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2010.01.20 02:00 |  開業 / 病院経営  |  murajun  | 推薦数 : 4

仕事の流儀

久しぶりにNHKの番組【仕事の流儀】を観た。夜10時過ぎの番組だし今はニュース番組が面白くてなかなかチャンネルを合わせることが無くなってしまっていた。特に司会者が(総理にはまけるが)巨額脱税をしていた事が報道されて以来は初めて観た様な気がする。

そこで・・・久しぶりに医療の話題を書いておきたい。そういえば、我も医師だったなあ???

 

国会では子供総理の糞演説の初日で面白くも歯がゆくもあったようだが、僕の妻と子供がNHKを観ろよ・・と勧めたのでNHKを観ることにした。せっかく受診料も払ってることだし。

そして、そこにはドス黒い肝硬変の肝臓が映し出されていた。どうも移植手術の最中らしい。僕は診療から帰って遅い夕食を食べていたので少々吐き気がしたが、それでも熱心に画面を食い入るように観ていた。

日本人の加藤先生がマイアミからニューヨークに移ったらしく、「神の手」振りが一段と輝いていた。まだ若いのに・・・46歳とか、偉いもんだ。体力勝負とばかりにマンハッタンのハドソン川の横を気持ちよさそうに走って・・・

更に「ベネズエラ」ではボランティアで医療啓蒙活動をして・・・

おまけに全米のニュースで大きく紹介され尊敬されて・・・

もはや本当に「神の手」の領域に到達されたらしい。素直に感動した・・・

 

と、そこで僕の携帯電話がなり見知らぬ携帯ナンバーが表示された・・・

 

『Murajun 先生ですか? お世話になっています。そちらに通院してます、@@の家族です。父が先程から30分以上も胸を苦しがって足がしびれて・・・ 今から受診してもよろしいでしょうか?』

「それは重症の様ですね。夜の10時を過ぎ、私は病院にも今おりませんし、その症状なら救急車を呼んで@@病院に急いで受診された方がよろしいでしょう。当院で定期処方してます薬に説明書がついてるはずですからそれを持って救急車で急いでください。薬の情報すらないと救急病院も困りますからね。@@さん、下のお名前をもう一度よろしいですか?」

『@@***です』

「***さん ??? ちょっと今病院ではなく携帯電話ですから@@さんの病気の事とか処方してる薬の内容が全然思い出せませんから、今から急いでクリニックに行って処方内容などを確かめて@@救急病院に情報を送ります。早く救急車を呼んでください・・」

 

で、加藤先生の番組は中断された。が、加藤先生の立派な態度が貧相開業医の僕を寒い寒い冬の夜にクリニックまで夕食を中断してまで運んでくれた・・・ 診療報酬なんてもらえないのだが。

急いでカルテを探す・・・ うん? 今月は来てないな・・・

え? 先月も来てないな・・・

あちゃ? 半年前に数回来ただけか・・・???

 

大学病院から紹介状を持って来院されたが、その紹介状も更に数カ月前の日付で、その大学病院にも胸痛時や苦しい時しか行かなかったらしく、体よくこちらに「紹介」されたらしかった。いわば自己判断、救急専門の常習者だったらしい。

それでも、僕の「仕事の流儀」なので診療情報を@@救急病院に遅ればせながら伝えようと電話した。もう連絡から50分も経っていたが・・・ まだ、@@さんは救急病院を受診していなかった、近いので15分で行けるはずなのに。

 

最初に名前を聞いてもピンと来なかったので「かかりつけ」ではないと感じてはいたが、それでも22時過ぎに携帯に「胸が30分以上苦しい」と電話が入ると開業医としては安心して寝れないもの。「仕事の流儀」として、例え事後報告になろうとも救急病院の担当医に僕の知る限りの情報を伝えたい・・・と夜中でも車を飛ばして病院に向かう。暗い田舎道を120kmもスッ飛ばして・・・大丈夫かいな?

 

でも、やはり「かかりつけ」でない人に「かかりつけ」のような口調で冬の夜中に呼び出されると・・・ガッカリしてしまうが、誰か判らないままより安眠できるので良しとする。

 

それが僕の「仕事の流儀」・・・なのだが、ニューヨークの加藤先生とは雲泥の差である。15年前に加藤先生はアメリカに渡って既に移植医として教授になったそうだが、16年前にアメリカから帰ってきた僕は・・・

同じ15年・・・運命とは残酷なものだ。

 

読んでくれてどうもありがとう

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