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海堂 尊さんの【ブラックペアン1988】を読み終えた。9月21日発売だったかな、先生の「東城大学附属病院シリーズ」の第4弾? 実際には「エピソード1」とも言うべき作品となっている。
最初から意識していたのか、「黄色のバチスタ」、「水色のナイチンゲール」、「赤色のルージュ」に続くというか先行する「黒色のペアン」と鮮やかな展開の海堂先生。頑張ってますね。
m3ブログの読者というかブロガーは あまり海堂作品を読まれないのであろうか? 先程、m3ブログ内の検索をしてみたら・・・・海堂作品にコメントしてる記事8件中の7件が僕の記事だった。ありゃりゃ・・・【ブラックペアン1988】も僕が書くべきか?
この作品は、その前の作品群の主要な登場人物達が続々と1988年当時の姿を見せている。これを最初に読んじゃ多分ダメだろう。やはり発表順に読んで欲しい。ここには1988年当時の田口・高階・速水・藤原・猫田・桜宮などなどが登場するが、今回は後の院長、高階が主人公だった。
でも、これまでの作品と違って「非医師」にはやや物足りないかもしれない。トリックも丁々発止のやり取りも、妙にキャラが立ったSFっぽい登場人物もいないし、医師にとっては「普通過ぎる」内容である。でもこれは・・・「僕には」非常に面白い。
1988年の外科入局一年目の物語となると、海堂先生のリアルヒストリーなのか? 僕より数年後なので、実に時代背景から医局の姿から教授のキャラまで手に取るように分かる。ホンの一部のアクセントを除けば、全国至る所であの時代に繰り広げられていた「現場の物語」がそのまんま出てくるに過ぎない。
非医師には実に退屈で、医師には実に懐かしく、若い医師には・・・・どう感じられるのであろうか? 僕はあの時代の医局が懐かしい。反対意見が多いことも知ってはいるが、あの少し前に「古き良き日本式医療のクライマックス」があったんじゃないかと思っている。海堂先生も「1988年は既に長い崩壊に踏み出していた時期」と書いている。僕の印象では、「共通一次」の前後の世代での医療は激変したと感じている。少なくとも「外科」では、あの頃がピークだったような感じがしている。ただし、内科医としての僕の印象だ。
循環器内科は外科みたいなものだから、この本が実に好ましく感じられて「歳」まで一緒に感じてしまった。不思議な事に、悪役?の佐伯教授が非常に「良い人」に見えてしまう。
誰でも書けそうな本で「手抜き」したわけでもなかろうが、書きたい時代を「三丁目の夕陽」みたいにサラリと書けて羨ましい。僕の当ブログも、「1978~1996」辺りが内容的に多いと思うが、その真ん中の「1988」は、僕にとっても「研修医上がりのノボセキッタ時期」だったから・・・こんな本が書けたらいいなと、自分の文才の無さにアベしてしまいそうだ。
あの頃は、とっても良かった。その良かった1988を描いてくれて、とっても良かった。
タイトルしか知らなかった時、僕は想像してしまった。海堂先生は「社会派小説」を狙っているはずだ。【ブラック クーパー】とは、福島事件のクーパー事件を扱った「対検察片岡」の小説になるであろう・・・・でも、1988年になにが?
クーパーとペアンを勘違いして見事に予想は外れたが、「社会派」に少し近づき「エンタメ・ミステリー」からは大きく外れた良質の作品になった気がする。残念ながらベストセラーにはなりにくいだろうが、海堂ファンは行きがかり上読んで欲しい。ちょっと、海堂先生には歓迎されないコメントになったかもしれないが、僕は大好きだ。
読んでくれてどうもありがとう。