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政府による【在宅医療推進策】を難しくしているものに、高齢者を取り巻く「住環境や家族の問題」がある。多くの医療人が危惧するように、「在宅医療」には多くの難しい問題がある。単に「社会的入院を減らすとか開業医が在宅での看取りをする」方向に誘導すれば解決するわけではない。現場には非常に苦悩すべき様々な現実がある。
先日も患者さんの家族から深刻な相談を受けた。後がつかえており40分ほどで相談を切り上げたが、家族の悩みの解決には程遠いものだった。どうしてよいか、家族の問題が少なくないので医師にも無力感が漂う。
Aさんは80歳を過ぎ、親しい友人や親戚を次々になくしている。自分の死というものも身近に感じる年齢ではあるが、主治医がいいのか?ナカナカ医療面で深刻な状況にはまだ至っていない。しかし、性格がデリケートであり他人の批判にはメッポウ弱い面がある。10年以上診察しているが、優しさは折り紙つきであり、落ち込みへの落差は浅くない。家族が息子、娘でささえるし、デイサービスで週3回は過ごしているが、常時家族と共に家にいるわけではない。家族の仕事や生活の事もあり、数時間は家に一人になることもある。
BさんはAさんとは古い知り合いである。家族は遠方に暮らし、病気がちな田舎の独居老人である。一見それほど変わった事がない老人だそうだが、AさんがBさんを時々訪ねることで問題が生じだした。
Aさんは、「Bさんが寂しくて電話で誘うから夕方などにお相手しに時折行く」と家族に言っている。Bさんは、「Aさんが時折やってくるので鬱陶しくて困る」と家族に言っている。当然ながら、Aさんの家族はAさんを信じ、Bさんの家族はBさんを信じる。ココまでは良くある話であり、それ自体は認知症の高齢者を身内に持つものとしてはアリキタリな話であろう。
しかし、家族自身も非常に日頃から疲れている。まず、遠方に暮らすBさんの家族が電話でAさんの家族に【ヒドイ暴言】を吐いてしまった。『あんたのクソババアが押しかけてくるので困る。首に鎖をつけて家に閉じ込めておけ』 イキナリこんな言葉が出たのか紆余曲折があったのか分からないが、Bさんの言葉を信じる家族は日頃母親を独居させているので「防御的な考え」を強く表明したのかもしれない。乱暴な言葉使いにしても今どきの人間にはありうる話であろう。
これを言われたAさんの家族は、「AさんがBさんに呼ばれて遊びに行っている」と信じていることもあって、Bさん家族と話し合いに行ったらしい。当然いきり立ったもの同志、「話し合いというより言い争い」になってしまったようだ。『母親の首に鎖をつなげ・・』と言われて黙っているわけにも行かないだろう。Aさん家族はBさん家族に、『どうして可哀想な母親を無責任に独居にしたままで引き取らないのか?度々救急車で病院に運ばれているではないか?』と怒って反論したらしい。近所の人たちの話からは、Bさん側の認知症の度合いが少々Aさんより強いらしい。それでAさんの家族はBさんの言葉に黙ってはいられなかったのであろう。痛いところを突かれたのであろう、認知症のある老人との同居は奥さんも苦労して賛成しないことが少なくないのでBさん家族は爆発したようだ。
怖いくらいのBさん家族の怒りだったようだ。危険を感じたAさん家族は「マトモには帰れないかな?」と覚悟までしたらしい。どこまで本当か、どちらが本当か、Aさん側からの話だけしか聞いていないのでは正当に僕が判断できないのも確かだ。Aさんにも認知症が無いわけではないのだから。
でも、家族にBさんとの交流することを止められたAさんは大きく悲しんだ。生きていく事が更に苦しくなり、Aさんは『早く死にたい。長くこうして生きていても良い事はない。殺してくれ・・』と度々家族に叫ぶようになってしまった。それを聞かされる家族や高校生の孫は耳を覆い、いつしかAさんを憎むようにまでなった。
ここで苦しくなったAさんの家族が、先日深刻な相談を僕にしてきたわけである。話を聞き相談にのるうちに家族の苦悩が痛いほど良く分かった。『これが老いと言うものですね・・』と家族は涙を流して語った。
しかし僕が怖くなったのは、「Aさん家族がAさんに消えてもらいたい・・と感じている」ことであった。Aさんを施設に永遠に入れてしまうか、Aさんに死んでもらいたい・・・という【声にならない声】が随所に見え隠れしていた。
こんな時に恐らくTVなどで報道されるような【介護関連殺人】がおこるのであろう。今回もBさん家族がAさん家族と大喧嘩になった際には【暴行の危険性】もあったはずだ。Aさん家族がAさんを殺してしまう可能性も否定は出来ない。あくまでも可能性の問題ではあるが、家族間でもご近所同士でもちょっとした一線を越えてしまい過ちが起こる危険性は介護の現場ではありえる話である。
家族が付きっ切りで介護できない現代社会では在宅医療、在宅介護は政府が考えるほど簡単ではない。
施設に押し込めてしまう事は事実上の【姥捨て山】の場合が少なくないのである。ボケが進んでいない場合、喜んで施設入所を希望する老人は少なく、また経済的な余裕のある家族は決して多くは無い。これから日本人の一人ひとりが考えていかねばならない大きな問題であろう。
読んでくれてどうもありがとう。
【ドクターコール】の記事を当ブログに5月17日に書いた時は(2)を書くつもりは全然無かったのですが、まだ熱く【ドクターコール】論議は続いているようですし、それらの記事を読んだ後に自分で感じる事を(2)として一応書いとこうと思います。
先日の記事にTai-chan先生のコメントを頂いており、流石に九州男児と嬉しく感じていました。僕は機内でのコールに3~4回しか応じた事はないと書きましたが、皆さんのコメントや記事を読んでますと意外と「多い方」かもしれませんね。コールが無くても具合が悪そうだったり、交通事故で負傷者がいると救急車が来るまで事情が許す限り付き添うタイプの人間です。お人好しなんでしょうね、きっと。
『コールに応じない先生』を基本的に批判するつもりはありません。「時間外診療をしない」とか「救急医療で専門外はタッチしない」ということと類似していて、各自の理由もそれぞれありますからね。でも、『機内でコールに応じる医師』が増えて欲しいと思います。もし自分の両親や家族や親戚や大事な人が機内などで具合が悪くなってしまった時の事を考えると、やはり専門外でもいい、助からなくてもいいから診て頂戴・・と僕は思います。
実際に『機内診療で敗訴になったケース(出来れば日本人医師)』がどれだけあるのか知りませんが、どうなんでしょう?
僕が機内で気分不良になって倒れたのは、パリから日本へのフライトでした。身銭を切ってビジネスクラスに乗って、もったいないからと離陸前から酒を飲みすぎて、飛行中ず~っと『酔っ払い状態』で、吐いてるか寝てるか・・・気圧の関係でこんなに酔うのかと思い知らされました。そんな時、医師でなくてもスッチーが手を握ってくれたり声をかけてくれたり、お絞りを繰り返し持ってきてくれたり、トイレに長く篭ってるのを心配してくれたり・・・なんでもいいから気を使って手当てしてくれると人は嬉しくなりますよね。
ちょっと脱線しましたが・・
でも、【法整備が充分でないから皆さん応じないがいいですよ・・】というよりも、【法整備を積極的に航空会社や司法に働きかけましょうよ・・】という程度に『一般公開中のブログではとどめていただけるといいな・・』と感じます。
まさか、【自分は応じないから皆さんもご一緒に・・】という趣旨で書かれている方はないとおもいますが、こうも【拒否派】が多いと、せっかくの【当然派】も萎縮してボランティア精神で応じにくくなります。僕の基本方針や昔の経験の一例は5月17日に書きましたが、僕は【他にいなけりゃ出ましょう派】です。
僕は『法整備が不十分であること』はもっと訴えるべきと思いますが、【危ないから応じないように・・】という意見はどうかな?と思います。また、【私は応じないと宣言します】という宣言も、余程ご自身や同僚が訴訟の対象になって苦労したという実体験がなければ、わざわざ宣言しなくてもいいのではないかと感じます。
飛行機に乗る時、胸に【私は医師ですが、緊急でも応じません】というワッペンを貼って乗る勇気はありませんでしょ。応じたくないなら『静かに黙って応じない・・』でいいんじゃないですか?
それと、航空会社は『機内医療事故賠償保険』とやらを保険会社と作って搭乗者全員にかけさせて料金を取ればいいんじゃないかと感じます。「空港利用税」とか強制的にとられるでしょ?あのように搭乗ごとに計算して採算があう『医療保険料を航空運賃と別に払わないと乗せないよ・・・』とすればいいんじゃないですかね。勿論、最終責任は医師ではなく機長や会社がとうぜんですし、謝礼は「スッチーの笑顔プラスあるふぁ・・」かな。また、機外医療機関との通信機能の向上を図ることはスグにでも出来そうですがね・・・
また、『子供と同席でも応じない』という医師もおられるようですね。これに関しては、僕は逆ですね。親や子供と一緒であれば余計に(余程急いでいる時以外は)応じます。僕は子供には親の「精一杯の姿」を見せたいと思います。親には子供の「育ち方」を見せたいと思います。子供が医者になるかどうかは関係ないのですが、世間で『機内事故の訴訟』(医師敗訴)が「実際に」相次ぐまでは、【現役医師なら出るのが当然じゃん】という気持ちを切りたくは無いですね。こういうのは一度切れちゃったら戻せませんから。
僕が応じないとしたら・・・多分【不倫旅行中】位でしょうね。バレタラ家族崩壊ですから・・・ でも、開業医は飛行機に乗る機会が少なく、残念ながら不倫も夢の中でしかしたことありません。
ま、本音では色んな意見があると思いますが、マスコミも注目している『一般公開されるブログサイト』では、少なくとも【みなさんも応じないがいいですよ・・】よりも【応じやすくする法整備をヨロシクね・・】くらいのほうがいいかな?と感じます。
読んでくれてどうもありがとう。