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【僕の音楽武者修行】という本を、今日たった今読み終わって、感激してスグにブログに書きたくなった。時間外診療を一人こなして少々遅れたが、早く書きたくて仕方がない。昭和37年4月の初版なので、ブログ読者の方の多くが既に読まれたことがあろうかと思う。でも、恥ずかしながら僕は知らなかった、この本の存在を。2ヶ月程前にリンク先の【京都三条ボンズカフェ】の中で紹介されていたので読んでみようかと思ったのである。
「単一カテゴリー厳守」主義の僕としては、「読書」・「旅行」・「音楽」などどこが適当か悩んだが、「海外留学」が最も相応しいカテゴリーだと感じられた。これは、当時26歳だった小沢征爾が1961年に書いた【初の海外武者修行留学】の「自叙伝」なのである。
スクーターを唯一の財産として神戸から貨物船に乗り込み、マルセイユからパリまでたどりつき、フランス国内、アメリカ、ドイツ、そしてふたたびアメリカへと回って、いよいよ二年半ぶりになつかしい日本へ帰ることになった。
そういう内容の本なのであるが、文体が非常に素晴らしい。僕は今の小沢さんを知っているから余計に面白いのかも知れないが、【留学する気持ち】が素直に表現されていて涙が出る。本の終わりの26歳での凱旋帰国当時、まだNYフィルの副指揮者になったばかりであった小沢征爾の【武者修行】がみずみずしく描かれている。こんな本を書くこと自体が普通の若者とは桁違いであるし、内容がとにかく興味深い。
確かに最初の国際コンクールで優勝しなかったら完璧な凱旋帰国へとは繋がらずに、今の【SEIJI OZAWA】も居なかったかもしれない。でも彼は世界の小沢征爾になるべくしてなったのであると初めて感じる事ができた。僕が生まれる前に小沢征爾が成し遂げた【武者修行】に心からの敬意を表したい。次に小沢さんの音楽に触れる時に何か違って聞こえてしまうのかな?と今からたのしみである。
話は変わるが、僕は医師にとっても【留学】は貴重な体験だと信じている。経験の無い人には素直に認めてはもらえない価値観かも知れないが、経験のある人で異論がある人は少ないのではないか? もちろん音楽家である小沢征爾のようなわけには医学留学の場合には行くはずはないが、「医学研究」の場合にはかなり類似した興奮するエピソードを持つ人が案外ゴロゴロしているかもしれない。
残念ながら僕は目ぼしい成果を挙げられなかったが、素晴らしい成果を挙げて国内外の医学研究機関で活躍している日本人医師は少なからずいると思う。芸術家やスポーツ選手の様な華々しい登場が準備されてないだけのように思われる。もっと、「医学スター」が出ればいいのに・・と思う。ただ、評価の分かれやすいマスコミ御用達の臨床的な「神の手」ではなく、もっと地味な研究面の「世界的スター」が大学病院で大活躍をし易い環境であって欲しいと思う。
しかし最近の医局制度崩壊と新臨床研究制度によって、残念ながら「世界的医学スター」の誕生は遥か彼方に遠退いたように思われる。非常に悲しいことだと僕は秘かに嘆き悲しんでいる。世界に羽ばたける環境は今後も拡げていって欲しい。
ま、そんな医師の留学の話は今日はやめとくが、この若き小沢征爾の素晴らしい本を読むと何故かジーンと来て自然と涙が出る・・・くらい羨ましい。古い本だから既に読んだ人も多いだろうが、さっそく僕も子供達に読ませたいと思う。小沢征爾ファンでなくても興奮するに違いない。興奮させついでに、妻にも読ませようかと思っている。
読んでくれてどうもありがとう。