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2008.07.17 15:33 |  開業 / 病院経営  |  採血器具「通達ミス」  |  murajun  | 推薦数 : 1

【通達ミス】の要因

前回、この2006年3月3日の【通達】がキチンと伝わらなかったことは、特定の誰かが悪いのではなく、(僕らを含めて)関係者すべてが悪い・・・ということを書いた。

【関係者】数自体も 2006年3月より最近では増えているようで、厚労省からの2008年6月6日に『内容が判りつらく問い合わせに答える目的』で出された公開済みの「事務連絡」には、関係連絡先が2年前の24箇所から一気に33箇所にまで急増している。その中には、今回の「使い回し」が判明した「老人ホーム関係」や「訪問看護関係」、「国立病院機構」、さらには、「文部省」、「法務省」、「宮内庁」まで含まれている。

さすがに宮内庁病院や裁判所共済診療所などでの「使い回し」があれば大問題でしょう、となったのか、今回の「通達ミス」の再発防止に向けて厚労省の担当者も実に大変な作業を遂行されておられるようで何ともお気の毒な思いもする。

 

しかし、今年の再度の「該当する器具の説明文」を読んでも、なかなか実情が掴みにくい通達内容であったと悔やまれるのである。当時の製品リストは「20種類の不適切品一覧」だったが、これが後に30種類以上に増えたことから判るように「これ以外は不適切ですよ・・こちらを使いなさい」と適切な器具の一覧を丁寧に示すべきだったと感じる。(ただし、当時は僅かしか適切な器具は無かったようですし、2000年には数種類だけだったようです)

 

厚労省発の2006年3月3日の通達の「主文」には、こう書かれている。

        「記」   

1.製造販売業者による添付文書の改訂等 

 ①「禁忌・禁止」の項に以下の内容を記載すること。 

    個人の使用に限り、複数の患者にしようしないこと。  

 ②出荷前にこの器具に、「複数患者使用不可」のシールを貼付するとともに、既に納入済みの製品にあって、まだシールを貼付されていないものについては、納入先にも同シールを配布し、貼付を依頼すること。

2.医療機関等への注意喚起

  この器具を複数の患者に使用しないように特段の注意をはらうこと。

                             以上

 

勿論、これにP1の総論的表紙が一枚付いているが、なんといっても役人言葉で実に難解であり、それゆえ【都道府県担当者】や【日本医師会】からの<通訳の様な要約>が必要になり、前回の記事の事情が生じているようだ。

 

とにかく 上の「主文」からは、今回の通達がなぜか「2系統」に同時に向けられたことが理解できる。(多分、良くあることなのでしょう)

まずは、「製造販売業者」に対して・・・『添付文書を改訂し、シールを貼ったり、禁忌を謳いなさい』

次は、行政や医師会等に対して・・・『関連の医療現場に器具の使用に際しては特段の注意をはらうよう注意喚起しなさい』

 

この「2方面への同時通達」が、都道府県担当者の他に24機関に対して流されたので複雑な問題が生じたようだ。

つまり、【日本医師会】は、「主文の2」のみに対して責任を持って全国の地方医師会に対して通知を行ったようだ。『禁忌・禁止・シール貼付』などの単語が製造販売業者を通じて伝わる(そちらに伝達責任がある)と判断したのではなかろうか。

対する【製造販売業者】の方は、問い合わせたところ、この通達を読んでも「何年ほど遡って納入先にシール貼付を依頼するか」が各社でバラバラで、実際のところ今回の調査の様に10年ではなく、せいぜい数年しか確認作業が行われなかったようだ。だから、「医療現場にはシール貼付の依頼」は僅かしか届かなかったのが実際のようだ。厚労省は、「何年遡りなさい」と丁寧に通達すべきだったと感じられる。

 

【シール貼付】に関しては、以前に2006年6月末日までにメーカー8社から「納入先にシール貼付依頼を完了した」という報告を受けたと厚労省が発表したことで、もしかして「虚偽報告の疑い」もあるか?と疑問を呈したが、実際には業者としても「一体何年くらい遡るのかが通達からは判断不能で、多くは簡単に判った数年分だけを行って厚労省に報告した」というのが実際のようだ。更に、「遡っての納入先へのシール貼付の義務」は、実はメーカー8社ではなく、専ら「販売業者」にあったようで、その意味では、「販売のみの業者からは厚労省への報告が無かった可能性」も否定は出来ない。とにかく、電話では『あの当時は業者サイドもどこまですべきか通達からは理解できず、今では古い話なので詳細は忘れてしまった・・・、まさかココまでの問題になるとは感じなかった』との回答であった。

 

やはり、対象をハッキリさせ、無用な混乱を避けるためにも、あの【通達】は「業者向け」と「医療現場向け」の2種類に分けて発すべきだったのではないかと感じる。夫々が、持分のみに対処しようとして、『禁忌・禁止・シール貼付』といった大事なことが、2006年3月以前の器具購入者には全く通知されなかったのは悲劇としかいえないだろう。

 

関係先としての【日本医師会】からは先に述べたような通知が地方支部に伝達されたが、関係先の一つ【日本看護協会】はどのような伝達を全国の看護師達に行ったのであろうか? 当該器具に最も接するのは圧倒的に看護師であり、各地の看護学校でも実習で使用されていた訳であるから、どのように現場に通知されたのが興味深い。

 

多くの学校現場や介護現場でも「使い回し」の被害者が生じたが、学校関係や介護関係にもどのように伝わったのか? これらは、2006年3月の関係先にはあがっておらず、2008年6月の関係先リストに登場しているので、いつどのように厚労省から通達されたのかの流れを検証することが再発防止には不可欠と考えられるので興味深い。

 

通達の流れの全体像を記載するのは僕には難しいので、この程度にしておきたい。

 

いずれ、どのような厚労省から医療現場への【通達】方法が望ましいか、再発防止とよりよき医療のために、僕の考えを書きたいと思う・・・

 

読んでくれてどうもありがとう

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2008.07.17 00:50 |  開業 / 病院経営  |  採血器具「通達ミス」  |  murajun  | 推薦数 : 1

【通達】の行方

北陸地方の某県や中部地方の某政令指定都市など、自治体担当者が医師会や医療機関に【通達】を流さず勝手に止めてしまった、という事例も各地で少し報道されたが、当院へは一応あの厚労省からの【通達】は届いていた。

ただ、日本中で一万箇所を超える医療関係機関が残念なことに充分に理解できなかった今回の不可思議な【通達の届き方】を全国各地でキチンと検証していくことは、今回の反省や今後の再発防止、ひいては将来の医療の充実に恐らく寄与するだろうとの判断から、この際に【当院への通達の届き方】を不幸な「一例報告」として示したい。ただ、関係者に迷惑が生じてもいけないので、あまり深く追求をしないで頂きたいし、出来る限り匿名で記載したい。

 

既にご承知の様に、最初の【厚生労働省医薬食品局安全対策課長】の名前で平成18年3月3日に発せられた今回の【通達】は、【各都道府県衛生主管部長】宛てであった。A4用紙 計5枚、P1は総論的説明文、P2は2項目の簡潔な本文、P3は穿刺器具の一例を漫画記載、P4は該当する8社・20機種の製品名一覧(島根のR社製品もあるが、問題のクリニックは新規開業らしく、恐らく二年前の通達は届いていない)、P5は同じ【通達】を併行して流した関係24団体の法人一覧(当院関連は、日本医師会を含め4団体)

 

ちなみに、当地の【保健福祉環境事務所(保健所)長】から平成20年6月1@日に郵送された調査(依頼)書には、上記の5枚に加え、一枚の簡単な調査用紙の他に、3枚セットの参考資料が付いていた。追加資料のP1は、二年前に比べ11社・30機種に増えた器具一覧、その増えたうちの7機種は平成18年3月当時既に販売終了していたが、N社の2機種は何故か平成18年3月以降に認可され新発売されていた(この点は非常に不思議である)。P2は「器具全体がディスポの11種」、「周辺部分がディスポの8機種」の一覧があり、使用していても「問題なし」の製品一覧である(後ほど書くが、二年前に教えてくれていれば良かったのにと悔やまれる点である)。P3は各社の問い合わせ窓口一覧。

 

当県では、まず【県保健福祉部薬務課長(監視係)】から3月Q日に【県医師会長】宛てに、先の5枚に一枚簡単な要約<これを要約Aとする>を記した表紙一枚をつけて全6枚が通知された。医師会以外の医療機関や教育機関、介護施設、健康教室などへの通知の有無や方法は全く知らない。(ちなみに、県内の某政令指定都市では医師会員以外への通知は無かったと報道されたことがあった。)

そして、【県医師会長】から3月1N日に、その6枚に更に要約<これを要約Bとする>を記した一枚の表紙をつけた計7枚が、【当地区医師会長】宛てに通知された。

少し遅れて、厚労省から併行して【通達】が流された【日本医師会長】から全国の【都道府県医師会長】へとほぼ同様(恐らく全6枚)の通知が流されたと思われる。これには、【日本医師会長】による要約<これを要約Cとする>を記した表紙が同様についていたはずである(実物は見てない)。

それを受けて、ほぼ同様の全7枚の通知が【県医師会長】から再び【地区医師会長】に約一週間後の3月2Y日に流された。ただ実は、ここで少々「混乱の種」が生じ始めている・・・・

 

【県医師会長】のもとへは、【県保健福祉部】と【日本医師会長】の2箇所から、微妙に異なる要約を記した表紙が付いた全6枚の(厚労省からの)通知が時期を少しずらして届いている。結果的に、更に下流の【地区医師会長】のもとへも【県医師会長】を経由して微妙に異なる要約<これを要約Dとするが、恐らく要約Cと酷似であろう>を記した表紙が付いた全7枚の(厚労省発の)通知が時期を少しずらして届いたことになる。

 

当地の医師会では各機関から毎日送られてくる膨大な情報を、重要度を理事会などで判断しつつ、種々選択整理して会員に文書配布するシステムが普通であり、重大かつ緊急時にはFAXが併用されるが、通常は月末に1度のペースである。当時の記録では3月末日頃に【地区医師会長】から当院を含む【各医師会員】へと今回の【通達の一部】が流されている。だから厚労省からの【通達】は確かに届いたのであり、当院を含め数ヶ所の医療機関が直後に該当機種の使用を停止しているのである。

 

当時の「ご連絡項目一覧」の先頭に、今回の【通達】のタイトルが記載されている。A4用紙で配布された通達資料は計2枚、P1は<要約Dの写し>、P2は該当器具8社・20機種の一覧である。

厚労省から2系統を経由して3週間程度で【地区医師会】へ届いた2種類の全7枚・計14枚が、当院を含む【各医師会員】の手元へは【全2枚の通達】となって通知されたことになる。確かに、必要かつ最も重要な一枚は厚労省通達資料P2の該当器具20機種の一覧であるので、【地区医師会】での種々選択は実に効率的に整理されて届いたと思われ、特に批判される状況にはないと思われる。ただ、少しだけ問題がこの辺で見え隠れする・・・

 

実は<要約B>と<要約D>は両方とも【県医師会長】から【地区医師会長】宛てに重複して送られたのだが、どこを経由したかによって微妙に要約の記載内容が異なっていたのである。

厚労省の通達をもとに【県庁】が作成した<要約A>を更にもとにした<要約B>には、判りにくいが確かに『禁忌・禁止・シール貼付・複数患者使用不可』などの言葉が記載されている。

もう一方の、同じく厚労省の通達をもとに【日本医師会】が作成した<要約C>を更にもとにした<要約D>には、それらの言葉が一切無く、『医療従事者に対し、針の周辺部分や器具全体がディスポであるものを用いるべき旨等の注意喚起が厚労省によってなされた。安全使用に万全を期すため、予防的措置として、本器具を複数の患者に使用しないよう特段の注意をはらうことが求められた』ので、会員に周知して欲しいとの内容になっている。

現時点で冷静に判断すれば、<要約B>と<要約D>には相当の違いがあると思われる。文章中に『禁忌・禁止』の言葉があるかどうかは読み手のインパクトに大きな差がある。また、今回もう一つの問題となった『メーカーによるシール貼付』に関して一切記載が無い場合には、シールに関しての知識・関心が医療機関に生じるはずが無いであろう。当院でも古く購入した器具に「シールは一度も貼付されていないし、シールが存在する」こと自体をスタッフも僕も全く認識していなかった。全く「知りようが無かった」というのが正解かもしれない。

 

もうお判りになったと思うが、平成18年3月末日頃に当地区で【各医療機関】に届いたのは、不幸にして『禁忌・禁止・シール貼付・複数患者使用不可』などの記載されて無い方の【通達の一部】だったのである。

 

だからといって「特定の誰か」が悪いというつもりは全く無い。言うなれば関係者全てに問題点が存在しているのであり、次回は「なぜ、2系統で異なる要約が生じたのか」を中心に、「ではどうすべきだったのか」など今後につながる検証を試みたい。

 

他の有名ブログみたいに検証記事は上手く書けないが、他のブロガーがあまり取上げてくれないので僕が仕方なくコソコソと継続して取り組んでいる・・・・

 

読んでくれてどうもありがとう

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