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身近な親戚が2週間ほど前に入院した。脳梗塞だった。
今もまだ麻痺と構語障害が残って経管チューブからの栄養摂取の状況である。開業医であるが、息子が殆ど継いでおり経営的な心配だけは免れた。でももう現役医師に復帰は不可能かと思う。医師だけに自分の病態や予後を感じているはずで、本人が一番辛いであろう・・・
そんな時には担当の医師を「患者の視点」で僕ら医師も見ることになる。この一月のうちには父も叔父も入院した事は先に書いた。「患者の親族」として主治医に対面する時には可能な限り主治医の働きやすいように配慮を心がける。内情が分からないと難しい事かもしれないが、要するに「相手の立場」になって考える・・・と言う事だ。主治医も患者側の立場に立って考え、患者側も主治医の立場に立って考える事。これが、片方に偏ると少し難しくなってきてしまう。
状況を考慮せずに無茶な願いをしたり、いたずらに主治医の仕事量を増やしたり、主治医の裁量を妨げたりする事のなきよう僕ら医師は出来るだけ主治医にも配慮する。主治医に圧力をかけたり脅したり、理不尽な要求や条件を出したりして主治医の本来の仕事を妨げる事の無いように特に心がけている。
「患者ハラスメント」という患者の医師に対するハラスメントが非常に増えて「素直な医療」が困難になっているようだ。【ドクハラ】と同じく【患ハラ】は絶対よろしくない。
まず素直な心で担当の医師を尊敬の眼で僕は観る。そうすれば患者の大事な親族として僕らを扱ってくれている事が手に取るように分かる。主治医には警戒感のかけらも感じられない。心憎いまでの配慮をしてくれるが、別に僕が医師だからではない。患者と家族のもっとも気になっている点、配慮して欲しい点をはっきり理解してくれているのが僕には良くわかる。
開業医も病院主治医にも絶対に「余裕」が必要である。時間の余裕、経済的な余裕、感情的な余裕、医学的な余裕。余裕を主治医に与える努力を患者側もすべきである。勿論、行政も病院管理職もすべきであるが、【患者からの圧力】こそが主治医の余裕を失わせる最大の要因だと思う。
S先生の上司のY先生もそうだが、国立K医療センターの先生方の対応は素晴らしい。これまでに数々の「参考にすべき対応」を見せていただいた。忙しさでつい見失いがちになっていた僕の頭をガツンと一発張り倒してくれたような新鮮な衝撃だった。脳卒中の診療にあたってS先生は理想的な医師だと思う・・・ 非常にありがたかった。
患者の親族として病院内を眺め医師や看護師を眺めてみると、最も今必要な事は「余裕」だと感じた。これさえあれば医師・患者・家族関係は随分スムーズに構築できると思う。「余裕」の持てない勤務体制と「余裕」を与えない患者側の要求は医療現場をギクシャクしたものに変えてしまっており、このことは患者と医師の双方を不幸にしていると感じる。
そんな訳で「凄い人格者みたいなS先生に今回は当たった」と感じた。
一般の方には賛同願えないかもしれないが、僕が医師だったことがS先生の態度を急変させてしまったと言う事はありえないと思う。
読んでくれてどうもありがとう。