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600日程度の期間に我ながらよく書いたものだ、これで第900回目の記事になる。読者各位にはくだらない記事ばかりでも、田舎中年医師の呆け防止と後世への言葉、日記がわりであるから真面目な文句は無用と願いたい。頓珍漢な政治屋や横暴な官憲や無能なマスコミ批判は少なからずあるが、病める患者と悩める医師の関係は本音で述べるよう心掛けてきたつもり。
僕が一番書きたかったのは「未来の日本と地球の危機」について・・・全ての記事がそこへ繋がると思いながら書いてきた。
さて、900回記念記事はなににしよう・・・タイムリーな記事と云う事で、最近書き並べている「微量採血器具使いまわし」の本音を書きたい。これも、未来の危機と深く関連する問題だから・・・ 多分、この件では明日以降は本音で書くことは無かろう。
明日、2008年6月30日に多くの自治体が「使い回し施設」を全部公表するという。これは歴史的な事と思う。もちろん、素晴らしい出来事の反対の意味でである。多分、国民生活の混乱と医療不信増大と医療崩壊促進と官僚汚濁促進と御用マスコミ凋落と環境破壊推進と日本式社会没落への大きな一歩と成る事だろう・・・・ちっとも大袈裟ではない。
微量採血には、開業前の頃は僕もスタッフも各病院で注射針などを利用していた。僕らの年代では勿論一回のみ使用で廃棄。無痛操作にはテクニックが必要で個人差があった。(過去の歴史)
開業した前後に各社から今問題となっている便利な器具が販売されだして全国で急速に使用が拡がった。患者使用が目的で誰でも簡単に使用可能。当時の添付文書は手元にないが、禁忌とされたのは2006年3月の通達文書発表以降。ただし、その「通達」は多くの医療機関には実際には通達されていない。(販売拡大と自治体内での通達ミス)
しかも調査は、何故か禁止以前の平成9年まで遡るとの事。しかし、昔の予防接種での針の再使用調査は無し。(禁止以前の遡り調査)
さらには、トイレや聴診器や、手術器具や内視鏡の「使い回し」など、同程度以上の問題事例は問題とせず。(禁止基準の曖昧さの問題)
2006年4月に問題なしとされる新製品が普及しだすが、壊れずモデルチェンジもないので以前購入した製品を継続使用する施設が多い。(途中での禁忌変更通達方法の問題)
メーカーからのシール添付指示の伝達が現場に上手く届いていないのに、厚労省へは全部適切に指導したと報告。(メーカーの厚労省への偽報告)
看護学校や医学部といった教育機関での誤った実習が継続的に行われていた問題。これでは医療現場はそれを「正しい使用法」と理解し、改めて添付文書を虫眼鏡で見ることはしない。学校で指導されて使用しているのだから。そうして若い世代が次々に現場へ出て行く。(間違った教育がなされた問題)
その現場には医療機関のほか、市役所や保健所の健康教室や採血サービスといったことが全国各地で頻回に行われた。採血を実行する保健婦や看護師や医師は「正しい使用法」と教育され、医療関係者でない市長も知事も誤った使用法とは夢にも思わない。(現場は誰も知らない)
これだけ健康教室や医療現場で普通に行われていた事だから、当然ながら厚労省の役人も自治体の担当者もメーカー職員も本人が検査を受けた人が全国には沢山いるはず、「通達違反」との認識があったであろう人々はどうして今まで放置していたかを説明すべき。(見逃していた責任)
2006年3月以降は偶然正しい器具を使用していた当院も今回の問題が出る最近まで「通達」は届かず知らない。納入業者やメーカーからの連絡も無し。だから、「不適切な使用」という認識は無し。「通達」があったなんて全然知らないし、読みにくい厚労省のHPを毎日チェックなんてしていない。当然、カルテに採血方法までは書かないし、そんな記載指示の「通達」があるかないかも知らない。(現場への周知徹底の問題)
断っておくが、不適切な器具購入と不適切な使用は同義ではない。販売リストにあっても正しい個人使用に限っている施設が少なくない。先述したように、購入した器具は個人使用目的に患者へと渡すだけ。(販売リストの問題)
低炭素社会、「エコ」とゴミ削減を騒ぎながら、一向に「使い捨て」医療器具と安全性を議論しない無関心なエコ学者やマスコミ、環境省関係者達の問題。(矛盾した行政とマスコミ)
これだけ騒いで、今まで全く「健康被害がない」という。既に各地で肝炎検査やHIV検査が無料で行われているが、もし感染者がいても、どこでどう感染したかを特定することはどう見ても不可能なのに。C型肝炎の抗体陽性者なんて少なく見積もっても国民の数%はいる。
遠い過去の予防接種や輸血歴、針治療、その他ありとあらゆる感染機会がある。母子感染を含め、あまりマスコミでは言われないが、性行為は非常に大きな感染機会である。風俗店へ通う人のウイルス感染率は明らかに大きい。性の乱れが恥ずかしいほど広く深く進む日本社会・・・ 検査後、その感染経路を特定する上で、どこまで個人のそのような過去の生活歴を調査するのか出来るのか?
今回のことで一番大きな問題は、「通達行政の限界」だと思う。勿論、医療関係者の責任もあろうが、届かない「通達」や誤った「教育実習」などに医療現場は全く無力である。
厚生省と労働省を統合したのは明らかに失敗であった。
官僚も大変だと本当に同情している(前述)が、間違った政策や間違った通達内容や通達方法を素直に速やかに改められる社会に改善していかねばならないと思う。誤ったこと治しても恥ずかしがることは官僚には必要ないし、それは許されることだ。
ただ、今の日本社会が非常に「不寛容な個人攻撃的社会」になって北朝鮮以上に生きていきにくい社会になっていきそうな危険性が見え隠れする。
成熟した成人社会ではなくて、大きな子供だけが住む社会・・・ 壊れ行く日本の黄昏を映し出している「使い回し」問題だと感じている。
さて、明日の発表後の日本はどうなるのか・・・? 官僚の保身で暗い社会へと突き進むのか? たぶん、この件での「本音吐露」はこれが最後・・・
読んでくれてどうもありがとう
6月23日の西日本新聞に以下の記事が載った。当然な内容なのであるが、なぜか医師会の動きは鈍い。実害の無い勤務医の反応も少なく、公立病院院長も自治体検診担当者も税金で償い自腹を全然傷めないので実にお気軽な対応である。要するに、個人開業医のみが不安を抱えリスクに怯える歪な「通達ミス問題」のようである。
採血器具の使い回し問題が発覚した医療機関から「器具に張り付ける『複数患者使用不可』のシールがメーカーから届いていない」との訴えが寄せられ、保険医協会が調査に乗り出す。使い回しが広がった一因にシールの配布漏れがあった可能性もあることから調査の実施を決めた。対象は県内の400超の加盟医療機関。
厚労省は2006年3月、器具の使い回しを禁じるとともに、メーカー8社にシールの張り付けを指示。既に器具を納入した医療機関にもシールを配布するよう求めた。8社は同年6月までに「販売記録にあったすべての納入先に配布した」と同省に報告した。取材に対し8社はいずれも「郵送や直接持参して配布した」と説明。ただアークレイ社は「記録が残っていない医療機関には配布できなかった可能性がある」と話している。
だが、メーカー8社には「全ての納入先にシールを配布したって本当ですか?」と問いたい。大手とは言いがたいアークレイ社だけが問題ですか? むしろアークレイ社だけが「バカをみている正直者」なんじゃないですか?
皆さんのところはどうですか? シールは届けられていますか?
実はうちは、2年前の「通達」以降は三和のジェントレットという「OK製品」のみを使用している。これは「通達」に従って変更したものではない。うちにも「通達」は間違いなく届いていない。ただ、納入業者が新製品の紹介に来たので安かったし採用しただけである。
患者の個人使用目的でそれまでの数年間、そしてその後も8社の一つであろう大手某社から「不適当製品」を購入し、地元の納入業者C社を通じて購入し、自己血糖測定してもらっている患者に渡している。某社の採血器具の本体を10個以上、針にいたっては数千本購入しているはずである。これらは基本的にインスリン導入した患者さんの個人使用である。
しかし、某社からは2006年6月までどころか、今までに全く担当者の来院もシールの送付もなされた様子がない。確かに2006年4月以降に納入された製品本体にはシールが貼られているが、それ以前の製品へのシールなど全く受け取っていないし、貼られていない。
どう考えても「シール」は納入業者が製作すべきではなく、製造業者が製造すべきだが、一応念のために納入したC社に製造某社からシールを貼りに行くように要請されたかを聞いてみたが答えは「NO」だった。当然だろう、それは製造業者の責任だろう。当然、うちも「納入先リスト」に載っているはずだ。しかし、いまだかつて某社からは何の連絡もない。それなのに厚労省には何と報告したのであろうか?
アークレイ社が正直に答えている。大手とは言いがたい様子だし、SA社から該当製品の販売先リストを引き継いだ会社のようだ。実は先日、うちにもアークレイ社から「シール」を貼ってくれと再確認のダイレクトメールが来た。
公表期日直前で、「何を今頃・・遅すぎだ~バカ野郎~」と怒ったが、実は写真に載っている製品を使用したことを全く覚えていなかった。当然、保健所の調査にもアークレイ社製品購入の報告はしていない。でも、「この郵便物は納入先リストにあった施設へ送っています」と書かれていた。
「うそ~、こんな会社、僕は聞いたこともないぞ。勿論、使ったはずもない。開業以来居る職員に聞いても誰も覚えていない。でも、うちが販売リストに載ってる?これが証拠として厚労省に廻るのか?」とどうにも解せず不安が募る。
あらぬ疑いは晴らさねば、きっと間違いだ・・・さっそく電話して調べてもらった。
担当者は時間外にもかかわらず実に丁寧に調べて答えてくれた。社員教育は某社の数倍良いと思う。
『2007年6月に販売記録があります。でも、「針」のみで250個、しかも一度だけです。本体の販売記録はありません。これだと恐らく・・・』
なるほど・・・ それなら合点がいく。
他の病院でアークレイ社製品を使用していた患者が当院に転院してきて、本体は自分専用で、転院直後に消耗品の針が切れたので当院で購入したが、うちの指示で某社製品に統一したためそれっきりになった模様だ。つまり、シールを貼ろうにも針しか購入してなくて、「存在しない本体」には貼れないのである。
でも、アークレイ社の記録は実にシッカリしている。2006年6月以前には販売実績が無くて、その時には連絡が無くて当然だったし、今回は「針だけ」にもかかわらず念のためと連絡を頂いて実にありがたい。沢山購入した大手某社は何も言ってこないのにである・・・
大手某社だから販売リストを調べればある程度は使用している可能性のある施設はわかるだろう。うちも載ってるはずだ。もちろん、使い回しかどうかは購入実績だけでは判らない。
しかし、ウソの報告はダメなんじゃないでしょうか? 大手某社さん・・・ アークレイ社が数段立派ですよ・・・
読んでくれてどうもありがとう