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【パニック前夜】・・・といっても、巷に言うガソリン暫定税率廃止の話ではない。非常に静かであるが、m3でも静かだが、医療の話である・・・
明日から4月1日、大きく制度が変わる。
まずは、【外来管理加算】問題・・いわゆる「原の5分ルール」
今日の外来も随分と長期処方を増やしてきたつもりだが、有り難い事に80名も来院して頂いた。明日から「値上げ」と勘違いして駆け込み受診でもされたのか? というわけでもないだろうが、午前中の三時間で45人だったので完璧にアウトの様だ。45人全員アウトと30人全員セーフとでは後者の方が利益が大きくなるが、診療拒否も出来ず、震えるコメカミと手に将来を憂えた。将来と言っても半日後の話だ。ちょっと狂ってる・・・
次は、【後期高齢者】問題・・主治医問題、姥捨て問題ともいう
これは、僕は「原をくくる」ことにした。いや、腹だった。周囲の医療機関の動向と無関係に、僕は少なくともこの半年は「主治医」とはならず、全例これまで通りに出来高算定で行くことにした。経営的に生き延びることが出来れば継続したい。もしも他の診療所で主治医となられた方は、基本的に他へ行って頂いて結構・・という姿勢をとることにした。結局、出来高と包括の移動や患者選別の手間は大変で、かつ医療内容に対する哲学を放棄してまで「原理論」が素晴らしいとは信じられないのである。医師の魂を宿していない奴らに僕は魂を売るつもりは無い・・・と言ったら言い過ぎか?
最後に【ジェネリック】問題・・
これは、前回の改定から当院の処方箋は全例変更可能になっていたので、僕としては何ら抵抗が無い・・・といえば嘘だ。実は、ジェネリック薬の名前が全然覚えられないのだ。全く、患者が飲んでいる薬が判らなくなった。電話で話しても意味不明・・・明日以降は更に酷くなりそうだ。しかし、全部のジェネリックの名前を覚えれる人がいればお目にかかりたい。「原の政策」だから・・・責任は原にあると思うようにした。
他にも【メタボ検診】問題・・・これは行政が遅れて準備不足・・・お陰で、スタートがずれて結果オーライとは何たる皮肉。
医療破壊・・・原課長の責任は大きい。対馬委員の責任も大きい。唐澤会長の責任も大きい。政府・与党の責任も大きい。
しかしながら、【医療パニック前夜】の心境は、語るも悲しいし考えるのも辛い。開業して10年、ずっと診療報酬が下がり続けてきているが、今日まで何とか生き延びてきた。しかし、このような文化大革命の如きおぞましい年度末を迎えることになるとは、国民の一人として、厚労省と政府の無策に腹立たしい思いだ。そしてとうとう、半日後には4月1日を迎え、いつもの様に外来が始まる・・
それまで、もう少し、いつもの様に病院で夜間透析のお仕事を続けよう・・・
読んでくれてどうもありがとう
開業医の朝一番、色んなことが待ち受けていてスリリングな時間でもある。
今朝は診療室の机の上にメモ・・・ある透析患者のドタキャン。満床を調整して引き受けた患者、ドタキャンは初めてではない・・・
昨日入院を勧めながら帰宅した心不全の老人、やはり呼吸苦で早朝から入院依頼、直ぐに対応・・・
尿路結石疝痛発作患者の紹介状をせかされて・・・
入院させていた透析患者が退院連絡、受け入れ調整・・・
合間に数名の外来をこなし、再び電話が入る。
時おり紹介する病院の放射線科から・・・聞きなれないドクター名を受付が告げる。そこの放射線科には肺癌の患者を数ヶ月前に放射線治療で依頼はしていたが、今は思い当たる患者が居ないが何だろう?
電話に出ると、女医さんらしい・・・
『murajun君・・ 元気?今いい? (旧性) Kよ・・ 今、この病院にいるの』
「あれ~Kさんなの? 久しぶりだね。今の名前聞いてもワカンナカッタヨ」
『最初に言ったほうが良いかと思ったけど、ごめんね』
「いいけど、どうしたの? 僕に電話くれるなんて、しかもこんな朝の時間に・・」
『ごめん、忙しかったでしょ? 実は・・・』
卒業してから20年以上になるが、同級生のKさんだった。別に深い関係ではなかったが、親しいとまではいえないまでも何となく気になる関係だった懐かしい旧友。凄く大人びて美人の彼女は多くのファンを持っていたが、何の縁か他大学の奴にさらわれてしまっていた。美人はずっと美人だし、数年ごとの同窓会でも人妻ながら人気者のKさんからの突然の懐かしい電話に嬉しくなってしまった。考えてみれば、僕と同じでオバサンなのだが・・・
彼女の相談内容なんて上の空でとっくに忘れてしまったが、同時に待合室の患者も忘れて話し込んでしまったようだ。医学的、それも僕の専門に関する話だったので無駄話では絶対にないのであるが、周囲の看護師やスタッフにとっては、鼻の下を伸ばして目じりを下げてデレデレしている院長がアホに映ったらしい。少なくとも「早く診療してください」という声なき声が診療室内に渦巻いていたのは確かなようだ・・・
僕が医学部の学生だった頃は、女子学生は10%程度しかいなかった。みんな凄い美人ぞろいだった・・・と、一応いっておこう。
その中の人気者のKさんからの突然の電話・・・忙しい外来の時間の合間だったが、時を忘れて話し込んでしまった。ちょっと幸せな気分であった・・・
旧友が勤務医として近所の病院にやってくるのも何となく良いもんだが、こっちの苦難の状況が丸裸になるのも何となく恥ずかしいとも感じる。
読んでくれてどうもありがとう
暗い気持ちになりそうな世紀末風の年度末の日本を抜け出すには列車の旅が一番ですね・・・昨日はオーストラリアの旅から帰国し、今日は南米アルゼンチンに来ています。
まずは・・・オーストラリア大陸です。大陸横断鉄道は数あれど、大陸縦断鉄道というのは極めて少ないとか・・ここの「The Ghan」という有名な長距離列車の名前が、建設などの労働者として多く大陸に渡ってきたアフガニスタンの国の名前に由来するとは知りませんでした。確かに、ひとこぶらくだに跨る遊牧民の姿が描かれていて面白いですね・
「ザ・ガン」に限らずオーストラリア大陸の長距離列車は民間の運営になっていますが、寝台サービスの素晴らしさは世界有数と感じました。三泊四日の長旅・・二人部屋の「ゴールドカンガルー寝台サービス」を是非体験したいものです。
縦断も、インデアンパシフィック号という名前の横断も北米横断鉄道とほぼ同じ距離、4300km程あります。
半分ほどの行程は単純すぎて少々飽きるかもしれませんが、人が少ないことを認識できて日本人には幸福かもしれません。勿論、それに耐えられる人だけですが・・・
アボリジニー(と言っても純血は絶えたそうですが・・)の姿も確かにオーストラリア大陸の内陸部では似合います。先に、タスマニア島での絶滅史の記事を書きましたが、DVDを見ながら複雑な心境でした。
でも、もしも病院を放り出して、三泊四日の長距離寝台特急にガールフレンドと乗り込んでしまったら・・・ 身体も揺れる、心も揺れる・・・きっと幸せな気持ちでしょうね。
さて、所替わって同じ南半球のアルゼンチン。かつては経済破綻を来たして人々の心も荒んでいるかと言うと・・・さにあらず。チンケな規制と書類でガチがちの硬直した勘違い官僚の支配する国、ニッポンよりも遥かに幸せな国のようであります。高い税金ばかり取りあがって・・・「さらば財務省、さらば厚労省、さらば国交省」だ~あ~
南米のパリ、ブエノスアイレス。さすがに駅舎も古くて歴史を大切にしていて、イトヨロシ・・・ 何処の国か判らないような日本の駅舎は嘆かわしい・・・

テナ訳で、列車の中で歌を歌いだす幸せな国の幸せな列車・・・それが、Old Patagonia Express であります。
なんとも長閑なアンデスの風景・・・エクスプレスという名前の意味が判らなくなりそうなノンビリ列車・・・これが厚労省の医療のカリスマであらせられる原課長の提唱された「ノンビリ五分」のモデルなのでしょう・・・って事はない。それじゃパタゴニア急行に申し訳ない。
どうしてこうも日本と雰囲気が違うんでしょう。もっとノンビリ、暢気に、気軽に人生を楽しみましょう。医者を逮捕して医療崩壊なんかさせる暇があったら、しっかり本物の殺人鬼を監視して未然に逮捕したらどうですか?
それにしても、日本の官僚制度はなんとかしないといけない。
道路特定財源の一般財源化を成し遂げた後は、全ての特殊法人・天下り官僚を「改革」するぞ~お~だ。
読んでくれてどうもありがとう
【たかが五分 されど五分】シリーズも本当に飽きてきましたから、最後に少々薮医者の4月以降の決断をご紹介して終わりにします・・・
厚労省の医療の神様であらせられる原課長には、今回の「五分ルール」策定により、診療とは何か、医師患者関係に関しての再考の機会を与えて頂けたことを心より感謝して、第六回目の最終章を始めます・・・
鉄則④ 外来管理加算を算定した患者のみ 長期処方を認める
これが、僕のクリニックの四月以降の基本方針です。小細工は一切無しです。
外来における慢性疾患の外来管理とは一体なんでしょうか? 数年前に解禁された長期処方・・・これは痛手でした。患者さんにしてみれば長期処方は安上がりで歓迎なのかもしれませんが、次の外来までの期間が長ければ長いほど不確定要素が増大し、患者の体調変化が来易いのが普通です。従って、外来診察と言うものはその場限りの時給ではなく、本来は処方期間の健康管理料であるべきで、二週間処方なら5,000円、4週間処方なら10000円とか従量制を取るのが普通と思われます。三日処方と2ヶ月処方が同じ外来管理加算料というのがそもそもおかしいのです。
そこで、少なくとも五分間の診療を受けた人のみ外来管理加算をする代わりに、管理加算を算定しない短時間の患者に対しては最高二週間までの処方しかいたしません。
この場合、患者さんの行動は下のいずれかになるでしょう。
まずは、素直にそのまま二週間処方で帰り、次は長いほうが結局安いので自分で五分滞在を希望する・・・
次に、長期処方をしてくれないなら他所へ行くと言って二度と来ない人・・・
前者になるか後者になるかで、患者さんの見極めをしようと思います。そもそも忙しすぎ、クレームの多い嫌な患者に使う時間を病気に悩む他の素直な患者への丁寧な診療時間として使いたいのです。これくらいで文句を言うような患者とは結局良好な医師患者関係の構築と末永い信頼関係の維持は難しいと感じます。
丁寧に診察して長期管理をいたしましょう・・・
我が儘な患者はどうぞ他所へ転院してください・・・
少々患者数が減ることでしょうが、本来の適正外来患者数になるだけでしょうし、当院を信頼してくれる患者さんだけを診療することは、ストレス解消のみならず、医療の喜びを再認識させてくれると信じます。
無駄な小細工はせず、正しい診療態度でこれまでの様に真摯に患者を診ていけば、信頼を寄せてくれる患者さんたちと良質な診療空間が醸し出されると思います。後期高齢者に関しても同様です。
そんなこんなで、四月以降も基本スタイルは変えず・・・
これで、【たかが五分 されど五分】シリーズも一応終わりにいたします。
【たかが五分 されど五分】シリーズも五回目を迎え、我ながら少々飽きてきました。
そこで、本日は診療の原点に回帰することを考えて見ます。
鉄則③ 正しい血圧測定を行なおう
皆さん、学生時代に戻り、正しい血圧測定とは何かをもう一度真剣に考えてみてください。血圧測定が正しくないと正しい診療は出来ません。コピペしてみます・・・
血圧をもっとも厳密に測定する方法は、動脈に針を挿入して、直接、圧力を記録することです。もちろんこれは一般的ではなく、腕帯型水銀血圧計による間接的な測定法が広く用いられています。
この測定方法では、測定の条件をできるだけ一定にすることが必要です。そこで、医療機関においては、正確な測定を行うために、血圧測定のガイドラインに沿った測定を行っています。ガイドラインでは、15分間以上の安静座位の状態で測定する、測定30分以内にはカフェイン含有物を摂取したり喫煙をしない、といったようにきめ細かく規定されています。
でも、やはり15分はいくらなんでも長すぎですから、診察室に入り挨拶を交わした後は、診察室の椅子に坐って頂き、黙って五分間の安静座位を保った後に「正確な血圧測定」を行なうことです・・・・・。さあ、これで「五分ルール」は完璧です。何も恐れることはありません。
幾らなんでも五分の安静座位が長すぎと感じるあなた・・・、三分でもいいですが、脈拍を1分測定し、聴診を1分程行なえば、あっと言う間に五分が過ぎ去ります。
読んでくれてどうもありがとう
最初に、最後まで読み終わってガッカリしたことが一つだけある・・・
3月20日に書き下ろし出版されたと信じて先程「推薦記事」を書いたのだが、実のところは「小説新潮」に昨年後半に連載されていたらしい。既にお読みでブログ等に書評を書かれている医師の方々も多かったと思うので少々恥ずかしい思いをした。ま、ご愛嬌ということでお許しを・・・
先程、前半を読んでの感想を書いてまだ4時間もたっていないが、歓喜しながら読了した。別に遊んでいたわけではない。レセプト改定業者さんが21時位まで仕事をしていて説明を受けたし、通常の夜間透析の合間に尿管結石発作の患者を22時まで診ていた・・ 待機の空き時間が多かったので読めたわけだが、一気に読ませる大傑作であることは間違いない。【バチスタ】より上等、僕の中では最高ランクの海堂作品である。
代理出産のカラクリに関する僕の「想像」は90点くらい当たっていたが、少々複雑なカラクリで感心する。
でも、とにかく痛快だ・・・曾根崎理恵なる「冷徹な魔女」と上司に評される産婦人科女医の 官僚と東大を敵に回した痛快活劇に拍手喝采を捧げないm3医師はいないのではあるまいか?
産科医であるm3トップの「なな」さんや、「春野ことり」さんら女医さん達の忌憚無き感想も拝聴したい。ついでに、マスゾエ大臣や八代委員の意見も聞いてみたい。
マスコミを巻き込んでの現場医師の徹底した反撃開始には、読みながら息が荒くなるような興奮を覚えた。凄いですね・・・海堂さん。「医学のたまご」の天才中学生「曾根崎薫」君がここに登場するなんて・・・海堂ワールドは益々完成の域に達してきているようだ。
ただ、ここまで厚労省と東大を真っ向から正論で批判できる海堂先生って素敵です。きゃーっです。僕が女性なら惚れちゃいます。海堂先生のスペルマを極秘裏に採取して・・・この先はお読み下さい、ネタバレです。
読んでくれてどうもありがとう
我らが海堂尊先生の手になる新刊、【ジーン・ワルツ】・・・まだ「半分」しか読んでませんが、m3の皆さんに強烈に奨めたくなりまして早速記事にしています。
ちょうど半分、141ページまで読んだところですが、最後に待ち受けるであろう強烈な内容が、海堂ファンの僕には現時点でなんとか見えてきました。その想像通りとすれば、今回の作品は凄いです、そこまで想像するか?という感じもしますが、帚木先生の【エンブリオ】ともまた異なる生殖医療の戦慄のシチュエーションです。
ただ、子供に読ませられない内容を初めて含んだ海堂作品であることもまた確かで、いかに素晴らしい作品であっても、医師を目指す子供(娘)たちには残念ながら奨められません。この点は、【ノーフォールト】でも感じましたが、やや主人公の女医さんの奔放な性のせい・・というのが海堂作品としては珍しく「PG-18」のようです。まあ、奔放な性に餓えた枯れつつある中年医師には、適度なスパイスとして嬉しいのも確かですが・・・
この作品は、とにかく素晴らしいです。半分読んだだけですが、計算されつくしたメッセージ性では確実に【バチスタの栄光】を凌駕しています。発行日が何と 3月20日で、翌日の福島大野の論告求刑「禁固1年、罰金10万円」の前日であることが単なる偶然とは僕には思えません。
新臨床研修制度による医療崩壊
福島大野での前置胎盤での逮捕劇
地方の医療 対 東京の医療
東京大学医学部と官僚制度の関連と歪
生殖医療と借り腹・代理母出産問題
産科医が当事者になった場合の生殖本能
医局内での医師の行動様式の変化
などなど、前半だけで圧倒的な問題提起です。
勿論、医師以外にどの程度のメッセージが伝わるのか少々不安な面もありますが、少なくともm3参加者の皆さんにはビシビシ伝わり、恐らくは感情が昂ぶる瞬間を経験されるのではないでしょうか?
特に福島県大野は、北海道の極北市と名前は変えてますが、ほぼ完全に大野の逮捕劇をなぞっています。その他の列記した問題点も、今や完全にスター作家に登り上がった海堂氏にだけは許されるようなギリギリの表現ではないかと感じます。逆に言えば、スター作家が良くここまで現実を表現したな・・ということも感じます。
「産科医療のこれから」のブログで最近紹介されてあった海堂氏の問題意識の表現が単なるサービスでなかったことに敬意を表します。全部読まずに敬意を表するとは・・と言われるかもしれませんが、半分読んだだけでも「今や海堂氏は本物だ・・」と感じます。確か僕と同世代でしょうから、羨ましい限りです。
どうぞ早く手にとってお読み下さい。内容的は、非常に素晴らしいです。
余談(本論?)を少々・・・
以前、小説と映像の関係に関して記事を書いたことがあります。【バチスタ】は映画化ではなく、ドラマ化すべきだった・・という批判でした。
僕が好きな(最近の)医師作家の双璧は、「帚木蓬生」と「海堂尊」の二人です。しかしながら、両者の作品を読む際には非常な感覚の違いを自覚します。何となく感じる作風の違いは・・・
<帚木作品は映画化が似合い、海堂作品はドラマ化が似合う>ということです。<拡がりと俯瞰の映像が浮かぶ帚木作品に対して、アップの表情や建物中の風景が浮かぶ海堂作品>という言い方も出来るかもしれません・・・ どちらも大好きです、内容が素晴らしいので。
読んでくれてどうもありがとう
【たかが五分 されど五分】シリーズの第4弾・・・
今回のテーマは【職員のリストラ】に関して・・・です。ちょっとラッシュしてますが、まだまだ続くと思います。
実は当院の看護師さんたちから、『先生、私達をリストラしないでくださいね。この歳になると、再就職も辛いのよ。まだ、家のローンもあるし』とかなんとか、本気とも冗談とも取れるような発言が相次いでいます。
厚労省のカリスマ、医療の神様であらせられる原課長の「天下の名案」により、当院の外来看護師たちがリストラに怯えています。勿論、優しい院長である僕には簡単に可愛い看護師達の首を切るなどという冷酷な仕打ちなどできっこありません。
しかしながら、「五分ルール」では看護師さんたちの貢献度など全く考慮されておらず、とにかく医師が診療室内で患者と対面する時間のみがお金に換算されるという前代未聞の素晴らしい天下の名案なんです。さすがは医療の神様の考えられることは大胆で素敵です。独創的というのか、僕の様な平民には、医療の神様の考えが理解できません。
一時間に12人までしか診ない、診れないとなりますと、看護師さんが外来に「二人」いる必要は全くなさそうです。この案は、「外来看護師一人、受付事務一人、医師一人」を前提に考えてあるようですね。
当院は、「外来看護師は二名、受付二名、医師一名」が基本ですが、患者が急増した際には看護師も事務も各一名を応援として呼び出します。医師以外に出来る仕事は彼女らに任せ、医師が医師の仕事に専念して患者に最大の時間を割けるようにするためです。ですから、一時間20名でも何とかこなせることも有ります。
今回の「天下の名案」で外来収入が事実上の上限設定されたわけです。五分ペースで診ても、三分ペースで診ても収入は大差なく、とすれば五分ペースで診た方が患者も医師も良いわけです。スローライフ、ユックリズム、エコ診療・・・素晴らしい制度ですね。
となると、外来では看護師も事務も各一名で充分となりますから、普通に考えて「人件費削減のリストラ」を断行するのが経営者としては普通でしょう。正に「医は算術」ですね・・・恥ずかしいですが。
これまでは、例えば小倉~博多間を新幹線で快適に安全にスピーディーに19分で結ぶような診療を心掛けてきました。しかし、これからは45分かけて在来線をユックリ走ることが必要になりました。同じ料金ならお客さんは新幹線を選ぶはずだと僕は考えるんですが、原課長は在来線のファンのようですね。
進化・進歩の時計を逆回しして、昔ながらの鈍行の旅・・・それもまた楽しいかもしれませんね。
世間と時間の進み方が違って、医師の世界は何と言う不思議なファンタジーの世界。技術革新、設備投資による新幹線のスピードアップは悪なのか?
原課長曰く? 『博多から小倉まで丁寧な運転をすれば45分は最低かかります。それを19分で到着しようなんて・・・そんなに短いのは単なる基本的な運転です。ですから、新幹線の特急券なんて無料です。在来線だと鈍行券加算が520円つきます。』
こんな事言われますと、新幹線は半額運賃となり採算が取れず、営業停止を余儀なくされます。かくして昭和30年代へと逆戻りです。
世は昭和三十年代ブーム。医療の世界も素敵なレトロブームのようですね・・・さすがに厚労省ですね。
読んでくれてどうもありがとう
【たかが五分 されど五分】シリーズも本日の第三弾・・・いつまで続くやら我ながら心配です。
今回は【今日の診察室の風景】から・・・
例えばこんな患者さん・・・
ドキドキ動悸、心臓が煽る、息苦しい・・・<発作性心房細動>の発作での急患。すぐさま、心電図モニター付けて血管確保して色々バイタルとったりしつつ看護婦数名を周囲に除細動器スタンバイして、薬物的に治療・・・60分後に成功し、改善後の心電図チェックして30分間安静で観察して、ハイ帰宅。その間、バタバタ・ドキドキで120分かかりましたが、診察室でなく処置室で全部やりましたので「五分ルール」適応外で外来管理加算はゼロ?
例えばこんな患者さん・・・
出血性膀胱炎か腎盂腎炎かの境界の様な状態。看護師も問診で先に検尿し、混濁確認で尿沈査までして顕微鏡で菌の同定。白血球増多確認して点滴での抗生剤投与。全て処置室で行い診察室への入室無く、都合100分かかるも「五分ルール」適応外で外来管理加算はゼロ?
例えばこんな患者さん・・・
来院後に倒れこむように青ざめ、嘔吐と下痢を繰り返す。食事はいらず、脱水状態で軽度発熱。直ちに処置室でのベッド上安静と点滴及び投薬。処置室内での診察と経過観察で都合100分。患者の行動範囲を全て追跡消毒して回り、一度も診察室に入室無く「五分ルール」適応外で外来管理加算はゼロ?
例えばこんな患者さん・・・
胸が苦しいと手で胸を押さえながら来院。多くの待合室の患者さんの順番を跳び越して直ちに心電図室へ。虚血性変化が僅かに認められ、ミオコールスプレー使用し、酸素投与を併行し点滴ライン確保して心電図モニター開始し、胸痛の管理。症状は軽減し消失するも、処置室で観察しながら基幹病院へ電話し紹介先確保し紹介状記載。落ち着いたところで、患者と呼び出した家族への説明を行い、紹介状を渡して処置室へ招き入れることも無く院外へ。この間90分、全て処置室内での診療で「五分ルール」適応外で外来管理加算はゼロ?
例えばこんな患者さん・・・
腹が痛いと来院した老人。慢性便秘で浣腸マニアで時々やってくる。来院後にまずトイレ。出てきて浣腸を所望し、またトイレ。少し出てベッド安静し、再びトイレへ好みの看護師を同行依頼。一しきりトイレで気張り、スッキリして処置室へ戻りベッドにしばし安静し、気持ちよくなってご帰宅の途へ。この間80分、全て処置室とトイレで経過し、診察室へは足を踏み入れず「五分間ルール適応外で外来管理加算はゼロ?
例えばこんな患者さん・・・
大勢の患者で溢れる待合室に激しい咳の元結核患者さん。順番をすっ飛ばして胸部レントゲン撮影。なにやら少々怪しげな影。これはマズイと待合室ではなく、予備室での待機を願い、医師がそこへ出向き、採血や診察を施行。それも全て他の患者への感染防止目的だが、診察室への入室は無く「五分ルール」の適応外で外来管理加算はゼロ?
例えばこんな患者さん・・・
血圧が少し高いかなと心配の元気なオバサン。他に何も悩み無く少々肥満。診察室に入るなり隣の人の悪口を一しきり、す~っとして満足げに診察室をニコニコ出て行き、ちょうど五分。やっと「五分ルール」適応患者・・・しかし何か有意義な診療したのか?と訝る僕・・・
厚労省のカリスマ、医療の神様であらせられる原課長の考案された【天下の名案】に異議を唱える勇気など、平民の見習い医師の分際で出来るわけもござらぬが、何か腑に落ちぬ悶々とした悩みが毎日積みあがるこの苦悩を誰かわかってくれるかい?
読んでくれてどうもありがとう
【たかが五分 されど五分】と書くのがスジだろうが、一応気弱な僕としては、厚労省の医療の神様「原課長」を崇拝しつつ、頭をかしげながらも「五分ルール」コンプライアンスを目指し不眠の日々を過ごしている。
ヤフートップや各新聞のキャンペーンが出ては世も末、これほど日本人が崩れていくのを傍観するのは悔しいが、世紀末の如き医療崩壊カウントダウンを開業後の10年を振り返りつつ涙を流しつつ楽しみたい・・・
今回は、【されど五分 ②】・・・
苦労して五分の帳尻を合わせるなんて情けない。もっと簡単な方法はなかろうか?と、ふと思いついて実践してみると・・・実に簡単に五分を超えてくる。その第二陣の方策は・・・
鉄則② 後期高齢者医療制度に関して真面目に説明責任を果す。
これは高齢者だけでなく、高齢者を家族に持つ殆どの人に有効な策なようだ。姥捨て制度、爺捨て制度・・という認識は国民にもジワジワと日増しに強まっている。この制度を好きな年寄り、年寄り予備軍、年寄りの子供はゼロである。家計の負担が確実に増え、年金天引き・・・包括化、アクセス制限。指導・公表する内容には限りが無い。しかも、延期延期で段階的に不満が積み重なる。
『小泉さんの時の自民党と公明党の強行採決ですよ』・・・と振ってみると、まず90%の年寄りが自民党はダメだ、と顔を真っ赤にして不満を口にする。『イヤイヤ、自民党ばかりを責めるのはかわいそうです。公明党がいなければ強行採決は無理でした』と説明すると、じゃあ公明党も次はダメじゃ・・・と老人達の怒りは福田首相も大田代表も真っ青になる状況だ。
ただし、何事にも問題点はあるものだ・・・
この話、熱が入りすぎて、五分では絶対に終わらないのでご注意を願いたい。
また、『イヤイヤ、別に自民党と公明党だけじゃなく、財務省と厚労省が更に年寄りイジメの張本人なんですよ』と付け加える配慮を忘れないで欲しい。
読んでくれてどうもありがとう