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2008.07.04 23:14 |  開業 / 病院経営  |  採血器具「通達ミス」  |  murajun  | 推薦数 : 1

信頼関係

ここしばらく「微量採血器具の厚労省通達ミス問題」を書いているが、なぜかと言うと【信頼関係の危機】をそこに深く感じるからだ。

ここでいう「信頼関係」とは、①患者と医師、②地域行政機関と医療機関、③厚労省行政と医療機関、④厚労省と地方自治体、④医療機器・薬品メーカーと医療機関、⑤日本医師会と医師、⑥マスコミ関係者と医療関係者、⑦教育施設と医療関係者・・・・実に様々な「信頼関係」でこの日本のこれまでの素晴らしい高度で安価な医療は成り立っていたわけである。

 

しかしながら、今回の問題で医療関係者(特に開業医)を取り巻く信頼関係の輪は音をたてて崩壊しそうである。

これには、「五分ルール資料捏造疑惑」や「後期高齢者診療料」などが伏線となって治しがたい歪になっている。昨今のネット上の議論を読んでいると、厚労省保険局の原課長と森光課長補佐の資質にまつわる話が盛んであるが、僕は「この二人は既に全国の医療関係者の信頼を残念ながら完全に失った」ように思われる。

たった「一枚の通達」で全国の現場に施策を届けるには「信頼関係」がなにより不可欠である。厚労省におおきな権限があるとすれば、そのような「信頼に値する官僚の行動」の裏づけが無くてはならないだろう。不用意になされたものであっても、本質的に官僚個人の「非常識な行為や見解」などが知れ渡り、人格まで疑われるに至った時点で、役人は公務員を辞職するべき大きな責任をおっているものと思う。そうでなければ、「巨大な権力」というものが役人に与えられて良いはずもない。

 

G医大を卒業しても僻地勤務をせず東京で活躍する課長も凄いが、S医大を卒業して一度も臨床経験を積むことも無くH20年4月の診療報酬改定の中心的役割を担ってしまう課長補佐も、自らの権力の大きさと責任の重大さとに関連があることは絶対に忘れて欲しくはない。他の医師免許を持つ医系技官も同様である。なぜ、高い臨床能力を身につけないままに先輩医師を指導監督できる権力が与えられているのか・・・考えれば鹿馬でも理解できるはず。

 

http://intmed.exblog.jp/7272544/ 

しかしながら、上に引用させて頂いた課長補佐の発言はどのような育ち方・教育のされ方をすれば口から出てくるのか?実に不可思議というか理解不能である。鹿なのか馬なのか?

 

『今は信頼関係がない。よって、(厚労省としては)回答しない・・・』

 

僕はこれほどまでに傲慢な言葉を厚労省官僚が述べるとは全く信じられない。これは厚労省の歴史に残るであろう「大失言」であると思う。

今回の診療報酬改訂の基礎資料作成調査も、今問題の微量採血器具通達ミス問題も、我々現場の医師は多忙な中を屈辱感を押し殺しながらも「厚労省との信頼関係を維持するため」に回答を正直に行ってきた。もちろん、虚偽の回答を行ったとしか考えられない医療機関やメーカーなどもあるかもしれないが、『厚労省と信頼関係がないから今は調査に回答しない』などと医療機関が言うだろうか?

 

例をあげたい・・・

①に関しては、今日 『まさかM先生が今まで注射器を使いまわしておられたとは信じられんで私は驚きで震えました・・』と、かつて肝癌から命を救った患者に言われてしまった。新聞に「採血器具を使い回し」との見出しで書かれたので大抵の患者は「普通の注射器」だと誤解するはずだとも仰られていた。しかも、禁止通達後に中止していた当院と現在まで継続した施設の区別もないし・・・。この10年で積上げた地域の患者との信頼関係は簡単にマスコミの不見識で壊される・・・

②通達ミスをした自治体、不正確なアンケート調査をして検証もせずマスコミに垂れ流した保健所。公平な調査をやり直せ・・ そして安全宣言をして患者の誤解を解き、早急に患者の誤解を解きなさい・・・

③後期高齢者、五分間ルール、採血器具使い回し・・・これで厚労省と医療現場の信頼関係は当分解決しないだろう・・・ 課長や課長補佐の移動程度では修復不可能だと思う。

④これに関しては前記事の【16.8%】で述べたので繰り返さないが、これでは「だから経済至上主義で医療は堕落する」という常識が出来上がる。ガンバレ、若手の文系社員達・・・

⑤これも、日本医師会が唐澤会長を再任した時点で、現場医師との信頼関係は既に崩壊してしまっており、今回の五分ルール問題、通達ミス問題などへの対処の姿勢を見ると、勤務医だけではなく、相当数の開業医にも見向きもされなくなるだろう・・・

⑥今回も産経新聞、毎日新聞などが医療崩壊推進の中心勢力だったようだが、積極的に大きく不正確に取上げた地方紙の報道姿勢も地域医療崩壊の大きな推進力となっていることを早く理解して欲しい・・・

⑦微量採血器具に関しては、全国の沢山の看護学校・医学部の実習や大学病院での新人指導の現場で常識的に利用されてきたことが非常に問題だと思う。これでは、自動車学校で習ったルールで免許証をもらっても、翌年には違反切符を切られて派手に新聞報道されたようなものである・・・

 

課長補佐が卒業した大学名が「新小児科医のつぶやき」に載ったが、いまごろ同窓生は恥ずかしくて道を歩けないと思っているかもしれない。同じ大学を出た友人に聞いてみたら、「直接説教してやろうと同窓会名簿を探したら、そこは完璧に情報なしで白紙だった」ので怒りの持って行き場所がない・・とのことだった。

しかし、臨床経験ゼロの同窓生から出鱈目な五分ルール押し付けられて、先輩も後輩も「許せん・・」と感じているくらいの想像力は持っていて欲しい。

一度、卒業した大学に戻って、「その地方の悲惨な医療崩壊の現状と苦悩する同窓生の医療現場」を視察してみたらどうだろうか? それが、あんたら厚労省の官僚がやって来た愚策の成果だと知って欲しい・・・

 

誰にでもわかるハズだが、「信頼関係」は非常に大切だ。それを壊すのはあっと言う間だ。厚労省の官僚から『信頼関係がないから回答しない』などという破廉恥な出鱈目な情けない言葉を聞くようでは、日本の医療崩壊は止められるはずもない・・・

 

読んでくれてどうもありがとう

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コメント

コメント一覧

私はいつも、”そこはワンダーランド”だと思っています。(ワンダーランドとは、“自分が住んでいる世界とはまったくちがう不思議の国”という意味で“魅惑の国”ではありません。)
そこは自分の常識の軸では計れない、別の常識軸がある異次元空間で、たとえそこのかたと、個人的な信頼関係を築きかけても、ふっと梯子をはずされるような感覚で、ふっと宙にうきます。
元来性善説?なので、のど元過ぎて、熱さを忘れて(モノ忘れがいいので)いると、また、やけどします。今もそんなことで火傷をおったばかりでさて、どうしようと思っているところでしたのでお話が、傷口に響きました。
それにしても、”信頼関係がないから回答しない”とは…。心底驚きました…。くれぐれもお疲れためられませんようにとお祈りしています。

@@便乗コメント失礼します  by murajun@@
最近しつこく書いてますが、温厚な僕がここまで怒るので「実情」をお察し下さい・・・
written by ぴょん / 2008.07.05 07:49
インフルエンザのパンデミック流行、誤糞ルール、微量採血器具問題、どの件に関しても厚労省の対応に不信感が募ります。
murajun先生はどの問題についてもブログで取り上げていただき大変感心いたしております。
これらの問題は他の医師ブログではあまり取り上げられていないようですが、これらに関して問題視していないのでしょうか?不思議です。これからもmurajun先生のこれらの問題に関するエントリーを期待しております。

@@便乗コメント失礼します  by murajun@@
「誤糞ルール」・・良いネーミングでしょ? 僕も他の医師ブログで取上げられないので少々不思議な気持ちです。今後の危機の際に、「信頼関係」こそが大切なのに・・・厚労省って何なんでしょうね? それと、開業医と勤務医とでは指摘された問題からのプレッシャーが違うのでしょうか?
written by Dr.マンボウ / 2008.07.08 22:47
微量採血問題については、確かに私も当初、何のことやらわからず、問題意識が低すぎて、ブログに取り上げるタイミングを失ってしまったように思います。Dr.マンボウさまの御指摘は甘んじて受けねばなりますまい...
正直なところ、murajun先生の詳細な記事のおかげでようやく事態を把握しつつあるところです。
厚労省からの現場無視の通達がどれほど医療を痛めつけたか、その点は私も相当理解を深めているところです。
(あ、5分ルールについては、私も結構書いてますよ・・・)
murajun先生、貴重な記事を有難うございます。

@@便乗コメント失礼します  by murajun@@
大きな声では言えませんが、「ロシュ社製品」が問題です。しかし、タミフル供給問題と絡んでいて・・・悪者にしにくいのでしょう。
この問題は大きいですよ。当県の医師会では、「どう対処すべきだったと思うか? 当事者のご意見を聞きたい」という前代未聞のアンケートが来ましたよ。確かに当事者じゃないと苦悩はわかりません。京都は発表まだみたいですね。
written by Doctor Takechan / 2008.07.13 00:28

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