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昨日の日曜日の夕方、塾帰りを迎えた後、僕が車の中に置いていた読みかけの小説【ノーフォールト】を小6の娘が黙って手に取り読み始めてた。気がつくと一気に30ページも熱心に読み進んでいた。眼が吸い寄せられるように真剣な眼差しだった。その後で僕ら親子は中華レストランに出かけたが、妻が「それどんな本? 面白いの?」と下の娘に聞いた。
『今のとこ 凄く面白い』と娘。「内容わかるの? 漢字全部読める?これ、ちょっと恐いかも・・」と僕。『え?恐いの?美和子さん・・まさか死ぬの? 赤ちゃんは?』と娘は登場人物の名前まで記憶していたほどだ。その娘は産婦人科医を希望している。
昭和大産婦人科教授の岡井先生が書かれて当m3ブログでも幾つも推薦が出ている【ノーフォールト】は実によく書かれている。非医師のプロ作家の書く医療物は胡散臭いが、【ノーフォールト】は素晴らしい出来だと思う。数日前に新作【ブラック ペアン 1988】を刊行した海堂先生とはまた違った味ながら、実に誠実な内容で現場の苦悩も喜びも緊張感も程好く表現されていて、これまで読んだ「現役医学部教授作品」よりも格別に素晴らしいと感じた。医師はもちろん、多くの国民、政治家、マスコミ・・皆さんに是非読んで欲しいと思う。
最後まで読んで、僕も涙を流した読者の一人になってしまった。
だけど、まだ小6の産婦人科医志望の僕の娘に「読ませてもいいものか?」と今真剣に悩んでいる。昨日、自分で勝手に読み出して50ページをかつてない熱心さで読み始めてしまった小6の娘。主人公の女性産婦人科医である柊は、離婚経験のある一児の母で、産科に魅せられた熱心な医師。そこに(皆さんがよくご存知の)様々な困難が・・・・
僕は悩んでいる。何時かは読ませたい本ではあるが、子供にも読ませるのか? 「行列の出来る法律事務所」などのTV番組も大好きな子供だから読みこなしてしまうかもしれないが、折角の志望が屈曲偏光してしまわないか? 10年以上も先にはきっと状況は好転していると僕は信じているのだが・・・
読書の秋、「素晴らしい本」を素直に薦められない・・・という「大いなる悩み」を今は抱いている。
読んでくれてどうもありがとう。
「今日は何の日」だろう?と フト思ってしまいました。昨日が「秋分の日」で今日は「振り替え休日」でしたね。先週の様に毎年の固定休ではないようですが、こうも連休が重なると一体本当の祝日とは何ぞや?と感じてしまいます。
ただでさえ祝日は医療者にとっては通常のリズムを壊すだけのものに感じられますし、休めない医師にとっては不満の増幅器のようです。
さて、お彼岸・・・・ 元々は煩悩を脱した悟りの境地のことで、煩悩や迷いに満ちたこの世をこちら側の岸「此岸」(しがん)と言うのに対して、向う側の岸「彼岸」というらしですよね。
はて極楽浄土はいずこに?・・・・・浄土思想で信じられている極楽浄土(阿弥陀如来が治める浄土の一種)は西方の遙か彼方にあると考えられていた(西方浄土)。春分と秋分は、太陽が真東から昇り真西に沈むので、西方に沈む太陽を礼拝し、遙か彼方の極楽浄土に思いをはせたのが彼岸の始まりのようです。ナイルの左岸のピラミッド配置とも関連がありますか?
今朝、先程のことですが・・・僕は患者さんを「西方」に送りました。
お休みの日には自然と色々考えます。世間は休日、僕らは仕事・・・・
西方に送ったのは・・・・・ 娘さんの運転する車の助手席に自分で乗り込んだ67歳のDM・HT患者さん、途中で急に喋らなくなり身体が傾いてしまいました。透析でほぼ平常通り業務の当院につれてこられ、既に車から降りれない状況に・・・ 脳梗塞か出血か? 透析室Nsが手一杯で僕が応急処置後に救急車に同乗して・・・「西方」の救急病院に搬送したわけです。
まだ原因は判りませんが、脳卒中でしょう・・・多分。彼岸に渡られないように願います。
ここからが、本論です。長い前置きでした。
救急車で到着した西方の病院の救急処置室で待っていてくれたのは脳疾患センターのE先生でした。独身女性の「良い先生」ですが、休日にも関わらずフルタイム業務で笑顔で働かれていました。実にお久しぶりでしたが、随分細かい皺が顔にみられ、頭には白いものが増えていました。E先生はかつては可愛らしい僕の一つ先輩でした。どうして独身なのか不思議なほどに可愛いE先生も もう直ぐ「知命:ちめい」の歳も近く、今は桑年(そうねん)であろうか?
孔子が「知命」で言ったように、最近何となく『天が自分自身に与えた使命を自覚して』きたかのように感じられます。E先生も何となく落ち着いた雰囲気で救急患者に対応しておられました。
「此岸」にありて我々医師は「彼岸」の悟りの境地に容易には至れないけれど、目の前の患者が望まぬままに「彼岸」に向わぬように「天が与えてくれた使命」としての医師の役割を祝日でありながら粛々と果し行く・・・「知命」なる歳を間じかにして、僕の心も今朝は静かだったし、E先生のお顔も静かに感じられた。
毎週、「仏教新発見」なる朝日新聞社の週刊雑誌を講読しているが、今年の秋彼岸の心境が昨年と微妙に異なっていると感じていますが、どうしちゃったんでしょうか?
白い彼岸花、僕は実際には見たことありませんが美しいですね。本当は彼岸花は毒性の強い華のようで、土葬の屍を動物が掘り返さないように墓地に植えられた・・・と聞くと、「彼岸花」も厳しく悲しい華なんだな と想ってしまいます。
サイレンを鳴らさぬ帰りの救急車に揺られて「秋彼岸の印象」を書いてみたくなりました。
読んでくれてどうもありがとう。