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現在、斜陽の透析業界において熾烈な【仁義無き戦い】が勃発している。瀕死状態の【透析業界】において、この戦争が吉と出るか凶と出るか? しばらく注目をして見守って行きたいが、透析以外の医療関係者にも【医療費削減のモデルケース】として大いに参考になると思うので紹介したい。
今回ご紹介する【仁義無き戦い】は「透析施設間の激烈な競争」の事ではない。【医薬品の価格】の事である。
透析医療費を押し上げている大きな要因のひとつとして【エリスロポエチン製剤】の多用がある。腎性貧血の治療に大きな効果があり、患者さんのQOLを向上させるのに不可欠な薬である。組み換え遺伝子による製法を利用した高額な薬剤であり、既に特許切れでジェネリック製剤が出てきて欲しいのであるが、設備投資や製品管理が高コストなのであろう、日本のメーカーでジェネリックに挑む会社が全く出てこない。だから、古いのに高額で先発品しか無い薬剤なのである。
しかも昨年4月にマルメになってしまった。高齢者で造血機能の低下した手のかかる患者さんでは使用量が多くならざるを得ず、マルメだから医療機関側の経営を極端に苦しめている。ご存知の様に同じような製品がT社とK社から発売されている。薬価には少し差があるが、効果は互角、【納入価格】も互角で、両者は熾烈な【シェア争い】をここ数年行ってきた。医療機関側から見ると少しでも「納入価」が低い方がマルメだから望ましい。ジェネリック大歓迎だが全く出てこない。現在の当院におけるシェアはT社が60%、K社が40%程度であり、ここ数年は変動は少ない。理由は・・・色々あるが今日は書かない。
ところが・・・である。
ジェネリックは出ないが、【次世代の製剤】が最近K社から発売された。互角の製品がT社から発売されるのは1年以上先になるらしい。これまで週三回使用が標準だったが、次世代製品は週一回の使用となる。これだけでは大したインセンティブには成り得ないが、なんと今までと互角の効果を出すための「薬価」が既製品より遥かに安く厚労省が決めてしまった。明らかにT社はピンチである。しかし『マルメだから皆が飛びつくのでK社は喜ぶ・・・』と考えるのは少々早い。
「競合品」が無ければ高い方が良いに決まっているが、新製品の「薬価」は既製品より少しだけ安い位がいいらしい。使用勝手と効果で勝負、なのである。しかし、今回の新薬の「薬価設定」は僕が見ても極端に安かった。これには製薬会社も医療機関も驚いた。マルメで薬価差などないので効果が同等なら「納入価」が大きく下がれば僕らは正直嬉しい。しかし・・・・・
こう安くては 『日本中の透析施設が一斉にT社製品からK社の新製品に乗り移る』事は明らかである。K社の旧製品も新製品に切り替えられるだろう。勿論、週一回でなく週三回が使いやすい場合もあって、「全部」とは成らない。K社の本音は、T社のシェアを大きく奪うことであったはずである。
これに対抗すべく、慌てふためいたT社は緊急に従来製品の納入価を大幅に引き下げてきた。実際、ココまで納入価を下げればK社の新製品の納入価と大差なく、T社製品を切り替えるインセンティブは殆ど働かなくなる。T社はタミフルだけでも大打撃なのに、死ぬ気で納入価を「10%以上」も追加で下げて来た模様だ。営業MRは必死の形相である。恐らく、K社の旧製品のシェアを逆に奪いに行ったのであろう・・・
となると、次の問題はK社の従来製品である。T社の製品に比較して高額になってしまった。今や「絶滅危惧種」となった訳である。当然ながら、シェア激減を回避するためにK社はT社に追従して新製品と旧製品の「納入価」を大幅に下げざるを得ない。これは明らかに「想定外」のようだった。最初は新製品を嬉しそうにPRに来たK社の営業MRも今では青ざめた表情で守勢に回ってしまっている。
【何のために高額な開発費を投じて新製品を開発したのか?】 これではK社とT社の双方の首を絞めてしまうだけである。きっとK社は後悔しているに違いない。新製品を出さなければ両者とも(シェアは動かないが)利益は充分に確保できていたわけである。印象としては、【K社の新製品がソフトバンク携帯で、T社の旧製品がau、K社の旧製品はDoCoMo】といったところであろうか? 皮肉な事にDoCoMoがソフトバンクを競争に引きずり込んだ感じである・・・・

これから分かる事は、【医療費削減】を図るには巨額な利益を計上し続けている「医薬品メーカー」や「医療機器メーカー」の【薬価】を厚労省が徹底的に下げさせ、「IT会社」や「コンサルタント会社」の不当な利益吸い上げ構造を排除する事である。医療の現場の【人件費】をボロボロにまで削って医師を苦しめ医療崩壊を進めてどうするんだ? 内外の巨大製薬会社の巨大な利益を減らさないと医療再生なんて全く不可能なのである。
今回のこの件で、恐らく当院も来年3月までの半年間は倒産を免れるかもしれない・・・それ位大きな値引き合戦が真夏の透析施設で繰り広げられている。
まさに【仁義無き戦い】を久々に観る思いである・・・
読んでくれてどうもありがとう。
コメント
コメント一覧
K社の新製品が予想以上に安い薬価収載となり、当方の地域でもT社はK社の新製品よりも安くなるよう値引き作戦に出ています。当然赤字が出るそうですが、自社の新製品が出るまでのシェア確保のためにやむを得ないとのことです。
この値下げ合戦の勝者はともかく、EPO製剤の薬価が全体的に下がることにより、次回の診療報酬改定でさらに透析管理料をその分だけ国が引き下げてくるのではないかと危惧しています。
なおEPO製剤のジェネリックは、開発に取り組んでいる製薬会社が1社あったと思います(社名を忘れました。わかりましたら、またご連絡します)。
これからもブログを楽しみにしています。
@@便乗コメント失礼します by murajun@@
お互いお盆は大変ですね。さて、調べてみましたが、T社は「これまでの値引きに加えて」20%近くの更なる値引きを提示してきています。なんと一気にジェネリック価格並みです、凄いですね。K社MRは青ざめていました。
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