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小脳手術で嚥下障害 >
地方病院に勤めていると、地域医療について考える機会は多い。
昨日の朝はこんな感じに始まった。
当直開けで、8時30分には病棟業務に戻る予定だったが、その終了時間前に外線から電話。
「S先生からお電話です。急ぎの用事みたいで」と事務が言う。
マンション販売じゃなかろうか?と疑問がわきつつも、S先生の名前を出されると出ないわけにはいかなかった。
「今朝、医院を開けようとしていたら、うちの患者さんが始業前に駐車場に座り込んでいて、顔色が悪いもんだから、先生に見てもらおうと思って」
S先生は県道沿いに皮膚科・内科で開業をされてて、当院と患者の行き交いが多い。
患者さんは私が1年前にS先生に脂質代謝異常(LDL高値)の外来followをお願いした方だった。
「すぐ送る、私が車で連れて行くから」
マンション業者ではなく、紛れもないS先生で、救急車を呼ぶよりも早く自家用車で送るのだという。
「医院の方は患者さんたちに少し待ってもらうから」
処置室のベッドに患者を運び横にするS先生。
「腰をやらないようにしないとね、えへへ」と腰痛が治ってないのも再確認。
私はSPO2モニターをつけて、看護師がバイタルのチェックを行う。そうこうしているうちに事務がカルテを持ってきた。
うちは電子カルテじゃないのだ。
「血圧88の下は触診で50」
看護師が首をかしげながらを体温計をとる。
「体温、34.8度。おかしいなあ、測れてないのかな」
私は心電図の12誘導をぺたぺたと吸い付けながらモニターを見る。
そして、S先生と二人、「あーっ」と声を上げた。
見事なST上昇。下壁梗塞だ。
私は患者さんにすぐさま基幹病院に搬送することを告げる。しかし、患者さんが首を縦に振らない。
「父ちゃんが来ないと、戸締まりしないと」という。このままでは転送できない。ゴールデンタイムの問題もある。
この患者さんは70代、旦那さんは80代で要介護2らしい。子供たちは他県に住んでいる。
そしたら、S先生はこう説得した。
「じゃあ、僕が旦那さんを連れてくるから、その間に転送の段取りをとってもらうよ。それでいいかね?」
S先生の申し出のおかげでようやく転送の準備に入ることが出来た。
基幹病院、まず最初のところは「満床」で断られた。
シグマートのセッティングの確認を求める看護師と電話対応で慌ただしい。
次のところは偶然教えたことがある後輩だった。
「S先生のところの患者さんが今し方来て、下壁梗塞で」というと非常にすんなりと事が運んだ。
やはり先輩後輩の関係のおかげだと思う。
S先生が患者さんの旦那さんを連れてきた頃には転送準備も完了していた。
「待たせてる患者さんには事情を話したら、誰も怒らなかったよ」と。
そうして、午前中は病棟係になる私は転送の救急車に乗って基幹病院へと出発することが出来た。
S先生の献身的な機動力と、待合所の患者さんの忍耐力、後輩の事情を瞬時に察してくれる洞察力、こういったものが混ざり合ってうまく連携できることが真の地域医療だと感じた。
ビル診が気に入らないという理由で開業医に24時間電話応対させることを地域診療というのは違うと思う。

医療費削減にNO!
三橋貴明後援会
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