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元高校教師だった作家、田中 博さんの【虹龍】を先日ご紹介した。今回は、田中さんの【東海に蓬莱国あり 徐福伝】をご紹介したい。
【虹龍】は文化大革命期の日中両国の物語だった。医者になった実在のモデルが居るという。【徐福伝】のほうは、徐福と始皇帝の時代の物語で、史実か伝説か、紀元前210年頃の物語である。
ご存知とは思うが、ここで言う「蓬莱国」とは仙人が住むとされた日本のことで、「蓬莱島」は 「筑紫島」、すなはち九州の事とされているが、弥生期の渡来人「徐福」に関する伝説は西日本各地に伝承されている。
一番多いのは佐賀県であろうが、島原半島を回りこみ有明海から筑後川を遡って現在の大川市付近で上陸し、吉野ヶ里に近いあたりで「クニ」の王となり栄えた・・というのが最もありそうな感じがする。ただ、始皇帝と徐福に本当に接点があったのか?については不詳のようである。

この物語は、その「斉のエセ方士、徐福」と、戦国七雄の統一を成し遂げ不老不死を願った「秦の始皇帝」が激動の時代の中で、何故に「東海の蓬莱国」を目指したのか?が 実に活き活きと描かれている。ストーリーは実際に本を読んで確かめて欲しい。
ただ、街の本屋さんで探すのは恐らく難しいと思う。これまた、「海鳥社」というマイナーな出版社から1991年に出た初版本が今もネットでは購入可能なくらいの部数しか残念ながら出ていないようだ。内容が素晴らしいのに商業的な「売り方」の問題で、実にもったいない。
ところが、この本は実は「秘密の隠れたベストセラー」になっているらしい。著者の田中先生から伺ったので本当であろう。
内容的には、その辺の歴史小説より遥かに素晴らしい。ベストセラーの資格は充分だ。だが、先生には印税が入ってこないらしく、お気の毒としか言いようが無い。
数年前に中国から翻訳出版の話があって中国語で出版したところ、凄いベストセラーになったそうである。しかし、中国では印税の概念が無いのか、逆に「売ってあげた御礼が欲しい・・」とかなんとか、ちょっと日本の感覚では理解不能のまま今も読まれ続けているらしい。喜んで良いのか、悲しむべきなのか?
この時代の事はあまり詳しくは無かったし、徐福伝説も詳しくは無いが、卑弥呼より500年近く古い渡来人の話である。田中先生はかつて「日の御子の国」で野間児童文芸賞を受賞されたことがあり、継体天皇の時代の小説「筑紫の磐井」を出版されておられるので、倭の時代の古代日本には造詣が深いから、今回の「徐福伝」も安心してお奨めできる。

ところで、中国五山の第一「泰山」の長い長い階段を短期間で造り上げる場面とか、「接して漏らさず」の道教の房中術の秘儀とか、倭の海人の中国沿岸への遠征とか、宦官への様々な肉体的懲罰などなど・・実に面白く読むことが出来た。
この隠れた秘密のベストセラー小説、とっても面白くてタメになるので皆さんに是非お奨めしたい。
読んでくれてどうもありがとう。
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