「フンフンフンッ、鹿のフンっと」
ちょっとだけ外来から脱走して、病棟からの帰り道。
「あ、センセ。いつもお世話になってます」
「あ、どうも」
「今日は何日か・・・」
「んーと、2月14日ですよね」
<外来日で。天皇陛下の執刀医が、バチスタモデルのセンセって聞いた日だったけど>
「んで、これ」
「あ、そうですよねー。そう言う日で。ゴチになります」で頂いたチョコ。
アラカンにバレンタインチョコは、ちょい気恥ずかしく終了した外来。
「んで、センセ。これこれ」長方形の箱を差し出す、外来ナースP。
「ワシ、葉巻は吸わんけど」
「違いますよ、義理チョコ。義理も、薄うてペラペラ。ギリギリチョコとも言う」
「愛も下心も無い、義理チョコね」
「当たり前でしょ、こんなに沢山の連盟で。ナニが愛ですか、贅沢な。小生意気な。
ちなみにお聞きしますけど、どの人がタイプう?」
「むちゃ言うな。ポットントイレのどの便所コオロギが好きかって、聞くようなモンや」
「んまっ、失礼な。誰が便所コオロギ、誰が丸虫、誰がノリカ。あヤダ、あたしじゃん」
「独りで、よーそこまで遊べるなー。感心するほど呆れるわ」
「この13人の名前、ちゃんと覚えておくんですよ。ずーっと」
「むちゃ言うな、ヒンズー語で13を言えっていうようなモンや」
「意味ワカランけど、結局はすっかり忘れるってことですね?」
「理解が速いやん」
「アホでも分かりますッ!来年は、ギリもなくなるかも」
とっくにバレチョ(バレンタイン・チョコ)バブルが弾けた、午後。
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