。どうしても各々の利害を背景とする発言の空中戦になりがちな医療政策議論の中で、願わくば日本にも…、と感じるが、その為にはこの事業によりよい人材を惹き付け、育て、また思い切り働ける環境を作る決意と努力(とお金)が必要だと思う。気の長い話しだけれど、自分の目標のひとつとして是非その一端を担えたらと、努力を続けたい。 

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