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安倍首相は「ボキャブラリーが豊富」だと若い人たちのランキングでは上位だという。今回も突然の松岡大臣の訃報に『慙愧にたえない』との難しい言葉を発せられた。辞書では、『己の恥じ入ることを他に表明する』ことだという。流石に首相だけの事はある、と評価する声も少なくない。なかなか他人の自殺を己の恥(shame)だとはいえないものだ。
素晴らしい首相とは比べようも無いが、僕も今日 『慙愧に堪えない』 ことをしてしまった。
開業して9年近くになるが、歩いてきた『心房細動発作』の患者さんをほぼ無処置にて紹介入院を依頼してしまった。それも初診ではなく数年来見ている患者さんだ。
平均して月に2~3例の発作性心房細動の患者さんを診る。多いか少ないか・・・無床診療所としては多いかもしれない。これまでは初診患者を含めてほとんど薬物的除細動を行ってきた。しかし、今日初めて近くの病院に治療目的で紹介した。歩いて来院し、血圧も下がらず、意識レベルも清明で、心不全徴候も認めない。まだ高齢者とも言えず基礎疾患も特には認めない。しかも患者さんは当初うちでの除細動を希望していたようだ。でも僕は今日初めて他へ紹介してしまった。
理由は・・・・自分でも良く分からない。
確かに患者さんが来院時に当院は超多忙で一人で全く手が回らなかった。心房細動の発症日が不詳であったし、その方の家族が現在危篤状態で興奮しておられた。たとえ改善しても安静を保つには入院を奨める方がよいと思った。心房細動のリスク等を説明しているうちに緊張感で表情が次第に険しくなっていった。このまま進めると過呼吸症候群に至りそうだった。などなど・・・
院内の静脈注射や院外の処方で何度か試み、「除細動」出来ずに結局紹介したことは何度かあるが、ほぼ「ノートライ」にての紹介は僕には初めての経験だ。昨今の医療事情を知るにつけ少し怖さが出てきたのか? 若さが失せつつあるのか? 危険を感じるようになってきたのか? 勇気が消えつつあるのか? 確かにその時間、僕には他にすべき事が凄く沢山あったのである。
いずれにせよ、僕は循環器科標榜医として 『慙愧に堪えない』
もうスグ、循環器科がなくなるらしいので早くも気持ちの中で熱意が切れ始めたのかもしれない・・・
読んでくれてどうもありがとう。
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