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幻冬舎文庫から6巻シリーズで先頃刊行された【大鐘稔彦】医師の【孤高のメス】という小説を読み終えた。白い巨塔以上の「大作」である。名著ではないかもしれないが「力作」である。
『ある事情により埋もれていたエンターテーメントの幻の傑作』という帯の言葉は外れてはいないと思う。「エンターテーメント」という範疇が適切かどうか分からないが、【第二の白い巨塔】というコメントは少し違うかもしれない。むしろ【ER】に近い・・・という印象だった。
『ある事情』というのは第6巻のあとがきに書かれている。最初にここを読んで買う買わないを決めてもいい位に大切な「あとがき」です。始めによんでも構わない「あとがき」です。
最初はコミック雑誌で好評をはくした娯楽作品だったらしい。それをズットずっと暖めて、コマーシャルベースに乗らないかもしれないと心配しつつ大作に仕上げていったわけですね。確かにコミックとは雲泥の差でしょうし、医師が読める内容にきちんと仕上がっています。
僕は、この本は好きですね。素人っぽい雰囲気がありながら、きちんとした医療物になっていて、名作と言われる【白い巨塔】みたいな「ありえない設定」がない。「ありえない設定をなくす・・」というのは案外難しいんですね。
【白い巨塔】が「言いがかり的な訴訟を誘発した」という批判は昔からありました。確かにそのような負の貢献も否定は出来ないと思います。山崎豊子さんは大好きな作家のお一人ではありますが、医師でないとやはり無理があるとも今では感じます。
主人公の当麻医師は作者の分身なのでしょうが、真面目な医師の真面目な医療活動を淡々と上手に描いています。素人さんには刺激が少なくて文庫本での大ヒットは期待できないと心配していますが、是非わかい研修医や医学生の人達には読んで欲しいと希望します。医学生の【教科書】にしてもいいくらいにリアルな医師群像を描いています。コミックでは70万部のベストセラーらしいのですが、小説を読まないといけません、お医者さんたちは・・・
随所に実名でも色んな医師や色んな患者、不届きなマスコミも出て来ます。院長も、教授も、バカ医者も・・・ でも自然ですね。【白い巨塔】は小説もTVドラマも今の時代には無理がある。やはり医師の書く医療小説は一味違う。でも、一般の人にはわかりにくいかもしれない。
医学生や研修医の皆さん、読んでみて下さい。また、既に中堅でご活躍中の皆さんもどうぞ・・・ あなたは誰に似てますか?
僕は【青木先生】かもしれません。
読んでくれてどうもありがとう。
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