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「ウウウ」
「もうつんでるやろ。これを投了って言うんだよ」
「も1回ね」

「もうちょっとやね、また今度」
友達仲間じゃ強いのかも知れないけど、所詮6歳じゃ太刀打ち出来なかったようで。
悔しさが全身に触れていた24年前だったが、義母の通夜に現れた彼は既に30歳。

「お久しぶりです。今度、大学院に行きます」
「そらエエ。楽しいよ、院は。税金で研究させて貰って、成果は自分のモン。
 どこかで発表するときは、もしかして日本初?イヤ、世界初なんて。嬉しい勘違い」

「昔そんなことを、センセから聞いていたから決めました」
「そんなアホなこと言うのはワシくらいじゃから、そうかも」

 一瞬のことで、耳に残らない単語センセをそのままに院生の心得をレクチュアすれば。
「あの、足が」
見れば正座しているから、「あ、フツーにしてエエよ」でやっと膝を崩す。

 間に入ってきた弔問客に挨拶をして、再び話そうと思ったら。
「センセ、お茶です」
<ヘッ、センセって?ここに二人しか居ないのに。んじゃ、呼んだセンセってワシ?>

「そうなん、院が終わったら留学ねー。んじゃ、英語の論文書かなきゃな」
「ハイ、勉強してます。多少自信が」
<あららー。もうこんなに立派に育っちゃって、ボクを追い越すのも3秒後?>

 24年前に味合わせた敗北感を返されて心地よかった、通夜の夜。

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2012.05.24 07:16 |  仕事 / 職場  |  生活 / くらし  |  趣味  |  その他(一般)  |  毒とるMIHI  | 推薦数 : 0

ムサシと戦

 煙と何とかは高いところへ上がると、からかわれるちまたの会話。
いくら飽きやすい日本人でも、1年は混み合いそうな東京スカイツリー。
来年になれば学会のついで(?)に、「何とか」の仲間入りしたいもんだと思う。

 世界一の高さ634mにちなんで、いろんなグッズや食べ物。
634mの語呂合わせで、「ムサシ」もチラホラ出るたくましい商魂。
この語呂合わせが通用するのは、恐らく日本人か日本語に長けた外人だけ。

 外人に通用しなかったのが「戦」じゃなく、「193(いくさ)」。
某准教授が書きまくった論文が193とは、さすがに大学のセンセと思っていたら。
ズルしちゃったんですね-、これはイカンでしょ。ズルは。

 綺麗なバラにはトゲがある、綺麗なデータにはズルがあるかも。
論文を見て「これってズルとちゃいますか?」の外人批評に、我が国の学会も腰を上げた。
当の本人の「学会が調査中なので、コメントは控える」に私の批評も控えるけど。

 634(ムサシ)と193(イクサ)が踊った朝刊。

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2012.05.23 00:14 |  仕事 / 職場  |  生活 / くらし  |  趣味  |  その他(一般)  |  毒とるMIHI  | 推薦数 : 0

奥深の超高齢者

 症状が乏しい場合とハゲシク出る場合があって、診断基準が合わないこと多々。
意外と打たれ強かったり想定以上に脆く、打つ手が全てオーダーメイドが多々。
検査数値が正常でも安心出来なかったり、勿論異常は通常の数倍危険も多々。

 検査数値がボーダーラインは、すこぶる要注意で油断大敵この上なく。
過剰反応でやり過ぎると逆に悪化させ、繊細で緻密な作戦を要することこの上なく。
微妙な反応を切り捨てるべきかはたまた重要視するべきか、油断大敵この上なく。

 結局言えることは、高齢者に若い者と同じ揺さぶりを掛けるのは危険。
結局言えることは、高齢者に若い者と同じ最大限の量まで薬を使うのは危険。
結局言えることは、高齢者に若い者と同じ効果を期待して治療するのは危険。

 嗚呼ナンと奥の深い老年医学と思う、午後。

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 ICTって言われてもねー、院内感染対策小委員会から名前が変わっただけで。
人数はそのままなのに、雑用は3倍だから何だかネーと思いつつ院外施設ラウンド。
殆ど信号に引っかからないでおよそ20分のドライブすれば、前方に見えてくる。

 入り口で気に入らないのは、靴をスリッパに履き替えること。
その時点で既に戦闘態勢入っているから、見方も意地が悪くなる。
今までチェックしてきた施設の弱点を、更に深く追求する手はずだった。

 嗚呼それなのに、脱衣所やリネン庫の天井にある換気扇フィルター。
餅に生えるカビのような細かいホコリの筋が・・・、何処を見ても無いッ!
足下は掃除機ブンブンでも、見上げることは滅多に無いから天井は弱点のはず。

 「ヘッ。2ヶ月に1回、フィルター外して。しかもご丁寧に、ブラシで!」
参りました、文句有りません。入り口で靴履き替え文句も、3割トーンダウン。
事務所でコーヒー啜りつつ総括をするには、また靴の履き替え。

 最後の抵抗を試みて敷地内を徘徊すると、お盆にコーヒーが追いかけてくる。
炎天下にはアイスコーヒーやろ!も、馴染みの婦長さんじゃ「あ、サンキュー」。
せめて日陰でと彷徨けば、「こらどうじゃ、何年ぶりかいの?」の声がかかる。

「元気じゃったか?」に「こうなってしもうた」の車いすQさん。
「まあ、エエ方じゃ」に、「センセは、ちいとも変わらんノー」と来て。
「アホは年中ノーテンキじゃから、若く見えるんよね」に、「そんなもんか」。

10年前に出会って以降の人生ストーリーを聞きつつ、温くなりかけたコーヒー啜る。
背中から聞こえる「あらら、MIHIセンセじゃろ?」に、「おろ、Dさんか?」。
「スマートになったのー」に、「Dさんも若返って、近所の爺さんのアイドルじゃろ」。

「ギャハハ、えろうお世辞が上手くなって。修行したんじゃろ、ずいぶん」
「Dさんに鍛えられたからのー。んでも、還暦過ぎた」
「あたしゃ米寿を通り越してグルッと回れば、赤ん坊みたいなモンよ。一から出直し」

 ICTラウンドのオマケの方が余程楽しかった、午後。

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2012.05.20 19:03 |  仕事 / 職場  |  生活 / くらし  |  趣味  |  その他(一般)  |  毒とるMIHI  | 推薦数 : 0

団塊の電子本

 つい最近の新聞で、ここ山口にも電子出版を取り扱う会社が出来たらしい。
折しも使い慣れたワープロソフトが「epub」に対応すると聞いて、奮発して手に入れた。
取りあえずWin7で作ったテキストを、「epub」形式で保存。

 クラウドを使ってiPad2に取り込んで開き、指でめくればまるで本を読むような。
たった3ページの試作品じゃ、めくったり戻したりしても数秒で終わっちゃう。
動きはサクサクで問題なく字のサイズもOKで、あとは挿絵を貼り付ければ充分。

 スケッチブック4冊のイラストも勝手流で、1ヶ月前から「似顔絵通信講座」を始め。
1回目の課題は「合格」をいただき、ペン習字時代と変わらず早朝学習。
ペン習字は疲れるけど、「似顔絵」は時間が経つのを忘れるほど。

 人の顔を描くコツも分かりかけ、あとは日々の修行しかない。
今まで以上にじっくりスタッフの顔を見るようになり、デフォルメに精を出す。
脳みその中での作業だから、見られて文句を言われず変形し放題をエンジョイ。

 こうなってくると、「facebook」参考書が気になり。
団塊の電子出版仲間をサーチしちゃおうかな?と、想いは飛びまくり。
紙の本は益々ハードルが高くなり、その分電子出版がにじり寄る午後。

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「センセんとこのお孫さん、3歳でしょ?」
「300歳ではないいと思うけど」
「知ってますよ、確かウチのと同じ歳だったから」

「んで、孫」
「あ、未だ指をチューチューします?何時になったら、止めるんじゃろ?」
「気にセンでエエ。あんたの足の指をチューチューしたら、心配じゃけど」

「そうですかねー」
「成人式に、指をチューチューしてるヤツが居るか?」
「そら、居ませんわねー。それにあたしにくっついて、お尻とか触るんです」

「気にセンでエエ。あんたの鼻の穴に指突っ込んだら、おもろいけど」
「そうですかねー」
「大人であんたの尻を触る物好きなヤツは、居らんじゃろ?」

「あー、Qさん。車いすに介助で移動する時に、あたしのお尻を頻繁に」
「とうとう来たか。触って気持ちの良いモンも悪いモンも、区別がつかんみたいな」
「ちなみに。あたしのは、どっち?」

「ここではっきり言えたら、苦労はセン」
「意味ワカリマセンけど」
「んで、3歳」

「あ、そうなんですけど。オムツが、取れそうで取れない」
「気にセンでエエ。あんたの歳でオムツが取れそうで取れなかったら、心配じゃけど」
「そうですかねー」

「成人式に、オムツをして行くか外して行くか悩むヤツは。それほどオランじゃろ」
「中には・・・」
「居るとしたら、真夜中にあんたのスッピン見てチビらんヤツくらいや」
「意味ワカランッ!」

 ユビチューと同じで大抵のことはそれほど心配しなくても良いと思う、午後。

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2012.05.18 20:03 |  仕事 / 職場  |  生活 / くらし  |  趣味  |  その他(一般)  |  毒とるMIHI  | 推薦数 : 0

ジイジの不安

「んじゃ、Nさんのケースカンファを始めまーす」
入院後の経過を、主治医から始まって看護介護リハビリと進み質問受付までで30分。
本人や家族の質問にお答えして、通常45分と言ったところでお開きになる。

「センセ、次はGさんですね」で、同様なことが行われて再びお開き。
「しかしなんですねー、男っちゃ弱いですねー。センセ」
「そうなんよ、年とると男は環境について行けん事が多い」

「しかも。心を元気にするホルモンが、ちゃんと仕事をセンようになるんでしょ?」
「んで、ナーンモする気がセンとか。酷いと、いつ死んでもエエとか」
「センセも、気をつけんと」

「ありがとねー、こんなワシを心配してくれて。ウウ・・・」
「まっ、アホ話はそのくらいにして」
「今のは、アホな話かッ」

「小さいことで目くじらたてずに、心をお平らお平ら」
「しかし、中途半端はイカン。すんごく弱るか、メチャメチャ元気かやねー」
「Nさんも、Gさんも。男の独り暮らしは、気持ちが萎えるでしょうねー」

「1日経つのが長く感じるでしょうねー、きっと」
「それに比べて、外来のPバッチャン。独り暮らしでも、やたら元気やで。
 孫が入れ替わり立ち替わり泊まりに来るんて、んで五月蠅い五月蠅いって」

「んでも、笑ってたでしょ?」
「そうなんよ、忙しくてイヤじゃーって言いながら。女は逞しい」
「今のうちから、心が元気になる薬飲んだろかなー」

「止めて下さいよ、そうで無くても今はウザイのに」
「はあー。そのうち孫もワシなんかより友達の方がエエなんて、言うんやろなー」

 MIHIジイジの不安が増すばかりの、午後。

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 ドッタン、ドカドカドカ、ドドドー。
「コラあ、地響きたてて廊下を歩くなアー」
「心電図がフラットで、焦った。ハア、ヒー。Pさんに、ナニしたんですかッ!」

「ナニって。心電図モニター付けてるところが、赤くて痒そうで。
 肺炎も治ったし、心不全も安定したし。モニター要らんかもで、取りあえず外した」
「外すなら外すと、ナースに一言」

「んじゃ、今からナースコールで」
「もう遅いッ、手遅れッ、後の祭りッ」
「ワケワカランけど、軟膏塗ってあげてね。胸に」で移動し徘徊する病棟。

「センセ、ナニしたんですかッ!Wさんに」
「ナニが?」
「朝食を全量摂取。しかも、昼用の栄養ドリンクですけど。ゴミ箱に」

「完食したら、ゴミやろ?昼用も」
「センセが飲んだ?」
「アホ言え、あんな甘っちょろいモン。朝から飲めるか」

「んじゃ、Wさんが?」
「60年代の演歌と歌謡曲で盛り上がりつつ、完食」
「そう言えば、同年代」

「オヤジ同士は、話が合うワケですね。んじゃ明日も。あー、もしかしてDさんも?」
「ふぁ?Dさんって」
「いつも半分残すのに、今日は栄養ドリンク2本完食。それもセンセの仕業?」

「仕業」
「んでも、どうやって?」
「酸素吸いながらじゃから、テクが要るんよ。Dさんの場合」

「テクって、ナニしたんですか?」
「酸素を吸いながらじゃから。ヒーファー3秒後にチュッと吸うワケ。
 その絶妙なタイミングを外すと、誤嚥性肺炎を起こすんで御注意ね」

「センセ、毎朝オネガイ出来ますウ」
「アホ言え。カリスマ食介師は、気安く出没しないんよねー」
「早朝迷惑回診を、朝食介介護に致しましょうね。んで次の当直はと・・・」

 介護士に狙われる、当直明け時間。

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2012.05.16 18:37 |  仕事 / 職場  |  生活 / くらし  |  趣味  |  その他(一般)  |  毒とるMIHI  | 推薦数 : 0

多けりゃイカン

「センセ、ヒー。相談があるんじゃ」
「エエよー、13年の付き合いじゃから大抵のことは」
「あたし、COPなんたらで。酸素吸うとるわな」

「動く時も吸えば、けっこう楽やろ?」
「そこで、相談。今の酸素は、1.5よな」
「ナンボなんでも、2までじゃろ」

「1.5でこんだけ楽なんじゃから、3とか5とか。7じゃったら、階段を走って上れる」
「多けりゃエエってもんじゃないんよ、酸素は。ナンでも多いのは、毒なんよ」
「そうかのー、楽と」

「脳みそに糖分は欠かせんけど、取り過ぎると糖毒性って。イカンのよ」
「そんなモンかの。饅頭をたらふく食べたら、わしゃ幸せや」
「幸せもホドホドが、一番じゃ」

「んでも、あたしゃ最近なーんもする気がせん。体がえろうて、飯も不味い。
 その上、ゴルビー。あ、13年飼っていた犬なんじゃけど。逝ってしもうた。
 爺さんが死んだ時より、切ないのー。ハアー」

「年取ると、心を元気にするホルモンの具合が悪くなって。うつになるワケ。
 んで、ちょっと間違うと認知症思われて。病院で薬を飲まされたり」
「どうしたらエエんじゃ?」

「色々対処の仕方はあるけど、時には薬も。んでも効き過ぎると、やたら元気になって。
 要らん世話やセンでエエ事まで、したがる。なんぼエエホルモンも、多過ぎたらイカン。
  ナンでもホドホド、エエ塩梅が丁度エエわけよ。多けりゃエエってモンじゃ無い」

 ホドホドでテキトー主義者の、午後。

注;
<老人性うつと認知症>
 老人性のうつ の多くは、連れ居合いなどの喪失感がきっかけになることが多い。
また体力の低下や世間からの孤立感などをきっかけに、発症することもある。
また、病気で長い間安静を強いられた時に起こりやすい。
何もしたくない、何も分からないという言動を繰り返すことが多く。
時には、周囲の人からは認知症と思われることもある。
<老人性うつはなぜ?>
 老人性だけで無く、うつは脳内のノルアドレナリンやセロトニンなどの神経伝達物質
が正常に働かなくなりうつ状態を起こすと考えられている。また責任感が強く几帳面で、
周囲環境の変化やストレスに対応できないとうつ状態になる。

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2012.05.15 19:56 |  仕事 / 職場  |  生活 / くらし  |  趣味  |  その他(一般)  |  毒とるMIHI  | 推薦数 : 0

災難ムカデ

「婦長さん、昨日リネン庫で。出たんですよ」
「やっぱ。来るう、来るう、きっと来るうーなんて、BGMで?」
「キャー、キャー。夢に見ちゃう”ホラー・サダ子オ”・・・んじゃなくて」

「あ、実は鏡に映ったスッピンの自分とか?」
「それもかなり恐いですけど、ムカデ」
「そら、驚いたやろ。ムカデ。チびったかも」

「あたしなんか、驚きを通り過ぎて凄いのなんの」
「思わずメタボ5段腹を、ワナワナ揺らせて笑ったか」
「んなわけ無いでしょッ、人並みに声を」

「アラえっさっさー、みたいな」
「何処に、驚いてそんなかけ声を出す人が?」
「んで、トイレの消臭剤をシュッとか?」

「あー、見ましたね」
「見なくとも、想像可能なあんたや」
「もう一匹居るんよ、つがいのムカデ」横から突っ込む介護士P。

「そんな事無いで。ムカデの中には独身主義も、モテキ0年もおるやろし。なっ」
「ナンでそこで、あたしを見るかナー」
「んで、ムカデ」

「あー、そうなんですよー。あたしが、ウギャーって叫んで飛び上がったら。
 ナニを血迷ったか、ムカデ。あたしに向かってすっ飛んできたんですよ。
 酷いでしょ?」

「自爆攻撃みたいな」
「よろついた時に、あたしが挙げた足の下に入り込んで」
「ますます、自爆」

「パニくってたら、足の下で乾燥エビを潰したような音がして」
「絶命したわけね。災難よなー、ムカデ」
「災難はあたしでしょッ」

 哀れなムカデに手を合わせた、午後。ナムう・・・

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